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3段階の階層化、リスクに応じた指導

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         ☆雇用システム研究所メールマガジン☆
                                 第66号
                               2008/05/01
           http://www.koyousystem.jp
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  吹く風もいちだんと心地よい季節となりました。
  皆様、いかがお過ごしでしょうか。

  雇用システム研究所メールマガジン第66号をお送りします。  

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  □ 目次

  ■ シリーズ:今春からの生活習慣病対策、企業はどう向き合う?
  -----4 3段階の階層化、リスクに応じた指導
      (特定保健指導 その1)

  ■3グループに階層分け
  ■階層ごとの保健指導
  ■就業時間中に保健指導を受けた場合の賃金は?

                    (以上執筆者 福島敏之)

  ■メーデーで「連合」高木会長が異例発言
  ■地方労働局の存在意義は大

                  (以上執筆者 津山 勝四郎)

  ■[編集後記](編集長 白石多賀子)

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  シリーズ:今春からの生活習慣病対策、企業はどう向き合う?
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  4 3段階の階層化、リスクに応じた指導  (特定保健指導 その1)

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   前回・前々回は「特定健診」について述べました。今回は、そのあとどうするか、の話です。
  おさらいですが、特定健診は、一人ひとりの生活習慣病の発症リスクの段階に応じて効果的に保健指導を提供するため、心身状況や生活習慣状況をチェッ
 クするもの----です。結果が出たら、今度はそれをもとに生活習慣病のリスクの程度が判定され、一人ひとりの状態に見合った“指導”が開始されます(これを「特定保健指導」といいます)。

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 ■■■ 3グループに階層分け ■■■
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  これまで申しましたとおり、特定健診・特定保健指導は「メタボリックシンドローム」に着目したものです。なので、リスクの程度は、要治療者を除いて、

 (1)メタボ該当者
 (2)メタボ予備群対象者
 (3)メタボ・メタボ予備群非該当者
    ----の3グループに大きく階層分けされます。

  男性で腹囲が85cm以上、女性で同90cm以上の人については、下枠の基準のうち2つ以上該当していれば「(1)メタボ該当者」、1つ該当していれば「(2)メタボ予備群対象者」となります。

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  □血糖値が「空腹時血糖値100mg/dl以上またはHbA1cが5.2%以上」
  □脂質が 「中性脂肪150mg/dl以上またはHDLコレステロール40mg/dl未満」
  □血圧が「収縮期血圧130mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上」  
  □喫煙歴「あり」
  (喫煙歴は血糖値・脂質・血圧のどれか一つ当てはまる場合にカウント)  
└───────────────────────────────────┘

  腹囲が男性85cm未満、女性90cm未満であっても、BMI(※)が25以上の人については、上枠の基準のうち3つ以上該当していれば「(1)メタボ該当者」、2つ該当していれば「(2)メタボ予備群対象者」となります。

  以上で、(1)にも(2)にも該当しなかった人は「(3)メタボ・メタボ予備群非該当者」です。


 ※BMIとは「体重(kg)÷身長(m)の2乗」で算出する肥満度のことで、「22」が標準体重とされます。



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 ■■■ 階層ごとの保健指導 ■■■
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  以上の結果が、健診受診後1〜3か月くらいして受診者に届けられます。
  (1)メタボ該当者、(2)メタボ予備群対象者、(3)メタボ・メタボ予備群非該当者のすべての人に対して、パンフレット等を通じた情報提供がなされ、そのうえで、(1)(2)に該当する人には追加的な指導があります。

 (1)のメタボ該当者には、「積極的支援」という名の指導がとられます。個々人の生活実態に合わせた「行動計画」を立てたうえで、医師・保健師・管理栄養士ら専門家から3ヶ月以上、個別面接やグループワーク電話・Eメールを通じて、計画が実践されているかの確認や、アドバイスや、励ましが定期的・継続的になされます。
 (2)のメタボ予備群対象者には、「動機づけ支援」という名の指導がとられます。
 こちらもやはり「行動計画」を立てますが、積極的支援ほどの介入はなく、個別面接やグループワークを1回実施し、目標達成への動機を喚起する指導がなされます。
  いずれも、6か月後に行動計画での目標が達成されたかどうか、検証がなされます。

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 ■■■ 就業時間中に保健指導を受けた場合の賃金は? ■■■
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  「積極的支援」と「動機づけ支援」は、いずれも、個別面接もしくはグループワークを1回は受けなければなりません。なので、それが休日や夜間等に実施されるものでないならば、メタボ該当者もしくはメタボ予備群対象者は、最低でも1回、就業時間中に職場を抜けて会場に足を運ばなければならないことになります。

  その際の賃金はどうすればいいのでしょうか?

  これについては、平成20年1月17日付けの労働基準局長・保健局長連名の通知に、以下のように記されています。

┌───────────────────────────────────┐

  3.特定保健指導について

 (1)就業時間中における特定保健指導の実施等について特定保健指導は、医療保険者にその実施義務を課し、労働者個人の意思により利用されるものであって、業務遂行との関連において行われるものではないことから、その受診に要した時間の賃金を事業者が負担する義務を負うものではない。
    しかしながら、特定保健指導等を受けるための機会の拡充や実施率の向上は、労働者の健康の保持・増進につながることから、事業者におかれては、就業時間中の受診に要した時間の賃金等の取扱いについて特段の御配慮をいただき、協力できるか御検討願いたい。
    (基発第0117001号・保発第0117003号)

└───────────────────────────────────┘

  事業主に賃金支払いの義務はない。けれど、そのへんは「配慮」するよう 
 に、との“お達し”ですね…。               (福島敏之)

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 ■■■ メーデーで「連合」高木会長が異例発言 ■■■
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  長野の聖火リレーが日本中でテレビ中継されていた4月26日の午前11時から、日本労働組合総連合会(連合)が第79回メーデー中央大会を開催したことは、その日の夕刊も殆ど聖火リレーの報道に紙面がさかれたため、小さなベタ記事扱いとなった。
  ちなみに、連合はメーデーをメーデーでなく4月最終土曜日に開催し、組合員の出席に便宜を図って数年経たが、メーデーはあくまでもメーデーにやるべき、という意見は今の若手労働組合員には通用しないのかも知れない。

  今年のメーデーのテーマは「非正規問題と格差社会是正」で、午後からは連合として初めての「非正規労働メーデー」を開催し、連合の高木会長と作家の雨宮処凛さんがトークセッションを行い、流行のザ・ニュースペーパーのコントもあった。

  舛添厚労相、民主、社民、国民新党、東京都副知事の来賓も例年通りだが、高木会長があいさつの中で、メーデーとしては異例のあいさつを行った。
 固有の社名を出して経営者を批判したのである。言葉を再現する。

 
  「ワーク・ライフ・バランスへの道は遠いと言わざるを得ない。
 4月23日、日本電産の社長が『休みたいならやめればよい』との趣旨の発言をしたと伝えられ、この会社の時間外・休日労働の実態を調べてみたいと思うが、『社員全員が休日返上で働く会社だから成長できる』と発言するなど、まさに言語道断(語調強く)、労働基準法という法律が雇用主に何を求めていると思っているのか、問い糺してみたい」

  会社四季報によると、日本電産は京都府に本社を置く東京・大阪一部上場企業で精密モータの有力企業。社員数は1524人、売上げ8000億円(09.3予定)、利引き利益510億円の優良企業。社長は永守重信氏で同社の発行株式の8.2%を所有する筆頭株主で、会社四季報にも「永守色強烈」という、およそ会社四季報らしくない表現。典型的なワンマン・オーナー経営
 者と予測でき、同社の幹部は常に首筋を寒くして勤務しているのだろう。
  上場企業で未だこれだけの企業が存在し、順調な経営であることは驚きでもある。

  高木会長のあいさつを壇上で聞いていた舛添厚労相は自分のあいさつの中で「日本電産の件は至急担当部局に調査させ、問題があれば直ちに行政処分を行う」の発言したのはメーデーへのご祝儀だけではなかろう。


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 ■■■ 地方労働局の存在意義は大 ■■■
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  この問題はメーデーに出席していた労働政策担当統括官から大臣官房地方課長を経て、京都労働局に調査が命じられるだろう。

 本題に入いる。

  厚生労働省大臣官房は、今年の全国労働局長会議を前に、全労働局長に自局の運営方針をどう考えるかの労働局長自らのレポートを提出させ、そのレポートを全労働局長に回覧できるようにし、尚かつ、厚生労働審議官と大臣官房長が全労働局長一人ずつ面接を行うという、初めての試みを実行した。地方労働局の存在意義の再確認と、労働局長自身の意識改革である。厚生労働省本省に
 おいて、どれだけの法律改正、新政策展開を行っても、実行する地方機関に緊張感がなければ本省の目論見が画餅に終わる可能性が大きく、地方労働局長という存在は、おそらく各自が意識しているよりも大きい。厚生労働省は今年度を地方労働局の基盤を更に強固にする年度と位置づけている。

  法令を遵守しない企業の監督・指導を行うのは地方労働局の労働基準部(主に監督官)だが、過去の例から、労働局長の腹一つで強くも弱くもなる。
 労働行政の基本方針は公労使で構成される労働政策審議会の議論から始まる。
 厚生行政と根本的に違うのは、そこに関係団体の圧力(診療報酬の支払側、受給側となる自治体、医師会、健保保険者、そしていわゆる厚生族議員)が強くなく、学識、労働側、経営側の 3者しかないことにある。地方労働局長、本省職員などの行政は、原則中立であるだろうが、労働行政に限って言えば、6対4とまでいかなくも、せめて5.5対4.5の立場で労働側の意見を傾聴する姿勢が必要だろう。

  また、その考え方が出来ない労働行政官は他省庁に移った方がよい。

 メーデーでの一コマから、厚生労働省の地方出先機関である地方労働局の強い意識による行政展開、そしてそれを行えるのは他ならぬ労働局長という人材、であることを新ためて認識したい。           (津山 勝四郎)


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◆ 編集後記◆  
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  昨年4月に「年金分割制度」がスタートしました。

 昨年スタートから年末までに、全国の家庭裁判所への申し立ては8,322件で、1カ月に平均800から1,000件で推移し、制度開始前にマスコミ等で盛んに話題となっていた「熟年離婚の急増」は予想されたほどではなく、特に注目されていた60代においても15%にとどまったとのことです。

 私も何件か相談を受けましたが、夫婦仲がよいと思っていた知り合いのときショックを受けました。
 夫婦間の問題は、他人にはわからない悩みが多いのは確かですね。
 老後の生活資金は年金が中心となりますので、離婚した後の生活はかなり厳しいです。

 他に資産があれば別ですが、夫の厚生年金の報酬比例部分の最大半額と自分の老齢基礎年金だけでは生活は厳しく、離婚した夫婦は共倒れになってしまいます。
 多分、年金相談で離婚した場合に受け取れる年金額を聞いて多くの方ががっかりされ、今までの我慢の上に更に苦渋の選択をされた方もいるのではないでしょうか。

  同じ屋根の下にあっても、ご自分の気持ちの持ち方次第で変えられる部分があるのではないでしょうか。ご自分が楽しめる時間や空間を自らの気働きによって整えていくことができればいいですね。

  これは、仕事に取り組む姿勢でも言えることですね。      (白石)


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 発行者  雇用システム研究所 代表 白石多賀子
     東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル   
     アドレス:info@koyousystem.jp

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