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発刊済みメールマガジンMail Magazine

障害者雇用とどのように向き合うか(3)
〜精神障害者の採用と定着をどうするか〜

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┏━━┓    
┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第168号
                              2016/04/01

           http://www.koyousystem.jp
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春深く、すっかり温かい季節となりました。皆さまいかがお過ごしですか。

雇用システム研究所メールマガジン第168号をお送りします。

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□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆障害者雇用とどのように向き合うか(3)

   〜株式会社ぐるなびサポートアソシエの取り組み〜

■障害者全員にすべての業務にチャレンジさせる
■業務担当者に指名されたことで遅刻・欠勤がなくなる
■日々の悩みや不安を解消する「業務日報」の共有
(以上執筆者 溝上 憲文)

■今年の賃上げは6335円、2.10%(連合集計)
(以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)

■[編集後記] (編集長 白石 多賀子)

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◆障害者雇用とどのように向き合うか(3)

 〜株式会社ぐるなびサポートアソシエの取り組み〜

 障害者雇用を取り巻く環境が大きく変化する。
2016年4月に障害者雇用促進法の改正による差別の禁止および職場で働く場合の
「合理的配慮の提供義務」が施行される。
さらに18年4月から精神障害者の雇用義務化が始まる。それに伴い障害者の法定
雇用率は現行の2.0%から2%台半ば程度に上がる可能性もある。

 企業は今後どのように対応していけばよいのか。障害者雇用に積極的に取り組
んでいるぐるなびサポートアソシエの事例を紹介したい。



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■■■ 障害者全員にすべての業務にチャレンジさせる ■■■
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 ぐるなびサポートアソシエは2011年11月に飲食店情報のウェブサイトを運営す
るぐるなびの特例子会社として設立。社員は管理スタッフ数人と身体障害者のほ
か、精神・発達・知的障害者の計約20人。年代は20代から50代までと幅広く、親
会社のぐるなびが委託する8つの事務作業に従事している。

 主な業務は
(1)ぐるなびの掲載店舗の申込書や契約書などの紙資料を電子化する
  「PDF化業務」、
(2)PDF化業務で使用する契約書を並び替える「ファィリング業務」、
(3)店舗ページの文章や写真に、不適切な表現がないか確認する
  「WEB監視業務」、
(4)ぐるなび社員の人事情報を複数書類から専用ソフトに入力する作業など。

とくにWEB監視業務では、WEB広告の「最高級」「極上」といった誇大表示
のチェックをはじめ薬事法違反の表現や肖像権などの知的財産権に触れていない
かをチェックする難易度の高い仕事である。

 同社の特徴は障害に関係なく個人としての強みと弱みを把握し、その上で社員
全員にすべての業務にチャレンジさせていることだ。最初にPDF化業務に従事
し、次にファイリング業務を経て、一定期間のトレーニングの後、難度の高い
WEB監視業務にチャレンジする。もちろん習熟するには個人差もあり、3〜4ヶ
月で独り立ちする人もいれば、1年かかる人もいる。

 全業務にチャレンジさせることについて同社の管理スタッフは「採用した人全
員が活躍できる会社にしたいという思いがある。伸ばすには周囲のサポート力が
必要であり、かなりのパワーを割いてきた」と語る。



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■■■ 業務担当者に指名されたことで遅刻・欠勤がなくなる ■■■
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 一人ひとりの能力を引き出し、すべての業務をこなせるようにすることと同時
に、効率化と生産性向上に向けた取り組みも実施している。
その一つがサポーター制をきっかに生まれた業務担当者制度だ。

 それが生まれた経緯はこうだ。当初、先任の5人のメンバーを新人のサポー
ターとしてパソコンの操作など教えていた。その後、人数も増え、一人ひとりに
業務を指示するのが難しくなり、業務に習熟し、かつ体調も安定している人に業
務担当者という名称で業務の指示と意見集約を依頼した。名称はメンバーを束ね
るという責任と負担感を感じさせるリーダーの名称をあえてつけないという配慮
もしている。業務の指示といっても仕事をしたい人に決められたルールで割り振
り、意見集約も業務に関連するものだけに限定してスタートした。

 その効果は大きかった。
「当初3人を業務担当者に指名し、管理スタッフも楽になったが、それ以上に担
当者がやりがいを感じ、会社を休まなくなったこと。以前は1ヶ月に何日か休ん
だり、遅刻をしていた人が、ほとんど休まなくなり、責任感も芽生えていった」
(管理スタッフ)という。

 メンバーへの指示も的確で業務効率もアップした。今ではクライアントへの業
務報告も担当者がこなすようになり、管理スタッフがいなくても業務が完結する
までになっている。



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■■■ 日々の悩みや不安を解消する「業務日報」の共有 ■■■
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 社員の日々の悩みや不安を解消し、仕事への意欲を維持することにも注力して
いる。その一つが業務日報だ。
業務終了後の5時から20分間「本日の課題・反省点」を記入し、10分間で皆の前
で発表し、情報共有する。仕事上の悩みや疑問をその日のうちに話してもらうこ
とが大きな狙いだ。些細なことで悩んでしまい、帰宅後も引きずり眠れなくなる
人もおり、今日の振り返りをして皆の前で失敗や悩み事を打ち明けることで、
すっきりすることもある。

 もう一つは体調の自己管理。業務日報に就寝時間と起床時間、5段階に分けた
健康状態を記録。1ヶ月の推移をグラフ化した「健康トレンド」を見て自己
チェックする仕組みだ。

 以前は体調を崩す人が多かったが、その原因は睡眠時間が短いことによるもの
が多かった。「毎日記録することで今週は睡眠時間が少ない、ミスの原因が睡眠
不足だなと自分で気づく。以前は早く寝なさいと私たちに言われていたが、言わ
れなくても、明日は良い仕事をしたいから早く寝ようと自主的に健康管理するよ
うになった」(管理スタッフ)という。

 同社の特徴は障害者の持つ能力を引き出し、あらゆる業務のレベルを向上し、
ビジネスの生産性を高めていくことに主眼を置いている。それを実現するための
仕組みには障害者へのきめ細やかな配慮が行われており、学ぶべき点も多いので
はないか。                        (溝上 憲文)



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■■■ 今年の賃上げは6335円、2.10%(連合集計) ■■■
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 官製と揶揄されている2016春闘の結果がまとまりつつある。3月24日現在の連
合集計によると、1183組合(組合員数166万8299人)の定昇相当込み賃上げは
6335円、率にして2.10%の上昇となっている。
昨年比では801円、0.26ポイントの減少。

 規模別では、300人以上は569組合、160万2320人で6387円、2.10%、300〜999
人では303組合17万1295人で5667円、2.06%、1000人以上では266組合143万1025
人で6479円、2.11%となっており、300人未満集計(614組合6万5979人)では
5195円、2.07%、うち100人未満では334組合1万4514人で4576円、1.98%、
100〜299人では280組合5万1465人で5393円、2.09%であった。

 このうち賃上げ分(定昇を除く)が明確に分かる組合の集計による、全体の賃
上げ分は1412円、0.46%、300人以上では1414円、0.45%、さらに300〜999人で
は1306円、0.47%、1000人以上では1428円、0.45%となっており、300人未満集
計では、全体で1348円、0.52%、100人未満では1548円、0.62%、100〜299人で
は1312円、0.51%の上昇であった。

 この結果について、連合の神津会長は
「持続性、月例賃金、広がり、底上げという4つのキーワードを重点としてきた
が、物価が殆ど上がっていないなかで、一定の有額回答を引き出したことは画期
的だと思っており、今後の広がりが鍵で、特に親会社の回答を関係会社が超えら
れないという『悪しき常識』からの転換へのメッセージを引き出すことができ
た」として一定の評価を行い、
経団連の榊原会長も「3年連続となるベースアップの実施と、昨年以上の賞与・
一時金の支給を回答したことは、デフレからの脱却と持続的な経済成長の実現と
いう社会的要請も重視しながら、自主的な経営判断の結果として、自社の収益に
見合った積極的な対応をとった」として、
賃上げは政府の主導によるものではなく、各企業の自助努力による結果であるこ
とを強調した。

 連合が集計している非正規労働者の賃金については時給(73組合、28万人)で
は各組合でのバラツキが大きく、引上げ額では101円、
7.52%(イオン労連タキヤユニオン)による平均時給1450円から、10円台、1%
台、平均時給818円(コープさっぽろ)まで、最低賃金と同様に地域格差が大き
く、月給(27組合、1万8443人)の引上げでも1万1007円、5.06%(イオンタウン
ユニオン)から3682円、1.53%(コジマ)までの開きがあるが、非正規に関して
は既に現行賃金が正規労働者の水準に近づいている企業での引上げ率が押さえら
れており、単純な比較はできない。全体の加重平均では、時給で18.92円、月給
で5134円の引上げ額となっている。

 官製を主導した安倍内閣は、経営側の引上げへの努力は評価したものの、円相
場の動向が読み切れない自動車、機械金属を中心とした輸出産業のベースアップ
引上げ幅が、予想より低額、低率となったことへの不満を表明していたのはマス
コミで報道されている。連合は今回の春闘方針として、底上げ・底支え、格差是
正を掲げてきただけに、今後の重点課題として、

(1)非正規労働者の処遇改善(時給改善、無期転換ルール化、正社員転換数拡
大とルール化、未組織非正規社員の処遇改善、
(2)大手との格差是正のための中小賃上げ、
(3)ワーク・ライフ・バランスに関する取組み進展(労働時間短縮、育児・介
護支援の充実)の3項をあげている。

 賃金引上げ以外の労働条件に関する通年の各種取組みを前年の要求・取組件数
で比較すると、均衡処遇に関する取組みとして、一時金支給、年次有給休暇取得
促進、再雇用者(定年退職者)の処遇、職場における男女平等の実現への取組み
として、男女間賃金格差の実態と要因把握・点検と改善、女性の職業生活におけ
る活躍の推進(女性活躍推進法)をあげ、男女雇用機会均等法の定着・点検とし
て、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの検証と是正、安倍内閣も重点政策
としているワーク・ライフ・バランス社会の実現に向けた取組みでは、長時間労
働の是正、過労死ゼロ(特別条項付き36協定の見直しによる労働時間上限の縮
減、インターバル規制の導入)、総労働時間短縮と両立支援の促進として、育
児・介護に関する制度の点検・改善、マタニティ・ハラスメント、パタニティ・
ハラスメント、ケアハラスメントなどの防止、ライフスタイルに応じた働き方と
処遇に関する検証の提起と多様な働き方への取組みとして、派遣労働者の期間制
限到来時における交渉・協議の協約化などの処遇改善、若者の職場定着、障がい
者雇用、安全な職場づくりとしてのメンタルヘルス対策(ストレスチェック)、
などへ取組む労働組合が増加している。

 政府も中小企業の賃上げを図るため、中小企業等経営強化法案を今国会に提出し、
(1)生産性向上の方法をわかりやすく事業分野別指針としてまとめる、
(2)平成26年6月から実施している「よろず支援拠点」の強化、
(3)サービスの質を「見える化」する「おもてなし規格」の作成と運用開始、
など生産性向上を通じた賃上げの原資の確保とともに、人材投資に対する直接支
援として、
(1)給与総額を前年比1%以上引上げ又は引上げる企業への補助金支援採択審査
における加点、
(2)正社員の採用を行った場合に、補助金上限額を50万円から100万円に増額、
などの支援策の他、取引条件の改善のために大企業に対するヒアリングの実施も
行う。

 3月25日に開かれた「一億総国民活躍会議」では、
議員の一人である樋口美雄慶応義塾大学教授が長時間労働是正と女性の就業促進
について意見を述べ、週49時間以上の労働時間の労働者の割合が21.1%と欧米諸
国と比較して相当高いこと(ドイツは10.5%、韓国は途上国として35.4%)、特
に週60時間以上の労働時間の労働者は全体で8.2%(450万人)、30代男性では
16.0%(115万人)に達することや、産業別の労働時間格差が大きい(運輸・郵
便業で年間2082時間、所定外305時間に対し、調査産業計では1741時間、132時間
となっており、例えば製造業でも1958時間、190時間)ことも示している。

また、女性活躍推進法の本格施行後初めての重点方針となる
「第4次男女共同参画基本計画」では、同一労働同一賃金の実現、長時間労働の
削減に向けた法定労働条件の履行確保のための監督指導体制の強化、などが盛り
込まれる。

 前国会に提出された改正労働基準法が継続審議となり、今国会でも継続扱いが
確実視されている状況下で、政府は更なる改正項目(特別条項付き36協定の上限
時間の見直し)の検討に入っている。

 賃上げは官製であれ、労組主導であれ、労働者にとっては実現に超したことは
ない。だが年1回の労使交渉の場で、賃上げだけでなく、その他の労働条件改善
交渉も時間をかけて行われるべきで、賃上げ実現すなわち春闘終了では労働組合
の鼎の軽重が問われることは論を待たない。

 そして、予算が成立し、個別法案審議に入っている国会は、消費税の引上げ問
題(3月26日の朝日新聞は引上げ延長の色合いを1面トップで打った)と、同日選
挙の可能性へ、各政党の思惑が飛びかうことになる。過去にもこの欄で述べてい
るが、安倍総理の在任中の終着点は防衛と憲法である。  (津山 勝四郎)



編┃集┃後┃記┃
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 桜が満開となりました。桜の花は日本人の心を華やかにし癒してくれます。
 
AI(人工知能)が世界トップ級のプロ棋士を破り衝撃的な話題となりました。
AIは今までにチェスの世界王者、将棋のプロ棋士に勝利していましたが、囲碁
の奥深さと局面の多さで、人間の優位が後10年続くとみられた分野でした。
 AIは自ら学び能力を進化させていきます。
一方で、開発中のAIがツイッターで人種差別的な言葉を発しました。
この問題点は、人間がツイッター上に書き込む内容を学び能力を進化していくた
めです。

大手企業では、AIを「生産管理」「顧客対応」「研究開発」の分野でビジネス
活用する動きが広がってきました。

 近い将来、事務・物流・建設等の労働現場でも人間に代わって業務を行い、
人間の仕事が取り上げられ労働環境が激変するようです。
人間は、AIが提供する情報を「課題性」で判断して行くことが重要となるた
め、やはり一から学び成長していくことが大切のようです。
今後は、「働く」意味が変わっていくようで、新たな発想が求められています。
                                (白石)




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発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp

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お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。
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