本文へスキップ

人事・労務に関する御相談は東京都新宿区 社会保険労務士法人 雇用システム研究所まで

電話での相談・お問い合わせはTEL.03-5206-5991

〒162-0825 東京都新宿区神楽坂2-13 末よしビル4階

発刊済みメールマガジンMail Magazine

企業成長のカギを握る人材活用術(2)
〜企業が取り組むタレントマネジメント「大和証券グループ本社」〜

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏━━┓    
┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第177号
                              2017/01/01

           http://www.koyousystem.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

新年あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願い申し上げます

雇用システム研究所メールマガジン第177号をお送りします。

=============================================

□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆企業成長のカギを握る人材活用術(2)

〜企業が取り組むタレントマネジメント「大和証券グループ本社」〜

■昇格要件に資格取得や研修講座の受講を義務づける
■「人材情報システム」によるキャリア開発や適正な異動を実現
■中高年活性化と学習意欲を引き出す「ライセンス認定制度」
(以上執筆者 溝上 憲文)


◆高齢者の定義は70歳以上へ

■高齢者の定義の見直し
■社会保障政策と労働政策の分水嶺
■70歳以上を目指す雇用政策
(以上執筆者 北浦 正行)

■[編集後記] (編集長 白石 多賀子)

=============================================

◆企業成長のカギを握る人材活用術(2)

〜企業が取り組むタレントマネジメント「大和証券グループ本社」〜

 大手企業を中心に「タレントマネジメント」が流行っている。

その目的はビジネスニーズに直結する人材(リソース)を活用し、最終的に企業
の成果を生み出していくことにある。人手不足の深刻化や就業に対する価値観の
多様化する中で、従来の集団的な人事管理の枠を超えて社員一人ひとり個性・能
力に焦点を当て、自主的にキャリア開発を促すことを支援し、会社全体のパ
フォーマンスを高めていくことが求められている。

 今回は「すべての社員が高いモチベーションの下で結束し、最高のクオリティ
を発揮する組織をつくっていく」との方針を掲げてタレントマネジメントの仕組
みづくりを目指している大和証券グループ本社の取り組みを紹介したい。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 昇格要件に資格取得や研修講座の受講を義務づける ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 証券業界は金融の自由化による多くの企業の参入や貯蓄から投資へという客層
やニーズも変わるなど競争も激しくなるなど、ビジネス環境は大きく変化している。

 その中で同社の社員の人口構成は10年前に比べて今では45歳以上がボリューム
ゾーンになり、さらに10年後には50代後半の社員が増えると見込まれている。定
年後再雇用も含めて会社で働く期間が長期化していくことになれば、若手に限ら
ず、女性社員やベテラン層を活性化しなければ組織も沈滞してしまうという危機
感から取り組みが始まった。

 キャリア開発の取り組みの1つが、2005年から資格等級の昇格要件として一定
の資格取得や研修講座の受講を義務づけたことだ。昇格するには会社が用意した
研修の受講や外部資格取得による合計ポイントをクリアする必要がある。
したがって業務でどんなに高い実績を上げていたとしても、基準のポイントに達
していなければ昇格できない。

 スタート当初は多くの社員から驚きと反発の声が上がったが、会社としては
「従来の証券会社のビジネスはマーケットの知識だけあればなんとかなったが、
5年後、10年後のビジネスを見据えると、それだけでは不十分であり、必要な知
識・スキルも広がっていく。若手に限らず、ベテランの社員を含めて新しい知識
を身につけてほしい」(人事担当者)という思いがあった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 「人材情報システム」によるキャリア開発や適正な異動を実現 ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 08年には社員1人ひとりのキャリアの育成を目指すために人材情報のシステム
を導入した。中身は社員個々の過去から現在までの人事評価だけではなく、自己
申告書の内容や人事異動の履歴、さらに360度評価結果や保有している資格や受
講した研修講座などの情報をトータルで見ることができるようにした。現在では
人事異動でも活用している。

 人材情報データベースの効用について人事担当者は「以前は誰が優秀なのかと
いった情報は、1人の人事担当者の頭の中の記憶や周囲の評判などに依存し、他
の人は知らないという世界だった。しかも当社には9000人の社員がいるし、全部
を把握するのは難しい。システムの導入によってすべての情報が“見える化”され
たことで、個人データを見ながら1人ひとりの社員の適性を把握し、どういう仕
事を担当させたら良いのか、組織として考えられるようになった」と語る。
 一方、社員が自主的に学び続ける風土を醸成するための施策も展開している。
最も重視しているのは自ら学ぶ姿勢を社員全員に持ってもらうことであり、その
ための研修メニューも多数用意している。取得すべき特定の資格や講座を会社が
指定するのではなく、多くのメニューから自分に合わせて選択できるようにして
いる。

「仮に会社が指定し、苦労して資格をとっても5年後にビジネスに役立つかどう
かはわからない。それよりも現在の仕事や、どういうキャリアを歩んでいきたい
かを自分で考えて選ぶことが自立的なキャリア形成につながると考えている」 
                           (人事担当者)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 中高年活性化と学習意欲を引き出す「ライセンス認定制度」 ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 今後、定年年齢も延びると予想される中で、中・高齢者の活用も大きな課題と
なっている。ベテラン層も重要な戦力として活躍が期待されているが、長期化す
る職業人生において、中堅層の40代社員はいわばキャリアの折り返し地点。新た
な分野にチャレンジするなど学び続ける姿勢を持つことが大事になる。そのため
の1つのインセンティブとして2015年に導入したのが45歳以上の社員を対象にし
た「ライセンス認定制度」だ。

 45歳から55歳の役職定年までの10年間に自ら取得した研鑽ポイントの一定基準
をクリアすれば、ライセンスを認定し、処遇面で優遇する。例えば認定者は55歳
を過ぎても非認定者に比べて給与面で優遇するほか、60歳以降の継続再雇用後も
処遇面で優遇される。

 認定ポイントには45歳までに取得した資格や受講した研修講座も加算される。
また、新たにこの層に向けた資格や約30種類のEラーニング研修も用意し、コン
テンツの拡充も図っている。移行措置として55歳前の層も必要ポイントを設定し
ているが、第1回目となる2016年度は152人の認定者が誕生している。
 こうした資格取得や研修の受講など自発的に学ぶことを支援する仕組みによっ
て社員の学ぶ意欲は高まりつつある。例えば2005年当時にCFP(サーティファ
イド・ファイナンシャル・プランナー)資格を持っている社員は約190人だっ
た、だが現在では600人を超えているほか、証券アナリスト資格保有者や語学の
TOEICの高得点者も増えている。

資格にとどまらず各種のビジネススキル研修受講者も増加している。1年間に夏
と冬の2回に分けて各講座の受講者を募集しているが、5年前は1回の応募に約
500人程度だったが、現在では1700人以上の応募があり、年間で延べ3000人を超
えるまでになっている。しかも当初は若い課長代理クラスの応募が多かったが、
入社3年目から50代までの幅広い年代層の社員が応募するようになっている。も
ちろん昇格・昇給のために必要という思いもあるかもしれないが、結果として自
らのスキルや能力を高めることにつながる。

 社員が持てる能力を引き出し、意欲を持って自発的にキャリアを磨くための支
援策としては他社も参考になるのではないか。
                            (溝上 憲文)


=============================================


◆高齢者の定義は70歳以上へ

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 高齢者の定義の見直し ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 内閣府は、65歳以上とする高齢者の定義を見直し、70歳以上に引き上げること
を提案するとの報道がある。2015年における我が国の65歳以上の高齢者人口は
3,392万人で、総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は26.7%となっ
ている(10月1日現在)。このまま推移すれば、2050年には生産年齢人口(15
歳〜64歳)の比率は約50%で、高齢化率は40%近くになることが予想されてい
る。65歳以上の人口を15歳〜64歳の人口で支える比率も、2000年の3.9から2015
年には2.3に急落しており、このままでは現役世代1人が高齢者1人を支えるよう
な時代も近づいていると言えよう。

 内閣府の「平成26年度 高齢者の日常生活に関する意識調査」によれば、
自分が高齢者と感じるかという問いに対し、「はい」と答えたのが65歳〜69歳で
は24.4%、70歳〜74歳でも47.3%(「いいえ」の48.2%と拮抗)となっている。
また、60歳以上の高齢者に何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいか聞いたとこ
ろ、「働けるうちはいつまでも」が28.9%と最も多く、
次いで「65歳くらいまで」「70歳くらいまで」がともに16.6%となっており、
就労を希望する高齢者の割合は71.9%となっている。
平均寿命も延びて、健康寿命も男女ともに70歳を越えるようになった今日、確か
に高齢者の定義は若すぎると言えよう。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 社会保障政策と労働政策の分水嶺 ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 では、高齢者の定義を変えることは政策的にどういう意味を持つのか。
言うまでもなく、高齢化の進展により財政状況の悪化が著しい社会保険制度の安
定である。公的年金受給年齢の引き上げ、高齢者医療制度の見直し、介護保険制
度の給付抑制など、喫緊の課題は目白押しである。現役世代の年齢上限を上げる
ことによって、高齢者を支えるバランスを改善しようというものである。
図(資料出所 国立社会保障・人口問題研究所「社会保障給付費」
http://koyousystem.jp/mail_magazine_back/20170101_fig1.html )
を見ればわかるように、社会保障給付費は年々上昇しているが、
財源の社会保険料は頭打ちの状態が続いている。
直近の2016年度(予算ベース)でみると、社会保障給費総額118.3兆円、
うち年金56.7兆円(47.9%)、医療37.9兆円(32.0%)である。
これに対し、負担は保険料66.3兆円(59.4%)、税45.4兆円(40.6%)となって
おり、現役世代の負担では支えきれない現状が示されている。

 賃上げが多少あったとしても、税や社会保険負担を引いた可処分所得が伸びな
いことが消費不振の一因伴考えられる。今後においても、賃金は伸びず、また労
働力人口自体が減少過程にある中では、大幅な保険料負担の引き上げがない限
り、税負担への依存は増すばかりである。年金については、賦課方式か積立方式
かという論争があるが、現実には税負担に大きく依存する中では、現役世代全体
に対する負担の転嫁なくては、成り立たないのが現実だ。

 ところで、長年、社会保障政策と労働政策の政策分担の分水嶺は65歳となって
いた。これも、65歳までを現役として捉える考え方が背景にあったといえる。雇
用保険の適用が65歳までであったのもその考え方による。しかし、課題であった
65歳以上への適用拡大が来年から実施される。これに伴って助成金制度も65歳以
上を雇用の対象としたものに漸次見直しされていくであろう。
一般に、60歳台を通じてなだらかに引退していくという図式は明らかに変化して
きている。もとより、現役世代と引退世代の垣根は画然としたものではない。現
役か引退かという二分法で考えるのでなく、「なだらかな引退」あるいは
「現役志向のなだらかな変化」といったように、graduate(少しずつ変化する)
という発想が政策立案者に必要だろう。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 70歳以上を目指す雇用政策 ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 働き方改革でも、高齢者の活用は大きな政策課題となっている。
既に、65歳までの雇用保障は法改正により希望すればという前提であるが、実質
的に進んでいる。そこで考えられるのは、65歳以上への継続雇用の推進という課
題である。当面は70歳が目標となるが、長期的にはエイジフリーを目ざすという
のもあながち絵空事ではなくなってきた。平成29年度予算においても、65歳以降
の定年延長と継続雇用の推進に26億円、高年齢退職予定者キャリア人材バンク等
の再就職支援事業に154億円が計上されている。70歳以上への雇用の必要性はつ
ねづね説かれてきたところであるが、今回の予算でもその方向は強く表れてきた
ともいえよう。(参考 高梨昌編『70歳雇用への展望と課題』(労働情報セン
ター)拙稿)

 問題は、65歳以上を目ざすとすれば、65歳までは60歳定年+再雇用という形で
よいかということである。現役的な働き方を期待するならば、定年延長を考える
のが本筋であろう。これまでは、人件費負担や処遇の配慮などが隘路となって、
定年そのものの見直しには消極的であった。しかし、労働力不足感が強まる中
で、同じ会社で長年働いたベテランを戦力として使うことも必要になっている。
さらに、技能継承ということを考えれば、早すぎる引退によって、空白ができる
ことは避けなければならない。更に考えるならば、「定年制廃止」も検討しはじ
める時期かもしれない。働き方改革の本質は日本的雇用システムの今日的な在り
方の検証である。その中で、最も真髄をなすものは「定年」を軸とした超雇用の
慣行と制度化であったことを思い起こすべきであろう。(参考 横溝雅夫・著者
の共著『定年制廃止計画』東洋経済新報社)

 大きなエポックとなるのは、2020年に公的年金の受給開始年齢の65歳への移行
が完成することである。これによって、定年後の賃金は年金収入等とのバランス
で考えるという図式は見直しをせざるを得ない。しかも、同一労働同一賃金のガ
イドラインが出れば、高齢者の継続雇用の処遇の取り扱いがあらためて議論にな
ろう。他の非正規社員とちがって、現役時代からの仕事が継続していくような傾
向もみられる中で、格差をつけることの合理的根拠が問われることになる。非正
規として正規との均衡を論ずるよりも、同じ正規社員として、同一の人事制度の
中で評価を行い、その結果として格差があるという形の方がよいのかもしれな
い。今回のガイドライン論議は、ある意味で定年延長への動きを促進することに
もなるのではないか。 (北浦 正行)


編┃集┃後┃記┃
━┛━┛━┛━┛********************************************************


 明けましておめでとうございます。

 トランプ氏の米国大統領就任により、日本及び世界各国への影響が気になる幕
開けとなりました。

政府の「働き方改革」では、
1.同一労働同一賃金
2.長時間労働是正
3.多様な正社員化
4.保育・介護支援等の待遇改善
5.女性・高年齢者の活用    等
生産性の向上を目指すために働く環境整備等の対策です。

先日、正社員の「副業・兼業」のガイドライン(指針)案と、
「同一労働同一賃金」
のガイドライン(指針)案の中間報告が発表されました。
現段階の案については、実務上の課題を感じます。
最終ガイドライン(指針)では、課題対応策を織り込んだ策定を願うばかりです。


意識の多様化等により従来の働き方を改善する必要性が高まっています。
労使ともに働き方の意識を変え、協力して取り組むことが目標達成へつながりま
す。                             (白石)



-------------☆ ☆ ☆ --------------

発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今月のメールマガジン第177号はいかがだったでしょうか。
お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。
ご感想は info@koyousystem.jp にお願いします。

「こんな記事が読みたい!」というリクエストも、遠慮なくどうぞ。

次回の配信は2月初旬頃情報を送らせて頂きます。

e-mail: info@koyousystem.jp

[過去のメルマガ随時更新]⇒ http://www.koyousystem.jp
=============================================
メールマガジンの配信が不要な方は、お手数ですが、
こちらhttp://www.koyousystem.jp/mail_magazine.html から
配信停止を行って下さい。


社会保険労務士法人
雇用システム研究所
雇用システム研究所

〒162-0825
東京都新宿区神楽坂2-13
        末よしビル4階
TEL 03-5206-5991
FAX 03-5206-5990