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働き方改革をどのように進めていくか(1)
〜「働き方改革関連法案」の行方〜

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┏━━┓    
┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第192号
                              2018/04/01

           http://www.koyousystem.jp
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大地も空も清々しい空気があふれているとされる「清明」の季節となりました。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第192号をお送りします。

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□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆働き方改革をどのように進めていくか(1)
    〜「働き方改革関連法案」の行方〜

■与党内でも法案に異論、難航する審議作業
■裁量労働制で労働時間は減ることはないとの声も
■「高プロ制度」の導入も含めて法案の行方が混沌
(以上執筆者 溝上 憲文)


◆第13次労働災害防止計画の策定

■労働災害防止計画の策定
■第13次労働災害防止計画の目標と対策
■今後の課題
(以上執筆者 北浦 正行)

■[編集後記] (編集長 白石 多賀子)

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◆働き方改革をどのように進めていくか(1)

    〜「働き方改革関連法案」の行方〜

 政府が今国会の最重要課題と位置づける「働き方改革関連法案」には、時間外
労働の罰則付き上限規制や同一労働同一賃金問題などが盛り込まれている。企業
にとっては36協定の見直しを含む人事制度などの改革を迫られることになりそうだ。


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■■■ 与党内でも法案に異論、難航する審議作業 ■■■
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 だが、ここにきて「働き方改革関連法案」の今国会での成立が危ぶまれる事態
になっている。2月末に取材した自民党労働族の重鎮議員(大臣経験者)はこう
語っている。

「罰則付き上限規制や同一労働同一賃金の導入について自民党内部から中小企業
にとっては相当大変だという不満の声が上がっている。またエグゼンプション
(高プロ制度)も公明党から一度廃案になった法案をそのまま出していいのかと
いう声も出ている。党内だけでもあっさりと通してしまうことは簡単ではない」

 この法案について与党内でも一枚岩では。現在、厚生労働省の職員が与党の理
解を求めるために走り回っているが、与党内の理解を得るのに苦慮しているよう
だ。こうした状況に追い打ちをかけたのが、裁量労働制をめぐる一連の騒動だ。
安倍首相は企画業務型裁量労働制の対象拡大を削除し、国会提出を断念するに
至ったが、事の発端は安倍首相が1月29日の国会答弁で「厚労省の調査によれば
裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般的労働者よ
り短いというデータもある」と発言したことだ。だが、その元となる厚労省の調
査自体が客観性を欠く不適切なデータであることか判明した。

 その後も裁量労働制に関する事実が次々と明るみに出た。昨年12月に野村不動
産が東京労働局から裁量労働制の違法適用で異例の特別指導を受けたが、じつは
50代の社員が過労死して労災認定を受けていたことが後でわかった。また、裁量
労働制の適用に関して2017年に全国の272の事業所で是正勧告や指導を受けてい
た事実を厚労省は3月22日の野党の合同ヒアリングで明らかにした。

 さらに翌日の衆院厚生労働委員会で加藤勝信厚生労働大臣は精査するとしてい
た当初のデータについて「実態を反映したものとは確認できなかった。裁量労働
制のデータそのものについて撤回する」と発言した。つまり、一般労働者に比べ
て裁量労働制の労働者の労働時間が「短くなる」というデータは存在しなかった
のである。



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■■■ 裁量労働制で労働時間は減ることはないとの声も ■■■
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 逆に、厚労省の外郭団体である独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査
(2014年6月)では一般労働者よりも裁量労働制の適用労働者の労働時間が長い
という調査結果が出ていた。

 裁量労働制拡大の是非はさておき、そもそも政府の導入趣旨そのものに無理が
あった。当初から政府は「働き方改革関連法案」について日本の長時間労働体質
を変えていくことを立法趣旨に掲げていた。その方策の1つとして、これまで法
律上青天井だった労働時間に上限を設けること(罰則付き上限規制)。もう一つ
が自分の裁量で働く時間を決められ、出社・退社が自由にできる「裁量労働制」
の拡大と「高度プロフェッショナル制度」(高プロ制度)の創設である。

 政府は自由な働き方ができると労働時間も短くなり、子育てや介護に時間を割
くことができ、仕事と家庭の両立が可能になると主張し、企画業務型裁量労働制
について新たに法人営業職などに拡大しようとしていた。確かに出勤・退勤の自
由があり、自分の裁量で業務量が調整できれば政府が言うように長時間労働は減
るかもしれない。

 だが、企業の人事担当者は必ずしもそう考えてはいない。大手IT企業の人事担
当者は「安倍首相の発言を報道で知ったときは、実態をよく知らずに議論してい
ると思った。当社も係長クラスに裁量労働制を導入しているが、ほとんどが以前
よりも遅くまで会社に残って仕事をしている。もちろん中には定時に帰る社員も
いるがごく少数。裁量労働を入れると労働時間が長くなるのは人事関係者の間で
は常識ではないか」と語る。

 先に紹介した労働政策研究・研修機構の裁量労働制の調査によると、日々の出
退勤において「一律の出退勤時刻がある」と答えたのは専門型の社員が42・
5%、企画型が49・0%の割合を占めている。半数近くの人を会社が出退勤時刻で
縛っている。しかも、企画型・専門型の社員の40%超の社員が遅刻した場合は
「上司に口頭で注意される」と答えている。要するに「自由な裁量」を謳いなが
らも「不自由な働き方」をしている人が少なくない


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■■■ 「高プロ制度」の導入も含めて法案の行方が混沌 ■■■
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 今回の顛末で明らかになったのは、裁量労働制の拡大が「日本の長時間労働を
減らす」ことに必ずしもつながらないということだ。それに照らせば新たに創設
される「高プロ制度」も同様に労働時間が短くなることはないはずだ。高プロ制
度は裁量労働制と違い、深夜労働や休日労働の残業代も支払う必要もなく、法律
に定めている休憩・休息時間も付与する必要もない。労働時間規制を適用除外と
するアメリカのホワイトカラー・エグゼンプションと同じものだ。

 もちろん人事関係者の間でも高プロ制度を歓迎する声もある。大手自動車関連
メーカーの人事担当者は「社員の中には時間を気にしないで思う存分働きたいと
いう人もいるのは事実。スキルアップしたい、キャリアを積みたい人にとっては
残業規制で会社を閉め出されても外や自宅で仕事や勉強をしているはずだ。会社
としても技術開発に携わる専門職には労働時間に関係なくマイペースで働いても
らいたいという思いもある」と語る。

 時間を気にしないで働きたい、あるいは働かせたいという気持ちもわかる。
だが、その思いと今回の「長時間労働の削減」という政府の立法趣旨とは異な
る。高プロ制度も長時間労働の削減につながるという建て付けが崩れたことにな
るが、それでも政府は国会での成立を図ろうとしている。

 高プロ制度を法案から外すことで経団連など経済界の反発が懸念しているのだ
ろう。だが、この選択が政権にとって吉とでるのかどうかわからない。加えて森
友問題で国会が紛糾している。法案の行方がここにきて混沌とした様相を呈して
いる。                        (溝上 憲文)


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◆第13次労働災害防止計画の策定

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■■■ 労働災害防止計画の策定 ■■■
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 労働安全衛生の問題というと、製造業や建設業あるいは運送業等における主要
課題であり、サービス業など他の産業ではあまり関心が高いとはいえなかった。
現に、労働災害防止団体も中央労働災害防止協会(中災防)のほかは、建設、陸
上貨物運送事業、港湾貨物運送事業、林業・木材製造業が置かれているが、これ
らの業種以外はすべて中災防のテリトリーということになる。そのためか、毎年
の安全週間にしても、労働衛生週間に対しても、これらの業種以外ではあまり注
目をされていないような感がある。

 たしかに、昭和30年代には年間7000人近い死亡災害があったが、現在では1000
人程度まで大きく減少している。それだけ労働安全に対する意識と日常的な活動
が職場に浸透してきたともいえよう。今回で13次になる労働災害防止計画はそれ
なりに成果を積み重ねてきていると考えられる。

 しかし、大きな変化もあることに注意しなければならない。業種別に死傷災害
数をみると、小売業、飲食店、社会福祉施設の3業種が全体の約4分の1を占める
までに増加している(12次防の期間)。1999年からの9次防の期間には1割強で
あったのに比べ増加が著しい。もちろん、全体として第3次産業を中心に就業者
が伸びていることが前提にあるが、機械化の進展による新たなパターンの災害や
運送・移動中の災害などが増えてきたことも大きな要因だろう。

 もう一つは健康障害への対処が重要な課題となってきたことである。
過労死問題が典型であるが、最近では特にすちおレスチェックの導入によって、
メンタルヘルスへの関心が急速に高まってきた。また、従業員構成が高齢化して
いく中で、成人病等によって健康診断における有所見者に対しての健康管理も大
きな問題となっている。健康保険の運営上も、こうした健康障害による医療費の
増加が組合財政の悪化に繋がっていくという構造的問題を抱える。

こうした中で、この4月から第13次労働災害防止計画がスタートした。
これは、2月に労働政策審議会(会長:樋口 美雄 慶應義塾大教授)から答申
を得たものであるが、計画期間は2018年度を初年度とする5年間を対象としてい
る。厚生労働省は、1958年に最初の労働災害防止計画を策定して以来、今回の4
月から始まる新計画で13次にわたって、労働災害の防止のために、国、事業者、
労働者等の関係者が重点的に取り組む事項を定め、労働安全衛生施策の基本方向
としてきた。

 今回の計画は、現在進められている政府の働き方改革実行計画を意識して、就
業上の危険の防止や回避にとどまらず、労働安全衛生への取り組みが幅広く取り
組む必要を強調している。厚生労働省の示す計画の趣旨でも、「労働災害の防止
のために、国、事業者、労働者等の関係者が重点的に取り組む事項を定めたも過
労死やメンタルヘルス不調への対策の重要性が増していることや、就業構造の変
化及び労働者の働き方の多様化を踏まえ、労働災害を少しでも減らし、安心して
健康に働くことができる職場の実現」する旨が強調されている。さらに、正規・
非正規といった雇用形態の違い、副業・兼業、個人請負といった多様な働き方に
おける安全・健康の確保などに言及されていることが今回の計画の大きな特徴で
もあろう。





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■■■ 第13次労働災害防止計画の目標と対策 ■■■
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 13次防における具体的目標としては、計画期間中(2022年度末まで)に、死亡
災害15%以上減少、死傷災害5%以上減少を掲げているが、このほかに以下の
ような労働衛生面での目標が示されていることにも注意が必要だ。

○ 仕事上の不安・悩み・ストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先
がある労働者の割合を90%以上(71.2%:2016年)

○ メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上
(56.6%: 2016年)

○ ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%
以上(37.1%: 2016年)

これらの目標を実現していくために、具体的施策としては以下の8項目を示して
いる。

(1)死亡災害の撲滅を目指した対策の推進
(2)過労死等の防止等の労働者の健康確保対策の推進

 ○労働者の健康確保対策の強化
 ○過重労働による健康障害防止対策の推進
 ○職場におけるメンタルヘルス対策等の推進 等

(3)就業構造の変化及び働き方の多様化に対応した対策の推進
 ○災害の件数が増加傾向にある又は減少がみられない業種等への対応
 ○高年齢労働者、非正規雇用労働者、
  外国人労働者及び障害者である労働者の労働災害の防止 等

(4)疾病を抱える労働者の健康確保対策の推進

 ○企業における健康確保対策の推進、企業と医療機関の連携の促進
 ○疾病を抱える労働者を支援する仕組みづくり 等

(5)化学物質等による健康障害防止対策の推進
 ○化学物質による健康障害防止対策
 ○石綿による健康障害防止対策
 ○電離放射線による健康障害防止対策 等

(6)企業・業界単位での安全衛生の取組の強化

 ○企業のマネジメントへの安全衛生の取込み
 ○労働安全衛生マネジメントシステムの普及と活用
 ○企業単位での安全衛生管理体制の推進 等

(7)安全衛生管理組織の強化及び人材育成の推進

 ○安全衛生専門人材の育成
 ○労働安全・労働衛生コンサルタント等の事業場外の専門人材の活用 等

(8)国民全体の安全・健康意識の高揚等

 ○高校、大学等と連携した安全衛生教育の実施
 ○科学的根拠、国際動向を踏まえた施策推進 等




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■■■ 今後の課題 ■■■
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 以上のように、今回の13次防は過労死問題に社会的関心が高まった中で、
健康の維持・確保という労働衛生の問題が大きくクローズアップしているといえ
よう。まだその評価は途上であるが、ストレスチェック制度の導入によるメンタ
ルヘルス施策もその重要性が高まっている。また、サービス化の進展による就業
態様の変化が新たな形の労働安全衛生問題を発生させており、それらへの対応も
大きな課題である。例えば社会福祉施設の災害発生が多いが、腰痛等が生じやす
い作業態様の問題があるとともに、こうした職場でも機械設備の導入による事故
発生の可能性もあるだろう。

 もう一つの特徴は、従業員構成の高齢化や就業形態の多様化によって、それぞ
れの従業員特性に応じて安全管理を進めていくことの重要性である。

第一に、定年後の継続雇用の推進によって高齢層の従業員が大幅に増えてきてお
り、災害発生率が高い高齢者に焦点を当てた労働災害防止活動の取り組みの強化
が重要な課題となっている。高齢者の場合は、その身体的特性から転倒等のリス
クが高いことも指摘されており、その対応が重要となっている。

第二に、職場における女性活躍推進の流れの中で、女性従業員増大とその従事す
る職域が拡がってきており、その対応が課題となる。このため、安全教育が重要
になるが、職場のコミュニケーションの不足からセクシャルハラスメントやパ
ワーハラスメントが生じないように配慮が求められる。また、とりわけ女性の場
合は、母性保護の観点から、妊娠期にある女性の健康管理も重要な課題のひとつ
である。

第三に、労働力の中で非正社員の比率が高まることへの対応も大きな課題であ
る。最近における「現場力の低下」は正社員の急激な減少がひとつの背景になっ
ているとされるが、安全衛生管理に対する姿勢もそうした中で弱まってきたので
はないかという指摘がある。現に、短期の派遣や契約社員あるいはアルバイトな
ど期間限定的な働き方が増える中で、こうした労働者が被災するケースも増加し
てきたという指摘がある。このほか、技能実習生を含め、外国人の就労も増加す
る可能性があるが、とりわけコミュニケーションという点では、日本語能力が重
要なポイントになっている。

いずれにしても、労働安全衛生の確保は、全ての産業における重要課題であるこ
とを再認識しなければならない。健康障害の問題が社会的にクローズアップされ
たことは、その大きなきっかけになろう。重要なことは、これらの課題の解決に
当たっては、本質的には就業管理の在り方に関わるという点である。安全教育や
技術的な解決にとどまらず、労働時間管理あるいは勤務体制などとの関連性で考
えることである。

その意味で、労働安全衛生問題は専門スタッフの特殊領域に留めず、人事管理に
携わる関係者全般の意識を高めることが重要ではないだろうか。(北浦 正行)



編┃集┃後┃記┃
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 例年より桜の開花・満開が速く、初夏を思わせる日々が続いております。

2018年問題の一つである「無期転換ルール」が、
この4月からはじまります。
有期契約者で対象者が450万人程度と推定されています。
すでに直前による雇い止めでトラブルが発生しております。
募集しても応募がない人手不足や労働者の定着問題等を考えると、安心して働け
る環境を整備する必要があります。

4月は、最高裁第2小法廷で、
「長沢運輸事件(定年後の再雇用者の賃金格差)」と
「ハマキョウレックス事件(契約社員の賃金等格差)」の弁論期日があり、
判決は5月から6月頃の見通しです。
この判決により、非正規社員の待遇格差問題に一定の判断が示されることになり
ます。

各企業は、雇用している非正規社員の待遇改善の対策が必要となる可能性が
大きいです。                        (白石)



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発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp

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今月のメールマガジン第192号はいかがだったでしょうか。
お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。
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