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中高年向けに一律の健診、医療保険者に実施義務

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        ☆雇用システム研究所メールマガジン☆
                              第64号
                            2008/04/01
          http://www.koyousystem.jp
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  ようやく春めき桜も満開となりました。
  皆様、いかがお過ごしでしょうか。

  雇用システム研究所メールマガジン第64号をお送りします。  

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  □ 目次

  ■ シリーズ:今春からの生活習慣病対策、企業はどう向き合う?
  -----2 中高年向けに一律の健診、医療保険者に実施義務
      (特定健康診査 その1)-----

  ■これまでの健診は「人によりけり」だった
  ■実施責任は医療保険者に、事業主健診で代用も
  ■受診率低いと保険料が上がる?
                   (以上執筆者 福島敏之)

  ■浸透しない「ポジティブ・アクション」
  ■政府の目標は40%に上げる
                    (以上執筆者 津山勝四郎)

  ■[編集後記]           (編集長 白石多賀子)

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  シリーズ:今春からの生活習慣病対策、企業はどう向き合う?
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   この4月から、中高年の健診の在りようがガラっと変わります。
  ごく単純化していえば、40歳〜74歳の人は、年1回のペースで健診を受けなければならないような仕組みとなります。

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 ■■■ これまでの健診は「人によりけり」だった ■■■
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   これまで健診は、当人のライフステージによって、たとえば勤め人であるか、自営であるか、あるいは専業主婦か、無職であるか…等々によって、受診が義務であったり任意であったりしました。
  次のような具合です。

 (1)会社が、従業員に対して義務的に実施する「事業主健診」

 (2)職場の健保が、一定年齢以上の希望者に任意で実施する
   「生活習慣病健診」

 (3)職場の健保が、一定年齢以上の被扶養者に対し任意で実施する
   「主婦健診」

 (4)自治体が、居住する40歳以上の住民を対象に実施する
   「基本健康診査」

  (1)の「事業主健診」は、労働者の健康管理及び作業環境の管理のために、事業主が従業員に受けさせる義務を負い、従業員も受診義務を負っているものです(=労働安全衛生法第66条)。

  (2)は被保険者の生活習慣病予防を目的とするもので、
  (1)とは実施主体も目的も検査項目も異なっているのですが、
  たいてい、35歳以上ないし40歳以上の従業員については、
  (1)と(2)で検査項目を重ね合わせて一緒に実施してしまい、
  その結果を会社と健保で共有するという取扱いが一般的です。

   一方、主婦が健診を受けるとすると、(3)のように夫の健保の「主婦健診」を受けるか、(4)のように自治体の「基本健康診査」を受けるかのどちらかでした。ただ、健保にとって主婦健診は任意の事業であり、そうそう普及しておりませんでしたので、一般には自治体の基本健康診査で済ますケースが大半であったと言えましょう。

   その自治体の健診も、事業主健診のように受診義務が住民一般に課せられていたわけではなく、あくまで希望者のみを対象とするものでした。


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 ■■■ 実施責任は医療保険者に、事業主健診で代用も ■■■
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   それが、平成20年度からは、40歳〜74歳未満の生活習慣病予防のための健診について、健保や国保など医療保険者が一元的に責任を負うようになります。被保険者・被扶養者として加入している40歳〜74歳未満の全員に対して、医療保険者は毎年1回、健診を実施しなければならないという義務が新たに法定化されるのです。
   これまでバラバラであった検査項目や、判定基準や、事後のフォローについても、全国的に統一されたプログラムのもとで展開されるようになります。

  それが「特定健康診査」(略して「特定健診」)です。

   ただし、だからといって会社で実施する事業主健診がなくなるということはありません。
  事業主健診は労働安全衛生上の必要のために実施されるものであり、その趣旨からして特定健診とは異なるものであるからです。

   とはいえ、健診を二度受けなければならないというのも、従業員にとっては大変な手間ですし、会社にとっても時間のロスになります。
  なので、事業主健診を従業員が受け、その検査結果を会社が健保に提出すれば、それをもって特定健診を受けたものとみなされることになっています。

   では、事業主健診の費用は国や健保が負担してくれるようになるのか、というと、そうではありません。

  事業主健診の費用は、従来どおり事業主が負担します。
   ただし、検査結果を送付する送料については、その目的のみの送達であるなら、健保に請求しても差し支えない旨、通知で示されています。


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 ■■■ 受診率低いと保険料が上がる? ■■■
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   後の号で詳しく述べますが、この特定健診には、その受診率という「実績」に連動して、健保など医療保険者が高齢者医療に拠出しなければならない負担金を加算・減算するという「アメとムチ」の仕組みが組み込まれています。負担金が加算されれば、健保財政には打撃となります。財政悪化が危険水域にまで進めば、健保としては保険料率を引き上げざるをえません。
  つまり、特定健診の受診率低迷は、巡り巡って会社や従業員に

  「保険料負担増」

 という形ではね返ってくるかもしれない、ということです。

  *   *   *   *   *

  そうならないためにも、会社としては従業員やその家族に対して、より積極的に健診受診を勧奨する必要が生じてきたのだと言えます…。   
                           (福島敏之)


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 ■■■ 浸透しない「ポジティブ・アクション」 ■■■
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   厚生労働省雇用均等・児童家庭局が3月28日に発表した「平成19年度版 働く女性の実情」は、過去の雇用慣行や性別役割分担意識などが原因で男女労働者の間に事実上生じている格差の解消を目的とした措置、すなわち「女性の能力発揮促進のための企業の積極的取組(ポジティブ・アクション)」についての取組み状況を調査している。

  調査によると、
 ・「取組んでいる」企業割合は20.7%、
 ・「今後、取組むことにしている」企業割合は6.7% だった一方で、
 ・「取組む予定はない」とする企業割合が22.3%、
 ・事実上取組む気がない「今後の予定については、わからない」とする
  企業割合が50.3%もあった。

 しかも、ポジティブ・アクションについて初めて調査した平成12年度、
 平成15年度に比べると、
 「取組んでいる」企業割合は26.3%、これが平成15年度には
 29.5%となっており、平成18年度は大幅に低下している。
  また「今のところ取組む予定がない」企業割合も、平成12年度の
 34.2%から平成15年度28.7%に低下したが、

 「今後の予定についてはわからない」とする企業割合が、
 平成12年度26.5%、
 平成15年度33.0%、
 平成18年度50.3%と異常とも言える増加で、厚生労働省が男女格差の解消の一環として積極的に推進しているポジティブ・アクションが企業現場では浸透しないどころか、むしろ衰退している実態を明らかにしている。

 原因の一つは中小企業に浸透していないことである。
 平成18年度における30〜99人規模の企業では、
 ・「取組んでいる」企業割合は17.4%、
 ・「今後取組むこととしている」企業割合は5.4%でしかなく、
 ・「取組む予定はない」25.9%、
 ・「今後の予定についてはわからない」51.3%と、
 8割弱の中小企業ではポジティブ・アクションに無関心である。

  もとより、ポジティブ・アクションの導入や積極的取組みが、企業経営のうえで、経営効率化、競争力強化、人材確保、モラール向上、顧客ニーズへの的確な対応、企業イメージの向上、職務遂行能力の向上、などに大きな効果があることは、過去の「女性雇用管理基本調査」などで証明ずみだが、どうしても眼先の経営課題に振り回される傾向が強い中小企業経営者にとって、男女雇用機会均等法施行直後の緊張感が、ポジティブ・アクションへの取組みだけでなく、全体に弛緩してきたと言える。

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 ■■■ 政府の目標は40%に上げる ■■■
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  政府が平成16年に策定した「子ども・子育て応援プラン」では、
 平成21年度までにポジティブ・アクションに取組む企業割合を40%
 にするという目標が掲げられている。

  今回の報告書では、女性の活用、女性のための施策・制度を講じるという視点からだけではなく、企業風土の主軸をなす男性の働き方を、仕事と生活の調和という観点か見直し、男性も含めた総合的な雇用環境の変革に向けた取組みを継続的に行うことが急務であるとしつつ、特に中小企業に対しては導入に向けた具体的なノウハウの提供が必要であると結論づけている。

  中小企業の企業風土といえば、経営者の思想、価値観、従業員への思いやり、そのものである。好むと好まざるにかかわらず、有配偶を含む女性労働者が十分な能力発揮できる職場を創造していかないと、企業経営が立ち行かないことは既に結論が出ていることである。
                          (津山勝四郎)



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  編集後記 
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   朝日新聞の「ひと」欄(2月27日朝刊)で65歳からの著書が130冊、そして100歳の今もなお書き続けているという禅僧、松原泰道氏が紹介されていました。
  その中で松原氏は、「一世紀見てきた日本。今、必要なのは?」の質問に対して、

 「謙虚さでしょうね。現代人はおそれを知らない。
   最近は、お てんとうさま より内部告発がこわいですから」

 と仰っていました。

  この「謙虚さ」は、信頼関係を構築していくうえで大切なキーワードです。例えば、仕事上で「謙虚さ」があると、上司・先輩・同僚等から適切なアドバイスを受けることができ、ときには助けられることも多く、数年後には確実にその成長がみられます。

   一方、対義語の「傲慢さ」は、職場内で敬遠され、コミュニケーションも悪くなり、仕事の連絡ミスなどで自ら居心地の悪い状況をつくってしまうことになります。
  本来日本人の持っていた誠実さ、謙虚さといった特質が本当に失われてしまったのでしょうか?

  自らの立場を考え、他人に対しても仕事に対しても「謙虚」であり続けたいですね。            (白石)



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 発行者  雇用システム研究所 代表 白石多賀子
     東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル   
     アドレス:info@koyousystem.jp

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   お楽しみいただければ幸いです。
    今後もさらに内容充実していきたいと思います。
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