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ホワイトカラー・エグゼンプション ---その効能と副作用---


        ☆雇用システム研究所メールマガジン☆
                                 第37号
                              2007/02/01
          http://www.koyousystem.jp



早咲きの梅もほころびはじめました。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第37号をお送りします。


ホワイトカラー・エグゼンプション ---その効能と副作用---


 巷で話題の「ホワイトカラー・エグゼンプション」。
厚生労働省は「自由度の高い働き方にふさわしい制度」「自己管理型労働時間制度」などと訳しますが、野党からは"残業代ピンハネ法案"と痛罵され、メディア上でも"残業代ゼロ法案"という名称が定着。国民の忌避感情が煽られる一方で、イメージアップに躍起の財界からは"高度専門職年俸制"という名称変更案も出たりしています。

 名は体を表すといいますが、一つの制度案にこれほど両極端なネーミングが付せられるのも珍しいものです。




☆☆ 「何時間座っていたから、お前さんは立派だとはならない」 ☆☆

 端的にいえば、ホワイトカラー・エグゼンプションとは、ホワイトカラーの評価(つまり賃金)と、仕事に取り組んだ"時間"とを切り離そうというものです。柳澤大臣はこう言います。

「何時間そこに座っていたから、お前さんは大変立派だということにはならないわけでありまして、したがって、どういう知恵を絞って良いアイデアと、それの制度化というか、そういうものをクリエイトしたかということでもって、その成果が測られるべきだと」
                        (2007年1月5日記者会見)
 すなわち、

◎長時間仕事すれば、それに比例していい成果を出せるというものではない。むしろ、心身を蝕んでしまう危険性もある。
◎残業手当という経済的インセンティブは、より多くの成果を引き出すうえで真に効果的とはいえない。
◎よって、自律的に働ける職位に立っている者については、きちんと休めるようにして、健康が阻害されないように配慮したうえで、残業すればするほど手当がつく現行の労働時間法制の対象外としようということですね。


☆☆ 一定の"理"あるも、運用次第では副作用 ☆☆

 実際に、たとえば記事を書いたり編集したり…といった職種では、長時間働いていることをもって、「よく働いている」「いい仕事をしている」という評価とはつながりません。実際にどれだけの質・量のアウトプットを出してきたかが問われます。

上司から「早く帰れ」と言われても、現実の仕事の進捗との板ばさみになってしまうことだって、ままあります。

 その意味では、自己裁量のきく職種を特定したうえで、いわゆる"生活残業"をせずとも生活設計を建てられるだけの十分な給与が保障された社員に対して適用するならば、実態に見合うものとなるのかもしれません。
 一方で、自律的に自己裁量のきかない社員に対して適用されれば、「自己責任」の名の下に歯止めなき長時間労働を強いられることにもつながりかねません。しかも、この規制緩和は、いったん導入・設定したら後戻りがきかないでしょう。
 ホワイトカラーを時間で評価するのは、たしかに間尺に合わない面があるものの、ホワイトカラー・エグゼンプションは運用次第では重篤な副作用を引き起こしかねない----といったところでしょうか。制度導入への本格的な攻防は参院選後に持ち越される見通しですが、用法・用量はきっちり詰めておく必要があるといえます。                         (福島敏之)


*     *



ワンポイント講座-----------男女雇用機会均等法編


均等法が改正されます--その4

 セクシュアルハラスメントは各都道府県労働局の雇用均等室に寄せられる相談件数の約3分の1、女性からは約半数を占める事案です。近年では、男性に対するセクシュアルハラスメントも把握されています。また、現行法では事業主に配慮義務を課していましたが配慮のみすればいいと、実際には何の対策も講じていない事業主も少なくありませんでした。 
 そこで、改正法では、男性も保護の対象となり、対策として雇用管理上必要な配慮義務から措置義務に変わりました。
次の9点が措置の内容として指針で示されています。

(1)セクシュアルハラスメントの内容・セクシュアルハラスメントがあっては ならない旨の方針を明確化し、周知・啓発すること。
(2)行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等に 規定し、周知・啓発すること。
(3)相談窓口をあらかじめ定めること。
(4)窓口担当者は、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。
 また、広く相談に対応すること。
(5)事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
(6)事実確認ができた場合には、行為者及び被害者に対する措置をそれぞれ適切に行うこと。
(7)再発防止に向けた措置を講ずること。
(8)相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること。
(9)相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取り扱いを行ってはならない旨を定め、周知すること。
具体例として、社内報や社内ホームページ等の広報資料で労働者に周知させることなどが掲げられています。
また、改正により、是正指導に応じない場合の企業名公表、事業主と労働者間の紛争について、調停など紛争解決援助の対象にセクシュアルハラスメントも追加されました。
この規定は、派遣先の事業主にも適用されます。          (石橋)


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◆ 編集後記◆  


1月8日付の朝日新聞天声人語欄に「元三重県知事、北川正恭氏らの呼びかけで『コンマ1秒の節約』と名づけて、だらだらと前例を踏襲するお役所仕事に、創意工夫で風穴をあける。速報性を高め、選挙への関心も高める。そんな民主主義を鍛える狙いは、マニフェスト運動とも重なる。」との文章がありました。
 -その事例として、私のふるさと小諸では昨年の知事選で、開票所のレイアウトを一新し、作業台を10cm高くしたことで、開票作業は前回の半分以下の34分で終了。
 このように従前の方法を見直し工夫することで、作業の合理化とともに経費の節約にもなり、すべての自治体が1時間ずつ短縮すれば、4年間で50億円近い人件費を削減できるそうです。
 これはお役所仕事だけではなく、企業にも言えることではないでしょうか。
製造ラインでは、品質向上と時間管理が徹底されていますが、管理部門での創意工夫は遅れています。
労働者各自が『コンマ1秒の節約』の創意工夫を行うことで、業務時間を短縮し、その短縮した時間を相互協力による仕事の処理に充てることで、長時間労働を削減することができるのではないでしょうか。
 皆様も、『コンマ1秒の節約』の創意工夫にチャレンジしてみませんか。
(白石)



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発行者  雇用システム研究所 代表 白石多賀子
     東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル   
     アドレス:info@koyousystem.jp




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