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ガス給湯器死亡事故を考える


        ☆雇用システム研究所メールマガジン☆
                                第25号
                              2006/08/01


長い梅雨も明け緑も色を増したように感じられます。
みなさま、いかがお過ごしですか?

雇用システム研究所メールマガジン第25号をお送りします。

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矮小化される危機――ガス給湯器死亡事故を考える

「私が安全を強調しすぎたため、(事故の)報告が出しにくくなったかもしれない」

 ガス給湯器の死亡事故で責任を問われている企業の会長が、記者会見で語った言葉です。会長は創業家3代目ということですが、その"威光"が、いかに社内に徹底した影響力を持っていたかが伺われます。

☆☆ 「なかったこと」にしようとする心理 ☆☆

 リーダーが絶対的権威をまとっていれば、周囲の者はリーダーの逆鱗に触れることのないように、それによって自分の身に危険が及ぶことのないように、細心の注意を払うようになります。"落ち度がないこと"が組織全体の行動原則となり、たとえ問題があっても、「なかったことにする」「できるだけ小さく見せようとする」誘引が強く働いてしまいます。
 以前本欄で、激しい気性の上司(機長)を激怒させるのが恐ろしくて、残り燃料がゼロに近づいていることを副操縦士たちが進言できず、燃料切れで森に墜落してしまった飛行機の話をしました。
 差し迫った危機が目前にありながら、なおのこと、「なかったこと」にしようとする心理が、人間にはあるということです。だから、そうさせない環境づくり――クリティカルな情報が速やかに漏れなく確実に伝わり、誰がいつまでに何をなすかの約束事――が必要なのです。

☆☆ 具体的な約束事なき大号令 ☆☆

 冒頭のガス器具メーカーでは、事故報告は品質管理部に集められていましたが、原因究明から対応方針決定までの手続きや、リコール(回収・無償修理)に該当するかの基準が、規定されていなかったといいます。社長に報告するかどうかも含めて、事故への対応は同部長に一任。これまでの事故についてほとんどの役員は知らされていなかったとも。
 しかるべき具体的な約束事が定められないまま、社内に発せられた「安全」の大号令は、結果として、安全にとり最重要ともいえる事故情報を内向きに矮小化させる方向に作用していたことになります。そうして、被害は拡大してしまった…。

*       *

 企業経営全般に言えることですが、危機を「なかったことにする」「できるだけ小さく見せようとする」余地を残さないシステムが必要です。それと同時に、企業全体でも職場単位でも、「言わぬが花」の雰囲気にならぬよう、日頃から改善のための建設的なコミュニケーションが必要でしょう。(福島敏之)

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━━━ワンポイント講座  派遣法━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

"26業務の付随業務"と"26業務の付随“的な”業務"の違い

就業形態が多様化するなか、派遣スタッフを受け入れている企業、派遣労働者として働いている方が多くいます。派遣受入企業はつい、契約内容以外の電話応対などを派遣スタッフに頼んでいせんか?このようなことが思わぬ事態を生むことになります。

「26業務の付随業務」と「26業務の付随的な業務」は2文字しか違いませんが、受入期間制限については大きく違うのです。
たとえば、事務用機器操作の業務(「5号業務」)に従事する派遣スタッフが自分の使用するプリンタ(共用も含む)の用紙がなくなり補給することは「5号業務の付随業務」とされます。しかし、派遣スタッフが使用していない就業場所のプリンタの用紙補給が派遣スタッフの仕事とされている場合は、「5号業務の付随的な業務」とされます。その他、職場で見られる掃除・後片付け・電話応対・書類整理も派遣スタッフ自らが業務遂行に必要な行為であれば「付随業務」となりますが、就業場所で仕事とされている場合は「付随的な業務」となります。

 それは、5号業務で派遣契約をしている場合、派遣受入期間に制限は受けませんが、付随的な業務が1割以上占めていると、制限を受けることになってしまいます。受入期間の制限に違反した場合、派遣先企業は労働局の指導・助言の対象となります。また、派遣スタッフが派遣先企業に雇用されることを希望する場合は、派遣先企業は派遣スタッフに雇用の申し込みをしなければなりません。

 どこまでが「付随業務」でどこからが「付随的な業務」なのかといった区別は難しいです。しかし、派遣先企業と派遣スタッフのトラブルのうち最も多いものの一つに「仕事内容が契約と違っていた」ということがありますので、仕事内容は明確にしましょう。(石橋)


■新刊本の紹介■   好評販売中   増版決定

 モチベーションを高め有能な人材を確保する
 パート・高齢者・非正社員の処遇のしくみ

 著者 白石多賀子・横山玲子・小松紀子・中村美智子
中央経済社 発行  定価 2,200円
パート等の非正社員の活用の仕方で、企業の生産力に格差がつきます。
今、雇用問題では、団塊世代の大量定年退職の2007年問題、非正社員の処遇問題があります。これらの問題を解決するために第一歩を踏み出していただきたいと願い執筆しました。また、労働基準法等の法律解説、労働・社会保険の知識についてもわかりやすく解説しています。

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■ビデオの推薦■

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平成18年4月1日より「高年齢者雇用安定法」が改正されます。
改正法の基本と導入の留意点等について事例を含めてわかりやすく説明しています。


◆ 編集後記◆  

 皆様へのメルマガ発信も2年目を迎えました。1年目は、「企業に求められる"労働環境の風"をお伝えできたら」と思い取り組みました。そして2年目は、問題解決の手掛かりとなる情報の提供をメインに、より内容を充実させたいと思っています。

 先日、文部科学省の寺脇研氏による「21世紀を担う人材育成の新たな潮流〜」という講演で、最後に、「事故等が起こるとマスコミは一斉に攻撃をするが、どこかで歯止めが必要である。その歯止めは"常識"というアナログである。」と述べておられました。

 ところで"常識"といっても個々人により相違があり、自分では"常識"ある発言・行動でも、他の人から見たら"非常識"と受け取られることがあります。個々人による相違点は、家庭環境や躾等にあるといわれますが、大変難しい問題です。

 "常識"と"非常識"を判断する力は、多くの人たちとの交わりや経験の積み重ねによって培っていくことが大切で、まさにアナログの世界です。

 梅雨明けとともに酷暑の夏本番です。皆様にはご健康にお気を付けください。 (白石)

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発行者  雇用システム研究所 代表 白石多賀子
     東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル   
     アドレス:info@koyousystem.jp



今週のメールマガジン第25号はいかがだったでしょうか?
お楽しみいただければ幸いです。これからさらに内容充実していきたいと思います。
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