成果主義の暴走か?
☆雇用システム研究所メールマガジン☆
第19号
06/05/01
新緑もひときわ鮮やかに感じるようになりました。
みなさま、いかがお過ごしですか?
雇用システム研究所メールマガジン第19号をお送りします。
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成果主義の暴走か?
――業務停止命令を受けた消費者金融会社から―
「成果主義を求めすぎた結果だった」。
強引な取り立てや無断の委任状作成など違法行為の原因を問われ、某大手消費者金融会社社長はそのように釈明しました。金融庁から全営業拠点を対象とした異例の業務停止命令を受けたその日、開かれた謝罪会見での一コマです。
☆☆ 切羽詰った社員の量産、高まるリスク ☆☆
同社の成果主義は、支店単位の連帯責任でした。貸付や債権回収のノルマを課し、目標を達成できないと支店全員の賞与を最大6割カットしていたのだとか。
目標額を回収できない社員が、やむにやまれず自らのお金で穴埋めする事例もあったそうです。
ぶら下げられたニンジンを追うどころの話ではありません。「アイツのせいで…」とならないようにするために、精一杯ではなかったかと推量されます。
切羽詰まった社員が量産されれば、法令違反や企業倫理を超えた行動をとる社員の出るリスクも高まります。
実際、今回の処分対象となった違法行為にかかわった社員は、社内調査に対し「1件でも多くの貸し付けができれば、自分と支店の業績につながる」と説明したといいます。
同社は、記者会見の席上で、「成果主義撤廃」を言明しました。
☆☆ 会社がどうあるために、己は何をなすか? ☆☆
「成果主義とは、報酬制度のことではない。給与格差など取るに足らないものだ。重要なのは、新たな成果を生み出し続ける仕組み、風土を作り出すことである。」
(リクルートワークス研究所 『Works』編集長・豊田義博氏)
理想はそうです。しかし現実には、より少ない人件費で社員の尻を叩くことに、成果主義を援用してきた企業も、少なくないでしょう。
会社の成長にとって大事なことは、経営トップから個々の社員に至るまで、《会社がどうあるために己は何をなすか?》という思考をもって仕事に当たること、です。それは、成果主義であるか年功制であるかにかかわりません。
社員が自己の目標達成のために違法行為をおかす、という矛盾は、会社との一体感の無さの現われです。現場と経営側とのコミュニケーションが欠如したまま、過激な成果主義に成長を委ねようとすれば、このような事態に立ち至るという教訓ととれます。
* *
東京都の調べによれば、都内の中小企業の約3割まで成果主義導入が広がっているとのこと。成果主義を取り入れておられる企業におかれては、どうかいま一度、ご点検を!
(福島敏之)
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◆ 編集後記◆
いま、信州は、梅・桃・桜・杏などの花々が一斉に咲き、春爛漫のよい季節です。
先日、小諸に帰省した折、父と懐古園に桜を見に行きましたが、残念ながら未だ5分咲きでした。懐古園は、学生の頃に友人と"悩み事"や"将来の夢・ロマン"を語りながら散歩した所で、まさに青春の日々を懐かしく思い出しました。
現在の私は、学生時代の夢とは、全くかけ離れた仕事をしています。しかし、これも私の人生で、長い年月の間に多くの人に出会い、沢山の経験を積むことができ、迷い悩みながらも結構、楽しい人生かなぁーと思っています。
希望を胸に就職した方々のなかに、自分の描く世界と現実とのギャップに幻滅して短期間の内に離職する方がいます。でも、少し我慢して仕事を続けていると新たな自分に出会い、意外な能力を発見し伸ばすこともできるのではないでしょうか。これには自己啓発の努力が必要ですが・・・。(白石)
※懐古園は、島崎藤村が「小諸なる古城のほとり・・・」と詠った小諸城址です。天文12年(1543)武田信玄が"山本勘助"に命じて築城した穴城で、眼前に千曲川、後ろに浅間山を望む断崖の上にあります。ちなみに来年のNHK大河ドラマ「風林火山」の主人公"山本勘助"は、私の大好きな内野聖陽さんが演じます(蛇足ながら・・・)。
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発行者 雇用システム研究所 代表 白石多賀子
東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル
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お楽しみいただければ幸いです。これからさらに内容充実していきたいと思います。
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