新入社員育成(3) 〜 職場の空気は“上げ潮”か? 〜
☆雇用システム研究所メールマガジン☆
第45号
2007/06/01 http://www.koyousystem.jp
紫陽花の花がいろ濃くなり、梅雨の時期を迎えようとしています。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
雇用システム研究所メールマガジン第45号をお送りします。
新入社員育成(3)
〜 職場の空気は“上げ潮”か? 〜
早いもので6月です。蒸し暑い夏がもうそこまで来ています。
4月入社の新入社員にとっては3か月目。そろそろ慣れてきて、周りが見渡せ
るようになった時期でしょう。そしてまた、離職者がどっと出てくるのも、この
タイミングです。
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☆☆ 「やってみるだけの価値はある」のメッセージ ☆☆
配属当時はわからなかった、職場での人間関係や力関係が、この時期になれば
わかってきます。その集団の中で、誰がどういうポジショニングをとっている
か。どういう役回りを期待され、どういうキャラクターでそれに応えているか。
それぞれの局面での「キーマン」は誰か、そして裏の(実質的な)「キーマン」
は誰か。誰と誰が仲良しで、どことどこが反目しあっているか。その、表面から
は見えない入り組んだ関係性と“空気”が把握できてきます。
「よくわからないけど、先輩たちが興奮してしゃべっている――
新人は職場で目撃したそんな場面から、仕事の価値の種を拾っていくんです」
(リクルートコミュニケーションエンジニアリング・船戸孝重氏
AERA2007年6月4日号『3か月で辞めさせない会社』)
というように、活気に溢れた空気は、それだけで求心力を放ちます。百の言葉
を尽くしても伝えきれない「やってみるだけの価値はあるはずだ」というメッ
セージを易々と伝えてくれます。そういう空気を持つ職場ならば、新人の定着も
難しくないでしょう。
☆☆ もし助け合い精神ゼロの職場だったら ☆☆
一方で、沈黙の支配する職場もあるでしょう。挨拶をしないとか、必要最低限
のことしか言葉を交わさないとか、現象としてはそういうことかもしれません
が、度が過ぎれば、心理的には《自分に対するウェルカムな反応が一切得られな
い状態=安全感・安心感が満たされない状態》であるといえます。
気軽に助けを求めることができない。声が上がらない以上は助けてあげる必要
もない。そんな調子で問題解決を意識的に忌避する思考回路を個人が持ち合わせ
るようになったら、会社として由々しきことです。その現場にこれから同化しよ
うとする新人にとっても、看過できない障害でしょう。
こうしたことは、数値で測れることではありません。しかし、3か月もその場
に浸かっていればわかることです。もしかして、若年者の退職が続く職場には、
あるいは、こうした「空気」も影響していることが考えられないでしょうか。
* *
空気の醸成には努力もいります。前出のAERAの記事は次のように締めくくって
います。
週末の体験談でアクティブな上司をアピールできる月曜日の会話も重要だという。
「自分で身体を動かすスポーツなどがいい。この時期、上司と先輩は常に見られ
ているという意識が必要。『土日?疲れて何もする気がなくて、寝てたよ』など
というのは、もう論外ですね」
(SMBCコンサルティング・山口伸一氏)
(福島敏之)
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◆ 編集後記◆
5月中旬、歌舞伎役者の中村勘三郎氏が、国税庁から所得隠しを指摘された記事
が掲載されていました。その記事には、「税務申告は会計事務所にお願いし、税
金は正しく納めていると信じていた。お騒がせして申し訳ない。」とのコメント
がありました。
この類の記事を読むといつも疑問に感じます。
士業でも企業でも同じですが、社員達が独断で法律違反行為をすることはないは
ずです。法律国家である以上、「その法律は知らなかった」は通用しませんの
で、やはり経営者としての責任の認識問題なのでしょう。
稲盛和夫氏は、その著書「アメーバ経営」の中で、「昨今の虚偽報告等の問題
は、リーダーである経営幹部が自己中心的な行動をとらないよう、自らを戒める
倫理観が欠如していることに起因している。それも、高度な哲学でなく、『嘘を
言うな、人を騙すな、正直であれ』といった、小学校の子供が教えられるような
プリミティブな倫理である。」と述べています。
このことは、すべての事柄に当てはまるのではないでしょうか。 (白石)
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発行者 雇用システム研究所 代表 白石多賀子
東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル
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お楽しみいただければ幸いです。今後もさらに内容充実していきたいと
思います。
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