人事・労務に関する御相談は信頼と実績の雇用システム研究所

社会保険・労働保険の御相談は信頼と実績の雇用システム研究所

雇用システム研究所 トップページ雇用システム研究所 個人情報保護方針雇用システム研究所 メールマガジン雇用システム研究所 お問い合わせ
雇用システム研究所 >> メールマガジン >> ゆとり教育世代の採用戦略(3)

ゆとり教育世代の採用戦略(3)
     〜インターシップと入社パスで優秀人材を獲得〜

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏━━┓    
┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                                        第120号
                                            2012/04/01

           http://www.koyousystem.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

東京では桜の開花が発表され、今週末には満開となりそうです。

みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
雇用システム研究所メールマガジン第120号をお送りします。

==========================================================================

  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥
  
 ◆ ゆとり教育世代の採用戦略(3)〜インターシップと入社パスで優秀人材を獲得〜

  ■卒業後5年以内の入社の権利を付与  
  ■研修を通じて学生と会社の双方が納得して入社 
  ■インターシップ参加希望者が殺到。約7割が入社。                     

                        (以上執筆者 溝上 憲文)

  ■賃金引上げは1.8%、5,354円  
  ■改正高年齢者雇用安定法を国会提出 
         (以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)

  ■[編集後記]               (編集長 白石 多賀子)

==========================================================================

◆ゆとり教育世代の採用戦略(3)〜インターシップと入社パスで優秀人材を獲得〜

 4月から新卒採用の選考が始まった。
日本経団連の倫理憲章の見直しで企業の広報活動が例年の2ヶ月遅れの12月から
スタートしたことにより、学生活動期間が以前よりも短くなった。

 学業に専念してほしいという趣旨であるが、中小企業にとっては周知期間が短いため
に思うようによい人材が採れないという“雇用のミスマッチ”解消にはほど遠いのが
現実。各社は欲しい学生を獲得するために独自の工夫を凝らしているが、
中には採用・入社時期をずらすなどユニークな方法をとる企業も登場している。

==========================================================================

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 卒業後5年以内の入社の権利を付与 ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 その一つがファーストリテイリング傘下のユニクロの大学1年生でも内々定を
出す採用制度だ。

昨年12月、来春卒業の新卒学生に限らず、大学1・2年生でも選考試験を受けることができる仕組みを導入した。
仮に1年生が内々定を得ると、入社するのは3年後ということになる。
就職先を早く決めて、大学4年間は勉学にいそしむという利点はあるが、
見方を変えれば“超青田買い”であり、賛否もあるところだろう。

 もう一つが内定を得ると、大学卒業後5年以内の入社の権利を付与する仕組みを
導入しているソフトウエア業のワークスアプリケーション。
具体的には4週間のインターンシップを実施し、期間中の課題の達成度を評価し、
一定のレベルに達していれば入社パスを付与する。
2種類あり、Aパスは5年間、Bパスは3年間、いつでも同社に入社できる権利を
付与する。

 また、インターンシップ期間中は、チャレンジ料として1日1万円を支給する。

 同社は1996年創業の若い会社であり、思うようによい人材が採れないというのが
この採用手法を導入したきっかけだった。
同社の人事担当者は「設立当初は業界の経験者採用主体でやっていたが、
思うような人材がなかなか採れない。そこで改めて当社が欲しい人材とは何かを
考えたときに、ITのスキルや経験じゃないだろう。
やはり自分で問題を発見し、問題を解決できる能力のある人、
つまり“地頭”がよい人が必要であり、新卒の採用に踏み切った」と語る。

 とはいってもいきなり新卒を採用するには知名度も低いから難しい。
最初は新卒と経験者の中間である第2新卒の業界未経験の人を
ターゲットにスタートした。
29歳までのIT業界の未経験者を対象に募集し、6ヶ月間の研修期間中に
さまざまな課題を与え、最終的に一定のレベルに達した人を
本採用するというものだった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 研修を通じて学生と会社の双方が納得して入社 ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 これがうまく当たり、同社が求める人材が採れるようになったという。
そしてこの仕組みを原型に新卒でも同じことをやってみたらどうかという
社長の提案により、インターンシップで能力を見極める現行の採用方式を
スタートさせた。

「第2新卒入社組の社員から
『新卒でも同じような経験ができれば、自分の得意、
不得意や向き不向きがわかるし、そういう体験ができないか』

という声を聞いた社長の提案で学生対象のインターンシップが始まった。
狙いは、知名度が低い当社に優秀な人材を振り向かせること、
もう一つは筆記試験と面接だけの短期間の選考では能力は簡単にわからない。

 第2新卒と同様に研修期間を置くことで双方が納得する形で採用したい
というものだった。

 しかし、さすがに学生を6ヶ月間拘束するのは難しいので
4週間のインターンシップを行うことになった」(人事担当者)

 インターンシップはあくまで本人が自らチャレンジし、自分の能力を見極める
手段であるというのが趣旨。
多くの学生が参加し、結果的に優秀な学生が同社に入りたいと言ってもらえれば
それにこしたことはないという考えだった。

 第1回目はほとんどの学生がすでに内定をもらっている7月から8月にかけて
実施したが、蓋を開けてみると、その中から翌年4月に19人が入社した。

「インターンシップといっても普通の就業体験型ではなく、課題を与えて
チャレンジさせる問題解決型の研修だ。
学生さんもおもしろい会社だなと思ってくれるようになり、とくにストイックに
結果を求める仕事に関心を持つ学生さんの興味を引いたのか、その後、
インターンシップ希望者が増えていった」(人事担当者)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ インターシップ参加希望者が殺到。約7割が入社。 ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 学生にとっては自身の能力を試すよい機会でもあり、結果がよければ入社パスが
付与される上に1日1万円がもらえる。
インターシップの参加申込者が数万人に膨れあがったという。
さすがに全員を受け入れるとなると、場所の確保も大変だ。
しばらくは応募者全員のインターンを続けたが、今は事前にセミナーを開催し、
筆記試験とディスカッションによる選抜を行い、年間1000人程度に絞り込んでいる。

 今はインターンシップをメインに新卒の採用手法の多様化も進めている。
たとえば、通常の採用期間中に、本人が考えた企画に基づいて会社の幹部と
ディスカッションして内定を出す「トライアウト」と呼ぶ採用も実施している。
また、インターンシップも就職活動が厳しい中で4週間も拘束することを嫌い、
優秀な学生が返って逆選択をしてしまう可能性もあることから10日間に変更し、
春と夏の年2回開催している。

 近年は毎年300人規模の新卒を採用しているが、それでもインターンシップに
よる採用が6〜7割を占めているという。

 それにしても参加者に1日1万円も支給するとなると1000人で1千万円、
10日で1億円だ。募集、運営、会場費などを含めると数億円になるという。

もちろん同社に入社しないで他社に就職したり、留学する人もいる。

 費用対効果について人事担当者は「いったん他社に就職し、
その後に当社に入る人もいる。仮に人材紹介会社を通じて同じ年代の人を
採用すれば年収の3割程度のコストがかかるが、当社に転職すればその費用は
かからない。

 また、入社パス取得の有無は別にしても参加者の多くはインターシップに対して
高い評価をしてくれている。
その人たちの多くは大企業に就職しているが、当社の製品に触れる機会があり、
ポジティブに評価してくれるのではないかと期待している。

 採用の直接経費として考えると、見合うのか見合わないのか難しいところであるが、
効果は必ずしもそれだけではないと考えている」と語る。

 本来なら大企業でも欲しい優秀な学生を独自のインターシップと入社パスで引き寄せる。
インターシップを通じて学生も会社をよく知ることができるので
入社後の定着率も高いという。                 (溝上 憲文)
                                 
==========================================================================

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 賃金引上げは1.8%、5,354円 ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 先号で2012年春季労使交渉をとりあげたので、事後報告(3月19日現在)をしておく。

 今季の賃金引上げは、
平均方式で617組合、80万3,492人で、賃上げ額は5,354円、
引上げ率で1.80%となっている。

特定した労働者(例えば勤続17年・年齢35歳生産技能職、勤続12年・年齢30歳事務技術職)
の前年度水準に対して、新年度いくら賃金を引上げたか(純ベア)は、35歳で532円(0.19%)、
30歳で465円(0.18%)となった。

 パート労働者等の時間給引上げは、3月15日現在の妥結額は、
76組合で平均妥結額が15.46円で、2011年の10.00円、2010年の12.05円を大きく上回った。

 連合の古賀会長は
「景気の底支え、底上げをなんとか維持でき、ここまでの回答結果はそれなりに評価したい」
としたが、4月に入ってからの中小企業の賃上げ集計を待った上での全体総括を行うことになる。

 ここまでは内需型産業が全体の賃上げを引上げた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 改正高年齢者雇用安定法を国会提出 ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 一方、国会はいよいよ「社会保障と税の一体改革」の本丸である消費税率の
見直しが3月30日に決定し、政局に入る。

 火事場になる前にとあって、ここまで各省庁提出の改正法案審議は順調といってよく、
厚生労働省関連でも、
既に改正雇用保険法、改正労働者派遣法、改正子ども(児童)手当法、
改正国民健康保険法などが成立しており、
改正労働契約法、改正高年齢者雇用安定法も国会に上程されており、
消費税改革法案の審議が開始される5月を待たずに成立を期している。

 厚生労働省職業安定局は3月28日に
「今後の高年齢者雇用対策について」を改めてまとめ、日本の人口の推移、
団塊の世代の高齢化、労働力人口及び労働力率の推移などの分析を行っている。

 推移によると、2017年の労働力人口は政府の雇用対策が順調に進み
労働市場への参加が進んだ場合は、
60歳以上で1,173万人、2030年で1,274万人に達し、
それぞれ17.89%、20.61%を占めると予測している。
日本の高齢者の就業率(60〜64歳)は71.4%で、
これは欧米諸国よりかなり高い
(アメリカ56%、ドイツ47%、フランス19%、イタリア29%)。

 一方で厚生年金の支給開始年齢の引上げは既に決定しており、
2013年4月から報酬比例部分の引上げも開始され、
60〜61歳の人たちに雇用が継続されず、年金も支給されないという
無収入者が生じる可能性がある。

60歳以上の就労対策が急がれる由縁で、政府は今国会で改正高年齢者雇用安定法を、
余程の事情(衆院解散)がない限り成立させる予定だ。

 提出された改正法案は、
(1)現行で継続雇用制度の対象となる高年齢者につき、事業主が労使協定により
 定める基準により限定できる仕組みを廃止する、

(2)継続雇用制度の対象となる高年齢者が雇用される企業の範囲を子会社や
 関連会社のグループ企業まで拡大する仕組みを設ける、

(3)高年齢者雇用確保措置義務に関する勧告に従わない企業名を公表する規定を
 設ける、

の3項目を骨格としている。

 施行は平成25年4月1日を予定し、現行の基準を設けている事業主には、
老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢に達した以降の人を対象に、
基準を引き続き利用できる12年間(平成37年まで)の経過措置を設け、
年金支給開始年齢が男性より早い女性にも同様の措置がとられる。

つまり、60歳以降という年齢規定に男女差は設けないということ。

 問題は残る。

 一つは労使協定に基づく基準が廃止された場合の担保として、例えば
就業規則の改定などが行われることになるが、その際の従業員の2分の1以上、
従業員を代表する者、の現行規程の曖昧さが残ることで、かえって高年齢者の
解雇が行われやすくなるのでは、という危惧で、
これは労働政策審議会でも労働側委員が強く訴えていた。

 厚生労働省は
「就業規則での解雇事由や、年齢以外の退職事由に該当する人は
継続雇用の対象外とすることは可能だが、解雇権の濫用は認められないことは当然」
(職業安定局高齢者雇用対策課)とするが、個別労働紛争の火種となるだろう。

そもそも、現行の基準にしても、客観的合理性・社会的相当性という包括的な表現と
なっており、同省の指導の徹底が待たれる。

賃金に関しては現行の高齢者雇用継続給付が当面の間、制度が残されることになった。

また、新年度から対象高年齢者を有料職業紹介事業者や産業雇用安定センターなどの
無料職業紹介事業者のあっせんなどにより受け入れた場合は、
受入企業に対して賃金の一部を助成(70万円、短時間労働者は40万円)する助成金も
新設されるほか、現行の労働移動支援助成金も助成率が2分の1から3分の2に拡充される。

 厚生労働省は法案成立を消費税審議に入る5月前を目途にしており、
改正内容が経営側にもかなり配慮されていることから、4月中にも成立するだろう。
ただし、それまでの衆院解散がない場合である。        (津山  勝四郎)


編┃集┃後┃記┃
━┛━┛━┛━┛********************************************************

 東日本大震災から1年が経過しました。

先日、私の所属する全国社会保険労務士会連合会が、
復興を支援するため仙台で会議と講演会を開催しました。

翌日、宮城県の沿岸被災地の石巻、松島、塩釜の視察が行われました。

1年を経過した被災地は、震災当時にテレビ放映された小学校や幼稚園などの
建物がそのままでした。

がれきの山、またがれきの山です。

がれき処分を受け入れているのは東京都、山形県、青森県で、
検討している自治体も増えてきました。

がれきの処理と、被災住民達の理解を得られる復興整備計画ができないと
復興への道のりは遠いのでしょうね。

 また、講演会では講師の結城登美雄氏による
「被災地の中小企業に活力を!!」のお話しの中で、沖縄などの事例から
共同作業や共同の場の大切さや絆・助け合いの大切さを再認識させていただきました。

結城登美雄氏の語る〈よい村であるための7つの条件〉

1.よい自然風土があること
2.よい仕事の場があること
3.よい居住環境があること
4.よい文化があること
5.よい仲間がいること
6.よい学びの場があること
7.よい行政があること

今、企業にとっても重要なことだと思いました。
企業は、社員・株主・市場から何を求められているのか。

また、自社の強みは何かを見直し、
経営者と社員が力を合わせて活力ある元気な企業へと頑張りましょう。

                                   (白石)

 -------------☆  ☆  ☆ --------------

 発行者  雇用システム研究所 代表 白石多賀子
 東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル
    アドレス:info@koyousystem.jp

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  今週のメールマガジン第120号はいかがだったでしょうか。
  お楽しみいただければ幸いです。今後もさらに内容充実していきたいと
  思います。  ご感想は info@koyousystem.jp にお願いします。
  「こんな記事が読みたい!」というリクエストも、遠慮なくどうぞ。
  次回の配信は5月初旬頃情報を送らせて頂きます。

               e-mail: info@koyousystem.jp
  [過去のメルマガ随時更新]http://www.koyousystem.jp

 =================================================================
     メールマガジンの配信が不要な方は、お手数ですが、
   こちらhttp://www.koyousystem.jp/mail_magazine.html から
   配信停止を行って下さい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ・『雇用システム研究所メールマガジン』に掲載された情報を許可なく転載す
  ることを禁じます。


雇用システム研究所 事業案内
雇用システム研究所 組織づくり
雇用システム研究所 人事制度
雇用システム研究所 教育・研修
雇用システム研究所 メンタルヘルス
雇用システム研究所 お客様向けサービス
雇用システム研究所 個人情報保護方針
雇用システム研究所 お問い合わせ
雇用システム研究所 事務所所在地




Copyright(c) 1998-2015 KOYOU SYSTEM Co.,Ltd. All rights reserved.