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従業員の働きがいと意識改革(10)〜NTTドコモ〜

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┃\/┃    ☆雇用システム研究所メールマガジン☆
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                               2010/04/01
           http://www.koyousystem.jp
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  桜の便りが次々に聞かれるころとなりました。
  皆様、いかがお過ごしでしょうか。

  雇用システム研究所メールマガジン第96号をお送りします。  

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  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

  ◆従業員の働きがいと意識改革(10)〜NTTドコモ〜

  ■入社後の成長機会を全員に等しく付与
  ■社内資格に関係なく重要な仕事を与える
  ■報酬のメリハリより「全員の底上げ」を重視
                       (以上執筆者 溝上 憲文)

  ■本格化する国会での委員会審議 
  ■課題多い今年度の労働基準行政
            (以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)



  ■[編集後記]               (編集長 白石多賀子)

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◆従業員の働きがいと意識改革(10)〜NTTドコモ〜

 業績が厳しく出口の見えない不況下では、優秀な社員とそうでない社員の処遇にメリハリをつけることで発破をかけようとする経営者もいる。
しかし、そんなときこそ社員一人ひとりに目を配り、社員全員の底上げを図ることで一致結束して難局に立ち向かうことも重要だ。

 たとえば携帯電話業界もこれまで量的拡大を収益源にしてきたが、すでに加入件数は1億件を超え、今、国内市場は飽和状態にあるといってもいい。
従来のビジネスモデルは大きな転換点を迎え、携帯各社は次なる成長戦略の強化に乗り出している。

 厳しい競争環境を勝ち抜くには社員一人ひとりの能力を引き出し、
最大限の力を発揮することが求められている。

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 ■■■ 入社後の成長機会を全員に等しく付与 ■■■ 
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 NTTドコモは
「社員全員に成長の機会を等しく付与し、全体の底上げを図る」
ことを人事方針に据えている企業の一つだ。社内研修の冒頭で必ず口にするのは「一人ひとりががんばって仕事をしているからこそ会社は成り立っている。
その気持ちを忘れずに仕事をしてほしい」というメッセージだ。

 全員の底上げを図る施策の一つが入社後のジョブローテーションである。
入社後の3年間は、数ヶ月のドコモショップでの研修をはじめ各支店で顧客対応などの現場を経験する。その後本社に戻り、さまざまな部署での経験を3年間経て、再び支店業務をはじめグループ会社への出向や海外業務などを3年間行うという約9年間の育成イメージを描いている。

 最初の3年間の支店業務は現場重視の姿勢の表れとして理解できるが、その後、全員を3年間本社に戻すという企業は珍しい。支店の上司にすれば、手間をかけて育成し、せっかく戦力になったところで本社に持っていかれるのは困るだろう。

 それでもあえて本社に戻すのは「新人の多くは移動通信業界を動かしたい、
できれば本社で働きたいという思いを持っている。
しかし、一部の人間だけが本社に行くとなると、
『あいつが本社に戻り、なぜ自分だけが支店にいなくてはならないのか』と思う
人もいる。
その気持ちは理解できるし、全員に本社の経験を積ませてやろう」
(同社人事担当者)という思いがある。


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 ■■■ 社内資格に関係なく重要な仕事を与える ■■■ 
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 また、同社の給与制度は職能資格等級と呼ばれる日本企業の伝統的な年功的賃金体系であり、生活基盤の安定を重視する。競争の激しいIT・通信業界にあって今でも堅持している企業は珍しいが、といっても社内資格(等級)と役職を必ずしも連動させているわけではない。

 同社は20代後半から新規事業を担当させることで知られる。資格や年齢にこだわらず、優秀な社員を役職に就けるなど“仕事の与え方”でモチベーションを引き出す手法をとっている。

「仕事を任せるのに必ずしも資格にこだわらず、たとえば前任者がやっていた仕事を一つ下の資格の社員が担当することもあるし、その逆もある。極端に言えば、部長になっても昇格とは別であり、給料が上がるわけではない。こいつはと思う人間に、一つ上の仕事をやらせるようにしている」(人事担当者)。

 期待通りの成果を出せば、昇格候補となる可能性もある。若くして重要な仕事を与えることで本人の意欲と能力を引き出す仕組みである。

 昇格に限らず給与も格差が開きすぎると、低い社員の仕事に対する意欲を失う場合もある。

近年、成果主義に対する批判が増えているが、
共通するのは格差拡大による弊害としてのモチベーション低下である。


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 ■■■ 報酬のメリハリより「全員の底上げ」を重視 ■■■ 
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 じつは同社も管理職のボーナスについては成果評価に基づく厳格な配分を行っていた。

ボーナス原資の枠内で部署ごとに社員の優劣を明確化した評価分布に基づいて金額を付与することになるが、いやが上にも格差が生じる仕組みであった。そうなると、業績を定量化できない、あるいは人数が少ない部署ではどうしても不満が発生することになる。


 そのため数年前に制度を見直し、原資の枠内で、評価の配分の仕組みを組織長の裁量に任せることにした。結果的に部署によっては、あまり格差を生じさせない配分にすることも想定されるが、組織長には概ね好評という。

 見直しの理由について人事担当者は
「以前はどうしても高い評価の人と悪い評価の人との差がつきすぎていたため
に、評価のフィードバックも難しい面があった。
売上げなどの数字で目標を立てられる部署はやりやすいが、数字に表れない部署をどうしていくかという課題もあった。結果的には組織長の裁量に任せることで部内の社員の納得が得られればいいのではないかと考えた」と語る。

 報酬にメリハリをつけることにこだわらない。
同社がこだわるのは、あくまで「社員全員の底上げ」であり、
全員野球を貫くことが会社のメリットにつながるとの確信である。
いたずらに給与や役職にメリハリをつけて処遇するよりは、社員一人ひとりの生活基盤の安定を付与することで、社員個々の力を最大限に発揮することが会社の長期的成長をもたらすということである。

 長期的成長を維持していくためには、社員が長期にわたって活躍してくれることが重要であり、当然ながら同社は終身雇用を前提としている。これも社員の安心感と全員の底上げを図るうえで欠かせない要件だろう。          
                             (溝上 憲文)


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 ■■■ 本格化する国会での委員会審議 ■■■ 
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 第174回通常国会は、既に平成22年度予算が成立し、各委員会における個別審議が本格化している。
厚生労働行政関係でも、与党最大の売り物である「子ども手当法案」が成立し、適用条件を緩和する「改正雇用保険法」、利用料、居住費、食費の負担緩和となる「改正介護保険法」が3月末に成立した。

 その他、国民健康保険と全国健康保険協会管掌健康保険の財政基盤強化策となる「改正医療保険法」、国民年金保険料の納付期間延長や企業型確定拠出年金における加入資格年齢の引上げや加入者の掛金拠出を可能とした「年金改善法案」の審議などが厚生行政関係での関連として残り、労働行政関係では、雇用・能力開発機構を廃止し、

平成23年4月から、業務を高齢・障害・求職者支援機構と、勤労者退職金共済機構に承継させる「廃止法案」、そして「改正労働者派遣法」の審議に入る。

 改正労働派遣法については、国会提出直前に、派遣先における事前面接の解禁を、社民党と国民新党の反対で削除したことから、改正内容における問題は消えた。
ただ、施行期日の問題は残っていることと、参議院選を前に審議日程が厳しいことから、すんなり成立かというと、予断は許さない。

 改正法案の一部修正について、労働政策審議会の労使委員が疑問を呈していたが、目くじらを立てることではない。特に労働側委員の遺憾表明は、事前面接禁止が労働側に有利な変更であるだけに、何のための抗議なのかと思う。労働行政の展開は政労使3者構成でなる労働政策審議会での答申を経て行われるという原則がある。
ただ、この原則は自民党長期政権のなかで、どうしても労働側の意見が軽視される傾向を、なるべく弱くするための手段であった。

 かつて労働基準法改正の折、残業費対象外管理職制度導入において、
日本経団連が年俸400万円以上の管理職を対象とすることをあげ、世間から袋だたきにあったことは記憶に新しいが、その時の労働政策審議会の「建議」は、導入を認めていた。
ところが文字通り翌日に厚生労働省が提示した改正法律案要綱では、制度導入が消えていた。

 理由は「国会で通らない」からである。

 余分なことだが、その時の担当課長が、今国会で審議される
「改正労働者派遣法」の担当局長(職業安定局長)であり、一昨年に創設された「労働契約法」と「改正最低賃金法」の担当審議官(労働基準担当審議官)で、人事凍結がなければ、今年7月の幹部異動で、

大臣官房長への就任が確実とみなされていた行政マンである。

 だいだい、労働政策審議会の労使委員も、行政や国会に異論を唱えるのであれば、今の委員構成は弱体すぎる。

「審議会の席上で責任ある意見は出ず、持ち帰らなければまとまらない」現状となっている。



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 ■■■ 課題多い今年度の労働基準行政 ■■■ 
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 労働行政に限っていえば、今国会は終盤に入ったと言ってよい。
労働基準面は来年の国会を視野に置いている。

時の政権公約に基づいた行政展開が「我々の役目」と言い切る。
最大の懸案は「有期労働契約」である。新法にするには時間が足りないことから、現行の「労働契約法」の改正となろう。研究会は中間とりまとめを公表し、最終報告の後、審議会での審議を経て、次期通常国会に提出される。

 内容は、非正規でも正社員と同視し得る従業員の均等待遇と正社員転換措置の義務付けやインセンティブの付与、無期化をめざしつつ勤務地限定、職種限定などの多様な雇用モデルを労使が選択できる雇用形態の検討、更新の判断基準等の明示を大臣告示から法定化への格上げ、雇止め時の手当の可否、1回の契約期間の上限と関連する暫定措置など、経営者側には厳しい見直し内容となっており、審議会での経営側委員の強い反論は間違いない。

 労働基準行政関係ではその他に、職場における受動喫煙防止対策と、事業場内で使用する危険有害性情報の伝達、専門人材のいない中小零細事業場における化学物質管理、自主的管理の促進などをセットにした労働安全衛生法の改正、さらに、民主党のマニフェストに書かれている「全国最低賃金800円の設定と最低賃金の全国平均1000円をめざし、最低賃金の原則を労働者とその家族を支える生活費とする」政策を、どのような形(予算措置だけでなく法改正を含むのか)で実現していくのかという大きな課題も残っている。                       
                            (津山 勝四郎)


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編┃集┃後┃記┃
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 桜の季節は、新たな生活のスタートでもあります。

育児休業中の労働者も、4月は子どもを保育所に預けて職場復帰をする方が多いです。

今年6月から育児・介護休業法が改正され、
「パパ・ママ育休プラス」が創設され、さらに子育て支援体制が充実します。
私が現在取り扱っている育児休業中の労働者も20名余りですが、子どもを保育所に入所させられず、育児休業の延長を申し出る労働者が増えていますし、会社の定めている延長可能な子どもの1歳6カ月に達する時点で入所がかなわず、仕方なく退職をしなければならない労働者も目立ちはじめました。 

 保育所へ入所の後の悩みは、小学校に入学後の学童保育とのことです。
学童保育は小学校3年生まで、多くの学童保育が午後6時閉鎖のため、労働者は残業ができず、また夏休み中は毎日お弁当を持参させなければならないなどで、小学校への入学を期に退職する労働者も多いとのことです。

 労働人口の減少で有能な労働者の活用が求められ、
労働者本人も働きたいにもかかわらず、子どもを預けられる環境が整備されていません。

 3月26日に「子ども手当法」が成立し、6月より中学生までの子ども1人あたり月額13,000円が支給されますが、支給も大切なのでしょうが、
その前に子育て中の両親が安心して働ける環境を構築して欲しいです。    
                                (白石)


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 発行者  雇用システム研究所 代表 白石多賀子
     東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル   
     アドレス:info@koyousystem.jp

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   お楽しみいただければ幸いです。今後もさらに内容充実していきたいと
   思います。
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