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英語力重視の人事管理の矛盾
〜社員間の軋轢を生み、モチベーションへの影響も〜

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第163号
                              2015/11/01

           http://www.koyousystem.jp
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吹く風が冷たく感じるようになりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第163号をお送りします。

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□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆英語力重視の人事管理の矛盾
  〜社員間の軋轢を生み、モチベーションへの影響も〜

■外国人社員の増加で英語力が必須に
■TOEICの点数が昇進や給与に影響
■英語が不得手の生え抜き社員と新世代社員の衝突
(以上執筆者 溝上 憲文)


■日本の賃金は上がっているのか?
■連合新執行部への期待
(以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)

■[編集後記] (編集長 白石 多賀子)

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◆英語力重視の人事管理の矛盾
   〜社員間の軋轢を生み、モチベーションへの影響も〜

 グローバルに事業を展開する企業を中心に社員の英語力強化に取り組む企業が
増えている。新卒採用の要件にTOEIC(国際コミュニケーション英語能力テ
スト)の一定の点数を課す企業も多い。例えばコニカミノルタは応募資格に
「TOEIC600点(事務系職種は730点)相当が望ましい」としている。
さらに全社的に英語の公用語化を打ち出す企業もあれば、海外と関係する部署に
限定した公用語化に踏み切る企業も増えている。

 そんな企業や部署では社内資料や会議での議論が英語に置き換わるだけではな
い。英語の得手、不得手が昇給・昇進を左右し、採用では英語を得意とする外国
人が大量に入社してくる。職場では今、どんな変化が起きているのか


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■■■ 外国人社員の増加で英語力が必須に ■■■
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 1999年にルノーと経営統合した日産自動車のグローバル本社には200人超、30
カ国の外国人が常駐し、英語ができないと仕事にならない状態にある。本社勤務
の女性社員は「外国人の課長クラスは珍しくない。上司が外国人なら資料も会議
もすべて英語。ただし、日本人同士もしくは日本語が話せる外国人であれば会議
は日本語でやるし、一人でも日本語がわからない人がいれば英語を使うなどメリ
ハリをつけている」と語る。

 もはや日産には英語が不得手という日本人はいないという。「人事評価に英語
でしっかりとコミュニケーションできるという項目がある。管理職以上になると
流暢でなくても、会議で何を言っているかを理解し、ちゃんと自分の意志を伝え
る人しか残っていない」と指摘する。

 日産だけではない。英語化の波は海外事業の拡大を狙う製薬企業にも押し寄せ
ている。大手製薬会社の30代半ばの男性社員は「英語が必要になったのはこの半
年、1年の間。世界の拠点に横串を刺した機能別組織に変わり、自分の上司は海
外にいる。同時に日本語ができない外国人も積極的に採用し、今では部門のトッ
プをはじめ幹部社員の半分近くが外国人。だから偉くなるには英語は必須。
なぜなら海外の社員のマネジメントもする必要があり、必然的に英語ができない
と昇進候補から外れることになる」と語る。

 すでに本社の中途採用は英語できることがマストになっている。もちろん製薬
会社なので営業担当のMR(医薬情報担当者)やR&D(研究・開発)部門には
英語ができない社員が大勢いる。MR一筋で生きる人には英語は必要ないが、
キャリアアップし、本社の仕事をしたいなら英語力が問われる。


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■■■ TOEICの点数が昇進や給与に影響 ■■■
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 強まる英語化の圧力の中で中堅層の間には必死に英語を勉強している人もいる
が「何を言っているのかさっぱりわからん、俺は英語は喋らない」という社員も
いるという。「今はよくても、外国人上司や新卒の部下がいつ入ってくるとも限
らない。君は英語ができないから別の部署に行ってくれという言われることもあ
り得る」(男性社員)と予測する。

 すでに人事評価システムもグローバル共通で行われている。上司が外国人なら
「目標設定や評価面談シートもヒーヒー言いながら英語で書くことになり、上司
に英語で説明できなければ評価も下がることになる。経営陣は外国人が増えるこ
とで苦労する社員のことを何とも思っていない。表だって口に出す人はいないが
『なんてことをしたんだ』と思っている人はいるはず」(男性社員)と不満を口
にする。

 海外関係部署に限定した公用語化ならまだしも全社的英語公用語化を打ち出し
た企業で最も影響を受けるのは国内部門の社員だ。
大手企業の営業部門の男性社員は
「もともとバリバリの体育会系出身者が多い会社。
『えっ、全員英語やるの』と皆が驚いた。

『入社時に英語が条件となっていなかった。約束が違うじゃないか』
『英語で受験したのは15年前なんだけど』という声が上がった」と語る。

 社員全員がTOEICを受験し、部署ごとの平均目標点数の設定に始まり、
かつ個人の社内資格ごとに到達点数が設定された。
クリアできなければ降格・減給処分という厳しい措置も断行されたという。
「目標をクリアしないと降格して給与も10%カットされる。
さらにスタート後も半年ごとに目標点数が上がっていく。
降格されないギリギリのラインを維持するために必死に勉強した」
(男性社員)と語る。

 トップの成績を上げていても英語ができる2番手の社員が昇格することが結構
あったという。だが、TOEICの点数をクリアしても必ずしも英語が話せるわ
けではない。たとえ日本人同士の会議であっても英語で議論することが求められ
るが「英語でやると皆黙ってしまう。報告的な会議は英語でやり、マネージャー
が参加する小さな会議は日本語でやらざるをえない」(男性社員)そうだ。


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■■■ 英語が不得手の生え抜き社員と新世代社員の衝突 ■■■
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 また、公用語化に踏み切った別の大手企業の女性社員は「目標の点数をクリア
するまでオンライン学習が義務づけられ、実際にやっているかもモニタリングも
された。文書の日英併記などの業務もあり、効率のダウンは必ず発生する。多く
を占める支店の従業員は英語力を求められるのは予想外だし、日常業務で使うこ
とはないのでそれが嫌で辞めた人もいる」と語る。

 公用語化はまさに従来の企業風土を一新する革命的変化をもたらす。英語が得
意ではない生え抜きの日本人社員、英語もできる新卒・中途採用の新世代の社
員、日本語力が乏しい外国人社員――の3種類の社員の間で縄張り争いなど様々な
摩擦や軋轢も生まれやすい。

 中途入社した留学経験のある女性社員は入社1年目。営業終了後に直帰したと
ころ翌日上司に呼ばれて「○○さん知ってる?ここは日本なの。直行直帰ってあり
得ない」と嫌みを言われたという。

 あるいは新卒入社のアメリカ人女性に上司が「明日大事な取引先が来るので手
作りのケーキを作ってきて」と依頼した。ケーキ作りが趣味であることを上司が
知っていたからだが、女性は「私はそのために入社したわけではない」と反論
し、揉めたという。女性社員は日本人の感覚なら、わかりましたと言うかもしれ
ないが、海外で育った人は雇用契約に入っていない仕事を強要されたと考える文
化の違いが摩擦を生んでいると指摘する。

 女性社員は「言葉の問題以前に日本人以外の考え方を理解しようとしないこと
が問題。相手の国の文化、習慣を知ろうとしないで日本流を押しつけ、それが出
来なければだめな社員という烙印を押してしまう。そこがぶつかる原因になって
いる」と指摘する。

 社員の英語力強化はトップの強いリーダーシップなしには進まない。しかし、
一気に画一的に推進しようとすれば、現場の混乱も生じ、生産性やモチベーショ
ンにも悪影響を与える。
英語力は不可避であるとしても、社員の年齢構成を踏まえて必要な部署から漸次
的に進めるなど慎重な配慮も必要だろう。          (溝上 憲文)



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■■■ 日本の賃金は上がっているのか? ■■■
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 厚生労働省が10月22日に公表した平成27年8月の月間現金給与額の集計(確
報、事業所規模5人以上)によると、現金給与総額は調査産業計で27万1913円、
前年比0.4%増、事業所規模30人以上では29万8598円で同じく0.4%増となっている。

一方、時系列による賃金指数をみると、平成22年平均を100とした場合、平成
26年が前年比0.4%増ながら98.9、規模30人以上でも前年比0.9%増で99.9、月別に
みると、賞与が支給された6月、7月を除いて、平成27年は各月共に対前年比80%
台(規模30人以上も同様)となっている。過去2年の政府主導による賃上げに
よって、対前年比マイナスこそなくなっているが、現金給与総額は依然と平成22
年の水準に達していないことになる。

 さらに時系列による実質賃金指数(名目賃金指数を消費者物価指数で除する)
でみると、平成22年平均を100とした場合、平成26年は対前年比2.8%減の95.5、
平成27年を月別に入ると各月ともに80台の前半(規模30人以上では70台も)と
なっている。

 一般に賃金上昇と物価上昇が同じ報道でふれられることが少なく、そこで人間
の脳回路が連携しなくなり、賃金は賃金、物価は物価と考えていくことになる。
賃金は安倍政権になって確かに名目上は上昇した。だが消費税アップを主因とし
て物価も上昇した。また円安主導による輸出産業の経営改善は法人税の増収をも
たらし、政府はかつての全盛時代に匹敵すべく予算の大盤振舞いを模索してい
る。実質賃金指数がいつまでも上昇しない現状、特に消費税アップと輸入製品の
価格上昇が真綿のように国民生活を圧迫してきている。一億総活躍の前に、まず
一億生活総改善が打ち出されるべきであろう。


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■■■ 連合新執行部への期待 ■■■
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かつて春闘において、労働者の賃金交渉に大きな影響力を発揮した連合が、
6年ぶりの執行部交替となる10月22日の中央執行委員会で神津里季生会長、
逢見直人事務局長の下、2016春闘方針を発表した。

 方針の基本的な考え方は、
(1)デフレからの脱却と経済の好循環の実現、
(2)底上げ・底支え、格差是正に寄与する取組み、
(3)超少子高齢化・人口減少社会を踏まえた働き方と処遇のあり方の見直し、
(4)情報開示の徹底と交渉力の強化、
(5)政策・制度実現と労働条件改善の取組みを両輪として運動を進める、の5項目
を掲げている。

具体的要求としては、賃金関連では中小企業の賃金引上げ要求の目安として
1万0500円以上(賃金カーブ維持相当分4500円)、非正規労働者については
「誰もが時給1000円」の実現を目指すため時給引上げの目安を37円としつつ、
賃金水準の上げ幅のみならず、「賃金水準の絶対値」にこだわる取組みを進める
としている。

またワーク・ライフ・バランス推進として、36協定の特別条項の上限を750時間
とし、限りなく360時間に近づける、現在は適用猶予となっている中小企業にお
ける月60時間を超える割増賃金率を50%以上に引上げる、勤務間インターバル規
制(原則11時間)を導入する、なども要求項目としている。

中央執行委員会の翌日の各紙報道は案の定、連合に厳しく、特に朝日新聞の論
調が「存在価値が薄い」と切って捨てているのが印象に残った。
新執行部顔見せのレセプションでも、厚生労働省が政府代表として政務官しか出
席させなかったため、会場の連合関係者からは大きな不満が湧出していた。
組閣の日であったにせよ、政務官とはあまりにも軽んじているのでは、という本
音である。
 
過去2年の春闘における賃上げ実績を、連合の力と評価する人は殆どいないだろ
う。筆者もたまたまその日の夜に厚労省OBと連合OBが集まる私的交流会に参加し
ていたが、政労会見を中断している官邸の姿勢への批判は強かった。国民が連合
を批判するのは自由だし、報道も自由である。だが、仮にこの国に労働運動や労
働組合を支援するナショナルセンターがない場合の国のあり方を考えておかねば
ならない。学者や評論家だけでは国民の良心を代弁する力にはならないからである。

 国会に眼を向ける。臨時国会は開かれそうもなく(10月27日現在)、通常国会
で継続審議となった改正労働基準法の審議は年明けの通常国会の後半に持ち越さ
れ、参院選への配慮と日程から、次期国会での成立は難しいと厚労省は考えてい
る。そこに、雇用保険法の改正による65歳以上の高齢者の加入と給付の見直し、
現行のシルバー人材センターの見直し(主として週の労働時間)、子の看護休暇
の取得条件と対象となる子の年齢の引上げ、妊娠・出産等をしながら継続就業し
ようとする女性労働者の就業環境の整備と、育児・介護休業をしながら継続就業
しようとする男女労働者の就業環境整備、今後も上昇する最低賃金への中小・零
細企業への支援と現行罰則の見直し、などが重要案件となる。        
                           (津山 勝四郎)



編┃集┃後┃記┃
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 先日、東京も木枯らし1号が吹き、これから寒さが増していきます。
 内閣府が先月8日に発表した9月の景気ウォッチャー調査(街角景気)による南
関東(東京・神奈川・千葉・埼玉)は4ヵ月連続悪化しています。
この原因は、中国経済の減速が影響しているとの見方が根強いようです。
中国の成長率が6年半ぶりに7%を下回り、7〜9月は6.9%と話題になりま
したが、中国通によると中国国内総生産(GDP)伸び率は公式統計の半分、ゼ
ロに近いのではとの声が聞こえてきています。
 
東京都の発表では、都内の昼間就労者数が2035年に738万人となり
2010年時点より80万人減少する予測をまとめました。
減少する業種は製造業、卸・小売業、一方で高齢化や産業構造の変化を映し医
療・福祉、情報通信業が増えるようです。
また、働き手の年齢構成も少子化が進み新たに働き出す人が増えないため、職場
の人事構成や業務負担がいびつになり、技術の継承等が難しくなる恐れがあると
のことです。

 第3次安倍改造内閣の看板政策として、国民の誰もが活躍できる
「一億総活躍社会」の実現に向けての取り組みをはじめました。

 2020年頃を見据えた対策イメージとして、
(1)経済成長はGDP600兆円、
(2)少子化対策は出生率1.8、
(3)女性活躍策は女性管理職の割合3割、
(4)高齢化対策は介護離職ゼロ等です。

 ただ、ただ安倍政権で実現をしていただきたいと思うばかりです。 (白石)



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お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。
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