『ハケンの品格』が問うた時代の閉塞感
☆雇用システム研究所メールマガジン☆
第40号
2007/03/19
http://www.koyousystem.jp
胸元に花を飾る姿に春を感じる卒業式シーズンです。 みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
雇用システム研究所メールマガジン第40号をお送りします。
『ハケンの品格』が問うた時代の閉塞感
最近、『ハケンの品格』というTVドラマが話題になりました。
移動クレーン操縦士、ロシア語会話、ふぐ調理師、助産師…など数えきれない特技・資格を持つ「スーパー」な派遣社員が、時にそれらを駆使して数々の難局から会社を救うという話です。荒唐無稽ともいえる設定でありながら、正社員・派遣社員の混在する職場の"空気"の描き方が「かなりリアル」と評判になり、平均視聴率20.1%、最終回は26%という驚異的な数字を叩き出しました(ビデオリサーチ調べ)。
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☆☆ "余人をもって代えがたい存在"への羨望 ☆☆
ドラマの人気の一つが、主人公の特異なキャラクターです。
「出たくもない歓迎会に出て、したくもないお酌をさせられるくらいなら、 クビにしていただいて結構です」
「働かない正社員がいてくれるおかげで、私たち派遣はお時給をいただけるんです。それが何か?」
万事こんな調子。休日出勤・残業は断固拒絶、愛想というものがなく相手構わず言いたいことを言うキャラなものだから、職場の正社員からは非難轟々。しかし、卓抜なスキルと実際の成果によって、周囲も渋々ながら"余人をもって代えがたい存在"と認めていく。
実力(その裏にある努力)に裏打ちされた媚びない生きざまが、視聴者に「自分もああなれたらなあ」という羨望の思いと、一種の疑似体験によるカタルシスを呼び起こすのでしょう。
☆☆ 「努力が評価されてない」との閉塞感 ☆☆
近年、非正規雇用の増加が指摘されていますが、労働政策研究・研修機構の調査によると、いまや6割の事業所で非正社員が正社員とほとんど同じ仕事に従事しているのだそうです。
非正社員の側では、その6割強が同じ仕事をしている正社員よりも自分の賃金が低いことを実感しており、うち6割弱は自分の賃金に「納得していない」と回答。その理由として、約6割の人が「正社員と同等以上の努力を払っているから」としています。
一方、正社員の側でも、4割弱が会社の賃金の決め方に納得しておらず、その理由として約半数が「仕事への努力が正しく評価されていない」ことを挙げているのだとか。
所属と肩書きと年収(地位とカネ)によって、職業人生の"出来栄え"が判断される社会にあって、正社員も非正社員も自身の「努力」に対する評価に納得感を抱けなくなってきている――。そういう今日的な閉塞感が、既存の評価システムの枠を超越した「スーパー派遣」という偶像を生み出したのかもしれませんね。
《努力だけなら誰にでもできる》《どんな評価方法にも不満はつきもの》
という突き放した割り切りだけでは、現実の閉塞感は払拭できないものと思われます。
(福島敏之)
ワンポイント講座-----------教 育 指 導 編
-----『すべての始まりは挨拶から』の巻き-----
もうすぐ新年度がスタートし、新入社員の入社や人事異動により新たな出会いが多い時期を迎えます。
そこで、今回からはビジネスマナーについてです。
『あいさつ』の大切さとは何か?今さらと思われるかもしれませんが、『あいさつ』をすることは人としてのマナーであり、コミュニケーションを築く上での重要な第一歩となります。『あいさつ』の仕方ひとつでその人の、さらにはその会社のイメージをも左右してしまいます。
たとえば皆さんが、取引先を訪問し、先方の社員に暗い表情でぼそぼそと小さな声で「いらっしゃいませ」と言われたらどんな気持ちになるでしょう。
決していい気持ちにはなりませんよね。
その気持ちは、そのまま相手の会社の印象につながります。
また、外回りから会社に戻ってきて「ただいま」と言っても誰も反応してくれなかったら…虚しくなりますよね。社内に活気が感じられず、雰囲気は悪くなるでしょう。
人間関係はむずかしい。だからこそ、きちんとした『あいさつ』が大切です。
相手に好感をもたれるための『あいさつ上手のポイント』です。
・
明るい笑顔でハキハキと、心を込める
・ 相手の目を見る
・ 自分から積極的に声をかける
・
環境に慣れても、おろそかにせず続ける
自分も周りの人々も前向きに気持ちよく仕事に取り組めるように、社会人としてのマナーを守り、毎日明るく元気のよいあいさつを心がけましょう。
(野口)
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モチベーションを高め有能な人材を確保する
パート・高齢者・非正社員の処遇のしくみ
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パート等の非正社員の活用の仕方で、企業の生産力に格差がつきます。
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平成18年4月1日より「高年齢者雇用安定法」が改正されます。
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◆ 編集後記◆
先週末、父の米寿の祝う会があり、兄弟姉妹4人が久しぶりに集まりました。
最近は、4人が一堂に会する機会は少なくなりましたが、この日ばかりは父を囲んで話に花が咲き深夜まで盛り上がりました。
子供の頃、我が家の夕餉の食卓は、ニュースや歴史ドラマを見ながら、父が歴史の話をしたり、学校で学んだことなどを話題にして、侃々諤々の議論に夕食時間が長くなり、母によく叱られたものです。
姉の思い出話で、「学校で学んだばかりの川の名前を言ったら、北から順番に、又は長い順番にと指摘された」と言っていましたが、物事の段階表現は、今も引き継がれ兄姉と同じ方向性の話をしていても、ピントはずれや表現が適切でないと総攻撃を受けてしまいます。当時、年少の私には結構厳しい状況でしたが、楽しい時間でもありました。
私の学生時代に"親子断絶時代"と言われていましたが、我が家では無縁でした。
逆に、親離れ、子離れができていないのかも知れませんが、今でも屈託なく和気藹々と語り合える楽しい仲間です。
皆さんの子供時代にはどんな会話を楽しんだのでしょうか。 (白石)
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発行者
雇用システム研究所 代表 白石多賀子
東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル
アドレス:info@koyousystem.jp
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