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従業員の働きがいと意識改革(番外編)

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┃\/┃    ☆雇用システム研究所メールマガジン☆
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                               2009/11/01
           http://www.koyousystem.jp
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  いよいよ11月、日毎に寒気加わる時節となりました。
  皆様、いかがお過ごしでしょうか。

  雇用システム研究所メールマガジン第91号をお送りします。  

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  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

  ◆従業員の働きがいと意識改革(番外編)
     〜社員は雇用調整をどう感じているか〜

  ■60%が雇用調整実施中ないし可能性があると回答
  ■経営者の辞任もしくは経営責任を明確にすべきが圧倒的多数
  ■雇用調整がもたらすモチベーションの低下
  ■社員の不安を除去する対策が不可欠
                   (以上執筆者 溝上 憲文)


  ◆動き出した労働者派遣の見直し

  ■冒頭から閉話休題―。
  ■審議会での公益委員の立場
  ■難しい意見の一致
             (以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)

  ■[編集後記]               (編集長 白石多賀子)

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◆従業員の働きがいと意識改革(番外編)〜社員は雇用調整をどう感じているか〜


 景気は最悪期を脱しつつあるが、雇用情勢は依然として深刻さを増している。
4月に5.0%に達した失業率5%台後半まで悪化し、戦後最悪の水準に達し、完全失業者数も過去最多の03年4月の385万人に迫る勢いで推移している。その最大の要因はいうまでもなく、企業の雇用調整である。

 雇用不安が広がる中で多くのサラリーマンは雇用調整にどのように向き合おうとしているのか。ビジネス誌でアンケート調査を行う機会に恵まれた。対象者は1000人の会社員である。

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 ■■■ 60%が雇用調整実施中ないし可能性があると回答 ■■■ 
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 アンケート実施は6月であるが、注目すべきは雇用調整実施企業の多さである。
リーマン破綻以降の昨年後半から今年にかけて自分の会社で雇用調整を実施、
もしくは実施中と回答した人は20.6%。
今後実施する予定であると回答した人は9.6%、
今後実施する可能性があると答えた人はじつに45.6%。
合計60%以上の人が自社での雇用調整の予定・可能性があると回答した。

 その中には現時点ですでに始まっている企業もあるかもしれない。あるいは国の雇用調整助成金の支給を受けながらなんとか踏みとどまっている企業も多いだろう。すでに9月段階で支給対象者は250万人を超えており、支給期限を迎える来年2月以降、人員削減に踏み切る企業が増加する可能性もある。

 雇用調整の是非についても聞いた。会社の業績が悪化した場合の雇用調整について
「やるべきである」が11.2%、
「積極的には賛成しないが、しかたがないと思う」が34.7%。
消極的ながらも雇用調整に理解を示す人は45.9%も存在した。

これに対し「絶対に避けるべきである」が12.7%、
「できる限り避けるべきである」が41.3%。
雇用調整否定派が54%を占めた。

 ただし、世代間では温度差がある。20代は雇用調整容認派が56.4%と過半数を超えるのに対し、逆に50代は否定派が約65%を占め、年齢が高いほど否定派が増えている。雇用調整の対象者が比較的40代以降に多いこともあり、危機感が人一倍強いことの表れと見ることもできる。



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 ■■■ 経営者の辞任もしくは経営責任を明確にすべきが圧倒的多数 ■■■ 
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 しかし、雇用調整には比較的寛容でも、実施した場合の経営責任の取り方については厳しい結果となった。

 かつて「社員の首を切る経営者は腹を切れ」という名文句を吐いた経営者がいた。
これについて
(1)「その通り。経営者は潔く辞任すべきである」、
(2)「そう思わない。経営再建に尽くしてほしい」、
(3)「辞任まではしなくとも、責任は明確にすべき」
    ――の3つから選んでもらった。

結果は(1)37%、(2)24.4%、(3)37.8%であり、辞任ないしは責任を明確にすべきという経営者の責任を厳しく問う声が圧倒的多数を占めた。

 世代別に見ると、20代は「辞任すべき」が28%であるのに対し、
「辞任はしなくとも責任は明確にすべき」が42%と比較的経営者に寛容だ。
しかし、中堅層の40代は「辞任すべき」が45.7%とほぼ半数を占める。
雇用調整はしかたがないにしても、やる以上は「経営者の首を差し出せ」という厳しい姿勢をのぞかせている。



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 ■■■ 雇用調整がもたらすモチベーションの低下 ■■■ 
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 また、雇用調整は社内にどんな変化をもたらすかについても聞いた(複数回答)。
実施直後に発生した最も大きな変化は
「仕事に対するモチベーションが下がった」(41.5%)であり、
続いて「仕事の負担が増えた」(38.9%)、
「会社や経営陣に対する信頼感を失った」(35.1%)、
「優秀と目される人が転職した」(30.1%)の順であった。

 いうまでもなく社員のモチベーションや会社への信頼感は成長の原動力である。いったん下がったモチベーションや会社に対する信頼感を回復するのは容易ではない。結果からもわかるように雇用調整は想像以上に経営に手痛いダメージを与えることを示している。

 長期的ビジョンなしにコスト削減目的で安易に雇用調整に踏み切る経営者はこの数字を直視するべきだろう。仮にリストラにより経営効率が一時的によくなったとしても、成長軌道に乗る保証はなく、逆にリストラが成長を疎外する要因にもなりかねな
い。


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 ■■■ 社員の不安を除去する対策が不可欠 ■■■ 
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 自分自身が雇用調整の対象にされる可能性についても聞いた。驚いたことに、標的にされる不安が「かなりある」「多少ある」と回答した人は46.3%に上った。
世代別に見ると20代は37%であるが、40代は約55.9%、50代は53.3%と過半数を超える人が不安を抱えていた。2人に1人が会社に退職を迫られる不安を感じているという現実は尋常ではないだろう。

 もちろんリストラを全否定するつもりはない。やむにやまれぬぎりぎりの選択肢として踏み切らざるをえない場合もあるだろう。しかし、調査結果に表れているように相当のリスクを覚悟すべきである。

 雇用調整に対する社員の不安が大きい。実施する気がないなら「クビは切らない」と宣言すれば安心感を与える。逆に実施する場合は、いたずらに引き延ばすことなく迅速な実施が望ましい。その場合、残った社員の不安や不満を極力和らげるためには、退職者に対する丁寧なフォローは不可欠である。

 大手再就職支援会社の役員は「計画数のノルマ達成のみにとらわれ、安易な削減を強行すれば、社員の恨みを買うだけではなく、仕事のしわ寄せを受ける残された社員にも不安感を与える。経営トップ自ら、これまでの労苦を謝する誠心誠意の姿勢を示し、社員の納得を得る努力を行うと同時に、退職者の再就職決定までできる限りのフォローすることが大事だ」と指摘する。けだし至言だろう。

                               (溝上 憲文)


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◆ 動き出した労働者派遣の見直し
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 ■■■ 冒頭から閉話休題―。 ■■■ 
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 民主党政権の厚労相に就任した長妻大臣のことを「ミスター検討中」と揶揄する人たちがいる。社会保障制度の改革は単に「コンクリートから人へ」という単純な話に終わらないから仕様のない面がある。結論が右往左往する他の閣僚より良しとすべきだろう。

長妻大臣本人も、「すぐに結論が出せるものがあるが、じっくりと制度改革を考えなければならないこともある。同じ制度が1回変われば少なくとも数十年以上続くとすれば、失敗は許されず、特に社会保障分野では段階を踏む必要がある」とコメントしている。

 さて、その厚生労働省が次期通常国会での審議の目玉としている法改正に労働者派遣法の見直しがあり、現在、労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会での議論が進められている。



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 ■■■ 審議会での公益委員の立場 ■■■ 
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 その労働政策審議会であるが、公益・労働・使用者の3者構成であるとはいえ、時の政権の意向により事務局である官庁の動きが大きく左右されることは、最終的には国会での成立を意図するものである以上、ある程度は仕様がない。つまり、前自民党政権下での公益代表は、やや経営側に寄りつくことになり、時によっては、事務局がその方向で根回しさえ行う。

 民主党政権は、もともと審議会での審議に頼らず、いわゆる“政治主導”での方向を打ち出していることは、例えば、過去に国家予算編成に大きな影響を与えた財務相の諮問機関である財政制度等審議会が1度も開かれていないことからも明らかだ。

 そこで労働政策審議会であるが、労働者派遣制度の見直しを行う労働力需給制度部会の部会長は公益代表の清家篤慶應義塾長、その上部組織となっている職業安定分科会の

分科会長は大橋勇雄中央大学大学院戦略経営研究科教授、さらにその上部組織である労働政策審議会の会長は諏訪康雄法政大学大学院政策創造研究科教授で、労働側に連合事務局長、使用者側に日本経団連常務理事などの3者構成となっている。

 ところが、労働政策審議会の公益委員は前政権時代に選任された委員で、果たして
民主党の政策と合致した結論を出すのか、という問題が派生する。特に今回の労働者
派遣制度の見直しは、1度廃棄になったとはいえ、この審議会に諮問され、答申を受
けた政府案が昨年提出され、一方、当時の野党3党(民主・社民・国民)が共同提出
した法案とは大幅に改正内容が異なる法案であったという現実がある。

 この点に関し、長妻厚労相は10月27日の閣議後の会見で、

 「審議会の委員を任期途中で差し替えることは考えていない。ただ、審議会では議題設定も一つの大きいテーマで、その議題設定が一定の方向で予め決まっていれば、その方向の議論になってしまうのは今までもあったわけで、その議題設定を鳩山内閣の政策に沿ったような判断をしていただき、議題設定についての疑義の議論もしていくなかで、政権にとって進めなければならない政策について意見を聞くという工夫ができるのではと考えている。」

 という含蓄のあるコメントを述べている。
つまり、これまでの自民党政権においても、
公益代表や事務局が一定の方向を持って審議会を運営してきた事実を示唆している。


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 ■■■ 難しい意見の一致 ■■■ 
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 そこで審議に入った見直しの内容である。再開された労働政策審議会の職業安定分科会では、冒頭から公益代表と使用者側委員が、いわゆる前国会に提出された3党合意案に、規制強化につながるとして強い懸念を示した。

 使用者側委員は、「モラルの無い派遣切りなどの防止は必要だが、製造業派遣を原則禁止するのは行き過ぎで、商品サイクルの短縮化や季節的商品の生産などへの対応は、派遣労働者の活用は欠かせない」との意見を述べ、公益代表も、「登録型派遣を専門業務に限るのは、憲法上の職業選択の自由や、ILO条約にもふれるのではない」と反論して、今後の労働力需給制度部会での審議に委ねている。

 そして10月27日に開かれた部会では、事務局から、平成20年政府提出の法律案における措置と、追加事項としての論点メモが提出された。

(1) 登録型派遣は原則禁止すべきか。その場合、禁止の例外をどうすべきか。

(2) 製造業派遣を原則禁止すべきか。その場合の禁止の例外をどうすべきか。 
    また、派遣切りに対応して、安定雇用をどう実現すべきか。

(3) 日雇い派遣の禁止の対象となる雇用期間は30日以内か、2か月以内か。


その他、専ら派遣の問題、均等(均衡)待遇、情報公開、派遣先責任、違法派遣への対処、罰則などを論点としてあげている。

 いうまでもなく、労使代表の意見の一致はありえないことから、公益代表、事務局が民主党政権の意向に沿って、審議会の議論をどのようにリードしていくかにつきる。

 審議会における3論併記を経て、事務局が長妻厚労相の下で、どのような改正法律案要綱を作成するのか。まさに、現政権と官庁の関係が、県の軽重として問われてい
る。                            (津山 勝四郎)



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編┃集┃後┃記┃
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 10月30日発表の9月の完全失業率は5.3%と前月比で0.2ポイント改善され、全国消費者物価指数は100.2となり前年同月比で2.3%低下しました。

最近、お話しをした経営者達は、リーマン・ショック後の世界同時不況の影響は、月を追うごとに厳しくなり、景気回復の先行きに不安視されていました。

 先日、寺島実郎氏による「激動する日本経済の行方を考える」講演は、景気回復・政権交代による今後の日本経済情報を得たいと思う企業関係者達で会場が満員でした。

寺島氏によると、
「日本のポテンシャルたる技術と産業力への自覚」の例えとして、
「今の日本は、生ける美しい花が沢山あっても、剣山がないため寝たままである。これからは剣山が必要」
と、剣山の役目ができるリーダーで日本創生への明るいシナリオを述べられていました。

また、“相関”と“相乗効果”で物事を捉える重要性も力説されていました。
                                 (白石)


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 発行者  雇用システム研究所 代表 白石多賀子
     東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル   
     アドレス:info@koyousystem.jp

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