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最新コア人材育成法(11)
     〜GE(ゼネラル・エレクトリック)の人材育成の舞台裏〜(下)

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
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                                2013/12/01

           http://www.koyousystem.jp
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 いよいよ師走。一年で最もあわただしい月となりました。

 皆様、いかがお過ごしでしょうか。

 雇用システム研究所メールマガジン第140号をお送りします。

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  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥
  
 ◆ 最新コア人材育成法(11)
〜GE(ゼネラル・エレクトリック)の人材育成の舞台裏〜(下)
  

  ■30代で数千人の会社の人事部長
  ■成績優秀者を夫婦同伴で豪華客船に招待
  ■徹底したトップダウンによる女性登用           
       
                       (以上執筆者 溝上 憲文)

  ■固まった国家戦略特区法案、施行間近か  

            (以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)

  ■[編集後記]               (編集長 白石 多賀子)

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◆最新コア人材育成法(11)
  〜GE(ゼネラル・エレクトリック)の人材育成の舞台裏〜(下)

 前回に引き続きGE日本法人の元人事部長の2人に聞いたGE式育成の現場の生の姿を紹介したい。
1人はGEキャピタルの人事部長だったA氏。
もう1人は金融部門の人事部長のB氏。

ともにジャック・ウェルチが社長時代に在籍していた。


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 ■■■ 30代で数千人の会社の人事部長 ■■■ 
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 米国のクロトンビルの選抜研修以外にも部門ごとにリーダーを育成する選抜型の
研修プログラムも用意されている。
例えば人事部門にはHRLP(ヒューマンリソース・リーダーシップ・プログラム)
があり、20代前半から後半の優秀な若手社員を世界中から選抜し、
アメリカで2年程度の研修を受講する。
座学と実践のトレーニングを経た後は、誰よりも早くマネージャーに抜擢される。

 その後は各事業会社の人事部門をローテーションで経験し、
30代の若さで数千人規模の企業の人事部門のトップに起用されることも珍しくない。
選抜・研修だけではなく、配置によって幹部を養成する明確な仕組みが存在するのも
GEの特色だ。

 もちろん、選抜人事だけではない。
普通の社員もキャリアアップのチャンスが与えられている。A氏は語る。

「GEでは、当然担当職務を決めますが、日本企業のように一つの仕事を極める
ことはなく、ローテーションでいろんな経験をさせる。
仕事ぶりを見て、この人を将来どういう方向に持っていこうかと真剣に考えることが
上司としての役割だと教えられています。
GEはビジネスの領域が広いので、たとえば100〜200人単位のビジネス部門の
管理全般を担当するミニ人事部長のようなポジションを与えて
成長させるようにしています」



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 ■■■ 成績優秀者を夫婦同伴で豪華客船に招待 ■■■ 
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 また、GEでは高い評価を受けた社員を褒め称える「褒賞と認知」を重視する。
社員を鼓舞し、モチベーションを高める仕組みが「ピナクル(頂点)」と呼ぶ
成績優秀者だけを招待する豪華なイベントだ。
B氏は約2週間のカリブ海クルーズに招待されたことがある。

「世界の優秀社員を毎年200人、夫婦同伴で招待され、2週間、豪華客船の旅を
しました。旅行業者に任せるのではなく、手作りの演出がすごいのです。

アメリカの有名なアーティストが毎日、船に乗り込んでくるなど、
サプライズの連続です。
毎晩パーティが開かれ、部屋に帰ると、豪華なギフトが置いてある。
どうしてそこまでお金をかけるのだろうというぐらい徹底していました」

 社員を褒め称えることの重要性は行動規範であるGEバリューの中にもある。
豪華イベント以外でも
「A評価を得た優秀な社員に対しては、たとえば豪華なランチやディナーに
招待することを人事評価のコーチングフィードバックのやり方の中にも書いてある」
(B氏)ように、ある意味で計算されたモチベート手法が世界の人事部にまで
徹底されている。

 A氏とB氏が共通に指摘するのは、人事制度に限らず、働き方を含めた
人事政策全般のグローバル基準の浸透とそのためのトップダウン型の指揮命令体制を
敷いていることだ。

GEバリューの浸透のための手法やトレーニング手法もすべてがパッケージ化され、
買収企業にも即応できる仕組みになっている。
どこの国のどんな企業を買収しても
「100日でGE化しろ、とウェルチは言っていたが、それが可能なほど完璧な
システムが構築されている」(B氏)という。

「GEは人事制度やコンプライアンスにしても非常に一貫性を持った考え方で
やっています。世界中でものすごい勢いで多くの会社を買収しているわけですから、
一つの統一した基準とプロセス、ポリシーが貫徹していないとバラバラになってしまう。

たとえば約束したことを果たす期日を守ることも一つの目標です。

こちらが途中で不可抗力があって間に合わないと言っても
『最初に期日をコミットしたのだから、それができなかったということは
フェイル(未達)だ』と言われます」(B氏)


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 ■■■ 徹底したトップダウンによる女性登用 ■■■ 
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 規格の標準化・厳格化とトップダウンの指揮命令方式は、
GEに限らずアメリカ企業の特徴の一つだ。A氏もその徹底ぶりに苦労した経験を持つ。

「ウェルチの方針でGE傘下の消費者金融2社を合併することになりました。

私の使命は合併化と200人の人員削減でした。
言われたのは『人数が欠けてはいけない、トラブルは絶対に起こすな』
というものです。当時は業績もよかったので手厚い退職パッケージを用意し、
GE化に反発している人を中心に退職勧奨したのです。

 その結果、退職に手を挙げた人が300人いました。
ところが本国は
『300人も辞めさせてどうするんだ。それではオペレーションが回らないだろう』と
言ってきました。その一方で、リストラ計画が始まると『今日は何人、辞めたのか』
と問い合わせがくるわけです。私としては、日々、現場で生身の人を相手にしています。

数あわせとは違うんだ、と何度もやりあいましたが、
その点はGEの非情なところでもあります」(A氏)

 トップダウン型の弊害もないわけではないが、もちろん強みも多い。
その一つが女性登用の推進だ。

「長崎のハウステンボスの大ホールで幹部会議を開催したときです。
アジアパシフィック地区のトップが壇上に立って
『君たちの周りに女性が何人いますか』といきなり聞くのです。
ほとんどが男性で女性は少なかったのです。

すると『今から2年以内に、ここに20%の女性がいるようにしてください』と、
具体的な数字を挙げて言うのです。
方針が決まった以上、達成できなければ、
人事部長や各部門の責任者は何をやっているんだ、
という話になります。その時はトップダウンで強制するのはどうかなと思ったのですが、
確かに男性と女性が同じ数だけいるのに、少ないのはおかしいのも事実。

採用時に女性の候補者を意識するようになり、
それ以降、女性の登用が進みました」(B氏)


 いうまでもなくグローバルトップの強い決断とトップダウンのオペレーションが
なければ、ダイバーシティのような文化の変革は進まない。
こうしたGEの仕組みがグローバル競争での成功につながっているのだろう。

人材活用を含めたグローバル展開のモデルを確立したGEに対抗できる仕組みを
日本企業ははたして構築できるのだろうか。         (溝上 憲文)

                                 
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 ■■■ 固まった国家戦略特区法案、施行間近か ■■■ 
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 前号でふれた「国家戦略特別区域法案」の内容が、11月5日に閣議決定され、
既に今臨時国会で衆院を通過し、会期中の成立が確実となったことから、
概要を補足しておく。

 法案成立後、公布日から直ちに施行され、
4月を超えない範囲内に国家戦略特別区域計画の認定等に関する規定と、
国家戦略特別区域計画に基づく事業に対する規制の特例措置等が施行される。

常識的には来年の通常国会で関連法案を改正し、新年度冒頭もしくは、
平成26年9月までには国家戦略特別区域が始動する。

 内閣総理大臣を議長とし、内閣官房長官、国家戦略特区担当大臣、総理が指定する
国務大臣、民間有識者で構成(必要に応じ関係大臣が参加)される
国家戦略特別区域諮問会議(内閣府に設置)の意見を聴いて策定された基本方針に
基づき、特別区域の指定と特別区域ごとの方針が決定される。

臨時国会会期中の特区法案の成立を待って、
12月中にも国家戦略特別区域諮問会議が創設され、議員の一人には、
小泉内閣での経済財政諮問会議を仕切った竹中平蔵慶応大学教授が内定しており、
他に学識経験者と経済人で構成される。

また、特別区域に関東と関西の首都圏が認定されることは確実と思われる。
特別区域ごとに、国家戦略特区担当大臣、関係地方公共団体の長、総理大臣が
選定した民間事業者(必要に応じ関係行政機関の長や区域計画等に関し密接な
関係を有する者を加えることができる)で構成される
国家戦略特別区域会議(通称・統合推進本部)の協力と合意による特別区域計画
が作成され、規制の特例措置が適用される。


 特区関連法案に盛り込まれた項目をみると、都市再生・まちづくりでは、
容積率・用途等土地利用規制の見直し、道路の占用基準の緩和、外国人の滞在施設
の旅館業法の適用除外、教育では公立学校運営の民間への開放、医療では病床規制
の特例による病床の新設・増床の容認、農業では農地の流動化を促進するための
農業委員会と市町村の事務分担、農業生産法人の要件緩和、が盛り込まれた。


 そして雇用では
@新規開業企業やグローバル企業等の投資促進のための雇用条件の明確化、
A柔軟で多様な働き方、事業単位での雇用促進のための有期雇用の特例が
 特区関連法案に盛り込まれた。

ただし、Aについては特別区域法案の施行期日(附則)の第2条第1項から
第3項までの関係項目として「検討」となっている。

つまり、施行期日は、平成19年に制定された労働契約法第18条第1項に規定する
通算契約期間の在り方と、期間の定めのある労働契約の締結時と期間の満了時等
において、労働法令の規定に違反する行為が生じないよう検討する必要がある
ことから、特別区域法案では

「厚生労働大臣は、この検討を行うに当たっては、
労働政策審議会の意見を聴き、必要な法律案を次期通常国会に選出することを
目指すもの」との文言が盛り込まれた。

労働分野における特別区域の規制緩和は全体の流れとは別に、
来年早々からの次期通常国会での審議次第では施行は遅れる可能性も
考えられるということ。

 @については特別区域法案第36条第2項において個別労働関係紛争の
未然防止等のための事業主に対する援助が雑則として盛り込まれ、
特別区域内において新たな事業所を設置して新たに労働者を雇い入れる
外国会社や、その他の事業主に対する情報の提供、相談及び助言は、
事業主の要請に応じて、個別労働関係紛争を未然に防止するため、
労働契約に関係する判例の分析と分類による雇用指針を国家戦略特別区域諮問会議
の意見を聴いたうえで作成し、
その指針に基づいて事業主に情報提供することになる。


 特別区域にどの地域が、地域は複数自治体の統合なのか、都道府県単位なのか、
法施行後の政令により指定される。

既に現存する構造改革特区との連携も不明確であるが、雇用分野にみる限り、
目的は非正規労働者の雇用流動化と雇用促進を意図していることは明らかである。
有期雇用の特例導入のため、2020年に開催が決定した東京オリンピックを例示し、
プロジェクトを実施する企業が、7年間限定で更新する代わりに
無期転換権を発生させることなく高い待遇を提示して優秀な人材を集めることは、
現行労働契約法上はできないことを導入根拠としてあげていることは、
この例示を思いついた涙ぐましい努力を良しとしておく。

 我が国唯一の労働分野シンクタンクと言ってもよい
労働政策研究・研修機構(菅野和夫理事長)が11月12日に公表した有期契約社員の
労働契約法改正(今年4月施行)後の対応を約7000企業からの回答によって分析
した結果をみると、労働者ではフルタイム労働契約者の38%、
パートタイム契約労働者の35%が
「対応方針は未定・分からない」と答えている一方で、
何らかの形で無期契約にしていく意向のある企業割合は、
フルタイム契約労働者に対しては42%、
パートタイム契約労働者に対しては35%になっている。

また無期契約にする意向を示した企業に対して、
決定(平成25年4月1日以降から5年を超えると転換権が発生)を上回る形で
無期契約や正社員に転換していく意向があるかを尋ねているが、
39%が「本人の希望があれば検討したい」と答え、
「既に対応を行っている」企業が16%の高率であった。

調査対象の規模別では、
50人未満が6.4%、
50〜99人36.9%、
100〜299人34.9%、
300〜999人12.7%、
1000人以上8%
となっていることから、規模別では現状を把握しているとは言えるが、
課題は俗に零細企業と言われる
30人未満規模で就業している非正規労働者の実態であろう。


 国家戦略特別区域の指定が現在起きている種々の労使関係紛争解決と
有期労働契約者の雇用不安解消に連携していけばよいが、過去、
大上段に振りかざしながら展開した国家プロジェクトのように、
単に屋上屋を架すことにならないよう期待したい。     (津山 勝四郎)


編┃集┃後┃記┃
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 古都京都と鎌倉の紅葉がきれいでした。
寺院に映える紅葉を見て心和むひとときを過ごしたのは久しぶりです。
やはり日本の四季はすばらしいです。

最近は、温暖化の影響で竜巻・暴風暴雨などの自然災害が突然襲いかかり
甚大な被害が発生しています。

果物や野菜の収穫の秋では、春4月の大雪に始まり、5〜6月の干魃、
2度の台風に加えて今月に入っての突風で惨憺たる1年だったと聞きました。

総務省が発表した7〜9月期の労働力調査によると、
非正規雇用で働く労働者が1,908万人となり、四半期ベースで集計を始めた
2002年以来の過去最高を更新しました。

しかし、雇用者数は増えましたが正社員数は減少しました。

特に、自動車や建設業を中心に非正規雇用が伸び、新車販売が好調なトヨタ
では期初に比べ6割増とのことです。

景気が回復して、より良い人材を確保するために賃金も上昇傾向にありますが、
景気回復の実感がない企業も多くあります。
これから、人事担当者は来春の賃上げ作業に入ります。
景気回復とはいえ安定しない経済の中では厳しい作業となるのでしょう。

 今年も残すところ1カ月となり慌ただしい日々となります。
 これから風邪やインフルエンザが流行りますので、
 皆様、呉々も健康管理にはお気をつけください。            (白石)




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 発行者  雇用システム研究所 
 代表 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
 アドレス:info@koyousystem.jp

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