リングを冒涜した若きボクサー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ☆雇用システム研究所メールマガジン☆ 第54号 2007/10/16 http://www.koyousystem.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
猛暑から11月初旬の気候に一足飛びに移り変わりました。 気温の格差が激しく、風邪を引いている人も増えてきています。 みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
雇用システム研究所メールマガジン第54号をお送りします。
リングを冒涜した若きボクサー ――失敗する権利と、反省する義務――
至上最年少チャンピオンの座に挑戦した18歳が大敗を喫し、そのうえ1年間の試合出場資格停止処分を下されました。
ボクシングWBCフライ級タイトルマッチ。試合前、倍近い年齢の世界チャンピオンを「ゴキブリ」呼ばわりし、「負けたら切腹する」と豪語していた挑戦者は、老練なチャンピオンの技術に翻弄され、最後は感情に溺れて前代未聞の反則「投げ技」まで披露して自滅。その試合ぶりが「世界戦のリングを冒涜した」と問題視され、JBC(日本ボクシングコミッション)から1年間の試合出場資格停止処分を下されたというものです。
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☆☆ 結果が出るかぎりは「ご意見無用」 ☆☆
対戦相手を罵倒するパフォーマンスは、これまでも物議を醸してきました。各方面から浴びせられる「品性を欠く」などの批判に対して、陣営が繰り返してきた反論はおおよそ以下のようなものです。
いつの世にもアンチな輩はいる。 強さに対するやっかみだ。 いやなら観ないでいただいて結構。 第一、試合を盛り上げて何が悪いのか。 俺らは世間の期待に応えるために身体を張っている。 あんたらに同じことができるのか――。
懸命に身体を張っているというプロセスと、勝ち続けるという結果、視聴率を稼いでいるという結果。これらが揃っている以上は「ご意見無用」ということでしょう。
しかし、このような超・成果主義ともいえる免責の枠組みは、しくじったが最後、世間の顰蹙や嘲笑を一身に浴びることとなってしまいます。「それがプロだ」といえばそれまでかもしれませんが、“成長”という観点からみた場合、どうなのでしょうか。
☆☆ 「人間は失敗する権利をもっている」 ☆☆
「人間は失敗する権利をもっている」 と語ったのは、ホンダの生みの親、故・本田宗一郎氏です。 「失敗を恐れて何もしないなんて人間は、最低なのである」
とまで言い切っています。チャレンジしなければ何も始まらない。その一歩を踏み出すことを抑制させてはならない。萎縮させてはならない、という信念から出た言葉です。
ひるがえって、かの若きボクサーには与えられていたのは、失敗すれば「世紀の晒し者」にされるという環境でした。「それがプロだ」といえばそれまでかもしれませんが、なんと愛のない、有害な成長環境でしょうか。
* *
人も成長することで、組織も成長する。ならば、組織は失敗を許す度量を持たなければなりません。そして、その失敗を次に生かさせるようにする。 本田宗一郎氏の「人間は…権利をもっている」の言葉には続きがあります。 「しかし失敗には反省という義務がついてくる」。
(福島敏之)
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編集後記◆ --------------------------------------------------------------------------
「東京(関東甲信越ブロック)仕事と生活の調和推進会議―建設業分科会―」に公益代表委員として出席したときに、労働者代表委員から「建築系の学生でも1割程度しかゼネコンを希望せず、技術社員の確保が厳しい。また、大学の土木工学科が“環境”等の名称になり消えつつある。」との発言がありました。
その理由は、建設産業=長時間労働という悪いイメージが影響して、大学は学生確保のために学科の改変を行い、親などが建設業へ就職に反対しているとのことです。
新卒の人材確保もバブル期を超え、既に大学3年生に対して求人活動が行われています。
長時間労働は、社員の生活が安定せず、また、社員の知識・技術能力の自己研鑽のためにも妨げになっています。今は、魅力ある職場環境を整備できないと社員が定着しない状況になってきました。
少子化に伴う労働力の減少や労働者の意識の多様化等の問題が顕著になってきた今日、人材確保は企業の悩みの種です。
男女共同参画会議・仕事と生活の調和に関する専門調査会は、「ワーク・ライフ・バランスは、経営戦略の重要な柱『明日への投資』」として位置付けています。 (白石)
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