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女性社員の活用と戦力化(1)
     〜失敗しないための女性管理職の中途採用術〜

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                             第141号
                                 2014/01/01

           http://www.koyousystem.jp
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 謹んで新春のご挨拶を申し上げます

 皆様、ご壮健でおだやかな正月をお迎えのことと存じます。

 雇用システム研究所メールマガジン第141号をお送りします。

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  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥
  
 ◆ 女性社員の活用と戦力化(1)失敗しないための女性管理職の中途採用術
  

  ■女性管理職の求人・求職数が急増
  ■面接の前にフォロワーをつけてチェックする
  ■問われる女性活用に対する経営者の覚悟           
       
                       (以上執筆者 溝上 憲文)

 ◆景気回復に国家予算は過去最大

  ■底辺の労働市場の実態は?  

            (以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)

  ■[編集後記]               (編集長 白石 多賀子)

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◆ 女性社員の活用と戦力化(1)失敗しないための女性管理職の中途採用術

 「女性管理職経験者求む」という依頼が人材紹介会社に殺到しているそうだ。
きっかけとなったのは、昨年4月の安部政権の経済界への要請だ。

「2020年30%の政府目標の達成に向けて全上場企業において積極的に
役員・管理職に女性を登用する」ことを要請した。

 労働力人口が減少する中で働く女性や管理職を増やそうというのはわかるが、政府が企業の人事施策まで口を出すのはどうかと思う。
女性社員が少ない、管理職候補者がいない企業にとっては、
中途採用が手っ取り早い方法であるが、意外に落とし穴も多い。


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 ■■■ 女性管理職の求人・求職数が急増 ■■■ 
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 中堅人材紹介会社には300〜500人規模の中企業から大企業まで業種を問わず
増えているという。
また、転職志望の女性も多く、登録者数も2014年4−9月期は前年比3倍の勢いで
伸びている。
求人企業の問い合わせの中には、自社に管理職候補者がいないので管理職経験者を
中途採用したい、あるいは過去に採用したが、うまくいかなかったのでどうしたら
よいかという相談も増えている。

 実際に女性管理職を中途採用してうまくいくのかという疑問も拭えない。
内部昇進制の強い日本企業で男性の中途採用者ですら「お手並み拝見」と周囲の
新奇な視線にさらされ緊張を強いられる。
ましてや男性優位の職場でリーダーとなる女性はなおさらだろう。

 失敗例で多いのは、人材紹介会社に依頼し、経歴や職歴など見た目の印象で
安易に決めてしまうパターンだ。
転職情報会社の役員は

「人材紹介会社はフィービジネスなのでどうしても採用してもらうために求職者の
見栄えの良さを強調する。しかし、どんなにすばらしい経歴の持ち主でも、
相手をよく吟味しないで採用すると、
結局、社風に合わないということで辞めていく」と指摘する。

 もう一つの失敗パターンは、自社に必要なスキルを持っているという点だけに
注目し、ピンポイントで採用してしまうこと。たとえば英語が堪能だとか、
進出先のブラジルでのビジネスを経験がある人、もっと細かいところでは、
アメリカで商標登録の経験がある法務に通じた人がほしいという依頼もあるという。

 確かにビジネスの変化が激しいので、即戦力がすぐにでもほしいという
気持ちはわかるが、
最後は「社風に合わないので辞めます」という結末を迎えることになるという。


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 ■■■ 面接の前にフォロワーをつけてチェックする ■■■ 
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 失敗しないためのチェックポイントとしては、まず本人がやりたいことは何か、
やれないことは何かを具体的に聞き出すことだという。
前出の役員は「なぜ、今までやりたいことができなかったのですか、
と対話をするような感覚でヒアリングすること。管理職を採用する以上、
本人の思いや価値観をいかに引き出すのか、ヒアリング力が決定的に重要になる」
と語る。

 その上でさらに重要なのが、最後までやり切る覚悟がある人かどうかを見抜く
ことだという。
外から会社に入ると、異質な人間と思われ、周りのプレッシャーを受ける。

それに耐えられるタフネスさを持ち合わせた人なのかどうかをチェックする。

 そのためには面接にじっくりと時間をかけることも大事であるが、
たとえば最終面接では社長、会長が登場すると、どうしても堅い雰囲気に
なりがちだ。
面接を受けるほうも良い点しか言わないだろうし、
本人の本音を引き出すことは難しい。

そのためいくつかの企業が実践しているのが、その人にふさわしい
女性の管理職をフォロワーとしてつける方法だ。

「面接前にフォロワーの女性とお茶を飲みながら、ざっくばらんにいろんな話をする。

本人の抱えている事情や思いを第三者的な立場で理解し、把握する。
本人にとってもフォロワーを通じてどんな会社なのかを知ることができ、
お互いにメリットがある。
そしてフォロワーの報告を踏まえて、面接し、お互いに納得がいくまで
話し込んで最終的に判断する」(役員)。


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 ■■■ 問われる女性活用に対する経営者の覚悟 ■■■ 
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 もちろん、入社後のフォローも欠かせない。
せっかく入社しても社風が合わないといって辞める人も少なくない。
それを防ぐには経営者自ら全面に立ち、経営者が後ろ盾となってサポートしていく
覚悟も求められる。
できれば部長クラスの採用は経営トップが自ら面接し、
会社をどのように変えたいのかを訴え、全面的な支援を約束することが必要だろう。

 しかし、本当に経営者はそんな覚悟を持っているのか。
役員の登用に関して、大手外資系企業の女性人事部長は
「日本の伝統的大企業の社長が経営の中枢を担う役員に本気で女性を据える覚悟が
あるとは思えない。
部長までならよいが、役員となると二の足を踏む経営者も少なくない」と語る。

 じつは彼女も転職組だ。

彼女が転職先を選ぶ基準は、自分にとってチャレンジする価値がある、
自分の経験が貢献できるかの2つ。
彼女の得意分野は戦略人事だ。
そして経営者とのインタビューを何より大事にしている。

「ビジネスを変えたい、そのために人事の仕組みを変えたいと言っても、
どこまで本気かわからない。具体的にどうしたいのか突っ込んで聞かないと
やるべき仕事が見えてこない。経営者がビジネスの方向性を変えるのであれば、
当然人事戦略も変わる。
新たな分野に打って出る場合、必要なスキルを持った人を育てるのか、
あえて違う血を外から入れるのか、そのための報酬の仕組みをどう変えるのかを
考えないといけない。
さらに社員の活躍を促すためにマネージャーが果たす役割を再定義し、
時代遅れの仕組みを捨てつつ、組織や働き方の文化を創っていく発想も必要になる。
そこまでの覚悟を経営者が持っているかどうかを確認するようにしている」

 女性の活用も彼女が言う組織や働き方の文化の創造に匹敵する改革だ。
2014年は外国人の採用を含めた人材のグローバル化と並んで女性活用のあり方が
問われる年になりそうだ。

組織の風土や文化を変えるダイバーシティをどのように推進していくのか、
経営者の覚悟も問われている。             (溝上 憲文)

                            
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◆ 景気回復に国家予算は過去最大

 政府が昨年12月21日に閣議了解した平成26年度の経済見通しによると、
名目国内総生産(GDP)が、リーマン・ショック前の平成19年度以来、
7年ぶりに500兆円に達することが確実になった。

4月からの消費税増税により一時的に成長が落ち込むものの、
1月からの通常国会早々で成立する補正予算案に盛り込まれた経済対策により、
成長率は物価変動を除く実質で1.4%程度、名目で3.3%を見込んでいる。

 また、同じく12月24日に閣議決定された平成26年度予算案における一般会計の総額は、

社会保障費や公共事業における予算増により、
今年度予算当初を約3兆2700億円上回り、過去最大となる95兆8800億円を計上する。

 歳入は消費税増税や法人税収の増加で、全体の税収が今年度を約7兆円上回る
50兆円程度と、7年ぶりの高水準となることから新規国債発行額は前年度当初比
約1兆6000億円減の41兆3000億円程度に減少する。

 12月20日に開かれた政労使会見では、今年4月からの具体的な賃上げ率こそ
合意に到らなかったものの、経営側は定期昇給と賃金の底上げ(ベア)にも賛意を
示しており、2月からの春闘はあわせて2.5%前後の賃上げ交渉になるものと思われる。

 新年第1号ということで、冒頭では明るい話題を提供したが、ここからは、
日本全体の景気上昇と賃上げの影響が届かない労働市場をとりあげてみる。

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 ■■■ 底辺の労働市場の実態は? ■■■ 
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 厚生労働省が昨年12月17日に公表した若者の「使い捨て」が疑われる企業等への
重点監督の実施状況によると、重点監督を実施した企業5111事業場のうち、
何らかの労働基準法関係法令違反があり
是正勧告を行った事業場は4189事業場(82.0%)で、
内訳は違法な時間外労働があったのが2241事業場(43.8%)、
残業させて賃金不払いがあった事業場が1221事業場(23.9%)で、
時間外労働に関する法令違反が67.7%に達し、
1カ月の時間外・休日労働時間が80時間超の事業場が24.1%、
100時間を超える事業場が14.3%という実態であった。

 公表された指導事例をみると、
(1)正社員の7割程度を占める係長職以上の労働者(半数程度が20歳代)を、
 いわゆる名ばかり管理監督者として割増賃金を支払っていない、
(2)営業成績等により基本給を減額している、
(3)割増賃金の単価計算において、算入すべき手当を算入せず、
 割増賃金の単価を低く設定していたばかりか、タイムカードと残業申請の記録に
 大幅な乖離が生じていた、

そしてさらに悪質な例は

(4)定期賃金を約8カ月間も一部しか支払われず、申告した労働者以外の
 労働者・元労働者に対しても、最大約11カ月間の定期賃金不払いがあった、

などの事例が紹介されている。

 長時間の時間外労働そのものは、現行の労働基準法に則り、割増賃金が払われており、
対象労働者の健康確保が担保されておれば、労働者自身の生活保障が現実として
時間外労働手当を計算しての賃金であることから否定はできない。

だが、労働者の多くが労働基準法、労働契約法などに関する労働者の知識不足であり、
ここに付込む手段は是認できない。

 今回の調査対象の基礎データとなった厚生労働省が行った電話相談の結果によると、

相談の対象となった労働者が勤務する事業場の規模は、
10人未満11.6%、
10〜29人20.0%で3割を占め、
300人以上の大企業でも7.4%となっている。

大企業の相談は“追い出し部屋”とパワーハラスメントを訴える労働者からである。

 東京都産業労働局が平成25年度上半期の労働相談内容をまとめているが、
ここでも賃金不払いに関する相談が前年度を上回り8.3%となっており、
非正規労働者からの相談件数は31.8%である。前出の厚生労働省が行った
無料電話相談では相談の対象となった非正規労働者の雇用形態は、
期間契約、パート・アルバイト、派遣、その他で2割強でしかない。

このデータの違いは、労働市場の実態は、国の電話相談事業が実態を現していない
事例であろう。そもそも国が電話相談を“無料”と打つこと自体おかしい。
当り前である。

 もう一つの調査がある。

 埼玉労働局が平成25年度上半期の個別労働紛争解決制度の利用状況をまとめている。

この制度は労使間の民事上の自主的解決を図る制度であるが、個別労働紛争のうち、
いじめ・嫌がらせが19.3%と最も多く、
次いで解雇が13.7%、
労働条件の引下げ12.2%、
退職勧奨10.2%となっている。

埼玉労働局所轄の労働基準監督署における相談からの集計である。

 景気回復は着実に足元にきている。
その結果として、大企業を中心に賃上げは行われるだろう。
だが、労働組合のない企業や、会社経営を経営者の独断で進める企業、
企業高収益の影での労働者の就労条件の悪化、外資系企業における不当な労働条件、
これらに労働者の権利保護を主張する大手労働組合(連合、全労連など)を
応えているだろうか。
賃上げは実現できたが、労働組合とは遠い存在である個別労働者の労働条件は
何も変わっていない現実は聞こえないということでは、労働組合の存在そのものが
問われることになる。

 厚生労働省は昨年12月24日に閣議決定された平成26年度予算案において、
国家戦略特区における新規開業直後の企業とグローバル企業が日本の雇用ルールを
理解し、予見可能性を高めるための裁判例の分析や類型化した「雇用ガイドライン」
を活用した情報提供、相談・助言などの援助を行う「雇用労働相談センター(仮称)」

の設置に5億円、若者の「使い捨て」が疑われる企業への対応策の強化として
18億円計上し、夜間・休日に相談を受ける
「労働条件相談ダイヤル」の設置や、わかものハローワークなどへの在職者向け
相談窓口の設置により相談体制を強化するとともに、
「労働条件ポータルサイト」の開設や、大学等でのセミナーを全国で開設する
ことで労働関係法令等の情報発信を行う事業を展開していく。

首尾を見守りたい。             (津山 勝四郎)


編┃集┃後┃記┃
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 明けましておめでとうございます。
 午年の今年は、皆様のさらなる飛躍を祈念申し上げます。

 今年も労働契約法、労働者派遣法、雇用保険法等の改正が予定されており
目まぐるしくなりそうです。

 昨年の景気回復から国民の消費も高まり日本経済の隅々まで広がり、
中小企業にも景況感が大幅に改善されるようです。
ちょっと心配するのは4月から消費税が8%に引き上げられることです。

 厚生労働省は2014年度から、若者を使い捨てる「ブラック企業」の物差し
として、大学生等を採用する企業に3年以内の「採用者数」「離職者数」の
公表を求めます。

また、昨年の調査結果から法令を無視して若者らに過酷な労働を強いる
「ブラック企業」のうち、労働基準監督署の指導に応じなければ送検を
視野にしています。

 内閣府調査では、
「夜遅くまで残業している社員は頑張っている人だ。」と
イメージを持っている上司の下では、部下が長時間労働する傾向が
あるとのことです。

長時間労働は、脳・心臓疾患や精神障害の要因となります。
今年は企業風土を変え、社員が安心して働ける環境づくりをしましょう。


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 発行者  雇用システム研究所 
 代表 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
 アドレス:info@koyousystem.jp

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お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。 
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