受動喫煙診断書はケムに巻けない
☆雇用システム研究所メールマガジン☆
第1号
05/06/01
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受動喫煙診断書はケムに巻けない
世界禁煙デーの5月31日をまたいで、毎年「たばこネタ」のニュースが紙面を賑わす。たとえば、これ(↓)。
「受動喫煙の診断書、職場提出も可能に 禁煙医師らが基準まとめ」
(朝日新聞5月30日付夕刊東京第二社会面)
気管支喘息や肺がんなどの患者を対象に、本人への聞き取り調査や尿検査を実施して受動喫煙のレベルを診断し、場合によっては職場の禁煙化勧告にも踏み込んだ診断書を手渡すようなケースも出てくる――というような内容だ。日本禁煙推進医師歯科医師連盟という医師の団体が、その診断に際しての基準をまとめたというのである。
なるほど。そういう時代になったものか。感心して、その記事を知人に見せた。しかし彼女の反応は正反対だった。
■「診断書」は腹を括った従業員の最終手段
「え? そんな診断書出したら、タバコ吸う人から目の敵にされるだけでしょう? ていよくクビにされてしまうのがオチよ」 以前勤めていた職場がとにかく煙害のひどいところだったらしい。ヘビースモーカーの上司に、窓のない狭く密閉された部屋、煙が常に充満していたという。対策を何度か直訴したものの埒があかず、最後には本人が健康を考えて退職してしまったのだと。
たしかに、いまどき禁煙も分煙もしていないような会社であるならば、診断書を出したところで、きちんと対策をとってくれるかどうかはわからない。
考えてみれば、受動喫煙防止努力を義務づける法律も、従業員への健康配慮義務という法理も、従業員の権利主張の根拠とはなりえても、煙害防止を実質的に担保する規制ではない。
無作為に対して確信犯的に居直る会社であるなら、従業員はその環境に甘んじるか、辞めるか、事を構えるかしかない。
だから、会社の側からすれば、従業員が診断書を持ってきたときには、よくよく考え抜いて刺し違える覚悟を決めて持参してきたものと受け止めなければならないかもしれない。
ちなみに、訴訟まで発展した場合には、江戸川区役所の例のとおり、会社側は敗訴を覚悟せねばならないだろう。(診断書を提出し改善を要求したにもかかわらず何ら対策をとらなかった区に対し職員本人が損害賠償を求め勝訴したもの)
■無用な争いを回避し、従業員を大事にする
厚生労働省の調べによると、喫煙室を設けるなど職場で何らかの禁煙・分煙対策に取り組む会社は全体の83%だという。ということは、残り17%は、もうもうと煙のたちこめる「自ら変わることを拒絶した」職場なのだろう。(*調査対象5000事業場のうち回答があったのは1805事業場に過ぎないから、数値以上の煙害が存在していることが推量される)。
無用な争いを回避し、従業員を大事にする。
そのために法令を遵守し、義務を果たす。
そうして価値創造にベストな環境を作り出すことにこそ、企業としての理があるのではないだろうか。
「残り17%」の企業は、診断書を社員から突きつけられる前に、速やかに対策を講じるべきであると考える。タバコだからと、ケムには巻けない。
(福島敏之)
◆ 編集後記◆
発行者 雇用システム研究所 代表 白石多賀子
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