日本をあきらめない
☆雇用システム研究所メールマガジン☆
第3号
05/09/01
皆様、こんにちは。
残暑厳しい日々が続いておりますが
いかがお過ごしでしょうか?
雇用システム研究所メールマガジン第3号をお送りします。
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日本をあきらめない
-----次世代へのスキル&キャリア伝授も企業の社会的責任
「日本をあきらめない」
どこの政党のキャッチフレーズであるかは別にして、なかなか含蓄に富む言葉です。
なにしろ、日本は先進国中最速のスピードで高齢化を邁進中(50年後には3人に1人が高齢者となる)。
今でさえ負担となっている社会保険料・税は、今後さらに膨れ上がります。
一方、次代を担う若年世代はというと、フリーターが213万人、ニートが64万人にのぼり、就職したにせよ高卒の2人に1人、大卒の3人に1人が3年以内に離職しているという現実。
あきらめたくはありませんが、“大丈夫か?”と本気で心配になる数字です。
■会社・職場への不満/仕事があわない----4割が1年以内に転職予備軍化
連合総研の調査(*)によると、中小企業に勤める大卒若年労働者の約4割が「1年以内」に辞めたいと感じているといいます。辞めたいと思った理由は「会社や職場に不満があった」(70.8%)が最も多く、「仕事があわないと思った」(21.3%)がそれに次いでいます。
――みんな大なり小なりそれを我慢して成長してきたのだ
――今の若いヤツらは辛抱が足らん
そんなため息が聞こえてきそうですが、でもちょっと待ってください。
自信の無さの裏返しとして、自己防衛的に職場の不満を並べ立てたりするのは、特に若い時分には珍しいことではありません。“この仕事が自分の一生をかけるに足るものなのか”との生真面目な迷いは、ほほえましくさえあるといえます。
では、青年期特有の膨らんだ傷つきやすい自我を、目の前の「現実」と折り合いをつけさせるものはいったい何なのか?
(*中小企業における若年労働者に関する調査研究(2005年3月))
■日記帳と赤ペンを通じたコミュニケーション
前述の調査報告は、「仕事以外のことでも、広く相談にのってくれる人」がいることが定着につながっている――としています。また、定着率の高い企業において特徴的なのは、「上司との面談で目標を設定・管理」するという取組みを行っている傾向が高いということでした。つまり、コミュニケーションが歯止めになっていたといえるでしょう。
コミュニケーションといえば、入社してから一定期間、部下に日記を書かせ、上司が赤ペンで励ましや助言を書き込んで返すというやりとりを続けている企業もあります。ITの時代にいかにもアナログ的ではありますが、若年社員は赤ペンを通じて、具体的なフィードバックのみならず、“受容されている”という確からしい安心感を得ることができます。一方、会社にとっても、個性を見出して、どこを伸ばしどこを補強するかを判断するための重要な資料になる、というわけです。
ちなみにこの企業、3年以内離職率は11%にとどまっており、男性のみでは5%未満なのだとか。
■人材育成のポイントは「有能感」「統制感」「受容感」の付与
人材育成のうえで欠かせないことは、内発的動機づけと、人と人とのかかわり強化。
そのためには、
(1)何かができた・結果を残せたという「有能感」
(2)もう少し頑張れば自分もできそうだという「統制感」
(3)仲間に受け入れられているという「受容感」
の3点が大事。
――そう指摘するのは、人材育成の第一人者である原田隆史・天理大学人間学部講師です(大阪市の荒れた市立中学校の陸上部を13回にわたり日本一に導き、現在は企業の人材育成にも精力的に取り組んでいる伝説の元カリスマ体育教師)。
この有能感、統制感、受容感を高める方法は、何も先の日記の例だけに限らず、企業ごとにさまざまな工夫が可能でしょう。ただ、厳格な業績連動型の報酬体系のもと、眼前の成果に血道を上げさせ、人材育成のコストを切り捨てているような環境下では、広く相談に乗ってあげるというような、いい意味での「タテの関係性」が築かれにくくなっていることについて留意が必要です。
* *
若者の早期離職をできるだけ防いで、社会を支える一員として責任ある人生を送るのに必要なスキル・キャリアを授けること。これも企業の社会的責任であるといえるのではないでしょうか。
それはとりもなおさず、「日本をあきらめることなく、なすべきことをなす」ということなのだと思います。
(福島敏之)
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◆ 編集後記◆
本日、開業21年目を迎えました。
1985年8月12日、開業準備をしていた私のところに、群馬県・御巣鷹の尾根に
520名を乗せた日航ジャンボ機が墜落したニュースが飛び込んできました。
刻々とテレビに映し出される悲惨な光景をただ言葉もなく、胸を締め付けられる
ような思いで見つめていました。20年を経た今でも8月になるとその映像と共
に胸が痛みます。
あの事故以降、日本の航空会社は墜落事故ゼロを続けており、日本の航空会社
は安全と信頼していました。しかし、最近は運航トラブルが相次ぎ、航空会社へ
の信頼が揺らぎ、利用者離れが起きています。顧客に対する安全保障の意識の薄
れと、基本動作に対して「これくらい・・・」、「自分は大丈夫・・・」と思う
気のゆるみが要因になっています。一度失った信頼を取り戻すのは至難の業で
す。JR西日本による尼崎の電車脱線事故にも同じようなことがいえます。
常に企業及び社員自身も大きなリスクを負うことを認識して、基本動作の確かな
修得とチェックが自発的に行える社員の育成と組織の見直しが必要な時期にきま
した。
私も更なる研鑽をし、“元気はつらつ”で頑張ります。(白石)
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発行者 雇用システム研究所 代表 白石多賀子
東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル
アドレス: info@koyousystem.jp
今週のメールマガジン第3号はいかがだったでしょうか?
お楽しみいただければ幸いです。これからさらに内容充実していきたいと思
います。
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