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人手不足と採用戦略(4)
〜松竹の採用と定着に結びつけるインターンシップ〜

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┏━━┓    
┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第191号
                              2018/03/01

           http://www.koyousystem.jp
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春一番の突風が吹きました。
春の足音が聞こえ始めています。

皆さまいかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第191号をお送りします。

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□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆人手不足と採用戦略(4)
  〜松竹の採用と定着に結びつけるインターンシップ〜

■日本私立大学団体連合会がワンデイの呼称廃止を提言
■目的はエントリー学生とは違う人材の発掘とミスマッチの解消
■期間中は個々の学生を評価。本選考にも反映させる
(以上執筆者 溝上 憲文)


◆雇用関係によらない働き方

■新しい働き方への関心の高まり
■新しい働き方の評価と問題点
■政策対応の方向をどう考えるか
(以上執筆者 北浦 正行)

■[編集後記] (編集長 白石 多賀子)

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◆人手不足と採用戦略(4)

 〜松竹の採用と定着に結びつけるインターンシップ〜

 2019年卒の採用活動が本格化している。本来の企業説明会は広報活動解禁日の
3月1日以降であるが、経団連が1dayインターンシップを解禁したことで2
月開催の企業が増加した。2月のインターンシップ実施企業はリクナビ・マイナ
ビ・キャリタスの主要就職サイトの合計で延べ1万3000社を超えた。そのうち
1dayが約76%(1万2000社)を占める。


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■■■ 日本私立大学団体連合会がワンデイの呼称廃止を提言 ■■■
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インターンシップは就業体験を通じて自分に合った企業を選ぶなどミスマッチ
解消の機会であるが、1dayは一方的に会社をピーアールするための事実上の
企業説明会と化しているところも少なくない。こうしたインターンシップ形骸化
に対して、怒りの声を上げたのが日本私立大学団体連合会だ。2月19日に発表し
た提言で「ワンデイインターンシップという呼称は廃止すべきである」と、こう
訴えている。

「インターンシップの大半がワンデイインターンシップであり、就業体験とは名
ばかりで、事実上は会社見学あるいは企業説明会といった内容のものが半数近く
を占める。(中略)広報解禁や選考解禁前に行われるワンデイインターンシップ
の会社説明会および選考機会的性質は、経団連の『採用選考に関する指針』にも
反するものであり、このような状況は根本的に解消されるべきである」

 確かに1日の説明会だけでは就職後3年以内の離職率が大卒で3割と言われる
状況を解消することはできない。本来のインターンシップはどうあるべきなの
か。松竹の事例を紹介したい。



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■■■ 目的はエントリー学生とは違う人材の発掘とミスマッチの解消 ■■■
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 同社のインターンシップの最大の狙いは映画・演劇などの関心の有無に関係な
く多様な学生にエンタメビジネスを知ってもらうことにある。人事担当者をその
目的をこう語る。

「会社の人事施策として多様な人材を採用していくという方針がある。映画・演
劇好きだけではなく、まったく違う要素を持っている人を採用するには今までの
選考にエントリーした学生とは違う母集団をつくっていく必要がある。その一つ
のツールがインターンシップだ。もう1つは学生が抱いている仕事のイメージと
実際に現場でやっている仕事のギャップを埋めたいという思いがあった。華やか
なイメージを持って入ってくる学生も多いが、実際の業務はマスコミ向けの宛名
の整理やチラシを折ったりする地味な作業も多い。知らずに入ってくるとその
ギャップに悩んでしまうことになり、会社と学生双方にとって不幸だと考えている」

 インターンシップは5日間の就業体験型。受入部署は撮影所、映像企画、宣伝
部、事業部、演劇部(歌舞伎座)の5つ。事業部は不動産やイベント企画などを
手がける部署だ。各部の受入人数は2〜4人。インターンシップのエントリーの
受付は8月1日に始まり、9月1日からエントリーシートによる選考を行い、通
過者の面接を経て参加者が決定。毎年10月下旬に開催している。

 面接には人事以外に受入部門の担当者も参加して実施する。毎年各部100人ぐ
らいの応募があり、面接に進むのは各部平均で10〜15人程度だ。プログラムの内
容は現場スタッフのアシスタントとして働くのが基本だ。初日は全員を集めてオ
リエンテーションを行い、午後から各部の現場に入る。例えば撮影所では松竹撮
影所のスタッフに挨拶し、その後は担当者が現場を案内し、2日目以降は
AD(アシスタントディレクター)のような役割で撮影の手伝いを行う。

 演劇部門では歌舞伎座などの演劇の制作から2次利用までの一連の流れを学び
ながら「歌舞伎興行」の現場を体験する。できるだけ千秋楽に設定し、翌月の舞
台入れ替えに伴う月末の大道具の舞台づくりや俳優の稽古、あるいは稽古と初日
の舞台が見られるように日程を工夫している。宣伝部では映画の宣伝業務全般を
体験してもらう。映画公開の初日であれば舞台挨拶の準備に携わる。また10月下
旬には毎年「東京国際映画祭」が開催され、その場には業界各社の宣伝担当者が
集まるが、その一員として映画祭の業務を担ってもらう。

 事業部では百貨店の催事などのイベントのほか、映画・演劇のパンフレットの
編集、関連グッズの企画開発の手伝いを担う。また、事業部ではレストランや東
京駅の「歌舞伎屋本舗」という店舗を運営しており、店舗の販売員を体験しても
らう。また、就業体験以外に歌舞伎座、映像企画、事業部の3部署では学生に企
画提案などのテーマを与え、最終日に発表してもらう機会を設けている。例えば
映像企画であれば、期間中にテレビの企画案を考えてもらい、担当の執行役員を
はじめとする社員の前でプレゼンをしてもらう。学生にとっては自分のアイデア
を現場のプロに評価してもらえるメリットもある。


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■■■ 期間中は個々の学生を評価。本選考にも反映させる ■■■
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 学生にとって密度の濃い有意義な就業体験であるが、会社も期間中の個々の学
生の働きぶりも観察している。
「5つの部署は松竹の中でも活躍している社員が集まる部署であり、そこで働け
るかどうかが大きなポイントになる。学生の働きぶりについて部門の担当者に
日々のレポートを提出してもらい、終了後はアンケート用紙への記入と口頭によ
るフィードバックを受けている。どんなところが難しかったのか、課題があれば
翌年のインターンシップの改善に役立てている。学生に対する評価については、
例えばこの学生の企画はよかったというフィードバックを受けることもあるし、
人事も働きぶりやプレゼンの内容も見ているし、学生個々の評価については本選
考にも反映するようにしている」(人事担当者)

 5日間を含めてインターンシップに参加した学生には採用選考を受けてほしい
という思いが当然ある。インターンシップ終了後のフォローとして1〜2月に
「社員交流セミナー」を開催し、各部署の現場の社員と学生が半日ないし、丸一
日かけて交流する場に招待する。

 同社の採用選考は3月に募集に開始し、面接などの選考プロセスを経て6月上
旬に内々定を出すという流れだ。人気企業だけに1万人を超えるエントリー数が
あるが例年の内定者は約15人と狭き門だ。インターンシップ参加者も他の学生と
同様の選考プロセスを経ることになるが、インターンシップでの評価の高い学生
は優先的に最終面接に残すようにしているという。

 同社のインターンシップの目的は前述したように多様な人材の母集団形成と仕
事内容の認知度の向上にある。単に採用するだけではなく、本当に欲しい人材を
確保し、入社後の定着を図る上で本来のインターンシップを実施する意義は十分
にあると言えるだろう。                (溝上 憲文)



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◆雇用関係によらない働き方

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■■■ 新しい働き方への関心の高まり ■■■
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 これからの働き方の在り方を考える議論の中で、雇用関係によらない働き方に
関心が高まっている。いわゆるインディペンダントワーカーへの着目である。
すでに欧米では、その数は相当に上っているとされる。米国では、労働力人口1
億5700万人のうち約35%の5500万人がフリーランスの契約によっているという。
我が国においては、これらの実態はまだ十分把握されていないが、既成の概念で
考えれば統計上は自営業主ということになる。自営業主の数は、平成22年国勢調
査で551万人となっているが、このうち雇い人のいない事業主が比較的近い概念
であろうが、424万人で就業者全体の1割にも満たない。

 ただ、かつてのような農業従事者や零細の小売・サービス事業者が大半を占め
ていたことと同じよう内容ではない。むしろ、ニュービジネスを起業したり、自
らの専門能力を活かして契約で働く自律的なワークスタイルとして脚光を浴びて
いる。しかも、企業に勤めながら副業的に働く者や、内職的な働き方もあるなど
多様化している。SOHO事業者に分類される者も、いわゆるインディペンダントコ
ントラクターと呼ばれる者のうちには、仕事上、事業契約上は企業の契約社員と
して兼務している者もいる。このように、雇用と自営の中間的な働き方の増加が
指摘されており、その中には一つの相手方と専属的な契約関係にあっ て、主な
収入源をその相手方に依存している場合も多い。

 特に最近注目されているのは、シェアリングエコノミーを活用した働き方であ
る。すなわち、使われていないモノや時間、スキルなどをシェアして、それらを
利用したい人と提供する人とをマッチングするものであり、自動車シェア・配車
サービスの「Uber」が有名である。一般的なタクシーの配車に加え、一般人が自
分の空き時間と自家用車を使って他人を運ぶ仕組みを構築している。これによっ
て、消費者のニーズだけでなく、自分の時間を好きなように使える働き方とも
なっているのである。

 こうした発注者がクラウドソーシングを利用するメリットは、
「必要な時のみ発注可能」、「自社に不足する経営資源の補完」という発注者が
全体の約6割となっており、常には雇用できない人材を調達して補完することが
できることや、業務の合理化・効率化が図られることができる点とされている。
(経済産業省「新たな産業構造変化に対応する働き方改革に向けた実態調査」平
成28年度)


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■■■ 新しい働き方の評価と問題点 ■■■
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 中長期的に考えるならば、人々の働き方は、より個人のニーズの違いに応じた
柔軟なものとなっていくことは十分に予想されよう。「働き方の未来2035:一人
ひとりが輝くために」懇談会報告書(平成28年8月)では次のように指摘している。

「2035年の企業は、極端にいえば、ミッションや目的が明確なプロジェクトの塊
となり、多くの人は、プロジェクト期間内はその企業に所属するが、プロジェク
トが終了するとともに、別の企業に所属するという形で、人が事業内容の変化に
合わせて、柔軟に企業の内外を移動する形になっていく。その結果、企業組織の
内と外との垣根は曖昧になり、企業組織が人を抱え込む「正社員」のようなスタ
イルは変化を迫られる。」このため、「複数の会社の複数のプロジェクトに同時
に従事するというケースも多く出てくるだろう。その結果、個人事業主と従業員
との境がますます曖昧になっていく。組織に所属することの意味が今とは変わ
り、複数の組織に多層的に所属することも出てくる。」

 このように企業の概念が大きく変化すれば、「労働者」という概念自体も見直
しを迫られていくことは十分に予想されよう。しかし、雇用関係によらない働き
方の現状では、例えば値引きの強要や 一方的な仕事の打切りなど、当事者間の
交渉力の格差等から生ずると考えられるトラブルが存在することも事実である。
「雇用類似の関係にある請負自営業者の労働者性に関する調査」(平成23、24年
度厚生労働省委託調査)によれば、「取引先に対して何らかの不満や苦情を言っ
たことのある」者は、情報処理技術関係では約4割となっており、その内容とし
ては「契約単価」が最も多く、次いで「仕事の発注量」となっている。また、
「必要な経費負担」は自分が負担している場合の方が、会社が負担している場合
よりも多い。「出社日時」についても、曜日ないし時間あるいはその双方が指定
されている場合が多くなっており、発注元である企業のコントロールが強く働い
ている場合も少なくないと思われる。

 とりわけ問題とされているのは、発注元の企業との関係性が強く、従属的な状
態で働くような形になっている場合である。優越的な地位にある発注者から不利
な契約条件の設定を強いられたり、事業の継続的確保や報酬の保証が不透明で
あったりして、働き方としての安定性を欠くことも考えられよう。ただし、こう
した問題点を事業者としての必然的なリスクとして見るのか、労働者として保護
すべき事項とすべきなのかは、本人の就業選択の考え方にも依存しよう。


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■■■ 政策対応の方向をどう考えるか ■■■
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 では、どういう雇用関係によらない働き方に対しては、どのような政策対応が
必要になるだろうか。こうした観点から、政府内では、経済産業省「雇用関係に
よらない働き方に関する研究会」や厚生労働省「雇用類似の働き方に関する検討
会」において、こうしたフリーランスによる新しい働き方が円滑に普及するよう
に必要な環境整備や保護策の検討の必要性が指摘されている。

ただし、その前提としては、労働者性の強い場合、事業者性が強い場合、両者
の中間的な場合とに分け、その態様に応じて必要な施策を講じることでなければ
ならない。したがって、労働者性が強ければ「保護」的側面を重視し、事業者性
が強ければ「支援」的側面を重視した政策整理ということになろう。前者は現行
の労働保護法制の適用ないし拡張を考えることになるが、後者は極めて中小企業
政策の延長上の中で考えることになる。問題は、中間的な場合をどの範囲で考え
ていくのか、また、とりわけ「保護」的施策をどこまで取り入れるのかという点
である。

 この点に関しては、労働契約法の制定によって、労働基準法上の労働者以外の
者に対しても、相手方との間に 情報の質及び量の格差や交渉力の格差が存在す
る場合に「契約締結」面での保護を与えていくことが考えられる。いずれにして
も、雇用関係に類似していることや労働者性の判断基準についての検討が重要な
課題となる。また、中間的な場合については、家内労働法と同様なフレームで対
策を考えたらどうかという意見もある。このほか、労働者性が強い場合には、最
低報酬を定めることが必要であるとの意見もあるが、契約内容や事業種類の違い
によって考える必要があり、一律的な設定が難しい。更には一人親方として労災
補償の対象としていくべきとの提起もある。

 別の観点からのアプローチとして、取引の公正を担保するという施策も考えら
れる。本年2月には、公正取引委員会の「人材と競争政策に関する検討会」報告
書が出されている。独占禁止法の適用関係の整理という視点で取りまとめられて
いるが、注目すべきなのは、優越的地位の濫用の観点から指摘された次の点である。

 「役務提供者に対して取引上の地位が優越している発注者が役務提供者に不当
に不利益を与える場合に独占禁止法上問題となり得る。発注者が通常企業である
のに対して役務提供者が個人で事業を行っていることが多いという人材獲得市場
の事情は,役務提供者の優越的地位の認定における考慮要素となる。」

 働き方改革実行計画の中で、副職や兼業ができる環境整備が謳われているが、
以上のようなフリーランスな新しい働き方のフレームを考えることも、その重要
な論点となる。議論はまだ始まったばかりであるが、あくまでも労働者性と事業
者性の二つの性格を持っていることを基本に置きながら、その色合いの違いに応
じた実効ある政策検討が望まれよう。           (北浦 正行)



編┃集┃後┃記┃
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 「プレミアムフライデー(プレ金)」がスタートして
2月23日で1年を迎えました。

 経済産業省等でつくるプレミアムフライデー推進協議会の意識調査によると、
認知度は9割程度、実施は1割程度とのことです。
今では、すっかりプレ金の言葉は話題にならず、求めていた効果がない状況です。

 働き方改革関連法案は、安倍首相が国会で「裁量労働制で働く労働時間が一般
労働者より短いデータがある」との答弁を撤回した以降、データの信憑性が失わ
れ、ついに働き方改革関連法案から分離し、「裁量労働制」は今国会への提出・
成立を断念しました。
  
労働者が働きやすい職場環境の中で成果がでる仕組みを目指して論議してほしい
です。                     (白石)


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発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp

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今月のメールマガジン第191号はいかがだったでしょうか。
お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。
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