セクハラを考える(2)
☆雇用システム研究所メールマガジン☆
第28号
2006/09/16
http://www.koyousystem.jp
急に肌寒く感じられる頃となりました。
みなさま、いかがお過ごしですか?
雇用システム研究所メールマガジン第28号をお送りします。
パートナーへの尊敬・尊重の念----セクハラを考える(2)
セクハラの議論で問題になることの一つが、「どこまでならセーフで、どこからがアウトなのか?」という線引き論です。
・宴会で男女交互に席を割り振るだけでも、女性が不快だと言えばセクハラなのか?
・女性部下にデュエットを"申し出る"だけでもアウトなのか?----等々。
なんでもかんでもセクハラ・セクハラで規制していたら、闊達なコミュニケーションが阻害されてしまうではないか? という問題意識が背景にあります。
☆☆ 「闊達さ」と「窮屈さ」 ☆☆
確かに「相手にどう受け取られるか」を一つひとつ考えてから行動することは、窮屈なものです。空気を吸うがごとくに自然に交わしてきた日常のコミュニケーションを、頭で考えて"管理"しなければならないのですから。ダンスのステップの仕方を問われたムカデが、意識し出したとたん二度と踊れなくなってしまったという寓話を彷彿とさせます…。
誤解があってはいけませんが、窮屈な思いをしているのは、圧倒的に女性の側だとみるべきです。「こんなことで抗議したら"大人気ない"と思われないだろうか」とか「職場で気まずくならないだろうか」などと頭を悩ませて自身の対応をコントロールしている女性のストレスは、ちょっとやそっと自己規制するだけの男性の比ではありません。
闊達なコミュニケーションは大事ですが、性的なニュアンスをその"スパイス"と捉えるような職場風土のもとでは、男性側が闊達になればなるほど、女性側は防衛的なコミュニケーションを余儀なくされることになります。セクハラ対策は、まずそのことを踏まえる必要があるでしょう。
☆☆ 仲間をRESPECTできているか ☆☆
以下、セクハラの本質をえぐる一文に出会ったので、引用します。
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+ ◆ -+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
セクシュアル・ハラスメントってなんでしょうか。それは、あなたが当然に受けてしかるべきRESPECT(尊重、尊敬)を受けないときです。それは、姓か役職名で呼ばれるべきなのに、許してもいないのに「○○チャン」などと呼ばれるときです。
それは、あなたが男たちがたむろする前を通りかかったときに、何か個人的なことをいわれる場合です。それは、あなたが身体にさわられたくもないのに、同僚があなたに触れるときです。それは、あなたが昇進を目指して一生懸命に働き、試験にも合格し、正しい手続きを踏んだのに、ただあなたの上司がセックスを求めて言い寄ってくるのを聞き入れなかったために昇進できないようなときです。
いろんなセクシュアル・ハラスメントがあるものでしょう? でも、それが結局どんなことか、おわかりでしょう。それは、あなたを劣った人間として扱うときです。
そんなふうに扱われたいと思う人なんているでしょうか。
セクシュアル・ハラスメントの問題がどうすればなくなるかを知っていますか。ただ他人をあなたがそう扱われたいと思うように扱えばよいのです。自分をRESPECTするように、他人をRESPECTするのです。
-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+ ◆ -+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
----AFN(極東向け米国版ラジオ)で流されたスポット・アナウンスメント(金子正臣著「事例・判例でみるセクハラ対策」より)
セクハラの本質は「劣った人間扱い」にある----という洞察です。きわめて直截的な表現ですが、正鵠を射ています。仕事のパートナーとして尊重・尊敬し認め合うにはどうしたらよいか? 枝葉のアウト/セーフの線引き論ではなく、職場の品格と、そのための人事労務のあり方こそが問われるべきなのでしょう。 (福島敏之)
ワンポイント講座 ……………派遣法編……………
◆偽装請負ってなに?
最近、新聞紙上を賑わせている「偽装請負」。一体、この「偽装請負」とは何でしょうか。
偽装請負とは契約上だけ請負で、実態は労働者派遣である違法行為のことです。
まず請負と労働者派遣の違いについてご説明しましょう。
請負と派遣の大きな違いは指揮命令がどこにあるかということです。請負は雇用、指揮命令ともに請負者が行います。労働者は注文者の事業場で就労することもありますが、注文者は指揮命令できません。それに対して労働者派遣は、雇用は派遣元が行い、指揮命令は派遣先が行います。
ところが、偽装請負では、請負者は労働者を派遣するだけで、注文者が請負者の労働者を直接指揮命令しています。
製造業の工場で注文者側の労働者と請負者側の労働者が同じ場所で同じ業務に従事していて、注文者側の社員が請負者側の労働者にも細かな業務の指示やスケジュール管理を行っているケースがこれにあたります。
偽装請負が行われるとどんな問題が起きるのでしょうか。
労働者派遣の場合、労働者に対して労働基準法、労働安全衛生法等労働関係法令について、派遣元・派遣先それぞれに責任を負う事項が決められていますが、請負の場合は請負者がすべて負います。特に安全管理責任は使用責任のある側が負います。
請負は請負者で、労働者派遣は派遣先です。しかし、偽装請負ではその責任の所在があいまいとなり、業務上の事故が起きた場合の労災隠しや労働基準法を下回る労働条件での就労が行われることがあります。
契約上が請負となっていれば、請負だと誤解している企業が少なくありませんが、実態も請負の要件を満たしていることが必要です。自己の請負業務が適正かどうか点検してみましょう。 (石橋)
■新刊本の紹介■ 好評販売中
モチベーションを高め有能な人材を確保する
パート・高齢者・非正社員の処遇のしくみ
著者 白石多賀子・横山玲子・小松紀子・中村美智子
中央経済社 発行 定価 2,200円
パート等の非正社員の活用の仕方で、企業の生産力に格差がつきます。
今、雇用問題では、団塊世代の大量定年退職の2007年問題、非正社員の処遇問題があります。これらの問題を解決するために第一歩を踏み出していただきたいと願い執筆しました。また、労働基準法等の法律解説、労働・社会保険の知識についてもわかりやすく解説しています。
お求めは、最寄りの書籍販売店、または、雇用システム研究所までご連絡ください。
■ビデオの推薦■
「雇用延長! 65歳定年か 再雇用か」 労働調査会 開発局企画・販売
各巻 38,000円 2巻セット 75,000円 監 修 白 石 多 賀 子
平成18年4月1日より「高年齢者雇用安定法」が改正されます。
改正法の基本と導入の留意点等について事例を含めてわかりやすく説明しています。
◆ 編集後記◆
ハンカチ王子こと早実・斎藤佑樹投手の進路は大学進学で決着しました。
「まだまだ野球選手としても人間としても未熟だと思っている。(大学は)野球だけではなく、勉強、人間関係すべての面で成長させてくれるところと思っている」
〜周囲の喧噪に動揺することなく、冷静に自己分析をし、今の自分に足りないもの、そして必要なものをきちんと見極めることができる、恐るべき18歳。 その記者会見の新聞記事に、「会見終了後、斎藤は椅子を、きちんと机の下に戻した。他の出席者の分もそうした」とあり、これにはまたまた驚きました。
自分の椅子はともかく、他の出席者の椅子とは校長はじめ監督達の分ですよね。
やはり親の躾でしょうか。
最近、家庭の躾が大きな問題になっていますが、「三つ子の魂百まで」の諺もありますように幼少期からの躾が大切なのでしょうね。
斎藤投手の発言や行動の冷静さ、考え方のしっかりしたところに感動し、多くの人たちが「こんな子供がいたら」、「こんな部下がいたらと」と思いを寄せているのでしょうね。
今後の成長を楽しみに見守りたいですね。 (白石)
------------- ☆ ☆ ☆ --------------
発行者 雇用システム研究所 代表 白石多賀子
東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル
アドレス:info@koyousystem.jp
今週のメールマガジン第28号はいかがだったでしょうか?
お楽しみいただければ幸いです。これからさらに内容充実していきたいと
思います。
ご感想は info@koyousystem.jp にお願いします。
「こんな記事が読みたい!」というリクエストも、遠慮なくどうぞ。
次回の配信は10月初旬頃情報を送らせて頂きます。
e-mail: info@koyousystem.jp
http://www.koyousystem.jp
メールマガジンの配信が不要な方は、お手数ですが、
こちら http://www.koyousystem.jp/magazine.html から配信停止を行って下さい。
・『雇用システム研究所メールマガジン』に掲載された情報を許可なく転載することを禁じます。
|
|
|
|