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最新コア人材育成法(3)
     〜キリンホールディングスの選抜型経営幹部候補の育成術〜

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
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                                 2013/04/01

           http://www.koyousystem.jp
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今年は桜の開花が早いようです。

皆様はもうお花見に行かれましたか?

花粉症は辛いですが、温かい季節になると気持ちもほころび嬉しいものです。

雇用システム研究所メールマガジン第132号をお送りします。

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  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥
  
 ◆ 最新コア人材育成法(3)
〜キリンホールディングスの選抜型経営幹部候補の育成術〜

  ■2年に1回。選抜者は20人弱という狭き門
  ■修了試験は取締役の前でのプレゼンを実施
  ■修了者には国内の経営職や海外現地法人の社長も           
       
                       (以上執筆者 溝上 憲文)

  ■復興ままならぬ宮城県の雇用状況  
  ■雇用労働対策は拡充しているが…

    〜あきらめないことにしたの〜
            (以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)

  ■[編集後記]               (編集長 白石 多賀子)

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◆最新コア人材育成法(3)
  〜キリンホールディングスの選抜型経営幹部候補の育成術〜

 年功序列制度が崩れ、優秀な人材を早期に育成し、戦力化する企業が増えている。
かつては昇格・昇進の年次制限を設けて同期に一律の研修を施し、
じっくりと育て上げる教育法が主流であった。
だが変化の激しいビジネス環境や海外との競争に対応するために、
選抜型の経営人材の育成が加速している。

 従業員5000人以上の企業では4割が選抜型研修を実施しているとの調査もある
(日本生産性本部)。

 今回はキリンホールディングスの取り組みを紹介する。


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 ■■■ 2年に1回。選抜者は20人弱という狭き門 ■■■ 
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 キリンホールディングスの選抜型経営人材の育成コースは職階ごとに分かれている。

非管理職層の「キリンビジネスカレッジ」と管理職以上の「キリン経営スクール」と「キリンエグゼクティブスクール」の3つのコースがある。
いずれも会社の指名推薦と自ら手を挙げる公募があり、その中からで選抜される。
研修期間は11ヶ月。ただし、隔年で実施されるために2年に1回しかチャンスはない。

 選抜の対象者は、キリンビールに限らず、キリンビバレッジ、協和発酵キリンなど
グループ企業の全社員が対象になるが、定員はごくわずかだ。
キリン経営スクールの場合は40歳までの課長職クラス(社内資格は副参事・参事)
が選抜対象となるが、例年20人弱と少ない。

 選考では、論文試験と面接試験の2段階の審査が実施される。もちろん、
公募の社員だけではなく指名された社員も審査を受ける。
指名される社員は「自分から手を挙げなくても、部門長がぜひやらせたいと思う人、
あるいは職場では重宝がられているが、もっと能力を広げるチャンスを与えたいと
人事が考えている人」(人事担当者)であり、
衆目が一致する優秀な社員が推薦を受けることになる。

 論文は、事業全体ないしはグループ全体の経営課題に対する考察と自分がそれに
どういう貢献ができるかについて書く。論文審査をパスした人が面接に進む。
面接では論文の内容に沿って行われるが、その場合の着眼点は

「変化に対する感受性」だ。

「日頃の仕事の様子などいろんな質問をしながら、事業やグループ経営の変化自体を
ポジティブに受け止め、その変化の中にビジネスチャンスがあると前向きにとらえて
いるかどうかを最も重視しています。しかも変化を評論家的にとらえるのではなく、
自分が経営者だったらこうするというリアルな認識と当事者意識を持って考えている
かどうかを見ています」(人事担当者)


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 ■■■ 修了試験は取締役の前でのプレゼンを実施 ■■■ 
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 キリン経営スクールの2012年の指名・公募を含む受験者は40人。
その中から16人が選抜されたが、さすがに指名組の合格者の割合が高かったという。

11ヶ月間の研修では、前半は座学を中心とする経営に関する知識の学習を行う以外に、
グループ企業の中から1社を選定し、インタビューになどフィールドワークによる
企業研究と経営課題の解決に向けた提言をまとめる。提言は経営陣を前に直接発表する。

 後半はグループ全体の経営課題をテーマに調査・研究し、修了試験は、
ホールディングスの取締役に提言するという極めて実践的な内容になっている。

 研修の修了後は研修中の能力評価や適性を踏まえて、
経営戦略部門や事業企画部門などに経営職として配置される。
その場合、元の出身企業・部署をまたいでの異動も珍しくない。

「各事業会社のトップとホールディングスの間で人材やお金も含めたグループの
経営資源はグループ最適で考えることで合意しています。全員ではありませんが、
たとえば営業一筋の社員が修了後にホールディングスのスタッフとしてグループ全体の
仕事をしているケースもけっこうあります」(人事担当者)


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 ■■■ 修了者には国内の経営職や海外現地法人の社長も ■■■ 
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 また、経営人材の育成とは別に、グローバル経営人材の育成を目的とする
グローバルマネジメントプログラム(GMP)も実施している。
こちらも指名と公募で選抜され、1年間の研修プログラムを受講する。
経営スクール修了者がGMPコースを受講したり、あるいはその逆もあるなど
修了者が互いに行き来している。

終了後に海外法人のトップとして赴任するケースも珍しくない。

「GMPの卒業生のうち、2割以上が海外で活躍しています。日本で課長、
担当部長クラスの人が海外で社長に就くケースもあれば、管理職候補者が現地の
管理部長として赴任するなど海外で活躍するチャンスが増えています」(人事担当者)

 キリングループはアジア・太平洋地区にM&Aを通じて相次いで拠点を築いている。

日本から送り出す現地の経営人材を育てていく必要があり、その意味では経営人材の
育成コースは有機的に結びついている。

 ところで気になるのは選抜から漏れる社員だ。

一部の人間だけが選ばれて出世コースに乗ることになれば、それ以外の社員の
モチベーションに影響する心配はないのか。
同社の人事担当者は「公募で不合格となった社員には、その理由を
フィードバックしているし、再チャレンジも可能だ」と言う。

 だが、隔年で実施されるうえに年齢制限もあり、何回も受けられるという
わけではない。社員の意識が変わり、自分が選ばれなかったことに対する
不満や不公平感を抱く社員が少なくなったということだろうか。

                               (溝上 憲文)

                                 
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 ■■■ 復興ままならぬ宮城県の雇用状況 ■■■ 
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 春季生活闘争も大企業中心にほぼ終焉し、年間一時金、株価の上昇、
そして円安の実現による自動車、電機の業績回復と、いわゆるアベノミクス効果
による経済効果は、当の与党議員らも驚くほど(例えば、麻生元総理の
「まだ何もしていないのに…」の発言など)顕著に現れている。

 一方で、無尽蔵とも言える予算投入による東日本大震災からの復興は、
対策のエネルギーの大半を福島県の原発対応に費やし、岩手県、宮城県の復興は
遅々として進んでいない。

 2月中旬に宮城労働局に所用があり、石巻のハローワークに行ってきたが、
所内は予想以上に来所者が少なく、所の説明によれば、
「雇用保険の被保険者数はほぼ震災前の4万人と同水準に達しており、
約3%減でしかないが、気仙沼所では1割以上の減少です。

また、有効求職者では3,200人と震災前の4,100人を22%も少なくなっています」
と話し、宮城県全体では沿岸部で震災前までの水準には回復していないが、
内陸部に移転して就職した人が多く存在すると分析している。

 ちなみに厚生労働省の平成25年1月の有効求人倍率をみると、
全国平均0.85倍に対して、宮城県は1.25倍と全国で1番高く、
石巻所では1.68倍と高く、
仕事はあるのに求職者が少ないというミスマッチの状況と言える。

 仕事内容・業種別の求人についてみると、宮城県全体で、
建築・土木技術者4.92倍、建設の職業3.99倍、土木の職業3.78倍と、
被災地の復興需要に求職者が追いつかないという実態を明らかにしている。
特に建築技術者不足は、日本全体での公共事業の拡大の下で輪をかけて
影響が大きく、瓦礫は1カ所に集めたが、その後の作業が全く進んでおらず、
石巻でも特に沿岸部での復興の遅れが目立っていた。

 再び厚生労働省のハローワークによる雇用保険の広域延長給付受給終了者の
就職状況等調査によると、就職に至っていない原因として、
希望にあった職種がない17.8%、
年齢的・体力的な理由13.8%、
勤務時間が合わない5.7%、
通勤手段(車)がない5.2%、
資格・技術が必要な求人が多い5.2%となっており、
同じく求職活動をしていない(する予定がない)理由としては、
希望に合う求人がない人が21.2%の高率に達しており、
いわゆる3K職場といわれる建設・土木の職業を避ける職種ミスマッチが
復興の遅れの大きな要因となっている。つまり、若干の賃金上昇では応募者の
増加はみられず、実際石巻所の求人票でも日給2万円という求人カードが
多く掲げてあるが、求職者の足は向いていなかった。


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 ■■■ 雇用労働対策は拡充しているが… ■■■ 
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 厚生労働省は東日本大震災における雇用労働対策として、
平成23年度第3次補正予算として1,510億円計上して雇用復興事業を推進し、
事業復興型雇用創出事業としては
岩手県1万人、
宮城県2万1,000人、
福島県1万4,000人の
雇用計画を実施し、今年1月末時点で1万974人の実績をあげ、
平成28年度末まで支援していく。

 さら震災等緊急雇用対応事業としても、
平成23年度から平成24年度補正予算まで総額3,000億円投入することで、
全国で約12万8,000人の雇用実績、
うち岩手県で1万4,156人、
宮城県で1万6,774人、
福島県で2万6,320人の採用実績(1月末時点)をあげている。

この事業も平成25年度末まで延長され、厚生労働省が被災県に交付金を交付することで、
被災県又は市町村による直接雇用や、企業、NPOなどへの委託による雇用に結びつける
事業を展開している。

 今国会で審議される平成25年度予算案では、
厚生労働省分として659億円、
これに復興庁計上分の1,717億円を加えた総額2,376億円が計上された。

 主な施策をみると、
介護などのサポート拠点に対する支援30億円、
被災地心のケア支援体制の整備18億円、
警戒区域などでの医療・介護・障害者福祉制度の特別措置142億円、
被災した児童福祉施設、介護施設、障害福祉サービス事業所、保健衛生施設などの
災害復旧に対する支援107億円などが盛り込まれている。

 雇用の確保対策としては、
前出の震災等緊急雇用対応事業の実施期間延長500億円、
被災新卒者などに対する就職支援の推進2億円、
求職者支援制度による支援36億円が計上されている。

その他、福島県内外の避難者の就職支援体制を充実するために7億3,000万円が
新規施策として盛り込まれた。

また、原発事故からの復興のための労働安全衛生対策として
8億8,000万円計上している。

 3月のとある日、福島県出身の渡邊とみ子さん
(かーちゃんの力・プロジェクト協議会代表)の福島県飯舘村での原発事故からの
復興を“福島で生き・福島で育み・福島から繋いで行く”地域づくりの事例発表を聞いたが、
被災地以外では既に薄らいでいく復興への想いを、筆者自身改めて考えさせられる機会であった。
 最後に、渡邊さんが当日の資料で発表した詩を再掲しておく。

  
あきらめないことにしたの
沢山悔しい思いをしたよね
沢山、沢山泣いたよ
でも、生きている
やっぱり止まっては駄目だよ
どんなに小さな一歩でも前へ進んだら
ほらね。実ってくれたんだもの
植物は、こんな状況の中でも
頑張って生きているんだもの
だから私は
あきらめないことにしたの

                            (津山 勝四郎)


編┃集┃後┃記┃
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 4月、新入社員は桜の花びらが舞い散る中で初出勤となりました。

益財団法人 日本生産性本部は、平成25年度の新入社員のタイプについて

「ロボット掃除機型」と命名しました。

―――発表内容より抜粋―――

ロボット掃除機とは自走式の掃除機の総称である。様々なプログラミングに従って
自分で動き回り、時間がくると自動的に動き始め、
掃除が済むと自分で充電装置にドッキングする機能もあったりする。 
機械とはいいながら、その動きはどこか人間的で愛嬌がある。

いかにも「頑張って仕事しています」といったニュアンスの動きをする。
また、使っているうちには奇妙な行動を見ることもある。
多くの人が経験するのが行方不明である。たいていはソファーの陰やベッドの
下で立ち往生しているのだが、時には段差から転落して、
裏返しになった亀のようにもがいていたりする。活用するためには、
ある程度、部屋が片づいていることが必要で、雑然とした環境では能力を
発揮しにくい。

新卒新入社員を採用した企業にあっては、育成のための研修プログラムを
工夫する、組織として最初からプレッシャーを与えずコミュニケーションに
配慮する、新入社員を孤立させないなど、
職場として受け入れ環境を整え新人を育成していって欲しい。

           ◇     ◇     ◇

 インターネットから生まれた「さとり世代」という言葉が広まっています。

「ゆとり世代」とはちょっと違うようで、
山岡拓著書の「欲しがらない若者たち」(日経プレミアシリーズ)からのようです。

「さとり世代」は結果を悟り高望みしない世代で、ゆとり教育を受けつつ、
さらに勉強をし、現実的に将来を見通す賢い集団だそうです。

「欲しがらない若者たち」では、
「車は乗らない。ブランド服も欲しくない。スポーツしない。
酒は飲まない。旅行しない。恋愛は淡泊。貯蓄だけが増えていく。」の
切り口で取り上げています。

 本の中で、「今の20代はある意味真面目で、・・・対人関係における
柔軟性もある。上司と飲むことに反発し、抵抗感を抱く若者でも、

『上司から飲みに誘われれば、時には行きますよ』という声は少なからず聞かれる。

ただ、彼らが強く望むのはやはり『仕事が終わったらとっとと自宅に帰ること』である。」
 
 皆さんの周りに「さとり世代」はいますか。

4月から新入社員の育成がスタートします。
コミュニケーションに配慮しておこなってください。
                            (白石)


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 発行者  雇用システム研究所 
 代表 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
 アドレス:info@koyousystem.jp

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 今週のメールマガジン第132号はいかがだったでしょうか。  
お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。 
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次回の配信は5月初旬頃情報を送らせて頂きます。

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