人事・労務に関する御相談は信頼と実績の雇用システム研究所

社会保険・労働保険の御相談は信頼と実績の雇用システム研究所

雇用システム研究所 トップページ雇用システム研究所 個人情報保護方針雇用システム研究所 メールマガジン雇用システム研究所 お問い合わせ
雇用システム研究所 >> メールマガジン >> 「もったいない」(MOTTAINAI)と法令遵守

「もったいない」(MOTTAINAI)と法令遵守

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
        ☆雇用システム研究所メールマガジン☆
                                 第57号
                               2007/12/01
          http://www.koyousystem.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

いよいよ師走となり、慌ただしさを感じます。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

雇用システム研究所メールマガジン第57号をお送りします。  

---------------------------------------------------------------
□ 目次

「もったいない」(MOTTAINAI)と法令遵守

◆ 賞味期限切れ商品を売ること自体は違法ではない

◆ 賞味期限にシビアな消費者の目、それならいっそのこと…

◆ 安全性と「もったいない」の両立は…?

  (以上執筆者 福島敏之)

★ピックアップ★
 障害者雇用が着実に進展も、中小企業は今一歩 〜 厚生労働省が法改正へ 〜
  (以上執筆者 津山勝四郎)

[編集後記]
  (編集長 白石多賀子)
---------------------------------------------------------------

「もったいない」(MOTTAINAI)と法令遵守

 今年の流行語大賞のトップ10に入った語、「食品偽装」。日本最大のファストフードチェーンでも、商品の調理日時のラベル張り替えや、賞味期限切れの原料使用が行われていたことが発覚しました。手を下したフランチャイズ企業の社員は「(廃棄するのが)もったいないと思った」と話しているとのことです。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
    


■■■ 賞味期限切れ商品を売ること自体は違法ではない ■■■

 「もったいない」(MOTTAINAI)といえば、ノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさん(ケニア環境副大臣)が、その言葉の理念に感銘を受け、日本語のまま世界中に広めようとしている言葉です。確かに、期限切れ食品を当然のごとくに廃棄処分に回すという慣行は、冷静に考えれば「もったいない」ものでしょう。

 ちなみに、賞味期限とは、「定められた方法により保存した場合において、期待される品質の保持が十分に可能であると認められる期限」のことです。それを過ぎたら売ってはいけないというしろものではありません。厚生労働省・農林水産省の見解は「期限を過ぎたからといって直ちに食品衛生上問題が生じるものではないが、期限内に消費されるよう販売することが望まれる」(*)というもので、一種努力目標的な位置づけです。
(*=厚生労働省・農林水産省『加工食品の表示に関する共通Q&A』
                            平成15年9月)


■■■ 賞味期限にシビアな消費者の目、それならいっそのこと… ■■■

 ただし、消費者に受け容れられるかというと、これは別問題。心情的に「もったいない…」と思っても、現実として売れないとわかっている商品を陳列するのは合理的ではありません。さらには、期限切れ商品ばかりが並んでいるとの評判が立ってしまうと、商売全体に支障が出ることも考えられます。

 そこで、「ならいっそのこと、売れ残り品の賞味期限を張り替えて陳列し直せばいいじゃないか…」という一策が浮かぶのかもしれません。しかし、期限延長しても品質・安全性が保証できるという科学的根拠を示せなければ、“違法”の領域に足を踏み入れることになります。「公衆衛生に危害を及ぼす恐れがある」とみなされればアウトです。
 消費者に根拠なき偽の情報をつかませて、安全でない食品を購買せしめたという問題です。


■■■ 安全性と「もったいない」の両立は…? ■■■

 捨てることに「もったいなさ」を感じるのは、それはそれで正常な感性だと思います。そのうえコスト削減の圧力が強くかかれば、実害の出ない範囲で…というラベル張替えへの誘引ともなりうるでしょう。
 しかし、状況的にいかほど酌量の余地があるにせよ、“偽装”という事実は、《消費者を欺いて利益を上積みしようというあざとい算段》との受け止められ方をしてしまいます。

 冒頭のファストフードチェーンは、ラベル張替えを行ったフランチャイズ企業との契約を即座に解除しました。

   *     *

 世論や消費行動と、法と、働く現場。それぞれ微妙にずれて問題が増幅しているかのようです。福田首相は「まだ食べられるものでも、賞味期限を過ぎると捨てられる。ここを変えれば『もったいない』の精神を広げることにつながる」とコメントしています。
 確かに、消費者の安全性への希求と「もったいない」(MOTTAINAI)の両立は、企業の側・働く現場だけでは解決困難です。局面を打開するためには、単純な法令遵守だけでなく、社会全体での取り組みが必要であるということの、いい例と言えるでしょう。                                       (福島敏之)



★ピックアップ★-------------------------------------------------------

障害者雇用が着実に進展も、中小企業は今一歩
 〜 厚生労働省が法改正へ 〜
-----------------------------------------------------------------------

 厚生労働省がこのほど発表した平成19年6月1日現在の民間企業(56人以上規模の企業)の障害者の雇用状況調査によると、雇用されている障害者数は302,716人で、前年より6.7%(約19,000人)増加し、実雇用率は1.55%と前年を0.03ポイント上昇したものの、法定雇用率(1.8%)を
達成した企業の割合は、未だ43.8%(前年43.4%)であった。なお、雇用者の内訳は、身体障害者251,165人、知的障害者47,818人、精神障害者3,733人であった。

 「景気回復」(厚生労働省)が寄与し、障害者雇用状況は順調に良化しているが、課題は規模別格差である。規模別の実雇用率をみると、1,000人以上規模企業(1.74%)、500〜999人規模企業(1.57%)は全体平均を上回っているが、300〜499人規模企業(1.49%)、56〜99人規模企業(1.43%)、100〜299人規模企業(1.30%)とバラツキがみられる。ただし、1,000人以上規模企業も実雇用率こそ高い水準ではあるが、法定雇用率達成企業の割合は全体平均の43.8%に対し、40.1%と企業規模別では最も低い数値となっている。

 厚生労働省では中小企業における障害者の雇用状況の低下の要因について、中小企業における障害者雇用に関する意識の低さのほか、産業構造が変化する中で、中小企業全体の実雇用率を引き上げていた製造業の実雇用率の低下と、中小企業における製造業そのものの占める割合の低下、の2要因をあげるとともに、医療・福祉を除いた非製造業の割合の増加が、実雇用率上昇に結びつかなかったことも大きな要因と分析している。

 同省は、民間企業については新しい指導基準(雇入れ計画作成命令の対象範囲の拡大)に基づき雇用率達成指導を強化しているが、現行法では限界があるとして、障害者雇用促進法の改正を来春からの通常国会で見直す。

 見直しの方向は、先ず短時間労働への対応で、週所定労働時間20時間以上30時間未満の短時間労働を雇用義務の対象とする労働者数に加え、短時間労働の障害者も加え、雇用率算定に当たってそれぞれ0.5カウントとする。ここで重度以外の身体障害者及び知的障害者も加える。

 第2は派遣労働者への対応で、障害者の派遣労働に関しても、派遣元又派遣先が配慮すべき事項を明確にすることや支援を行うとともに、派遣労働に対する障害者雇用率制度の適用についても検討しているが、この改正は周知のように国会がいわゆるネジレ現象となり、「動きがとれない」(厚生労働省)状態で派遣法そのものの改正の目途が立っていないことから、現在は調整中と言える。

 課題の中小企業対策については、雇用支援策の強化、特に納付金制度に基づく助成金の中小企業への重点化、中小企業が共同で障害者を雇用した場合の雇用率制度の適用、現在は猶予されている障害者雇用納付金(現行300人未満)制度が経済的不均衡を生んでいることを解消するための規模条件の緩和(当面は比較的規模の大きい中小企業)、業績ごとに設定されている除外率の引き下げ、などが法改正の骨格になる。

 国会は次の衆議院総選挙の結果にもよるが、今後少なくとも6年間は衆参の与野党ネジレ現象の結果、政府提案の全ての法律改正事項は与野党共、すなわち労使共に賛成する法案でなければ提出しても成立の目途が立たず、中央省庁は休眠状態にある。厚生労働省関係では、給付削減や負担増を伴う社会保障関係の法律改正は事実上できない状況の中で、障害者対策、仕事と家庭の両立を核とした少子化対策、そして国民の健康確保、といった施策は順風と言える。
                                                           (津山勝四郎)


--------------------------------------------------------------------------
◆ 編集後記◆  
--------------------------------------------------------------------------

今年も師走を迎え、残すところ1カ月を切りました。
 暖冬と言われていたのが、予想に反して寒い冬になるとのこと。加えて灯油等の値上がりで寒冷地の人々には一層の厳しく寒い冬になりそうです。
 皆さんにとりまして、今年はどんな一年でしょうか。
 法律改正、働く労働者の意識の多様化、情報の過多で雇用環境も激変しています。企業に求められている労働環境の整備のための一助にしていただければと、今月から月1回、労働法令等の情報を提供していきますので、労働環境の整備計画にご活用ください。

インフルエンザの流行が例年より早まっているそうです。くれぐれもご自愛ください。(白石)


------------- ☆  ☆  ☆ --------------
発行者    雇用システム研究所 代表 白石多賀子
     東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル   
     アドレス:info@koyousystem.jp



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  今週のメールマガジン第57号はいかがだったでしょうか?

   お楽しみいただければ幸いです。今後もさらに内容充実していきたいと思います。
  ご感想は info@koyousystem.jp にお願いします。
  「こんな記事が読みたい!」というリクエストも、遠慮なくどうぞ。
  次回の配信は12月中旬頃情報を送らせて頂きます。


               e-mail: info@koyousystem.jp
 [過去のメルマガ随時更新] http://www.koyousystem.jp

 ----------------------------------------------------------------------
  
  メールマガジンの配信が不要な方は、お手数ですが、
  こちら http://www.koyousystem.jp/mail_magazine.html から配信停止を行って下さい。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
・『雇用システム研究所メールマガジン』に掲載された情報を許可なく転載することを禁じます。


雇用システム研究所 事業案内
雇用システム研究所 組織づくり
雇用システム研究所 人事制度
雇用システム研究所 教育・研修
雇用システム研究所 メンタルヘルス
雇用システム研究所 お客様向けサービス
雇用システム研究所 個人情報保護方針
雇用システム研究所 お問い合わせ
雇用システム研究所 事務所所在地




Copyright(c) 1998-2015 KOYOU SYSTEM Co.,Ltd. All rights reserved.