「縁起」のいい経営
☆雇用システム研究所メールマガジン☆
★謹賀新年★ 第35号
2007/01/01
http://www.koyousystem.jp
「縁起」のいい経営
明けましておめでとうございます。
初詣には、もうお出かけになりましたでしょうか。
下世話な話ですが、お賽銭に投げる貨幣の種類で、最も多いのは何だと思われ
ますか?
日本銀行松本支店の調べによると、長野県の主要寺社のお賽銭で昨年(平成18
年)最も多かったのは100円貨(34.4%)だったとのこと。2位が10円貨
(27.4%)、「いいご縁を」と語呂合わせの「5円貨」は3位(13.5%)だったそ
うです…(他県のデータは見つかりませんでした)。
☆☆ 物事は"縁"あって生起する ☆☆
「いいご縁」といえば、お正月はもろもろ縁起をかつぐことも多いですね。
この「縁起」という言葉は、もともとは仏教用語の「因縁生起(いんねんしょ
うき)」から発しています。「因」とは結果を生じさせる直接的な原因、「縁」
とはそれを助ける外的条件のことで、世の中の物事は原因あるところに一定の条
件が揃ったとき、生起する――という意味です。
たとえば、物が燃えるには、酸素があり、その可燃物が発火点以上の温度に熱
せられていることが必要です。条件が揃わなければ、いかに燃えやすいもので
あっても燃えません。しかし、ひとたび発火すれば、火はその熱を引き継いで、
酸素と可燃物のあるかぎり燃え続けていきます。火は熱エネルギーの発生元と
なり、煮炊きの道具にも暖をとる道具にもなりますが、コントロールできなけれ
ば火事の"因"になりうるものとして存在します。
☆☆ 危機管理と"縁"の制御 ☆☆
「縁起」の発想は、企業の危機管理にも通じます。
本田技研工業(株)元社長の久米是志氏は、危機管理には「因をなす要素の出
会い」の制御が大事だと説きます。
「クレームとか事故というものは『そんなことが起こるとは思わなかった』
というように当初の予測を超えたところで、いくつかの原因が出会い、
その縁起によって生起するものです。現在、危機管理ということがやかましく
言われていますが、危機を危機たらしめぬためには、ひとつには、その因を
なす要素の出会いを妨げることを考えなければならないといえます」
(同氏著『「無分別」のすすめ』より)。
一人ひとりの人も、その集合体である組織も、善悪両面の潜在力があります。
技術にも、取引にも、日の当たる面だけでなく、陰の面が存在することもまたあ
るでしょう。
それらをどう「開花」させるか、あるいは「封印」するか。縁を結ぶか、あるい
は悪縁を切るか。
そこに、危機管理の、ひいては経営の真髄があるのかもしれません。
…ただ、人知を超えたところで生成したり消滅したりするのも、「縁」の縁た
る所以です。だからこそ、人事を尽くして天命を待つ、ということになるので
しょう。
* *
今年一年、皆様がよきご縁に多々出会われますことを、心より祈念申し上げま
す。 (福島敏之)
ワンポイント講座 ……………男女雇用機会均等法編……………
均等法が改正されます--その3
前回に引き続き、均等法の改正内容を見ていきましょう。
平成19年4月に施行される男女雇用機会均等法の改正の柱として、性差別禁止
範囲の拡大の他、「妊娠等を理由とする不利益取扱いの禁止」、「セクシャルハ
ラスメント対策」があります。
〈妊娠等を理由とする不利益取扱いの禁止〉
現行法では、妊娠・出産・産休を理由とする解雇を禁止していました。
しかし、解雇以外にも、妊娠したことを理由として正社員からパート労働者への
身分変更を強要する等の不利益な取扱いに対する紛争も増加してきました。
改正法では妊娠・出産・産休その他省令で定める理由による解雇その他不利益取
扱いが禁止されます。
省令で定めるものとは、次のものです。
・均等法の母性健康管理措置(通院時間の確保等)
・労働基準法の母性保護措置(育児時間の請求等)
・妊娠又は出産に起因する能率低下や労働不能が生じたこと
(不利益な取扱いにあたる例)
・賞与又は退職金の支給額の算定に当たり、不就労期間や能率低下を考慮の対
象とする場合、同じ期間の休業や同程度能率低下した疾病等と比較して、妊娠等
による休業や能率低下について不利に取扱うこと。
・妊娠した女性労働者がその従事する職務において業務を遂行する能力がある
にもかかわらず、賃金その他の労働条件、通勤事情等が劣ることになる配置変更
等、通常の人事異動のルールからは十分に説明できないこと。
・妊娠した派遣労働者が、派遣契約に定められた役務の提供ができると認めら
れるにもかかわらず、派遣先が派遣元事業主に対し、派遣労働者の交替を求める
こと。 (石橋)
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◆ 編集後記◆
明けましておめでとうございます。
今年も、雇用・労働分野では法律の改正等が目白押しです。
4月から施行される男女雇用機会均等法の改正からはじまり、次期通常国会で
は「労働契約法(案)」、「労働時間法制(案)」、「パートタイム労働法改正
(案)」等が提出される予定です。
今や企業に求められるコンプライアンス(法令遵守)については、行政指導で
も会社の事情に関係なく厳しい姿勢で臨んでいます。
人事は"生き物"です。常に問題点を分析し、改善に取り組んでいただきたいと
願っています。
皆様のご健康とご活躍を祈念申し上げます。(白石)
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発行者 雇用システム研究所 代表 白石多賀子
東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル
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今週のメールマガジン第35号はいかがだったでしょうか?
お楽しみいただければ幸いです。本年もさらに内容充実していきたいと
思います。
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