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発刊済みメールマガジンMail Magazine

安易な「長時間労働抑制策」は社員を疲弊させる

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┏━━┓    
┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
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                              2016/09/01

           http://www.koyousystem.jp
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夏の終わりに大きな台風がたてつづけに起こりました。
みなさまいかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第173号をお送りします。

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□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆安易な「長時間労働抑制策」は社員を疲弊させる

■「残業時間削減プロジェクト」の社員の残業代が出ない
■残業を減らせと言うだけで解決策を示さない上司
■ムダな残業を生み出す“容疑者”に役員も
(以上執筆者 溝上 憲文)


◆介護離職ゼロは実現できるか

■新3本の矢が目指す「介護離職ゼロ」
■介護休業制度の改正と活用状況
■「介護離職ゼロ」対策の課題
(以上執筆者 北浦 正行)

■[編集後記] (編集長 白石 多賀子)

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◆安易な「長時間労働抑制策」は社員を疲弊させる

 働き方の見直しが官民を挙げて始まっている。安倍政権も新たに「働き方改革
担当大臣」を設置するなど意欲的だ。改革の最大の課題は何と言っても「長時間
労働の削減」だろう。政府は月間80時間超の残業の取り締まりを強化している
が、社員が1人でも80時間を超えていれば労働基準監督署の「臨検」を受ける。
 とくに人手不足に苦しむ建設、運送業など月の残業時間が100時間を超えるよ
うな長時間労働体質の業界では政府の取り締まりに敏感に反応し、80時間以内に
減らそうと必死だという。


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■■■ 「残業時間削減プロジェクト」の社員の残業代が出ない ■■■
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 こうした動きに合わせて社内に「長時間労働削減プロジェクト」といった残業
削減のためのタスクフォースを急遽立ち上げて取り組んでいる企業も少なくな
い。だが、良いアイデアがなかなか出てこないらしい。中堅の食品会社では人事
部が事務局となり、営業、開発、管理部門などの社員が参加する部門横断型のプ
ロジェクトで検討している。

「メンバーから出てくる案は、ノー残業デイやノー残業月間を設けるといったも
のや、今流行の始業時刻を早めて、終業時刻を17時前にするといった他の企業の
やり方を形式的にまねようとするものばかり。しかも終業時間を早める案につい
ては営業部門から『終業時間が変わるとお客さんの対応ができなくなる』と反対
してくる。部門ごとの事情が異なり、意見がなかなかまとまらないのが現状だ」
(人事担当者)

 部門横断型のプロジェクトといっても、プロジェクトに強い権限がなく、単な
る利害関係者の集まりのような会議を開いても根本的な解決策が生まれないばか
りか、実行も覚束ない。驚いたのは、残業時間削減のプロジェクト自体が自主的
参加という名目でメンバーに残業代を支払わない会社もあるという。

 小売業のプロジェクトに参加する社員の1人は「自主的参加といっても各部門
から半ば指名されて参加しているのがほとんど。夕方の5時過ぎから会議が始ま
り、定時の6時までの1時間が会議の予定時間だが、7時過ぎになることもあ
る。超過分の残業代が出るのは当然だと思うが、残業時間を減らすための会議な
のに残業していたらおかしいから、労働時間に入れないという理屈だ」と語る。

 残業を減らすという名目以前に、残業しているのに残業代を支払わないのはそ
もそも法律違反。変な理屈で違法状態にあるプロジェクトが社員の残業対策を考
えること自体が本末転倒ではないかと思う。


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■■■ 残業を減らせと言うだけで解決策を示さない上司 ■■■
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 本来、長時間労働を減らすには部署や職務ごとの業務プロセスを洗い出し、仕
事が滞る箇所や原因を探って効率化を妨げているムダな作業時間など一つひとつ
の業務を見直すことが必要だ。

 女性誌の取材で働く女性にアンケート調査を実施したところ、残業の原因で最
も多かったのは「仕事量が多い」(66.5%)、続いて「人手不足」(37.3%)
だった。そのほかでは「会社の風土」(20.0%)、
「管理職のマネジメント不足」(19.6%)という回答もあった。

 単純に業務量が多いのであれば、生産性を高めるために知恵を絞って業務の効
率化を図る必要がある。

 管理職の役割も大きい。本当に残業を減らしたいのであれば、部下一人ひとり
の仕事量や仕事の与え方を見直す必要があるのだが、そこまで踏み込まない管理
職も少なくない。先のアンケート調査では「早く帰れと指示するだけで業務改善
の取り組みをしない」「上司は残業を減らせと口で言うだけで、なぜ残業が多い
か理解していない。仕事が滞ると個人責任を問われ、結局サービス残業・自宅で
持ち帰り徹夜している。管理職の職責を全うしていない」という不満の声も上
がっている。

 会社の取り組みに関する批判も多かった。多くの企業では長時間労働を減らす
ために「ノー残業デイ」や「ノー残業月間」、残業の許可制、強制消灯など、さ
まざまな対策に取り組んでいる。だが「ノー残業デイがあるが、強制力がなく無
意味。照明や空調が消される中で残業するので効率が悪く、さらに残業が増え
る」という声もあった。あるいは「ノー残業月間の翌月がすごく忙しくなった。
業務量が減っていないので、根本的な解決にならなかった」という意見もあった。

 長時間労働が常態化している会社は、その原因は必ずある。単純に業務量が多
いということであれば、生産性を高めるために知恵を絞って業務の効率化を図る
必要がある。全社的な取り組みであれば、各部門に口出しできる強力な権限を有
する経営層がプロジェクトの責任者としてリーダーシップを発揮することが必要だ。


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■■■ ムダな残業を生み出す“容疑者”に役員も ■■■
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 だが、ムダな残業を生み出している“容疑者”が中堅・中小企業では役員など経
営層が含まれる場合もある。長年、業務の効率化などのコンサルティングを手が
けているシンクタンクのコンサルタントはこう明かす。

「業務改革を提案する前に、社内の個々の業務にどれだけの時間を費やしている
のかを分単位で実態調査をする。数ヶ月の調査データを比較分析していくと、似
たような業務でも通常より時間が長くかかっている部門もあれば、同じ社員でも
ある時だけ仕事の時間が長くなっている部分が見えてくる。なぜそうなっている
のかをヒアリングを通じてさらに原因を追跡していくと、ムダな業務を指示して
いたのが役員だったというのが結構あった」

 例えば社員に「業界の会合でこんな話を聞いたのだが、調べてくれないか」と
か「この案件についてまとめておいてくれないか」と役員が指示しているケース
が非常に多かったという。コンサルタントは「必ずしも緊急を要する重要な案件
ではなく、思いつきで指示する内容が多い。社員としてはそれに応えようと日頃
の業務の時間を割いて仕事をする。役員の中には社員が依頼された報告書を届け
ても『これ何だっけ』と半ば忘れていた人もいたそうだ」と語る。

 ある企業ではムダな労働時間を生み出していた役員は6人中5人もいたそう
だ。役員の指示が原因で長時間労働を生んでいる会社が他にもあるのではない
か。灯台もと暗し、ではないが、会社の上層部が本当に社員の長時間労働を減ら
す気持ちがあるのか、あるのであればまずは自分の身の回りから正すべきだろ
う。                         (溝上 憲文)


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◆最低賃金の引き上げをめぐって

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■■■ 新3本の矢が目指す「介護離職ゼロ」 ■■■
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 世界にも類例を見ない超高齢社会の到来によって、医療・介護問題への対応を
はじめとして福祉サービスの充実が重要課題となっている。とりわけ介護分野に
ついては、介護保険法施行時には200万人強であった要介護(支援)認定者数が
既に500万人に近づいてきており、それに対応した供給体制の整備が急務であ
る。2025年には、団塊の世代が全て75歳以上となり、後期高齢者が2000万人を突
破することが予想される。要介護高齢者の増大に伴って、介護人材が大幅に不足
するという見通しが出されている。

 こうした中で、家族の介護も限界となって、仕事を続けることができず離職に
至るという「介護離職」の問題が大きく取り上げられてきた。家族の介護や看護
による離職者数の推移をみると、増減を繰り返しているものの、直近1年間で約
9万5千人となっており、それに占める男性の割合は約2割である。(総務省「就
業構造基本調査」平成19年、平成24年)団塊の世代が 70 歳を超え、団塊ジュニ
ア世代が介護を支える世代となれば、仕事と介護の両立という課題は更に切実に
なるであろう。

 政府は、このような現状に対し、「ニッポン一億総活躍プラン」(平成 28 年
6月2日 閣議決定)の中で、「介護離職ゼロ」という明確な目標を掲げ、 現役
世代の「安心」を確保する社会保障制度へと改革を進めていくことを目指してい
る。既に、昨年末の緊急対策において、特別養護老人ホーム(特養)やサービス
付き高齢者向け住宅(サ高住)といった介護サービスの受け皿を 38 万人分以上
から 50 万人分以上への拡大を打ち出されるとともに、介護人材の処遇改善が図
られているところである。
さらに、経済連携協定(EPA)に基づく専門的介護人材の活用や外国人技能実習制
度による受け入れが、次期国会での技能実習新法の審議をにらみながら検討が進
められている。しかし、肝心なことは家族が仕事と介護を両立できる働き方が可
能かどうかという点である。このため、介護休業制度をより活用されやすいもの
とすべく、本年3月末に育児介護休業法が改正された。


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■■■ 介護休業制度の改正と活用状況 ■■■
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 周知のように、介護休業制度の利用は、育児休業制度と比べてあまり進んでい
ない。このため、介護休業制度の柔軟な取得が図られるよう、今般の法改正に
よって以下のような改正が行われた。(施行は平成29年1月1日)

□対象家族1人につき、3回を上限として、通算93日まで、介護休業を分割取
得することができることとする。(これまでは原則1回に限る。)

□介護休暇の半日単位の取得を可能とする。(これまでは1日単位)

□介護のための所定労働時間の短縮措置等を介護休業とは別に、利用開始から3
年の間で2回以上の利用を可能とする。(これまでは介護休業と通算して93日内
で利用)

□所定外労働の免除を介護終了までの期間について請求することのできる権利と
して新設する。

□有期契約労働者の介護休業取得要件を緩和する。


 では、現在までの介護休業制度の利用はどのくらい進んでいるか。
まず、就業規則等に介護休業の定めがある事業所(5人以上)は65.6%、
介護休暇の定めがある事業所(5人以上)は67.1% である。

介護をしている雇用者(約240万人)について、「介護休業等制度の利用あり」
の者は15.7%で、このうち「介護休業」の利用者は3.2%、「短時間勤務」は
2.3%にとどまる。

また、介護休業を取得した人は、性別には女性2.9%、男性3.5%で、年齢別には
45〜49歳の取得割合が最も高く、次に50〜54歳となっており、管理職など企業に
おける中核的な人材が中心となっている。

介護しながら正社員として働くには、「なるべく残業をしない」、「たびたび有
給休暇を取得する」といった対応が多く、フレックスタイム制度の利用、短時間
勤務制度、介護休業制度等の利用は少ない。(椛謌齔カ命経済研究所「介護と仕
事との両立に関するアンケート調査」平成24年4月)また、30代、40代の9割が親
を介護する場合の何らかの不安を感じていることも注目されよう。これに対し、
求められる両立支援としては、「出社・退社時刻を自分の都合で変えられる仕組
み」、「残業をなくす/減らす仕組み」といった日常的な勤務体制を柔軟にする
ことや「介護サービス利用費用の助成」などの要望が強い。


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■■■ 「介護離職ゼロ」対策の課題 ■■■
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たしかに、「介護離職ゼロ」という「的」に向かって矢を放つのは急務である
が、その実現に向けては次のような課題があるといえよう。

第一に、介護サービスの受け皿づくりという「箱もの」整備が先行しており、そ
の供給体制を担う人員確保が後追いである。ひっ迫する労働力需給状況の下で、
介護業界の人材確保はますます難しくなっている。厚生労働省が2015年6月にま
とめた介護人材に関する需給推計では、2025年度に253.0万人の介護人材の需要
が予想されるのに対し、供給の見込みは215.2万人で、37.7万人の不足が生じる
可能性がある。職員が不足して人員基準が満たさなければ、施設の稼働率にも制
約がかかることになる。

第二に、介護職員定着と確保対策の最重点は処遇改善であるが、「介護職員処遇
改善加算」を前提にする限りでは、それがどこまで継続実施されるかによっては
賃金改善への取り組みにも慎重な姿勢が残るであろう。一方で、明確なキャリア
パスの設定や教育研修の充実など人材育成を強化していくことは、職員のモチ
ベーション向上にもつながることであり、むしろ王道といえるがが、その効果が
あるかどうかという点では今すぐには判断できない。

第三に、核家族化をはじめ、家族構成が大きく変わっており、介護保険サービス
への依存度が高くなっていることである。三世代.世帯は年々減少しており、要
介護者のいる世帯の2割弱で、核家族と単独の世帯が6割を超える。(厚生労働省
「国民生活基礎調査」)その一方で、地域包括ケアの推進が課題となる中で、要
支援や軽度の要介護に対し、在宅での介護サービスが中心となってきている。更
には、同居ではなくても病気治療や生活管理などの面で介護が必要になる場面も
増えてきていると考えられる。              (北浦 正行)


編┃集┃後┃記┃
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 先月22日、台風9号は首都圏を直撃し河川の氾濫や倒木等の被害となり、
北海道では記録的大雨で甚大な被害が発生しました。
今年は、気圧配置により台風が発生しやすく湿った空気が流れ込み大気不安定が
続いているため大雨となっているようです。
さらに台風10号は高気圧に翻弄され、
珍しい経路で北上し岩手県に上陸しました。

 リオ五輪は過去最多のメダルを獲得し、多くの感動とともに終了しました。
4年後は東京です。

 経済産業省は、健康診断の費用助成など従業員の健康増進に努める企業の認定
制度を新たに設置すると発表しました。
「ブラック企業」と対照的に「ホワイト企業」として国のお墨付きを与えるよう
です。
目的は、従業員の活力が高まれば業績拡大が見込めるとして、企業の健康管理の
取り組みを促す狙いです。

 また、東京商工会議所は、従業員等の健康管理を経営の視点で捉え、戦略的に
実践するための普及・推進役を担う人材育成に「 健康経営アドバイザー研修」
を進めています。
また、医療保険制度保険者、経済団体、自治体、関係団体等が連携して取り組み
をはじめています。

従業員の健康管理を積極的にサポートすることで、生産性向上や会社のイメージ
アップとなり会社の発展へとつながります。
是非、従業員の健康管理体制を構築してください。        (白石)



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発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp

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今月のメールマガジン第173号はいかがだったでしょうか。
お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。
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次回の配信は10月初旬頃情報を送らせて頂きます。

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