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2018年は「非正規社員の処遇改革元年」
〜迫る無期転換と同一労働同一賃金に向けた企業の取り組み〜

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第189号
                              2018/01/01

           http://www.koyousystem.jp
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新年明けましておめでとうございます
“一年の計は元旦にあり”といいます。
皆様の計画が達成できますよう、お祈り申し上げます

雇用システム研究所メールマガジン第189号をお送りします。

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□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆2018年は「非正規社員の処遇改革元年」
 〜迫る無期転換と同一労働同一賃金に向けた企業の取り組み〜

■4月1日無期転換ルール本格化。処遇に揺れる企業
■既存の有期社員は無期転換、新規採用は選別基準を設定
■有期契約社員を無期転換し、全社員同一処遇を実現
■労働時間も短時間勤務。賞与、諸手当、退職金も支給
(以上執筆者 溝上 憲文)


◆忘れてならないダイバーシティ「障害者雇用」

■障害者雇用の現状
■法定雇用率の引き上げと精神障害者雇用
(以上執筆者 北浦 正行)

■[編集後記] (編集長 白石 多賀子)

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◆2018年は「非正規社員の処遇改革元年」

 〜迫る無期転換と同一労働同一賃金に向けた企業の取り組み〜


 2018年は「働き方改革」を含めて中・長期的な人事・人材戦略の抜本的な改革
を迫られる年になるかもしれない。
とくに非正規社員の処遇改善は間近に迫っている。
1つは、2013年4月に施行された労働契約法18条の通算契約期間が5年超の有期
雇用労働者に無期転換権が発生する無期転換ルールの適用が2018年4月から本格
化する。もう1つは、通常国会に提出予定の
「働き方改革関連法案」の中での「同一労働同一賃金」への対応である。



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■■■ 4月1日無期転換ルール本格化。処遇に揺れる企業 ■■■
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 労働契約法18条の通算契約期間が5年超の有期雇用労働者に付与される無期転
換権は2013年4月1日以後に開始する有期労働契約が対象になる。
契約期間が1年の場合、更新を繰り返して6年目の更新時を迎える2018年4月1
日から無期転換の申込みができ、1年後の19年4月1日から無期労働契約に移行
する。仮に18年4月1日から1年間の契約期間に無期転換の申込みをしなくて
も、次の更新以降でも申込みができるので無期転換権が消滅することはない。

 エン・ジャパンの調査(9月25日、513社、8割が300人以下の企業)による
と、無期雇用転換の対象になる有期雇用社員がいる企業は57%。そのうち67%が
無期転換を視野に進めると回答している。それ以外は「有期契約が更新を含めて
通算5年を超えないように運用していく」が7%、「派遣や請負に切り替えてい
く」1%、「わからない」「その他」が計25%も存在し、対応を決めかねている
企業も少なくない。

 無期転換を視野に入れている企業のうち無期転換後の処遇については
「有期雇用時と労働条件や待遇を変えない」が54%、
「正社員に近い労働条件や処遇に変更」13%、
「正社員と同じ労働条件や待遇に変更」16%となっている。
無期転換するにしても企業の対応にバラツキがある。

 すでに2018年4月を前倒しして無期労働契約への転換を実施した企業もある。
日本郵政グループ内には時給制契約社員など有期契約社員が約20万人いるが、そ
の半数が5年を超えていた。同社の労働組合(JP労組)は2016年春闘で無期転
換申込み権の発生を2016年10月とすることで妥結した。

 無期転換後の新たな社員区分の名称は「アソシエイト社員」。
賃金制度は変わらないが、正社員と同様の病気休暇の拡大と休職制度の導入、そ
れと半日単位の年休取得で合意した。時給制契約社員は半年ごとに契約更新する
が、5年超の社員は16年10月から無期転換の申し出を行い、2017年4月には数万
人単位の無期契約のアソシエイト社員が誕生した。


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■■■ 既存の有期社員は無期転換、新規採用は選別基準を設定 ■■■
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 一方、2016年10月1日以降に採用される有期契約社員については新たに契約更
新要件と早期無期転換要件を設定することで合意している。
契約社員の習熟度審査をクリアすれば最短3年で無期転換に申し込むことがで
き、一方、5年を超える契約更新時に最低のスキル基準に留まっていれば雇止め
になる設計になっている。JP労組の担当者は「普通のレベルであれば無期転換
できるが、これ以上やる気がないというような人にあたる」と語る。

 また、2万人以上の有期契約社員抱えるサービス業では既存の有期社員につい
ては処遇をそのままに無期契約に転換していく方向だ。今後採用する有期社員に
ついては何らかの方法で選別していく予定だ。その理由として

「すべてを無期にすることには限界がある。新たな評価制度を構築し、採用後1
年を迎える段階で見極め、今後も継続して働いてもらうかどうかを決める方式を
検討している。その上でスキルの向上を促す教育訓練などの仕組みを整備した
い」(同社人事担当者)と語る。


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■■■ 有期契約社員を無期転換し、全社員同一処遇を実現 ■■■
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 非正規社員の処遇改革では「同一労働同一賃金」も視野に入れる必要がある。
すでに2016年12月に政府の「同一労働同一賃金ガイドライン案」が策定され、
17年9月に従来のパートタイム労働法と労契法の有期雇用労働者に係わる条項を
統合した「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律
案」(改正パート・有期雇用法案)の要綱が出された。この法律はパート・有期
雇用労働者ともに均等待遇を事業主に義務づけるとともに、
「待遇差の内容やその理由等」に対する説明義務を課す。
先の同一労働同一賃金ガイドライン案を法的に根拠づけるものになっている。

 ガイドラインは基本給、ボーナス、各種手当などについて、正社員とパート・
有期雇用労働者の間の問題となる格差を挙げている。基本給や賞与ついて正社員
と同じ貢献をしていれば同額を支給し、貢献度が違うのであれば、それに見合っ
た金額を支給する。諸手当についても同じ仕事をしていれば、役職手当、危険作
業などの特殊作業手当、交代制勤務などの特殊勤務手当、精勤・皆勤手当、時間
外労働手当、深夜・休日労働手当も同じ額を支給するものとしている。
 すでに先駆けて同一処遇に踏み切ったのがクレジットカード大手のクレディセ
ゾンだ。同社は非正規社員を含めた雇用形態による社員区分を撤廃し、全員を無
期雇用とする賃金を含むすべての処遇制度を役割等級制度で一本化した「全社員
共通人事制度」を2017年9月16日から導入した。

 同社の従業員数は約3900人。従来の同社の社員区分は無期雇用の総合職社員、
専門職社員、有期雇用の嘱託社員、メイト社員の4つに分かれていた。総合職は
全体の4割強の約1700人、専門職社員が約1200人、嘱託社員が約150人、メイト
社員が約900人という構成だ。専門職社員や嘱託社員は特定の職務を担当し、メ
イト社員は定型的な事務や電話応対・営業サポートを担うなど業務範囲が限定さ
れていた。また、メイト社員の労働時間は1日5.5時間の短時間勤務から7.5時
間の間で選択できる仕組みであった。

 従来の人事制度では無期雇用の総合職と専門職社員は職能等級と職務等級があ
り、課長までは職能給・職務給の2本立て(部長職以上は2016年5月に職能等級
を廃し、給与は職務給に一本化)。有期雇用の嘱託社員は職務に応じて個別に年
収額を決定する月給制。同じく職務限定のメイト社員はスキルや習熟度別の賃金
体系による時給制だった。給与以外の処遇では総合職と専門職には賞与や退職金
制度があったが、一部を除き嘱託社員とメイトには賞与・退職金制度はなかった。

 新たな役割等級制度では、一般職層の役割グレードをG1〜G5の5段階、管
理職層を大きくM(課長職)とGM(部長職)の2階層に分けた。グレードごと
に期待する役割を定義しているが、G1は旧メイト社員の事務業務、G2は同じ
く電話応対・営業サポート業務と位置づけ、旧総合職・専門職・嘱託社員はG3
以上に配置した。賃金は毎年の昇給評価によりグレードの範囲内で基本給が決定
される仕組みだ。


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■■■ 労働時間も短時間勤務。賞与、諸手当、退職金も支給 ■■■
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 大きく変わったのは基本給以外の部分だ。旧総合職に適用されていた賞与や諸
手当、退職金制度、福利厚生も同一処遇とした。同社の賞与は年初に業績目標を
設定し、その達成度を評価する目標管理の結果で決まる。
新制度では、G1、G2に多く所属する旧メイト社員にも同様の仕組みで支給さ
れる。また同社の退職金制度は2004年に確定給付型から確定拠出年金に移行して
おり、会社拠出分として年収の7%を12ヶ月に分割して支給している。それ以外
の手当として「子女教育手当」を扶養義務に関係なく支給する。そのほかの福利
厚生であるカフェテリアポイントもこれまで雇用区分ごとに付与していたが、全
社員一律にポイントを付与することにした。

 もう一つの注目点は労働時間も全社員統一の仕組みに整備したことだ。旧メイ
ト社員は1日当たり5.5〜7.5時間の間の勤務が多かった。また旧総合職の所定
労働時間は7.75時間で、育児・介護の事情に応じ、2時間・1.5時間・1時間
短縮の短時間勤務制度があった。これをメイト社員に合わせる形で所定労働時間
7.5時間に短縮。さらに育児・介護以外の理由でも5.5〜7.5時間の範囲で30
分単位の短縮ができる短時間勤務制度に変えた。
 ところで非正規社員を無期雇用とし、正社員と同じ賃金テーブルにすれば、人
件費がアップするのではと懸念する声もあるだろう。だが、基本給に関しては改
めて精査したところ、それほどの差はなく、格差が大きいのは賞与や諸手当だっ
た。実際には賞与などの増加で人件費は従来に比べて約4%、数億円の増加にな
る見込みだ。

 非正規社員も含めた全従業員統一の人事・賃金制度を構築した事例はまだ少な
いが、同社の取り組みは「同一労働同一賃金」の実現が決して不可能ではないこ
とを示すものだ。

 今や人手不足も顕在化している。人材の獲得と定着は経営にとっても死活問題
であり、非正規社員の活用と戦力化は企業の持続的成長を大きく左右する。
処遇制度の改革は避けては通れないだろう。       (溝上 憲文)



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◆忘れてならないダイバーシティ「障害者雇用」

政府が決めた記念日は数多あるが、12月9日が障害者の日であったことはあま
りポピュラーとは言えないようだ。この日は、1975年に国際連合で障害者の権利
宣言が総会決議が採択された日を記念して、1981年に当時の厚生省が定めたもの
である。ちょうどその年が国際障害者年に当たることから、障害者雇用問題が大
きくクローズアップされた。ただし、2004年の障害者基本法改正によって、国際
障害者デー(12月3日)から12月9日までの1週間を「障害者週間」としたため、
この記念日は埋没してしまった。

 しかし、それから30年以上経て、ようやく我が国も障害者雇用対策の形が整っ
てきた。身体障害者対策から出発して、知的障害者に拡張してきた。今回焦点と
なっている精神障害者雇用の問題は、文字通り心身障害者全体に及ぶ政策パッ
ケージの完成にとって残された最大課題の一つである。とはいえ、政府の働き方
改革では、必ずしも障害者の働き方は強調されていないようだ。今後の経営に
とっての基本方向であるダイバーシティ戦略を考えれば、障害者問題はもっと重
視されてよいだろう。


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■■■ 障害者雇用の現状 ■■■
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 民間企業(50人以上)に雇用されている障害者の数は年々増えており、平成29
年6月1日現在で約49万6千人と過去最高となっている。内訳をみると、身体障害
者は約33万3千人、知的障害者は約11万2千人である。精神障害者は約5万人であ
るが、対前年比で19.1%増と最も伸びが大きい)

 実雇用率は、1.97%と6年連続で過去最高を更新し、平均値では法定雇用率で
ある2.0%にほぼ達している。ただし、企業ごとに雇用状況に格差があり、未達
成企業の割合は50.0%と依然として大きい。規模別にみると、50〜100人未満が
1.60%、100〜300人未満が1.82%であるにに対し、1000人以上は2.16%となって
いる。また、産業別には、「医療、福祉」が2.50%と最も高く「生活関連サービ
ス業、娯楽業」等がこれに続いているが、「製造業」も2.02%と法定雇用率を超
えている。

 ただし、以上の数字は実雇用率算定の人数であるため、加工値であることに注
意を要する。すなわち、重度障害者は2倍でカウントし、短時間労働者は0.5倍で
カウントして合算したものである。このため現実の障害者数はこの数値よりも低
いことになるが、2000年代に入ってから増勢を続けていることは間違いない。
実際の就職状況をみても、平成28年度のハローワークに新規求職を申し込んだ
障害者は約19万2千件、就職件数も約9万3千件と過去最高になっている。就職率
も44.4%と上昇し、過去最高になっている。とくに、精神障害者の伸びが大き
く、新規求職申込件数の約8万6千人は10年前の平成19年度の約2万3千人の4倍近
い増加である。新規求職申込件数の障害種別の割合をみても、精神障害者は
44.8%を占めており、身体障害者の31.6%を大きく上回っている。

 このように、障害者雇用は雇用回復の追い風に乗って順調に増加傾向を続けて
いると言えよう。特に精神障害者のウエイトが増していることが着目される。
それには、法定雇用率が引き上げられていく中で、その達成のためにはこれまで
対象となりにくかった精神障害者が注目されてきたことがあろう。もちろん、精
神障害者に対する雇用支援作のメニューも充実してきたこともあるが、企業の中
で精神疾患にかかる者も増えてきたことも背景にある。



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■■■ 法定雇用率の引き上げと精神障害者雇用 ■■■
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 雇用される障害者数や求職申込を行う障害者数の増加に伴い、障害者の雇用機
会を更に拡大することは喫緊の課題となっている。このため、障害者の法定雇用
率を定める障害者雇用促進法の改正政令が来年4月1日から施行される。民間事業
主については、現行の2.0%が2.2%に引き上げられ、これより3年を経過する平
成33年4月までには更に2.3%に引き上げられることになっている。

 この引き上げの根拠としては、身体障害者、知的障害者に加え、精神障害者の
雇用が義務化するということがある。つまり、積み上げてきた障害者雇用対策の
一応の完成という意味合いがあると言えよう。その一方では、障害者雇用促進策
を一層充実させる必要性も高い。平成30年度予算案においても、法定雇用率ゼロ
企業に対して、そのニーズに応じたチーム支援や、精神障害等を持った求職者に
対してハローワークに専門職員配置など、障害者対策の充実に146億円が計上さ
れている。

 とくに、注目したいのは雇用対策直接ではないが、「精神障害者の地域移行を
促進するため、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を推進する」
ことが、障害者施策の中で打ち出されていることである。介護と同様に、施設か
ら在宅中心へと政策の基軸が移行していくことになれば、精神障害者の就労支援
の姿にも影響を与えるのではないか。

 一方、企業におけるメンタルヘルス不調を背景に、精神疾患を理由とした休業
者の増加も問題となってきている。労働政策研究・研修機構の調査によれば、病
気休職制度を利用した休職者数人数で1人以上休職者がいる企業は28.4%である
が、疾病別ではメンタルヘルスが16.4%と最も多い。(「メンタルヘルス、私傷
病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」2017年)精神障害に関する事
案の労災補償状況をみても、請求件数は1586件、支給決定件数は498件といずれ
も増加している。

 障害者雇用対策のメニューは格段に充実してきているが、精神障害者の雇用促
進策は、他の身体障害者や知的障害者とは異なる対応を必要とする面もある点に
留意しなければならないだろう。外見上は違いが見えにくいだけに、雇用管理上
の配慮や周囲の従業員のカバーも忘れがちになってしまうことも多いようだ。ま
た、とりわけコミュニケーションの問題が難しいために、対応が難しい場面も起
きがちだという指摘もある。

 このため、ジョブコーチ(職場適応支援者)による支援に対する評価は高い。
これは地域障害者職業センターから企業に出向き、仕事に適応するための支援や
仕事をする上で円滑なコミュニケーションを取るための支援などを行うものであ
る。このうち後者のコミュニケーション支援の有効性が高いという意見がよく聞
かれる。また、トライアル雇用(障害者試行雇用支援事業)のほか、総合支援法
による福祉施策との連携による一般雇用への就労移行支援などの活用もあろう。
とくに、精神障害者の場合には、長時間拘束されて働くことの難しさを訴える声
もある。また、治療を受けながらの職場復帰というケースも多いと考えられる。
このため、ひとつには、治療と仕事との両立支援策の充実が重要になるととも
に、フルタイム就労だけでなく短時間就労での雇用を促進することが政策上の課
題となる。

 この後者との関係で、障害者雇用促進法の省令改正によって、精神障害者の雇
用率算定に5年間の経過措置を設けることとなった。週20時間以上30時間未満の
労働者については、0.5人に換算するところを1人と算定する取り扱いをすること
によって、雇用促進効果を期するというものである。

ただし、雇用開始から3年以内か精神障害者保健福祉手帳を取得して3年以内の者
に限るという措置である。

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 我が国では、障害者雇用問題はかなり早くから取り組まれている。法定雇用率
制度を通じた割り当て制という考え方と、雇用保険の2事業や納付金制度による
助成制度による手厚い支援施策の両輪で進められていると言えよう。精神障害者
の雇用義務化まで進んだことはこれらの政策体系を一応完成させたようにも思え
る。しかし、まだ課題は残される。

 第一に、対象となる障害の範囲である。難病患者などの取り扱いでまだ認定申
請の要望が出されているものもある。

 第二に、雇用される障害者の高齢化の問題である。治療との両立支援も重要で
あるが、従事する仕事内容や勤務条件の見直しにもつながる。

 第三に、支援策も次のステージとしては企業自体が取り組むステップという考
え方が多い。したがって、就職・職場復帰から定着・通常勤務へというシナリオ
を描く必要がある。

 第四に、施設入居など福祉施策からの移行者への対応である。企業だけでな
く、家庭はもちろん、地域の支援者を含めたネットワーク形成という考えかが重
要になる。

 とりわけ、ダイバーシティという発想のもとに障害者を位置付けていくことは
大きな課題であろう。我が国では、女性雇用や外国人雇用が焦点になっている
が、年齢、障害など様々な個性を大事にするのがダイバーシティである。障害者
雇用差別法の制定や、これと関連しての障害者雇用促進法の改正(平成28年4月
施行)によって障害者差別禁止の規定が置かれ、ダイバーシティ施策としての障
害者雇用対策の意義は明確になったことも忘れてならないだろう。
                             (北浦 正行)



編┃集┃後┃記┃
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 明けましておめでとうございます。
 皆様のご健勝とご活躍を祈念申し上げます。

 さて、労働法関係では、2018年問題として、
1.2013年4月労働契約法改正により、4月以降から有期労働契約が通算5年
を超えると無期契約に転換の申し込みができます。

2.2015年9月労働者派遣法改正により、10月以降から同一の組織単位(職
場)に派遣できる期間を3年までとするルール。
3年を超えると派遣先から直接雇用の申し込みがあったと見なされます。

すでに、有期労働契約では、
雇い止めや派遣切り等のトラブルが発生しています。

日本企業の課題は、
神戸製鋼、日産自動車等の品質管理不正、最近は新幹線「のぞみ」の台車の亀裂
は破断寸前で脱線事故になりかねない状態とのことで、
日本製品の「安全・安心」の信頼が崩れています。
その一つに「技術の後継」問題があります。人材育成の急務が問われています。

また、大手都市銀行のAI(人工知能)の導入による自動化は、多くの企業に問題
提起されたのではないでしょうか。
今後、AIは急速に進化をすることでしょう。

今年は、「働き方改革関連法案」が国会で審議予定です。
企業にとっても対応に追われる年になるでしょう。        (白石)




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発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp

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