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企業成長のカギを握る人材活用術(1)
〜企業が取り組み始めたタレントマネジメントとは何か〜

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┏━━┓    
┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第176号
                              2016/12/01

           http://www.koyousystem.jp
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師走、何かと気ぜわしいこの頃となりました
みなさまいかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第176号をお送りします。

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□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆企業成長のカギを握る人材活用術(1)
〜企業が取り組み始めたタレントマネジメントとは何か〜

■事業を見据えた全社員の活躍を促す仕組み
■キャリア開発、適所適材、評価の3つのステップ
■部長・役員のコースとは別のルートで意欲を引き出す
(以上執筆者 溝上 憲文)


◆年金制度改革法案をめぐって

■年金制度改革法案への1視点
■高齢者の所得と雇用
(以上執筆者 北浦 正行)

■[編集後記] (編集長 白石 多賀子)

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◆企業成長のカギを握る人材活用術

(1)〜企業が取り組み始めたタレントマネジメントとは何か〜

 大手企業を中心に「タレントマネジメント」が流行っている。

その目的はビジネスニーズに直結する人材(リソース)を活用し、最終的に企業
の成果を生み出していくことにあり、その意味としては、本来の人材マネジメン
トと同じと考えてもよい。

 だが人材マネジメントといえば日本企業では人事管理だと考えてしまう。人事
管理は社員を評価して格付けし、転勤など異動させたり、給与を払うという、い
わゆる従業員管理のことであるが、タレントマネジメントはそれとは相容れな
い。あくまで事業に必要な人材を社内外から調達し、あるいは育てて企業の成果
を追求することに主眼がある。



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■■■ 事業を見据えた全社員の活躍を促す仕組み ■■■
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 具体的なプロセスとしては、今いる社員については、個々の能力を見極めて、
選抜して研修プログラムの受講や適性に応じた職務・役割への異動・配置を行っ
て鍛え上げ、社員の成果を最大化するための活躍支援の取り組みだ。欧米の企業
では最初は経営を担うトップリーダーに限定したタレントマネジメントが主流
だったが、それ以外の普通の社員についても能力を最大限活用し、戦力化しよう
という流れになってきている。

 その背景には人口減少時代の中で大勢の社員も積極的に戦力化していかなけれ
ば企業の成長はないという発想がある。
 欧米企業は事業の必要に応じて人材を入れ替えたりするが、日本企業は労働市
場が脆弱であるのでドラスチックに入れ替えるのは難しい。そのため優秀な人材
が社内外にいなければ、採用した人材を事業戦略に基づいて3年後、あるいは5
年後のビジネスに使える人材として本人の能力開発を支援していくことが求めら
れる。

 だが、企業の中には今後の事業の方向性が明確に見えている場合もあれば、必
ずしも新事業が明確でなくとも業種ごとに技術の進化の流れやサービスのあり方
など、ある程度のビジネスの方向性が見えているケースもあるだろう。

 それに方向に沿って人材をマネジメントしていくことが必要になるが、その
ベースになるのが人材情報だ。じつは昔から日本企業では社長や人事部長の頭の
中には、彼はこういう経験や能力・スキルを持っているという人材情報があっ
た。しかし、その能力を鍛えて、次のビジネスで活躍してもらおうという認識が
薄く、単にステレオタイプの研修を受けさせるだけの育成のための育成に終わっ
ていたのではないか。育成を目的化することなく、ビジネスのゴールを見据えて
人材を動かしていくことが重要になる。


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■■■ キャリア開発、適所適材、評価の3つのステップ ■■■
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 では実際にどのようにしてタレントマネジメントを回していくのか。一橋大学
大学院商学研究科の守島基博教授は、具体的には
(1)キャリア開発計画のデータベース化、
(2)「適所適材」の配置、
(3)評価――の3つのステップが必要だと指摘している。

 最初は社員一人ひとりの個別のキャリア開発計画について現時点だけのスキル
などの人材情報だけではなく、例えば5年後の中期経営計画を見据えて「この人
は何の役に立つのか」を見極め、「身につけてほしい知識・スキル」など個別の
「活用プラン」をデータベース化していくことだ。言うまでもなく、その目的は
ビジネスに直結する人材確保のためのキャリア開発の支援にある。

 「適所適材」の配置については、今までは社員の年齢や資格等級などの格付け
を重視した所属事業部門内の異動という人事管理を優先してきた。しかも要員管
理の観点から突然人事異動を発令する“玉突き人事”が主流だったが、そうではな
く5年後の事業での活躍が期待される仕事やポストにふさわしい人を配置する、
あるいはそのポストに就くにはまだ能力不足と考えるなら、それを学ぶ機会ため
の仕事を与えることも必要だという。

 また、実際の配置に当たっては、会社として
「この人は今の場所に置いておくよりもここに動かしたほうが次のビジネスに最
適だ」と判断した場合、それを本人に伝え、話し合って決定することが重要にな
る。データベースを使って個別に面談し、本人のキャリア開発の進捗状況や意欲
を確認しつつ適正な配置を実現していく。
大事なことは、事業と人材を結びつけると同時に、本人の自立的なキャリア形成
を促すことで能力も進展するのである。例えば入社後3年目の25歳ぐらいから
キャリア面談を実施し、本人が自立的にキャリアを作るように働きかけていくこ
とも人事や上司の重要な役割である。


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■■■ 部長・役員のコースとは別のルートで意欲を引き出す ■■■
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 3番目の評価については、一つの指標となるのが成果・実績だが、守島教授は
非常に重要なのが「エンゲージメント」(仕事への没入、仕事への関与)だと言う。

「社員本人がどこまで喜んで仕事をやっているのかという側面をしっかり見て評
価することが大事です。日本企業はこれまで有無を言わせずにポストを受け入れ
させるばかりで、どこまでモチベーションを持って仕事をしているかというエン
ゲージメントを重視してきませんでした。 組織や仕事に対するエンゲージメン
トがどこまで上がっているのかをよく見ていくべきです」

 全社員に活躍してもらうためのタレントマネジメントにおいて、もう一つ重要
なのが「キャリアの多様化」だと語る。

「従来の部長、役員、社長を目指すという一本のルートではなく、いろいろな仕
事のキャリアの選択肢を用意し、本人が選べる仕組みを構築する。自分の能力を
どのように活用し、どういうキャリアを歩んでいけばいいのかという社員の声に
答えることがタレントマネジメントの基本的なテーマです」

 全社員に活躍してもらうことは企業経営にとって重要な課題となっている。経
営者や人事がその役割の重要性を認識し、変革を推進することが求められてい
る。次回からは具体的に取り組んでいる企業の事例を紹介したい。
                            (溝上 憲文)


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◆年金制度改革法案をめぐって

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■■■ 年金制度改革法案への1視点 ■■■
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 今国会の重要法案の一つは年金制度改革法案である。

これは公的年金の支給額の抑制を企図するもので、野党側は「年金カット法案」
であると強く反対している。既に衆議院を通過し、論議は参議院に移った(2016
年11月末現在)が、国会での加熱した論戦に比べ、世間での関心はいまひとつ冷
めた感がある。
その理由には、年金財政事情の悪化という政府のメッセージが浸透していること
に加え、「マクロスライド」という用語のわかりにくさや依然として続くデフレ
脱却の不透明感などがあろう。

 今回の年金制度改革法案(公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民
年金法等の一部を改正する法律案)では、被用者保険の短時間労働者への適用範
囲の拡大とあわせて、次のような年金額改定のルールの見直しがポイントとなっ
ている。

(1)マクロ経済スライドについて、年金の名目額が前年度を下回らない措置を維
持しながら、賃金・物価上昇の範囲内で前年度までの未調整分を含めて調整する
こと。

(2)賃金変動が物価変動を下回る場合、賃金変動に合わせて年金額を改定する考
え方(賃金スライド)を徹底すること。

公的年金制度の持続可能性を高めて
「将来世代の給付水準を確保するため」というのがこの法案の大義名分だが、
要はデフレ状況からの脱却が依然として不透明の中で賃金も物価も上がらない状
況が続く中で、なかなか給付の抑制が効かないことが背景にある。

物価上昇がゼロ近傍で推移し、賃上げも難しいという状況が続く中では、現時点
での給付カットというより、マクロ経済スライドの先送りした未調整分の(キャ
リーオーバー)の早期回収の意味合いのほうが強い。仮にマクロ経済スライド分
の調整率が1%弱だとすれば、最低でも1%プラスアルファの賃上げがないとこ
のシナリオは成り立たなくなる。

その意味でも賃上げを政府が経済界に強く要請するのも必然だ。

ただ、わかりにくいのはこれらの用語の意味である。
マクロ経済スライドといっても、これは成長率ではなく、人口をベースに計算さ
れたものである(公的年金全体の被保険者の減少率の実績と平均余命の伸びを勘
案した一定率で計算)。
したがって、どうみてもスライド調整は減額を前提としたものになる。また、そ
の調整が進まなければ、少なくとも5年に1度行われる財政検証で更に給付抑制
が必至になってくるだろう。賃金スライドの「賃金」もわかりにくい。これも統
計数値そのものではなく、加工計算によることに注意したい(前々年度までの3
年間の実質賃金変動率の平均×前年度のCPI変動率)。

 このように、実際の計算は一般に公表されている統計数値そのものではなく、
加工値がベースとなっている。もちろんそれなりの根拠は持っているが、そこに
わかりにくさもあり、一般の感覚との距離が出てくる所以だろう。

 また、「マクロ経済」と言っておきながら、「賃金」がベースになるのは、
「経済成長の果実は、基本的には、稼働する現役世代の賃金水準等に反映され
る」という考え方が基本にあるからだ。そのことは正しいが、納得感を得るため
には、あくまでも「果実が反映する」すなわち適正な賃金決定が不可欠である。
言い換えれば、持続的な賃上げが可能になることが必須要件であり、そこに政府
も賃上げ応援団にならざるを得ない背景があろう。

 いずれにしても、年金は生きた経済全体の文脈の中で語らなければならない。
基本は給付と負担の均衡であり、それなくしては社会保険としての制度設計は成
り立たないだろう。しかし、重要なのは、今後の経済展望について中期的なシナ
リオがきちんと描かれ、それとの整合性のもとに議論されること。

 政府からの提案は目白押しだが、かつてのような経済や雇用についての中期計
画策定の論議が不足している感がある。こうした計画づくりが取りやめになって
久しいが、その復活も検討されてよいのではないだろうか。


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■■■ 高齢者の所得と雇用 ■■■
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では、必ずしも公的年金支給に老後生活が頼り切れないとすれば、どのように
防衛していくべきだろうか。

定年後の高齢者の経済状況をみると、多くは、現役世代に比べて稼得収入が縮小
する中での経済生活は、年金等の「共助」と個人資産等による「自助」の組み合
わせによって支えることになる。世論調査では、高齢者世帯の7割は、家計に
「心配なく暮らしている」(「全く心配ない」と「それほど心配ない」との計)
という結果(内閣府「高齢者の経済生活に関する意識調査」2011年)が出ている。

しかし、実態を見れば、個人差があることも事実であり、公的年金等の収入だけ
では不十分で、しかも「自助」で補完することができないため勤労による追加収
入を求める者も少なくない。

 60歳以上の高齢者世帯は、公的年金等の受給が開始する時期であり、それらを
受給している世帯では、公的年金・恩給が総所得に占める割合は8割以上となっ
ている。確かに平均年間所得は309.1万円で、 全世帯平均の半分強であるが、
平均世帯人員が少なくなるため世帯人員一人当たりでは大きな差はないことが指
摘されている。(厚生労働省「国民生活基礎調査」2013年)暮らし向きについて
比較的楽観的な見方をする者も多いのも、こうした社会保障の給付水準の向上が
背景にあることも確かであろう。ただし、収支は赤字であり、その補填は貯蓄に
拠っており、高齢者世帯間の「老老格差」も問題となっている。

 こうした中では、高齢期においても必要なだけの勤労収入を得るだけの雇用機
会が重要になる。言い換えれば雇用機会の確保を図る政策は、所得の確保を図る
政策にほかならない。事実、高齢者の就労意欲も高くなっている。
(独立行政法人)労働政策研究・研修機構が実施している「高年齢者の雇用・就
業の実態に関する調査」(2010年、以下「JILPT調査」という。)によって
65〜69歳層の状況を見ると、就業者は全体の42.7%(男性は52.0%)と半数近く
であるが、不就業者のうち就業希望を持つ者も同じく14.1%(男性は17.7%)い
る。就業者が仕事をした理由は、「経済上の理由」が56.1%(男性は60.1%)
で、具体的には「生活を維持するため」とするものがほとんどである。

 政府も70歳以上まで働ける企業の普及・啓発を進めているが、本年施行された
雇用保険法の改正は、65歳以上に対する適用・給付の対象の拡大によって65歳が
雇用政策と社会保障政策の分水嶺という従来の考え方を大きく転換させた意味は
大きい。今後の年金世代の雇用政策の考え方は、主たる収入を年金に置きつつ
も、不足する部分を他の収入との関係で補填できるように働く機会を確保するこ
とが基本となろう。

 以上のように、年金と雇用の両面での改革が進むなかで、次の財政検証に向け
て、そろそろ「年金と雇用」の論争がまた始まるのではないだろうか。    
                     (北浦 正行)


編┃集┃後┃記┃
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一年は速いですね。もう12月です。

今年の労働関係トップニュースは、やはり「電通」事件ですね。
労働局や労働基準監督署による企業への捜査は、一般的には
テレビ放映されることはありませんが、今回は大量の捜査人が
会社へ入る状況が報道されました。
電通社員の行動規範といえる「鬼十則」も出てきました。

今年は、政府が「働き方改革担当大臣」を新たに設けてまで、
長時間労働の是正等の対策をしています。
企業は長時間労働体質を速やかに改善する必要があります。


内閣府が10月29日発表した「男女共同参画社会に関する世論調査」の中で、
『子どもができても、ずっと職業を続ける方がよい』と答えた者の割合が54.2%
いました。

今後の労働人口減少対策に女性の力が大きく左右します。
男女の地位の平等、家庭生活における男性の協力等の問題解決が必要です。
社員の働きやすい環境をつくることが求められた年です。

インフルエンザ・風邪の時季です。くれぐれも健康にはお気をつけの上、12月
を乗り切ってください。                  (白石)




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発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp

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お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。
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