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未払い残業代訴訟

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        ☆雇用システム研究所メールマガジン☆
                                 第62号
                               2008/02/16
          http://www.koyousystem.jp
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梅のつぼみのふくらむ頃となりましたが、まだまだ寒さは続きます。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第62号をお送りします。  

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□ 目次

 前回に引き続き、ファストフードチェーンの現役店長による「未払い残業代訴訟」についてです。


◆ 度を越した長時間勤務、一日の睡眠時間は2〜3時間

◆ 人を増やせず、自らの働きで補填する店長

◆ 管理職の長時間労働は個人の問題、会社は関知せず――でよい?
  (以上執筆者 福島敏之)

[編集後記]
  (編集長 白石多賀子)

☆☆「労働契約法」「パートタイム労働法」セミナー開催のお知らせ☆☆
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■■■ 度を越した長時間勤務、一日の睡眠時間は2〜3時間 ■■■
 

 原告の店長(46歳)は、時間外労働と休日労働をあわせると100時間を超える月がほとんどだったそうです。自宅を出るのは早朝4時半過ぎ、6時過ぎには出勤して朝7時の開店に向け準備を開始。閉店は深夜23時。それから閉店業務を行って退勤は24時。

帰宅は午前1時過ぎで、また翌朝4時半には家を出る生活。往復の自動車の運転時も事故を起こさないか不安に苛まれていたともいいます。多忙を極めたときは、自宅までの通勤時間を惜しんで、店の駐車場に止めたワンボックスカーの中で一夜を明かしたこともあったとか。
 休みも十分とれず、連続勤務は最長で63日間。仕事中にぎっくり腰になり、労災認定されながらも、交代のスタッフがいないために翌日からコルセットをはめて出勤したこともあったといいます。そして、ついには軽い脳梗塞を発症。まさに、過労死の淵に立ったといっても過言ではありませんでした。

 ちなみに、このチェーンでは昨年、別の店の女性店長が勤務中に脳内出血で倒れ、搬送先の病院で帰らぬ人となっていた…そうです(享年41歳)。

 先述の原告の店長は、勝訴判決後、このことに言及。
「(係争中であった)2年間の間に現職の店長が突然死した。もっと早く判決が出ていれば、こういう悲しいことはなかった」

と語って泣き崩れていました。



■■■ 人を増やせず、自らの働きで補填する店長 ■■■


 店長という職位が真に「管理監督者」であるなら、自分の裁量でもっと人を増やし、持続可能な事業環境へと再構築しなければならなかったはず。しかし、それをしなかった。できなかった。なぜなのか。

 報道では、店ごとに課せられた厳しい業績目標が遠因であるとの関係者証言が語られています。業績目標のうち、「売上」に関しては競合店の進出など外部環境の影響を受けるが、「利益」なら人件費の削減で到達できる。だから、その「企業努力」をするのだと。
 いうなれば、利益死守のために、サービスを支える「人」の質・量をぎりぎり絞り込んで、不足した部分は店長が責任をとって補填していた――という構図です。

 私たちの口に入る商品が、このような、数字に人が踊らされた構造のなかから作り出されるというのは、やりきれない思いがします。



■■■ 管理職の長時間労働は個人の問題、会社は関知せず――でよい?■■■


 今回の判決は、ともすれば「管理職には残業代を払うべし←→その必要はない」
の争いに見られがちですが、問題の根本は、「働き方・働かせ方」にあります。

 企業側の論理としては、《店長は管理監督者であるから、企業は「働かせ方」についての責はない。店長自身の問題だ》ということになるでしょう。与えた責任を果たさせるため、店長に持てる力をすべて投入するよう誓わせる。しかし、その結果として生じる長時間労働について、

会社は一切関知しない――そういうことでいいのか?


 という問題です。

 アルバイトへの賃金と比べたら、正社員の管理職クラスへの報酬は相当なものでしょう。だからといって、それらのクラスの社員の身が、健康を害するほどの長時間労働に飲み込まれていくのを当然視していいはずはありません。
 今回の判決で「店長は管理監督者ではない」と明確に判示されました。これはすなわち「労働時間規制の対象から外すことは許されない」という司法判断です。
もちろん、課長クラスの管理職も管理監督者ではないわけですから、同様です。

     *       *

 現場の持続可能性。そして会社としての持続可能性。好循環を描いていく手腕がトップマネジメントに求められるのだと思います…。     (福島敏之)



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◆ 編集後記◆  
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最近、某住宅販売会社のCMが気になります。みのもんた氏が「残業代、しっかり稼がないといけないんじゃない。ローンもあるんじゃない。」と言う台詞です。

これに対して、住宅購入者は「早く家に帰って、家を味わいたい」と答え、家での過ごし方やライフスタイルの変化を伝えています。
昨年12月に「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」が発表され、行政も促進・支援指導をしています。
ワーク・ライフ・バランスの視点からみれば、このCMの趣旨は合っているのでしょう。しかし、「ライフを楽しむ」人もいれば、逆にこのCMを見て「残業手当目当て」の人が増加するかも知れません。それくらいに現在の労働者の意識は多様化しており、CMひとつとってもその表現・構成が難しいなのではないでしょうか。

長時間労働による少子化、健康障害が深刻化している状況下で、改正労働基準法(案)では「割増率の引き上げ」が検討されていますが、労使双方が協力して残業を抑制し、働く環境の整備を急ぐ必要があります。        (白石)

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☆☆「労働契約法」「パートタイム労働法」セミナー開催のお知らせ☆☆

労働契約法・パートタイム労働法等の実務対応

 近年、就業形態の多様化、労働者の意識の多様化により、個別労働関係紛争が
増加傾向にあります。
このような状況を改善するために、労働契約に係る民事上のルールを明確化した
「労働契約法」が成立し、3月に施行予定です。
新法は、労働契約を規律する基本法です。今回は、要点解説と法的面における労
務管理上の留意点を解説していただきますので、企業の雇用環境整備にお役立て
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また、4月より改正される「パートタイム労働法」については、“差別的取扱の
禁止”、“均衡のとれた待遇”を中心に要点解説をします。

セミナーの内容
1.労働契約法
   新法の要点解説  ・安全配慮義務
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            ・有期労働契約の中途解約 等
2.改正パートタイム労働法
   改正の要点解説  ・差別的取扱の禁止
            ・均衡のとれた待遇 等

セミナーの日程等

日 時:平成20年2月28日(木)午後1時30分〜午後4時30分
場 所:喜山倶楽部 光琳 
千代田区一ツ橋2−6−2 日本教育会館9階 
TEL 03−3262−7661
講 師:中 川 恒 彦 氏 
参加費:10,000円
申込締切:2月15日(金)
〈講師中川恒彦氏のプロフィール〉
労働基準監督官、労働省労働基準局監督課中央労働基準監察監督官、東京労働基
準局賃金課長、労働省労働基準局賃金課主任中央賃金指導官、滋賀労働基準局長
を歴任
現在 執筆、講演活動等で活躍中
著書:「賃金の法律知識」(労働法令協会)、「労働者派遣法の実務解説」(労
働法令協会)、「労働法令通信:個人情報保護法と雇用管理」連載中(労働法令
協会)等


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発行者  雇用システム研究所 代表 白石多賀子
     東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル   
     アドレス:info@koyousystem.jp



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  お楽しみいただければ幸いです。今後もさらに内容充実していきたいと思います。
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  次回の配信は新年3月初旬頃情報を送らせて頂きます。


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