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最新コア人材育成法(2)
     〜三井物産の選抜型経営幹部候補の育成術〜

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
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                                 2013/03/01

           http://www.koyousystem.jp
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ひな祭りの時季、今年は春の訪れが遅れています。

皆様、いかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第131号をお送りします。

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  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥
  
 ◆ 最新コア人材育成法(2)
〜三井物産の選抜型経営幹部候補の育成術〜

  ■10%の社員を経営幹部候補として選抜
  ■英語で外国人と徹底的に議論する研修
  ■競争社会で存在感を出せないとリーダーになれない           
       
                       (以上執筆者 溝上 憲文)

  ■障害者雇用促進法改正が最優先  
  ■パート労働法、安衛法の改正は先送り?
            (以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)

  ■[編集後記]               (編集長 白石 多賀子)

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◆最新コア人材育成法(2)
  〜三井物産の選抜型経営幹部候補の育成術〜

 年功序列制度が崩れ、優秀な人材を早期に育成し、戦力化する企業が増えている。
かつては昇格・昇進の年次制限を設けて同期に一律の研修を施し、
じっくりと育て上げる教育法が主流であった。
だが変化の激しいビジネス環境や海外との競争に対応するために、選抜型の経営人材の育成が加速している。

今回はグローバルビジネスの最前線に立つ総合商社の三井物産の取り組みを紹介する


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 ■■■ 10%の社員を経営幹部候補として選抜 ■■■ 
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 三井物産は中期経営計画で人材のグローバル化を掲げている。

三井物産本店の社員は約6000人。
そのうち海外分野での活躍が期待されている社員が4800人。
その中から入社間もない若手と40歳以上の社員を除いた1600人のうちの10%の社員を
経営幹部候補として選抜し、教育と配置による育成を実施している。
職位でいえば管理職になっているか、その一歩手前の社員だ。

 経営幹部候補の160人は、他の社員と違い、部門を超えた異動と配置による業務を
経験する仕組みになっている。
同社の人事担当者は
「本社としてはその人たちをどのように強化するかが重要なテーマだ。
そのための一つの施策として商品や業務領域を超えて数年で異動させながら経験を
積ませることをやっている」

 選抜人材による研修と幅広い実務を経験させる配置を通じてグローバルリーダーを
計画的に育成していこうというものだ。
しかし、もともと商社マンと言えば、何はともあれ海外に放り込まれて自力で
市場を開拓しながらタフネゴシエイターに育っていくのが一般的だった。
あえて計画的に育成する必要もないのではと思うが、人事担当者は
「昔と違ってビジネスを取り巻く環境が大きく変化している」と指摘する。

「昔は一つの商品に詳しく、特定の国の言語や取引に通じたプロフェッショナルが
活躍できた。しかし、今は取引先企業もグローバル化し、
たとえばブラジルの企業は経済発展で世界企業に成長し、
公式言語をポルトガル語から英語に変えている。
もはや『ブラジルは俺に任せておけ』という仕事の仕方が通用しなくなってきている。

また、一つの産業や商品に詳しくても、すぐに商品が陳腐化してしまうほど変化が速い。

日本の企業も海外移転や海外投資をする時代。相談を受けて
『この業界は長いので顔と人脈は大丈夫』というだけでは通用しない」

 とくに国境を越えたビジネスになると、様々な人種がいるところで調整能力を発揮
するリーダーシップが求められる。


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 ■■■ 英語で外国人と徹底的に議論する研修 ■■■ 
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 同社は現地法人の外国人社員も含めてグローバルに人材を異動させるための
評価制度などの人事制度の統一にも着手している。
しかし、世界中のすべての社員を同一の仕組みにするつもりはない。

「賃金制度を標準化できれば、組織としてはやりやすいが、
国・地域で労働法や年金などの仕組みが違う。
たとえばイタリアでは退職前の給与が高く、それが年金に反映されるので、
イタリアを離れてアメリカに異動しろといっても転勤したくない人もいる。
したがって国の文化に根ざした人事制度はそのまま残し、
一定の上級幹部については同じ評価制度を導入していく」(人事担当者)

 対象となる現地の幹部は部長以上を想定している。
人事評価制度が統一されれば、能力と実績を踏まえた異動による適正配置が可能
になる。当然ながら日本の本店の部長や役員に登用される外国人も今まで以上に
増えることになる。

 選抜された経営幹部候補の研修は毎年実施している。
昨年の同社の湯河原研修センターの研修風景を取材したが、
講義はすべて英語で行われる。参加した日本人社員の160人の中でさらに
選抜された16人。
そのほかの参加者は海外法人の部長以上と海外の取引先の社員の18人。
半数が外国人だった。
狙いは「三井物産本店を引っ張っていくだけでの人材ではいけない。
海外でリーダーになれる人材をつくっていくために、関係会社も含めた多様な
人材が混じった研修にしたい」(人事担当者)と考えたからだ。

 いずれも各社が送り込んできた40歳前後の精鋭ばかりだ。
ここで1週間にわたり英語で議論をする。
だが、議論になると、真っ先に手を挙げて発言するのはやはり外国人が多かった。
それに負けまいと日本人も必死に食い下がり、議論に参加していた。

三井物産のエリートでも世界で戦うのは容易ではないという印象を受けた。


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 ■■■ 競争社会で存在感を出せないとリーダーになれない ■■■ 
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 人事担当者は「社内の研修のように『ここはやり過ごしておけば楽だな』
ということが通用しないし、『ちゃんと発言しろ』と背中を押される。
日本人社員にとっては『どうしてこんなことをやらされるのだろう』と、
とまどいもあったが、後半になると、このままではいけないと自分の立ち位置を
認識し、自分なりのやり方を見つけて積極的に発言するようになった。
研修といえども小さな競争社会。

その中で自分の存在感を出せるか、出せないかが問われる。
それを出さない限りリーダーにはなれない」と言う。

 もちろんグローバルリーダーや次世代経営幹部は研修や教育だけで育つわけでは
ない。研修で培った成果を発揮できる場と権限を提供し、
そこでの経験を再び研修で学び直すという教育と実践を繰り返すことで成長していく。

同社は優秀人材の世界の拠点への最適配置を行うための仕組みとして海外拠点の
経営を担うグローバルリーダー候補の約1000人のデータベースを構築。
その中には当然、外国人も含まれ、氏名と所属、職務経歴と評価結果が随時
インプットされ、任用のツールとして役立てている。

 こうした仕組みを作る背景には、世界で商売をうまく回していくには
日本人だけでは絶対数が足りないという危機感がある。

当然ながら、これからは日本人だから偉くなれる時代ではなくなりつつある。


                              (溝上 憲文)

                                 
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 ■■■ 障害者雇用促進法改正が最優先 ■■■ 
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 2月26日に平成24年度補正予算が成立し、国会は平成25年度予算案の審議に入り、
成立後の4月末から5月上旬にかけて各省の提出する個別法案の審議を開始する。

先号でも述べたように、今年は7月に参院選があることから、
通常国会の延長が見込めないだけに、各省は審議時間との調整で、
政府提案の改正法案の提出は絞っている。

 厚生労働省でも情勢は同じで、しかも政権交代により、またぞ3規制緩和路線が
静かに鎌首をもたげてきており、労働法制の改正についても、
労働者の労働条件向上に曲りなりにも貢献した民主党政権の終焉によって
個別法案の改正動向は大きく変ってきた。

 2月末に厚労省が与党に提示した今国会への提出予定法案をみると、
確定しているのは7本で、そのうち年度間の空白が許されない日切れ扱い法案が4本で、
これは3月末までの成立が国会の責任である。

 予防接種法の一部を改正する法律案は、予防接種を取り巻く状況の変化に
対応して幅広い見直しを行うことと、定期接種の対象疾病の追加を図ること、
現在行われている副反応報告制度を法律上の位置づけとすることの3項目が骨子。

 健康保険法等の一部を改正する法律案は、中小企業が主に加入する協会けんぽに
対する平成22年度から平成24年度までの財政支援措置(国庫補助13%→16.4%へ
後期高齢者支援金の負担方法を、被用者保険者が負担する支援金の3分の1を
各被用者保険者の総報酬に応じた負担とする)を2年間延長することで、
現行の協会けんぽの保険料率10,0%を平成26年度まで維持できるようにする。

なお、健康保険の被保険者又は被扶養者の業務上の負傷等については、
労災の給付対象とならない場合は原則として、
健康保険の給付対象(平成25年10月1日施行)とすることも含まれている。

 戦没者等の妻・父母等に対する特別給付金の継続と、
駐留軍関係離職者等臨時措置法と、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する
臨時措置法はそれぞれ5年間延長するもの。要は戦後はまだ終っていないことになる。

 ここまで4本が3月末までに成立する。
そして、審議に入ることが確定しているのが次の3本。

 公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を
改正する法律案(仮称)は、曲り角というか、企業にとって足手まといにさえ
なってきた厚生年金基金について、他の企業年金制度への移行を促進するために
特例的な解散制度の導入を図るとともに、国民年金について第3号被保険者に関する
記録の不整合期間の保険料の納付を可能とすることの2本建てとなっている。

 厚生年金基金制度の見直しでは、関係者全体の意見が未だまとまっているとは
言えないが、代行割れ部分の連帯債務の見直し、中小企業が作りやすい制度設計
の導入、健全な基金の存続については「健全性の基準」を制度的担保とする、
などが盛り込まれる。

第3号被保険者の記録不整合問題への対応では、不整合記録に基づく年金額を
正しい年金額に訂正し、不整合期間を「カラ期間」扱いとし、
過去10年間の不整合期間の特例追納を3年間の時限措置として年金額を回復する
機会を提供するもの。

 今国会に提出が確定している唯一の労働法制改正は、障害者の雇用促進等に
関する法律の一部を改正する法律案。雇用分野における障がい者に対する
差別の禁止と障がい者が職場で働くにあたっての支障を改善する合理的配慮の
提供を義務化するとともに、精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加える
措置を講ずるもの。

 ここで、合理的配慮義務とは、例えば、車いすを利用する障がい者に合わせて
机や作業台の高さを調整することや、知的障害を持つ障がい者に合わせて、
口頭だけでなく分かりやすい文章・絵図を用いて説明すること、
などが考えられているが、労働政策審議会における意見を考慮した指針が明示される。

 また、苦情処理や紛争解決援助についても事業主に対して障がい者からの
苦情を自主的に解決することを努力義務とする。
同時に、現行の個別労働紛争法の特例も整備する。
施行は平成28年4月1日だが、法定雇用率の算定に精神障害者を加える改正は
平成30年4月1日をそれぞれ予定している。

 改正障害者雇用促進法の審議と一括して、精神保健及び精神障害者福祉に
関する法律の一部を改正する法律案の審議も予定され、
厚労相による精神障害の医療を提供するための指針の策定、
保護者に関する規定の削除(主に家族が保護者となっているが、
家族の高齢化に伴う負担軽減のため保護者規定を削除する)、
医療保護入院の見直し同意要件の見直しと退院後の指導者の設置など)、
などが盛り込まれ、厚労省は国会の審議時間を確保するため、
参議院における先議を希望している。


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 ■■■ パート労働法、安衛法の改正は先送り? ■■■ 
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 国会上提が確定している7本の他に、「検討中」として7本あげられている。

 生活保護法の一部を改正する法律案(仮称)と、生活困窮者の自立の支援に関する
法律案は、それぞれ生活保護費の不正、不適正な受給者対策の強化、指定医療機関の
要件の明確化と指定の更新制の導入、地方厚生局による医療機関への直接指導権限の
創設、新たな就労自立給付金の創設、生活困窮者に対する相談援助、
自立促進のための訓練、居住安定のための給付金の創設、などを骨格としている。

 さらに、薬事法等の一部を改正する法律案(仮称)、
再生医療及び細胞治療の安全性の確保等に関する法律案(仮称)が農林水産省と
共同提出による一括審議を希望し、医療法等の一部を改正する法律案(仮称)
(都道府県知事への報告制度を細目化)が予定され、ようやく昨年の解散により
廃案となった労働安全衛生法の一部を改正する法律案(仮称)と短時間労働者の
雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(仮称)に行きつく。

 改正労働安全法は国会解散で廃案になった法案から、
飲食業の事業主に努力義務とした分煙措置の整備が盛り込まれず、
短時間労働者の均等、均衡待遇の確保として、差別的取扱い禁止規定の
無期労働契約要件の削除と、厚労相の勧告に従わない事業主名の公表規定等の
創設を盛り込んだ改正パート労働法は、いずれも「検討中」、
つまり審議時間に余裕が出そうな提出するというBランクに置かれた。

 3月13日は春闘回答日。
連合の産別労組は一時金の交渉が多い。
一時金というものが企業が支払う業績給なのか、労働組合が考える賃金なのか
という基本的な話し合いもなく、一時金の上乗せに終始する労働組合の方針はなんなのか、
賃上げ交渉と言えるのかという疑問は続く。

オリンピック選手は「夢は持てば叶う」と言って金メダルをとる。
「旗を最初から下ろして」労働側は何を叶えるのだろう。

                            (津山 勝四郎)


編┃集┃後┃記┃
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 “ありがとうございます”と言われると、うれしく、また心が和みます。
 
 その“ありがとう”に半年ほど前に違和感を受けました。

 仕事のミスを指摘したときに“ありがとうございます”と言われ、
私の頭の中は??です。
あまりの違和感に「すみませんでした。以後気をつけます」ではと
指導しましたが、もしかして「すみませんでした。ご指摘ありがとうございます」
と言うべきところ省略とも思いました。
観察の結果、いろいろな場面で“ありがとうございます”と言っていました。

先日、NHKのNEWSWEB24をみて少し理解できました。
最近、「頼まれごとに“ありがとう”」が増えているそうです。
 例えば、上司が「これ、10部コピーとっておいて」に対して、
部下は「はい、ありがとうございます」と答えるのです。
 本来、「ありがとうございました」と言わない場面で使われはじめているそうです。

NHK放送文化研究所塩田雄大専任研究員によると
「敬語の大きな流れの変化と関わりがあると思う。『かしこまりました』、
『承知しました』では堅いので、ひとまず敬意を示そうと使われているのではないか
と想像している。

いつも使っている言葉の意味と用法を拡張して選ばれているのではないか。
背景には居酒屋バイトの影響で素地を作る意味はあったかもしれない。」
今の若者が初めて敬語を使うのが中学・高校の部活動からなので、
そのときの習慣が影響していると思われる。

本人が敬意を示そうと使っているつもりでも、言葉は聞いた相手が
どう受け止めるか知っておく必要がある。」とのことでした。

 皆様も、若者たちの言葉に耳を傾けると思いもよらぬ発見があるかもしれません。

                                 (白石)


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 発行者  雇用システム研究所 
 代表 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
 アドレス:info@koyousystem.jp

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お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。 
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