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女性の活躍推進に向けた企業の取り組み(4)

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┏━━┓    
┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第157号
                              2015/05/01

           http://www.koyousystem.jp
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新緑がまぶしい季節となりました。いかがお過ごしでしょうか。
皆様お元気でお過ごしでしょうか

雇用システム研究所メールマガジン第157号をお送りします。

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□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆女性の活躍推進に向けた企業の取り組み(4)
   〜富士ゼロックス首都圏の取り組み〜

■係長相当職は12.7%、課長相当職5.2%
■100%職場復帰。課長登用者の3割が女性
■働き方を選べる営業職女性の職務開発に注力
(以上執筆者 溝上 憲文)


◆ストレスチェックの運用方法決定

■事業者に毎年1回の定期検査実施・報告の義務
■衛生委員会などで調査・審議・規定
(以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)

■[編集後記] (編集長 白石 多賀子)

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◆女性の活躍推進に向けた企業の取り組み(4)
   〜富士ゼロックス首都圏の取り組み〜

 官民を挙げた女性の活躍推進の取り組みが本格化している。
政府は女性の活躍推進を最重要課題と位置づけ、
「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%」の実現に向け、今通常国会に
「女性活躍推進法案」を提出している。しかし、企業の現場では制度の充実だけで
は進まない女性の意識や育成を担当する男性管理職の意識改革など重い課題が
立ちふさがっている。今回は富士ゼロックス首都圏の取り組みを紹介したい。

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■■■ 係長相当職は12.7%、課長相当職5.2% ■■■
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 クレディセゾンは女性の採用比率が高く、常に60%〜70%で推移している。
 富士ゼロックスグループの富士ゼロックス首都圏はブロックの統括会社として
エリア内に東京、多摩、神奈川の3社を抱えている。
4社合同の「ダイバーシティ推進委員会」を2012年10月に設置。
メンバーは各社の社員主体で構成し、両立支援や女性の活躍推進に向けた活動を
人事部と連携しながら展開している。

 推進委員会は主に提言や意識啓発のためのイベントなどを開催し、人事部が提
言の具現化を図るなど2軸で推進している。

同社の職種は営業、CE(カスタマーエンジニア)、SE(システムエンジニア)、
スタッフの4つに分かれるが、営業職の女性比率は年々高まっている。
富士ゼロックス東京の社員は約1900人。
女性比率は約19%。
営業職に占める女性比率は26%と高い。

同社の課長相当職に占める女性比率は5.2%、部長相当職20.0%。
また管理職予備軍の係長相当職は12.7%となっている。

 2013年には各社のトップがダイバーシティ宣言を行い、社内報に定期的に掲載
した。また、厚生労働省のポジティブアクションサイトの「女性の活躍推進宣言
コーナーに4社トップが登録し、全社的な推進を内外にアピールした。


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■■■ 100%職場復帰。課長登用者の3割が女性 ■■■
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 推進委員会の第1期目では5つの提言をまとめた。女性の活躍推進支援策の作
成、育児・介護休職者復帰プログラムの作成、
育MENの働き方提案、新しい働き方の提案など多岐にわたっている。
2014年から第2期目からはイベントを通じた啓発活動を展開し、徐々に社員に浸
透し始めている。
新規採用数も女性が半分を占める。

 同社の人事担当者は
「今では結婚や出産を機に辞める女性はほとんどいないし、100%職場復帰して
いる。若手の社員が育ち、管理職一歩手前の層も増えており、たとえば15人の課
長登用者のうち女性が5人以上占めることもある。
経営会議でも今期は女性を何人上げられるのかという会話も行われるようにな
り、トップの意識も変わってきている」と語る。

 ただし、女性の活躍を促すには意識を含めた働き方改革も重要だ。
とくに「20代後半から30代の女性社員の価値観や希望する働き方と制度をどう
マッチングさせるかも重要」と指摘する。


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■■■ 働き方を選べる営業職女性の職務開発に注力 ■■■
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 たとえば富士ゼロックス東京では営業職の働き方として独自の取り組みを実施
している。顧客を相手にする営業職は拘束される時間も長く、出産・子育てで
キャリアを中断せざるをえないという問題を抱えていた。そこで直接顧客を担当
しないスーパーバイザー(SV)という若手の指導や実務をサポートする職務を
作った。顧客を担当しないので自分の裁量で時間をコントロールできるために両
立が可能だ。

 人事担当者は
「優秀な営業職の女性が子育てで仕事が続けられないというときに、こんな仕事
ならできるのではないかということで自然発生的にSVの仕事が生まれた。
今では提案の立案や若手と商談に参加するなど重要な役割を担っており、マネー
ジャーに進むこともできる。
以前はキャリアパスが見えないという悩みを抱えている女性も少なくなかった
が、SVの役割を担うことでキャリアを中断することなく継続できている」と語る。

 CVは若手社員の悩み事のなどの相談や時短で早く帰る社員の実務処理のサポー
トも担当するなど幅広く活躍している。

 また、同社にはe−セールスと呼ぶ営業部隊もある。営業職と連携した電話の
アポイント業務が主であるが、時短勤務者も多く、それぞれが分担しながら業務
をこなしている。

「職場には派遣や契約社員もいるが、子育て中の女性も多い。時短勤務者が多け
れば職場内の摩擦も起こりにくいと考えた。各自が曜日ごとに決めた時間に出社
し、退社するが、全員が揃うのが11時。午後3時頃から退社しはじめる。時間内
に企画や営業活動し、クロージングまで行う人もおり、実績しだいでe-セールス
部門のマネージャーの道も開かれている」(人事担当者)

 育児休業後は現職復帰が原則であるが、本人の希望でe-セールス部門で働くこ
とも選択肢として用意している。
営業職の女性管理職をいかに増やすかが多くの企業の課題になっている。
女性の置かれた環境や働き方を開発することでモチベーションの向上にもつなが
る。同社の課長の平均昇進年齢は30代後半以降と比較的遅い。

それぞれの事情を抱え、時間に制約がある社員が働きやすい職務を積極的に開発
していくことが管理職候補者の醸成にもつながるだろう。
  (溝上 憲文)

                            
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〜 ストレスチェックの運用方法決定 〜

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 昨年6月26日に公布された労働安全衛生法の一部を改正する法律により、新た
に設けられた「ストレスチェック制度」が今年12月1日から施行されることに伴
い、厚生労働省は4月15日、制度の具体的な内容や運用方法を定めた省令を公布
するとともに、告示、心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の
実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき指針を定めて公表した(専門
委員会の報告は昨年の10月1日付、第150号で既報)。

 省令はストレスチェックの実施頻度、検査すべき三つの領域、ストレスチェッ
クの実施者となれる者、結果の記録の作成、保存方法、一定規模の集団ごとの集
計・分析、ストレスチェックの結果に基づく医師による面接指導の実施方法、労
働基準監督署への実施状況に関する定期報告などについて定めている。
告示はストレスチェックの実施者となれる者のうち、看護師、精神保健福祉士が
修了すべき厚生労働大臣が定める研修の科目、時間を定めており、指針は衛生委
員会の役割、ストレスチェックに用いる調査票、高ストレス者の選定方法、結果
の通知方法と通知後の対応、面接指導結果に基づく就業上の措置に関する留意事
項、集団ごとの集計・分析結果の活用方法、労働者に対する不利益取り扱いの防
止、労働者の健康保護などについて定めている。

 以下、省令、告示、指針の内容を詳しく記する。


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■■■ 事業者に毎年1回の定期検査実施・報告の義務 ■■■
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 省令の内容はまず産業医の職務について、
「ストレスチェックの実施」、
「ストレスチェックの結果に基づく面接指導の実施」、
「面接指導の結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること」を
追加している。次に検査の実施などに係る規程を整備し、

(1)事業者は、常時使用する労働者に対して、職場におけるストレスの原因に
関する項目、ストレスによる心身の自覚症状に関する項目、職場における他の労
働者による支援に関する項目について、毎年1回定期的に検査を行わなければな
らない。

(2)検査の実施者は、医師又は保健師のほか、厚生労働大臣が定める一定の研
修を修了した看護師または精神保健福祉士とする。ただし、検査を受ける労働者
について、解雇などの直接的な人事権を持つ監督者は、検査の実施事務の従事し
てはならない。

(3)事業者は、労働者の同意を得て、検査の結果を把握した場合、この結果の
記録を作成し、5年間保存しなければならない。それ以外の場合は、事業者は、
検査を行った実施者による検査結果の記録の作成、検査の実施の事務に従事した
者による記録の保存が適切に行われるよう、必要な措置を講じなければならない。

(4)検査結果は、検査の実施者から、遅滞なく労働者に通知しなければならない。

(5)検査の実施者が、検査結果を事業者に提供することについて、労働者から
同意を得る場合は、書面または電磁的記録によるものでなければならない。

 検査結果の集団ごとの分析に係る規定の整備では、事業者は、実施者に、検査
の結果を一定規模の集団ごとに集計させ、その結果について分析させることを努
力義務とするとともに、この分析結果を勘案し、必要と認められる場合は、その
集団の労働者の実情を考慮して、この集団の労働者の心理的な負担を軽減するた
め、適切な措置を講ずるよう努めなければならない。

 さらに検査結果に基づく面接指導の実施などに係る規定の整備では、面接指導
の対象となる労働者の要件として、「検査の結果、ストレスの程度が高い者」
で、「検査を行った実施者が面接指導の実施が必要と認めた場合」とし、労働者
が検査結果の通知を受けた後、面接指導の申し出を遅滞なく行うとともに、事業
者は、労働者から申し出があった場合は、遅滞なく面接指導を実施し、面接指導
の実施者は、対象となる要件に該当する労働者に対して、面接指導の申し出を行
うよう勧奨することができることになる。

 その他、医師が面接指導を行うにあたっては、労働者の勤務状況や心理的な負
担の状況の確認、事業者に対しては、面接指導の結果の記録の作成と5年間の保
存、面接指導を行った医師からの意見聴取を遅滞なく行うこと、なども規定され
ている。

 常時50人以上の労働者を使用する事業者に対しては、検査、面接指導の実施状
況などについて、毎年1回定期的に、所轄労働基準監督署長に報告しなければな
らない。

 ストレスチェックの実施者に関し厚生労働大臣が定める研修に関する告示は、
実施者のうち、看護師または精神保健福祉士についての研修として、労働者の健
康管理2時間、事業場におけるメンタルヘルス対策1.5時間、事業場における労働
者の健康保持の増進を図るための労働者個人、労働者の集団に対する支援の方法
1.5時間、が必要な能力を有する講師により行われることを義務づけ、研修の実
施についてのその他の必要な事項は厚生労働省労働基準局長が定めることになる。


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■■■ 衛生委員会などで調査・審議・規定 ■■■
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 事業者が講ずべき措置に関する指針は、まず基本的考え方として、労働者のメ
ンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)を目的として、事業場における総合的
な取組みとして位置づけることが望ましいとし、実施体制・実施方法、不利益取
扱いの防止などの事項を、総括安全衛生管理者、衛生管理者、産業医などで構成
される衛生委員会などで調査・審議し、その結果を踏まえて規程を定めることに
なる。

 ストレスチェックに用いる調査票は、現行の「職業性ストレス簡易調査票」
(57項目)を用い、心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目の評価点数
の高い者などを高ストレス者として選定し、医師による面接指導が必要とされた
者に対して、実施者が申し出の勧奨を行うとともに、結果の通知を受けた労働者
が相談しやすい環境を作るため、保健師・看護師または心理職が相談対応を行う
体制を整備することが望ましいとしている。

 事業者にとってここからが課題だが、面接指導の結果に基づく就業上の措置を
決定する場合には、その労働者の了解が得られるよう努めるとともに、不利益取
扱いにならないよう留意しなければならない。不利益取扱いについては、ストレ
スチェックを受けないこと、結果の提供に同意しないこと、医師の意見を勘案
し、必要と認められる範囲内になっているもの、面接指導の結果などによる不利
益取扱いの防止をあげ、ストレスチェックの実施前または実施時に、事業者への
結果提供に関する労働者の同意の取得を禁止し、同意を取得する場合は結果通知
後に個別に取得しなければならないとしている。

また、集団ごとに集計・分析の単位が10人を下回る場合には、全ての労働者の同
意を取得しない限り、事業者に結果を提供してはならないとして、実施者にも規
制をかけている。

 ストレスチェックを受けた労働者の面接指導の結果が、労働者の知らないとこ
ろで、事業者に筒抜けになっているということでは、折角の制度が画餅に終わる
ことになる。なお、指針の全文は厚生労働省ホームページに掲載されている。

 厚生労働省は平成27年度地方労働行政運営方針において、働き方改革の実現を
掲げ、長時間労働対策を強化するとともに、企業等における長時間労働が是正さ
れるよう、監督指導の充実強化を行い、法違反の疑いがある企業等に対する監督
指導の徹底を重点対策としている。東京労働局も時間外労働時間数が1ヶ月あた
り100時間を超えていると考えられる事業場や長時間にわたる過重な労働による
過労死等に係る労災請求が行われた事業場に対して重点的な監督指導の実施と、
長時間労働、賃金不払残業などに関する投書等の情報提供についても、内容精査
の上での対応も重点対策としてあげている。ただ、実行するには、労働基準監督
官の員数があまりにも少なすぎる。全省の定削を一律にかけている結果である。

                           (津山 勝四郎)


編┃集┃後┃記┃
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 花水木の花が満開です。

 皆様、ゴールデンウィークです。
ゴールデンウィーク中は日頃の疲れを癒すために旅行ですか、家族サービスで
しょうか。もしかしてお仕事かもしれませんね。

 信州大学学長が入学式で「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」
の挨拶が話題となりました。

 「スマホのスイッチを切って本を読み、友達と話し、自分で考えることを習慣
づける」ことを求めました。

 今や、スマホは便利なツールですが、
もっと本を読まなければと反省しました。

話し言葉や文章構成等はコミュニケーションの基本です。
読書量が多いほど、言葉が豊富になり文章構成も学べます。
 
 3月から政府はタレントを活用して「マイナンバー制度」のCM等を開始しま
した。
 CMや新聞記事から企業の関心が高まり、対応策の質問をされることが増えて
きました。

 日経BP社等のマイナンバー制度の対応状況の調査(3月時点)では、
社内システムの改修等の対応済み企業が17%にとどまっているとのことです。
私達、社会保険労務士は大手企業並みのマイナンバー管理体制が求められます。
当所もマイナンバー対応を着実に進めています。

しかし、まだまだガイドライン等が二転三転する状況ですので安心はできません。

 気候の変動が激しい昨今、五月晴れの心地よい日々が過ごせることを祈るばか
りです。
                               (白石)



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発行者 雇用システム研究所
代表 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp

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今週のメールマガジン第157号はいかがだったでしょうか。
お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。
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