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従業員の働きがいと意識改革(番外編)

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┃\/┃    ☆雇用システム研究所メールマガジン☆
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                               2010/02/01
           http://www.koyousystem.jp
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  立春とは申しますが、まだ寒さ厳しき日が続いております。
  皆様、いかがお過ごしでしょうか。

  雇用システム研究所メールマガジン第94号をお送りします。  

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  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

  ◆従業員の働きがいと意識改革(8)〜パナソニック電工〜

  ■労使一体となった定時退社促進運動
  ■重要度の低い仕事を減らし、高い仕事を改善
  ■効率化案件は6200件、1人年間50時間の削減に成功
                       (以上執筆者 溝上 憲文)

  ◆平成22年度予算案が審議入り

  ■社会保障関係費は青天井で拡大
  ■今国会に9本の改正法案を提出
            (以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)



  ■[編集後記]               (編集長 白石多賀子)

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◆従業員の働きがいと意識改革(8)〜パナソニック電工〜


 コスト削減やワークライフバランスの観点から、残業時間を含む労働時間の削減に取り組む企業が増えている。ただし、ノー残業デイを設定し、全館消灯時間を早めるなど杓子定規に実施すれば、“持ち帰り残業”や“早朝出勤”が増えるだけである。

 仕事量や仕事のやり方を変えなければ、家庭と仕事の両立どころか社員を疲弊させてしまうことにもなりかねない。労働時間を削減するには、職場風土の転換や能力を発揮できる環境整備など根本的な対策を講じる必要がある。

 たとえば「物を作る前に人をつくる」といった創業以来の人材重視の伝統を受け継ぐパナソニツク電工は、
“仕事の質”の転換を促す大胆な取り組みを実践している。

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 ■■■ 労使一体となった定時退社促進運動 ■■■ 
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 その1つが労使で取り組む「労使JIKAN取組み」である。
同社の総実労働時間は2002年以降、年々増え続け、06年は1983時間となり、07年度は2000時間を超えるのは必至と見られていた。

 これではいけないという労使の共通認識のもと、07年10月から労使による時短に着手した。

主に
@定時退社日の推進、
A年休取得の推進、
B過重労働防止(深夜勤務・休日出勤削減)――の3つに徹底して取り組んだ。

 定時退社日の推進では、毎月18日を組合の日と25日の給料日を全従業員(役職者、派遣社員を含む)を対象にした定時退社日に設定。各事業所では定時退社日の出社時に定時退社を促す看板を立て、労使の代表が社員に呼びかけるなど積極的なPR活動を展開した。その結果、07年度の総実労働時間を10時間削減することに成功した。

 09年度からは定時退社日を毎週水曜日に設定。同時に深夜残業の必要の有無を厳格にチェックし、上司による十分な説明を義務づけている。


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 ■■■ 重要度の低い仕事を減らし、高い仕事を改善 ■■■ 
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 もちろん、社員に働きかけるだけでは十分ではない。08年4月からは仕事のムダを排除し、業務の効率化を目指した「シゴトダイエットプロジェクト」を始めた。これは単に仕事量を減量するというメタボ体質の転換ではなく、筋肉質に変えようというものだ。

 具体的には、現状の仕事を点検し、重要度の低い仕事を減らして重要度の高い仕事に集中し、さらに改善が必要な仕事を効率化(標準化)する。それによって年間1人当たり50時間を減らそうという取り組みだ。新たに生まれた50時間のうち半分の25時間は忙しくて手が回らなかった新規事業など自分のテーマに振り向け、残りの25時間は自己啓発活動や家族と過ごすなど自己投資の時間に振り替えることを奨励している。

 具体的な進め方は、2ヶ月に1回、2週間程度の仕事ダイエット期間を設定し、職場ごとにテーマを決めて改善に取り組む。そして実際に削減できた1人当たりの時間(累積効率化時間)をテーマごとにプロジェクト事務局に提出し、事務局が集計するという流れである。

 職場のテーマとは別に半期ごとに全社共通テーマも設定する。最初の取り組みは「会議ダイエット」だった。約2割の社員が会議にムダを感じているとの従業員意識調査結果を踏まえたもので、会議の必要性、開催時間、参加人数を着眼点に改善に取り組んだ。

 たとえば同社の制御機器本部はこれまで部署全体で年間総労働時間の10.3%を会議に費やしていた。そこで最も人数や頻度が多い製造会議について、議事の絞り込み、議事進行の標準化(項目の標準時間を設定)、参加人数の見直し(目的に適合したメンバー再選出)の3つの観点から改善を図った。
その結果、月に184時間だった

会議時間が147時間に減少した。


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 ■■■ 効率化案件は6200件、1人年間50時間の削減に成功 ■■■ 
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 全社共通テーマは、その後、資料ダイエット、移動ダイエットに続いて、09年10月からメールダイエットに取り組んだ。
同社グループの1日当たりのメール使用者の平均送信数は15通、受信数は25通。1通当たりの作成時間を平均5分、確認時間を平均1分と仮定すると、1人当たりのメール業務時間は1日100分である。
この改善に向けて全社で取り組んでいるが、着実に成果を上げている。

 プロジェクトは11年3月末までの3年間限定であるが、09年9月30日時点で各部署が取り組んだ累積テーマ数は約6200件にも上る。そして全社平均の1人当たり累積効率化時間は6.4時間に達した。仕事ダイエット効果は総実労働時間にも好影響を与え、08年度は目標の50時間の削減に成功している。

 こうした施策の実施により年間の総実労働時間も減少に転じ、07年は1973時間、08年は1926時間となった。電機業界の総実労働時間は景気の影響で総じて減少しているが、景気が回復し、仕事が増えて過重労働に戻るのでは意味がない。


今の時期こそ、効率化に向けた抜本的な取り組みを実施し、筋肉質の業務体質を
築くべきだろう。                    (溝上 憲文)


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 ◆ 平成22年度予算案が審議入り

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 国会は1月28日に平成21年度第二次補正予算案を成立させ、鳩山総理の所信表明、所信表明への代表質問を経て、いよいよ平成22年度予算案の審議に入るが、それにしても「コンクリートから人へ」を政権命題とする与党第一党幹事長が、ゼネコン問題で国会審議の多くの時間がさかれることは、国民目線からすると異常である。口さがない人は今国会を“ゼネコンとマザコン”とまで言っている。

 平成22年度予算案のフレームをみると、税収が21年度の46兆1030億円から8兆7070億円減り、37兆3960億円となり、財政投融資特別会計からの受入れなど、その他収入10兆6002億円加算しても歳出費に全く不足し、結果として公債金が21年度を約11兆円上回る44兆3030億円発行し、公債依存度は48.0%(21年度37.6%)となった。

 歳出部門では、国債費の償還費用などが20兆6491億円、子ども手当や児童手当特例交付金など地方交付税分が17兆4777億円、一般歳出は53兆4542億円計上され、一般歳出のうち社会保障関係費が27兆2686億円と、21年度より2兆4342億円増額となり、一般歳出の51%を占める結果となった。


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 ■■■ 社会保障関係費は青天井で拡大 ■■■ 
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では、初めて一般歳出の半分を超えた社会保障関係費の内容をみると、年金・医療・介護の保険給付費は20兆3363億円(年金10兆1839億円、医療8兆720億円、介護2兆803億円)と前年度比3.8%増となり、この他に生活保護費2兆2388億円、社会福祉費が子ども手当の創設で前年度比56.6%増の3兆9305億円、保健衛生対策費4262億円で、マスコミに毎日のように記事が掲載される雇用・貧困対策となる雇用労災対策費は3367億円でしかなく、前年度比74.1%増となってはいるものの、その理由は雇用保険の失業給付に充当する国庫負担が21年度の1602億円から22年度は3010億円になるからである。施策の大半は労働保険特別会計(事業主と労働者が保険料負担)で充当される。

 社会保障関係費は、自民党政権時に、増額分から毎年度2000億円の削減がシーリングで設定されていたことから、特に医療・介護の分野で国民生活に我慢を強いたことのリバウンドで、特に新政権は診療報酬を10年ぶりに大幅アップしたこと、中小企業の健康保険である協会けんぽの財政再建、高齢者の医療費負担軽減措置、などの施策により大幅増額となり、平成23年度からは子ども手当の満額支給開始などが予定されていることを考えると、さあ、予算編成をどうするのかは見ものであり、恐れにつながる。

お金が足りないから借金を際限なく続ける、というのであれば、どの政党が政権をとっても大差ない。


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 ■■■ 今国会に9本の改正法案を提出 ■■■ 
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 予算概要とは別に、厚生労働省は今国会に9本の改正法案を提出し、そのうち平成21年度補正予算関連である雇用保険制度安定のための求職者給付及び雇用継続給付に係る国庫負担を増額する「雇用保険法の一部を改正する法律案」は成立している。

 その他、3月末までに成立させる日切れ扱い法案として、「平成22年度における子ども手当の支給に関する法律案」、特別養護老人ホーム入所者の負担軽減措置延長を盛り込んだ「介護保険法施行法の一部を改正する法律案」、非正規労働者への雇用保険加入条件を緩和する「雇用保険法等の一部を改正する法律案」、国民健康保険の財政基盤を強化し、協会けんぽの国庫補助の見直しを盛り込んだ「医療保険制度の安定的な運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」の4本。

 その他に児童扶養手当について父子家庭の父を対象とする
「児童扶養手当法の一部を改正する法律案」、
企業年金制度の改善を図る「企業年金制度等の改善等を図るための確定拠出年金法等の一部を改正する法律案」、
新型インフルエンザに対応するため、新たに臨時接種の枠組みを創設する「予防接種法の一部を改正する法律案」、
そして1月号のこの欄でふれた「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案」
の4本が平成22年度予算案の審議と併行し、
今国会が夏の参院選のため長期の延長が難しい事情に対応していく。     
                           (津山 勝四郎)



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編┃集┃後┃記┃
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 日本航空が会社更生法による再建手続きに入りました。 
話題になった企業年金減額も、加入者や受給者の3分の2以上の同意を得て減額申請をする方針です。

企業年金の減額手続きには、@企業の経営状況が著しく悪化している、A加入者等に十分な説明と意向確認、B加入者や受給者の3分の2以上の同意等の条件が必要です。

減額説明会は12月下旬に実施されましたが、十分な説明とは言えませんでした。
 また、企業年金減額以上に、日本航空を利用する多くの方々が、安全運航に不安を感じているのも事実です。

“安全”は日々の業務を通して地道な努力の積み重ねで身に付くものです。
社員がやる意欲を失うことにより、“安全”体制に危険が潜んできます。

新社長に整備部門が長い大西賢氏が就任するのは、安全運航の確保を重要視している現れでしょう。

国民が安心・信頼できる体制を、経営者・労働者一丸となって築き、
 一日も速い再生を望みます。                  (白石)



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 発行者  雇用システム研究所 代表 白石多賀子
     東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル   
     アドレス:info@koyousystem.jp

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