人事・労務に関する御相談は信頼と実績の雇用システム研究所

社会保険・労働保険の御相談は信頼と実績の雇用システム研究所

雇用システム研究所 トップページ雇用システム研究所 個人情報保護方針雇用システム研究所 メールマガジン雇用システム研究所 お問い合わせ
雇用システム研究所 >> メールマガジン >>  経営の“落とし穴”(14)〜“敗軍の将”失敗を語る(1)〜

経営の“落とし穴”(14)〜“敗軍の将”失敗を語る(1)〜

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏━━┓    
┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                             第113号
                                 2011/09/01

           http://www.koyousystem.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 9月、吹く風が秋を運んできます。
 皆様いかがお過ごしでしょうか。

 雇用システム研究所メールマガジン第113号をお送りします。 

==========================================================================

  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥
  
 ◆ 経営の“落とし穴”(14)〜“敗軍の将”失敗を語る(1)〜

  ■財務内容と技術の裏付けで“信頼”を回復  
  ■ビジネスモデルを信じ、地道に営業 
  ■当たり前の「経営」を当たり前に実行                     
                      (以上執筆者 溝上 憲文)

  ■メンタルヘルス向上と日本人の社交性
  ■臨時国会で改正安衛法の審議も
           (以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)


  ■[編集後記]               (編集長 白石 多賀子)

==========================================================================

◆ 経営の“落とし穴”(14)〜“敗軍の将”失敗を語る(1)〜

 この1〜2年、いったんは廃業や倒産の危機に直面したが、
見事に復活を果たしたベンチャー企業の経営者を10人ほど取材してきた。
最初は技術やアイデア、営業力を武器に業績を拡大するが、様々な事情で破綻する。

 その原因は一言で言えば「経営力の欠如」であるが、そこには多くの教訓が満ちている。
失敗を経て成功に至るまでの彼らの軌跡から経営に役立つヒントを紹介していきたい。

第1回目はなぜ失敗したのか、そこから得た教訓である。

==========================================================================

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 財務内容と技術の裏付けで“信頼”を回復 ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 セキュリティサービス事業を手がける藤田氏(仮名・44歳)は15年前に前職の友人に誘われ、脱サラして米系通信事業会社の日本法人を立ち上げた。
最初はマンションの一室を借りて5人でスタートしたが、4年後は売上高100億円を達成。
順調に拡大していったが、米国本社が突然の倒産。
日本法人も他社に売却され、藤田氏も放り出された。

 だが、それにもめげずに前の会社で手がけていたセキュリティ機器の開発会社を立ち上げるが、
製品がほとんど売れない。
一生懸命に売り歩いても興味を示す会社はなく、やがて自己資金も底をつき、
再び倒産の危機に直面した。

 もちろん製品には自信があった。

なぜ、失敗したのか、藤田氏は最初の失敗についてこう振り返る。

「最初の日本法人の失敗は、米本社の倒産が最大の理由ですが、正直言って、
人のお金を借りて起業したようなものですから、
売上げさえよければいいという気持ちでした。
業績がいいから資金繰りも気にしない。もう一つは日本独自のサービスを展開し、
自分たちだけの会社を作ってもよかったのですが、本社の事業だけをやっていた。
危機管理ができておらず、サラリーマン気分でした」

 2度目の起業も同じ過ちを引きずることになる。
もともと技術屋であり、いいものを作れば売れるという一心で昼は営業、
夜は開発と昼夜分かたず働いた。それでも売れない。
どん底になって初めて気づいたという。

「気づいたのは“信頼”ということです。
マンションの一室をオフィスにしている会社が
『あなたの会社のセキュリティを守ります』と言っても説得力がないのです。
そこで信頼を得るために2つのハードルを設定しました。
1つは事業の継続性を示す財務内容、もう一つは技術の裏付け。
この2つを実現しないと、事業の先行きはないと肝に銘じました」

 その後、矛先を変え、ベンチャーキャピタルの出資を得ることに奔走。
同時に米国のセキュリティ製品の認証機関の認定を取得することに努力した。

結果的に2つが奏効し、製品の販売代理店契約が一挙に進み、
営業も軌道に乗ったという。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ ビジネスモデルを信じ、地道に営業 ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 藤田氏に共通する失敗を経験したのはメーカーと街の小売店の仕入れサイトを運営する
近藤氏(仮名・46歳)だ。
問屋の形態を変えるビジネスモデルを提案して回ったが、
ほとんどの小売店に腹を抱えて笑われたという。問屋の存在はそれだけ強固だった。

「時間と体力を費やして無理して売っていました。
自分はこんなに一生懸命にやっているのにどうしてうまくいかないのか日々悩み、
精神的にも追い詰められました。私がもう少し弱い人間だったら、
嘘をついて強引に売っていたかもしれません。
そういう誘惑に駆られることもありましたが、それだけはやるまいと耐えました」

 売れない一方で、同社に出資するベンチャーキャピタルからも早く利益を出せと急かされた。
それでもビジネスのやり方は変えないで、地道な営業を続けた。
なぜ、そこまで耐え忍ぶことができたのか。近藤氏は単純な真理に気づいたからだという。

「無理に売っても売れないのは
『人は自ずと困ったときに対価を支払うものだ』と気づいたからです。
ビジネスモデルを信じて、地道に営業を続ければいつかお呼びがかかる。
それまでは腹を括り、資金的に苦しくても耐えるべきときは耐えなければいけないと思ったのです」

 苦労が実り、今では会員は1万を超え、念願の上場も果たしている。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 当たり前の「経営」を当たり前に実行 ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 同じく通信機器製造会社社長の服部氏(仮名・62歳)も業績をV字回復させた一人だ。

ただし、服部氏は創業者ではなく、破綻寸前の同社の再建役として招かれた人である。

経営不振の原因は「経営の不在」と服部氏は指摘する。

「社長以下全員がエンジニアで、優秀な技術力は持っているのですが、物の製造、
資材の購入など何一つとっても経営の基本がまったくできていませんでした」

 そんな会社をいかに建て直し、収益改善を図ったのかと聞くと

「秘訣などない。当たり前のことを当たり前に実行しただけ」と言い切る。

「取引先は良い製品を適正な価格で納期通りに納めてくれることを期待している。
そのためには利益が出るように原価低減を工夫し、不良品を減らすこと。
購買部門の責任者は事業計画に基づいて原価提言の目標を達成し、
製造部門の責任者は納期までに生産目標を確実に達成するなど各部門が責任を自覚して

約束を守るように口を酸っぱくして言い続けました。
つまり、当たり前のことを愚直に言い続けることが大事なのです」

 技術力、製品力は優れていても会社は破綻する。
経営の舵取りがいかに重要であることを服部氏は協調する。
 次回は、経営の根幹である「人の動かし方」を失敗から学ぶ。
                                             (溝上 憲文)
 

==========================================================================

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ メンタルヘルス向上と日本人の社交性 ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 公益財団法人日本生産性本部(松川昌義理事長)の「メンタルヘルス研究所」が、
8月29日に開いた一般事業主などを対象とした研究会において、
2011年版「産業人メンタルヘルス白書」を発表したが、調査研究として、
一般男女3万人を対象に職場の人間関係における上司との関係、同僚との関係など、
いわゆる人間関係の“絆”がメンタルヘルス対策にどのような効果を持たらすかを調査している。

人間関係がメンタルヘルスにとって重要であることは今や常識となっているが、
職場の人間関係が従業員のメンタルヘルスに寄与することは、

「人間関係は大切なものである」と認識レベルに留まっている。

調査は職場の人間関係を上司との関係、同僚との関係の両尺度に分け、
それぞれ“絆”の分析を行うことで、企業・組織体との分析対象とするとともに、
対人関係相互の比較や、対人関係に寄与すると思われる外向性などの性格傾向を交えて、
対人関係が心身の健康に及ぼす影響を公平に評価している。
考察結果によると、

(1)絆を結ぶ対象として、上司、同僚、組織、家族を想定しているが、
いずれも関係が良好であればメンタルヘルスを向上させるが、
中でも「同僚関係」との相関が高かった。

(2)ただし、職場の人間関係が関係者の期待ほどメンタルヘルスに寄与しないのは、
職場の人間関係を単に衛生要因(疲労、抑うつ、強迫、不安)からの分析として
考察していることから、仕事の負担、仕事正確度、将来希望、評価の満足、
仕事適応との相関が低くなっている。

(3)性格傾向としての社交性は、社交性の低い方に調査対象の多くが分布しており、
日本の産業人は社交的でないという結果になっていること。

(4)その結果、社交性と疲労、抑うつ、強迫、不安のメンタルヘルス変数と社交性は上司関係、
家族関係の場合は社交性の有り無しで良否の説明がつくが、同僚関係と組織については
社交性より関係自体の良し悪しがメンタルヘルスを決めている。

(5)結論としては、社交性のない日本人にとっては、仲間や企業体といった想像の範囲内の
集団に絆が結ばれているときに、メンタルヘルスへの貢献度が大きくなる。これは同時に
発表された東日本大震災とメンタルヘルスへの影響についてのアンケート結果でも、
トップのメッセージ発信、集団での一体的取り組みなどにより、絆が強化されている。

との結論を引き出している。

この調査は、対人関係に影響する性格傾向として、社交性(外向性)の面からの関連を、
多数の調査データを基に分析していることが注目される。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 臨時国会で改正安衛法の審議も ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ところで、8月30日に新総理として野田前財務相が指命され、国会は閉会期間も短かくし、
9月中旬にも臨時国会を開き、第3次補正予算、平成24年度予算概算要求の編成、
そして東日本大震災対策によって審議が未了もしくは棚ざらしとなっている改正法案の
取り扱いを検討していく。

 労働行政関係では、平成20年に上程されたまま継続審議となっていた改正労働者派遣法は、
その間に派遣元・先指針の改正(平成21年3月31日)を経て、登録型派遣の原則禁止、
製造業務派遣の原則禁止、日雇派遣の原則禁止など基本的課題は運用によってかなり
改善されてきていること、改正案にこだわる社民党、日本共産党の意向が新政権で
反映されにくい政局となったことから、改正法案はいったん全面見直しとなった。

 かわりに浮上してきたのが、昨年末に労働政策審議会において建議の型で了承された
改正労働安全衛生法の審議を、臨時国会で審議し、成立にまで持っていく意向を
厚生労働省は持っている。

 改正内容は、
(1)機械譲渡時における機械の危険情報提供の促進、
(2)職場における自主的化学物質管理の促進、
(3)職場における受動喫煙防止対策の抜本的強化、そして、
(4)職場におけるメンタルヘルス対策の推進、

そして東日本大震災によって明らかになった現行法の不備の見直し、などである。

 職場における受動喫煙防止対策では、既に事業主向けの助成金が設置されているが、
現行のメンタルヘルス対策は、働く人たちへの支援が整っているとはいえず、
法改正を行う必要がある。もちろん、労使の意見は完全に一致しているとはいえず、
与野党の歩み寄りがあっての法案審議となる。
                                            (津山 勝四郎)


編┃集┃後┃記┃
━┛━┛━┛━┛***********************************************************

 今、日本の経済状況は、急激な円高、大震災後の電力不足、高い法人税、
自由貿易協定の遅れ等で“六重苦”“七重苦”と呼ばれています。

 震災後から企業の海外移転が話題となっていましたが、円高でさらに拍車がかかり
国内産業の空洞化が進み、日本の“ものづくり”が流出するとの声もあり、

“ものづくり日本”の経済成長の低下が不安になるこの頃です。

海外移転というと中国・東南アジアが中心でしたが、ウォン安(100円=1400ウォン台)と
低い法人税や自由貿易協定など企業にとって魅力ある韓国への投資が相次いでいます。

日本経済新聞社の「社長100人アンケート」で、約4割の経営者が円高是正、税制の見直しが
進まないと3年以内に海外へ生産拠点を移さざるを得ないと回答しています。

第145回直木賞を受賞した池井戸潤氏の『下町ロケット』は、下町の部品工場の社長が、
納品打ち切り、特許権侵害による損害賠償訴訟による資金繰り悪化と闘いながら
日本を代表する重工業に対してロケットを飛ばす重要な部品提供という夢に
「品質」と「プライド」を持って社員と一緒に挑戦していく。
まさに“ものづくり日本”の姿が描かれています。

主人公の佃航平が社員に「俺はな、仕事っていうのは、二階建ての家みたいなものだと思う。

一階部分は、飯を食うためだ。
必要なお金を稼ぎ、生活していくために働く。だけど、それだけじゃ窮屈だ。

だから、仕事には夢がなきゃならないと思う。
それが二階部分だ。
夢だけ追っかけても飯は食っていけないし、
飯だけ食えても夢がなきゃつまらない。・・・・」と語るのです。
皆様の夢や希望は何でしょうか。                          (白石)


追伸 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 先月19日に福島県の被災地域に行ってきました。

福島駅から南相馬市へ移動中、携帯放射線量測定器の数値が目まぐるしく変わりました。

福島市内でもホットスポットでは2ミリシーベルトあり、また全村民が避難した飯舘では
5.5ミリシーベルトありました。同日の新聞発表は飯舘2.45ミリシーベルト(固定)でした。
今回も、現場に行って現状を把握することの大切さを再認識しました。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 ------------- ☆  ☆  ☆ --------------
 発行者  雇用システム研究所 代表 白石多賀子
     東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル   
     アドレス:info@koyousystem.jp

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   今週のメールマガジン第113号はいかがだったでしょうか。

   お楽しみいただければ幸いです。今後もさらに内容充実していきたいと
   思います。
   ご感想は info@koyousystem.jp にお願いします。
   「こんな記事が読みたい!」というリクエストも、遠慮なくどうぞ。
   次回の配信は10月初旬頃情報を送らせて頂きます。


                e-mail: info@koyousystem.jp
  [過去のメルマガ随時更新] http://www.koyousystem.jp

 =================================================================
  
   メールマガジンの配信が不要な方は、お手数ですが、
   こちら http://www.koyousystem.jp/mail_magazine.html から
   配信停止を行って下さい。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ・『雇用システム研究所メールマガジン』に掲載された情報を許可なく転載す
  ることを禁じます。


雇用システム研究所 事業案内
雇用システム研究所 組織づくり
雇用システム研究所 人事制度
雇用システム研究所 教育・研修
雇用システム研究所 メンタルヘルス
雇用システム研究所 お客様向けサービス
雇用システム研究所 個人情報保護方針
雇用システム研究所 お問い合わせ
雇用システム研究所 事務所所在地




Copyright(c) 1998-2015 KOYOU SYSTEM Co.,Ltd. All rights reserved.