人事・労務に関する御相談は信頼と実績の雇用システム研究所

社会保険・労働保険の御相談は信頼と実績の雇用システム研究所

雇用システム研究所 トップページ雇用システム研究所 個人情報保護方針雇用システム研究所 メールマガジン雇用システム研究所 お問い合わせ
雇用システム研究所 >> メールマガジン >>  経営の“落とし穴”(15)〜“敗軍の将”失敗を語る(2)〜

経営の“落とし穴”(15)〜“敗軍の将”失敗を語る(2)〜

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏━━┓    
┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                             第114号
                                 2011/10/01

           http://www.koyousystem.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 
 富士山に初冠雪、北海道からは紅葉の便りが届き、“天高く馬肥ゆる秋”です。
 皆様いかがお過ごしでしょうか。

 雇用システム研究所メールマガジン第114号をお送りします。 

==========================================================================

  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥
  
 ◆ 経営の“落とし穴”(15)〜“敗軍の将”失敗を語る(2)〜

  ■骨身に染みて感じた社員の大切さ  
  ■目標利益額を超えたら社員に還元 
  ■地味な仕事でも楽しさを感じるイベントを演出                     
                      (以上執筆者 溝上 憲文)

  ■本格的に動き出したパート労働者対策  
  ■焦点は「不利益扱いの禁止」の法制化
  ■社会保険への適用も検討しているが?
           (以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)


  ■[編集後記]               (編集長 白石 多賀子)

==========================================================================

◆ 経営の“落とし穴”(15)〜“敗軍の将”失敗を語る(2)〜

 この1〜2年、いったんは廃業や倒産の危機に直面したが、見事に復活を果たしたベンチャー企業の経営者を10人ほど取材してきた。
最初は技術やアイデア、営業力を武器に業績を拡大するが、様々な事情で破綻する。

 その原因は一言で言えば「経営力の欠如」であるが、そこには多くの教訓が満ちている。
失敗を経て成功に至るまでの彼らの軌跡から経営に役立つヒントを紹介していきたい。

第2回目の教訓は再浮上するための「人」の大切さである。

==========================================================================

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 骨身に染みて感じた社員の大切さ ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 脱サラしてITソフト会社を40歳の時に立ち上げた小西氏(仮名・51歳)は業績不振に陥るたびに、
社員が退職してしまうことに頭を痛めたという。
ITエンジニアは若く、もともと離職率が高い業界でもある。
優秀なエンジニアが一人辞めるだけでもお客の信用を失う。社員の大切さが骨身に染みたと語る。

「ソフト開発会社というのは人が資産です。
人が辞めると資産が失われることになります。売上げを伸ばす、
良いサービスをお客様に提供しようとする前に、社員にとって居心地の良い雰囲気、
気持ちよく働ける環境が大事であることに途中から気づきました。
社員が日々楽しく余裕を持って仕事ができる環境があってこそ良い発想やアイデアが生まれてくる。
そういう雰囲気をつくるためにどうするのか、常に考えるようになりました」

 小西氏は10%を超えていた離職率を5%にすることを経営目標に掲げた。
そして辞めていく社員に

「どうすれば辞めなかったのか」といったアンケートをとりながら具体的対策を練った。

その一つが取締役やマネージャー層に対する5つの行動指針の作成である。

「1つは褒めて育てようということでコーチングをしっかりやり、
社員それぞれが取り組んでいる仕事を尊重する。あるいは、部下を叱るときには
人前で叱ってはいけない、別室に呼んで叱りなさいというように具体的に列挙し、
全社員に指針を公表しました。また、
掛け声だけで終わらせないために社員にアンケートをとって実際に守られているかを
チェックするようにしました」

 だが、それだけでは十分ではない。最も大事なのは社長である自分が
社員に好かれることだと気づかされたという。

「仕事柄、いろんな会社の社員の生の声に接することも多いのですが、
中には社長の悪口を言う社員がいる会社もあれば、逆に誰も社長の悪口を言わない、
社長が好きなんですと言う社員が多い会社もあります。社員から社長が好きだと言われる会社は
離職率も低い、本当にいい会社が多いのです。この人の下であれば、
気持ちよく働けると思われるように社長になりたいと思っています」

 小西さんはソフト会社にとって退職率は重要な指標との認識から、
毎年決算短信で退職率を公表している。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 目標利益額を超えたら社員に還元 ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 通信機器製造会社の社長の服部氏(仮名・62歳)は、破綻寸前の同社の再建役として招かれ、
業績をV字回復させた人。その要因の一つは社員を大切にする経営だと言う。

「会社は誰のものか、という議論がありますが、私は社員と株主のものであり、
決して一部の経営陣のものではないと思っています。しかし、ほとんどの会社はそのことを忘れている。
たとえば、他社から買収の誘いを受けると、真っ先に反対するのは経営陣です。
私から見れば、自分のポストがなくなるという保身から反対しているとしか思えないケースもあります。
たとえ買収されるとしても、経営基盤が盤石になり、株主氏や働く社員の環境もはるかによくなり、
両方がハッピーになるのであれば、私などは喜んで退任します」

 こんな思いを抱く服部氏が実践しているのが、利益に応じた社員への報酬だ。
年間の利益目標を超えた場合、その一定割合を報奨金として社員全員に支給する。
しかも利益に応じた社員の受け取る金額は税込みではなく、手取額で明示する。
業績がよければ、賞与とは別に年間で給与の3ヶ月程度の上乗せになるという。

 社員が努力した成果に報いるという姿勢が大事だと服部氏は強調する。
しかし、それ以上に大事なのは会社の成長を社員が自分の喜びとして
感じられるようになることだと言う。

「当社はモノを開発し、生産し、販売するというものづくりの会社です。
この会社がベンチャーから巣立ち、公の存在として成長する姿を社員に見せたい。
自分たちが作った製品が世の中に出ることはうれしいもの。
ものづくりの醍醐味を味わうことが働く喜びにつながると思っています」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 地味な仕事でも楽しさを感じるイベントを演出 ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ただし、必ずしも顧客に喜ばれる製品を生み出す業態ばかりではない。

電子マネーの決済業務事業を営む福田氏(仮名・45歳)は、創業当初に比べて
社員のやる気や職場の活気がなくなってきたことに頭を悩ましていた。

 電子マネーの決済という地味な仕事に対して、どうすれば社員が意欲を持って
取り組んでもらうかを長年考え続けてきた。
その結果、決済の利用者のほとんどがオンラインゲームを楽しむ若者である点に目をつけた。

 1つはオンラインゲームファンが楽しさを共有できるコミュニティサイトを開設。

集まったファンの声をゲーム会社やクリエイターに届ける活動だ。
ゲームファンと会社がつながっていることを社員に知ってもらうだけではなく、
受注にもつながる。もう1つは、ゲームファンを集めた同社主催のイベントの開催。
社員全員で企画し、自らもゲームの主人公の衣装をまとってイベントを盛り上げる。
その効果は大きかったと福田氏は語る。

「加盟店やゲーム会社も参加し、販売促進の支援という意味合いもありますが、
社員にとっても自分たちの仕事が世の中の役に立っていることを実感できる場になりました。
利用してくれている人たちが楽しみ、喜んでいる姿を肌で感じることができたと思います」

 これ以降、利用者と会社をつなぐイベントを社員自身が企画するなど、
会社に活気が戻ってきたという。                        (溝上 憲文)

                                  
==========================================================================

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 本格的に動き出したパート労働者対策 ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 厚生労働省が現行のパート労働者の就業実態を分析した上で、
短時間労働者の雇用環境を改善すべく、パート労働法、国民年金法、医療保険法の3法を
来春の通常国会で本格的に見直すべく、労働政策審議会と社会保障審議会で議論を開始している。

 週間就業時間35時間未満の短時間雇用者、いわゆるパート労働者は、
総務省の労働力調査によれば、平成22年で全雇用者数の26.6%(1414万人)、
全女性雇用者数の43.0%(966万人)で、非正規労働者の8割を占める。

また業種別では、卸売・小売業21.1%、他に分類されないサービス業9.4%、製造業14.8%、
医療・福祉13.1%、宿泊業・飲食サービス業10.9%となっており、女性に限ると、卸売・小売業24.6%、
医療・福祉17.2%、宿泊業・飲食業13.0%である。

パート労働者対策が厚生労働省では職業安定局や労働基準局ではなく、
雇用均等・児童家庭局で対応されている由縁であり、所掌の短時間・在宅労働課は、
かつて婦人労働課、女性労働課として、厚生労働省誕生後もパート労働者対策すなわち
女性労働者対策として、現在も労働時間・賃金対策は短時間・在宅労働課が所掌し、
3年前に法改正が行われ、その際、改正法付則に3年後の見直しが盛り込まれたことは
記憶に新しい(平成20年4月施行)。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 焦点は「不利益扱いの禁止」の法制化 ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 改正パート労働法が施行されたとはいえ、通常の労働者との間に依然として待遇の格差が
存在していることは自明であり、誤解を恐れずに言えば、現行のパート労働法の下で、
事業主が調整労働力としてパート労働者を使用できるからこそ、多数の企業の経営が
成り立っているとも言える。ただし、脱法行為は許されるものではない。

 厚労省の「今後のパートタイム労働対策に関する研究会」が9月に出した報告書は、
パートタイム労働の課題として、差別的取扱いの禁止(第8条)、均衡待遇の確保(第9条)、
待遇に関する納得性の向上(第13条)、
教育訓練(第10条)、通常の労働者への転換の推進(第12条)、
法の実効性の確保(第16条など)を前回の法改正での積み残しとしてあげ、
その他に税制や社会保険制度など、関連制度の改善もあげている。

 厚労省はこの研究会報告を労働政策審議会雇用均等分科会にあげ、審議を開始した。

審議は、パート労働者を理由とする合理的な理由のない不利益扱いの禁止を法制化して
格上げできるかどうかが中心となるが、既に事業主側からは、一律に適用することは
問題であるとの反論が出されており、冒頭の業種別パート労働者数の多い業種の経営に
大きな経営課題を背負わせることになる。

 一方で労働側は、「同一価値労働同一賃金」の主張にあるように、現行のパート労働法の
均衡待遇が企業側のネガティブリスト化していることから、不利益取扱いを禁止するためには
法制化による罰則規定の導入が法の実効性を担保できるとしている。労働政策審議会、
そして国会上提されれば与野党の審議は、この罰則規定の法制化に集中することは明らかで、
労働者側に片寄った改正法案が提出されるとなれば、現在の政治情勢では成立しない。

「私たちのやることは正論を追求はするが、正しいことのみを主張することではない」との
意見は行政官僚の生き方であり、
「小さく生んで大きく育てる」手法は、均等法創設の時に言われたことであり、
前回のパート労働法改正の折にも言われた。

12月末まで労使がどこまで歩み寄った審議内容となるかが注目される。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 社会保険への適用も検討しているが? ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ところで、今回のパート労働者対策の見直しは、社会保険制度の見直しも開始されており、
社会保障審議会の「短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会」も精力的に
審議を開始しており、9月21日には論点メモを出した。

 パート労働者への年金・医療の適用拡大の考え方として、

(1)被用者には、被用者にふさわしい年金・医療保険を確保すべき、
(2)社会保険制度において、働かない方が有利になるような壁を除去し、就労促進型、
 少なくとも中立なものへの転換、
(3)企業の社会保険料負担を業種や雇用形態によって異ならない公平なものとすべき

の3点を強調している。

 要するに、社会保険の適用基準を週20時間の労働時間と適用の要件を31日以上の
雇用見込みとすることをどう考えるか、を労働者と経営側との両方の観点から見直すとともに、
細目で標準報酬の上限・下限、厚年制度における第3号被保険者制の取扱い、
第3号被保険者・被扶養配偶者の認定基準の見直し、なども審議していこうというもの。

 検討項目は別に目新しいことでなく、民主党の主張する基礎年金の税による給付論の
なかに盛り込まれ、自民党政権時にも常に検討されてきたことでもある。

 特別部会に厚労省が提出したデータでは、厚生年金の適用拡大対象者を週労働時間
20時間以上とした場合、現行の1号から約140万人、3号から約180万人、非加入から
約70万人の計約400万人が適用拡大の対象人数になるとの推計を算出している。

 同時に、月収10万円のパート労働者が現行の社会保険に1年間加入した場合の負担と
給付の変化を試算(例えば年金の場合、保険料負担は約8万4000円減り、
年金給付は年で約17万3000円増)を発表し、マスコミも大きく取りあげたが、何やら民間保険の
加入勧誘まがいで、下品である。かつてバラ色の年金制度として喧伝し、それが全て崩れ、
“国家的詐欺”とまで言われた手法をまだ踏襲している。

大体が今回の推計にしても、事業主負担、給付開始年齢、現役世代との給付率の
見直しが近い将来行われることが確実ななかで、発表推計はパート労働者に対して失礼でもある。

 動き出したパート労働者の待遇改善への取り組み。
雇用形態の多様化、経営基盤の脆弱、恒常的な人口減少など、パート労働者の有効活用は
働く人、企業、そして国の動向を左右する。そしてこの労働形態は消えない。

社会保障全体での視点で、「正しいこと」だけでなる「出来ること」から着手していって欲しい。

                                            (津山 勝四郎)

編┃集┃後┃記┃
━┛━┛━┛━┛***********************************************************

 皆さんは、テレビで韓流ドラマをご覧になりますか。

最近、韓流ドラマの放映時間が増加傾向にあり、一部で批判の声があがり話題となりました。

番組表をみると主に平日の日中は韓流ドラマが多いです。
7月に関東地区で放映された時間のトップはフジテレビで約38時間、第2位はTBSの約19時間です。
韓流ドラマの増えた理由は、景気低迷などにより広告収入が減少し、
自局で制作するより外国からの購入の方が安く、
特に韓流ドラマは視聴率が稼げるからのようです。

9月21日、日本経済新聞夕刊の 「さらりーまん生態学(いきざまがく)」に、
童門冬二氏が「社員研修のカリキュラムに『韓流ドラマにまなぶ』 を取り入れている企業があり、
受講者に好評な講座」と書かれていました。

研修科目に入れたのは、韓流ドラマ(現代物)に流れる儒教精神は社員の生き方や
リーダーシップのとり方に必ずしも無益でないと思ってとのことです。

担当講師は、「韓流ドラマがこのところ急激に様変わりして、儒教の精神に反するテーマを
好んで扱うようになり、科目を廃止してくれ」と人事課長に申し出しました。

人事課長曰く、「面白いじゃないですか。続けましょう。モラルに対するアンモラルの台頭、
モラル側の抵抗。日本だって同じですよ。自信を持って続けてください。」

しかし、担当講師は自信がないそうです。

その後この講座はどうなったのでしょうか。
社員研修を行っている私としては、ちょっと関心があります。
                                              (白石)


 ------------- ☆  ☆  ☆ --------------
 発行者  雇用システム研究所 代表 白石多賀子
     東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル   
     アドレス:info@koyousystem.jp

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   今週のメールマガジン第114号はいかがだったでしょうか。

   お楽しみいただければ幸いです。今後もさらに内容充実していきたいと
   思います。
   ご感想は info@koyousystem.jp にお願いします。
   「こんな記事が読みたい!」というリクエストも、遠慮なくどうぞ。
   次回の配信は11月初旬頃情報を送らせて頂きます。


                e-mail: info@koyousystem.jp
  [過去のメルマガ随時更新] http://www.koyousystem.jp

 =================================================================
  
   メールマガジンの配信が不要な方は、お手数ですが、
   こちら http://www.koyousystem.jp/mail_magazine.html から
   配信停止を行って下さい。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ・『雇用システム研究所メールマガジン』に掲載された情報を許可なく転載す
  ることを禁じます。


雇用システム研究所 事業案内
雇用システム研究所 組織づくり
雇用システム研究所 人事制度
雇用システム研究所 教育・研修
雇用システム研究所 メンタルヘルス
雇用システム研究所 お客様向けサービス
雇用システム研究所 個人情報保護方針
雇用システム研究所 お問い合わせ
雇用システム研究所 事務所所在地




Copyright(c) 1998-2015 KOYOU SYSTEM Co.,Ltd. All rights reserved.