教員採用汚職の悲哀
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☆雇用システム研究所メールマガジン☆
第71号
2008/07/16
http://www.koyousystem.jp
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東京では梅雨明けし、暑い日が続きます。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
雇用システム研究所メールマガジン第71号をお送りします。
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□ 目次
教員採用汚職の悲哀――不正義な偽装人事の爪あと
■「先生もお金を払ったんじゃないの?」
■水増し合格教員は解雇へ、先生の去り際の言葉は…
■狭き門、親が社会的に成功していればこその憂鬱?
(以上執筆者 福島敏之)
■[編集後記](編集長 白石多賀子)
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教員採用汚職の悲哀――不正義な偽装人事の爪あと
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このところ食品業界などで数々の偽装が社会問題となってきましたが、最も悲しい類の偽装を私たちは目撃しました。
舞台は大分県。いわゆる「教員採用試験汚職事件」です。
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賄賂や口利きの「意」を受けた教育委員会幹部が、合格水準に達しない受験生を点数水増しで合格させ、その分、本来合格だったはずの受験生の夢を断ってきました。
教壇に立たせるに足るか否かを見極める厳正な決定の場で、出世欲満々の教員出身エリートたちが、前途ある正直者に馬鹿をみさせていた、という話です。
採用試験だけ
ではりません。教員の昇進に際しても不正は横行していたそうです。
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■■■ 「先生もお金を払ったんじゃないの?」 ■■■
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小中高という多感な成長期において社会の「道理」を教え諭すべき当の教員が、実は不正によって教職の座に就いていたという不条理。親が、本人の意思とは無関係に手を回していたようなケースが大半だろうと思量されますが、たとえそうであっても水増し合格者による指導の正当性は大いに傷つきました。
「先生もお金を払ったんじゃないの?」
とストレートに教師に問いを投げかける生徒もいるそうです。
PTAに至っては、教育委員会あての要望書に
「合格水準に達していない教師に教えられてきた子供達が、今回の最大の被害者ではないでしょうか。大分県の子供達の学力の向上がみられない原因もここにあるのではないかと思います」
とまで書き込みました。県下の学童の学力が伸び悩んでいるのは、ひとえに水増し合格教員による低水準の指導に帰せられる、との指弾です。
その因果関係の当否はともかく、裏切り行為への怒りがひしひしと伝わってきます…。
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■■■ 水増し合格教員は解雇へ、先生の去り際の言葉は… ■■■
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県教委は、点数水増しによって合格した教員を解雇する方針を決めました。
案じられるのは、別離の日と、その後の生徒の心の中です。去り際に先生は、「先生の両親は、先生のことを思うあまり、教員採用試験に合格するように教育委員会の偉い人にお金を払っていました。それは許されない不正行為であるため、先生はこれ以上、皆さんの先生でいるわけにはいきません。
これから新しい先生のもとで、いままで以上にしっかり勉強してください。
さようなら」といった挨拶をすることになるのでしょうか。
一人ひとりの生徒は、先生との思い出をどう整理することになるのでしょうか…。
その痛みを思うにつけ、返す返すも、不正義な人事というものの赦し難さを覚えます。
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■■■ 狭き門、親が社会的に成功していればこその憂鬱? ■■■
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この空前のアンフェアの背景には、地方から雇用が失われる中での、教職への志望者集中という現実がありました。東京の4.1倍に対し大分県は15.6倍という競争率。
地方の名望家たる校長や教頭の家庭では、世間体もあるし、是が非でも狭き門をかい潜って教員の座をわが子に射止めさせなければ、との思いも強かったものと察せられます。
親が社会的に成功していればこその憂鬱…ということなのかもしれません。
であったにせよ、教員としての能力に適合しない子女を「偽装」していい理由には、やはりなりません。成長の鈍化した社会で既得権死守に走ったのが、ほかならぬ、未来の人材をはぐくむはずの教員であったという皮肉が、二重三重にやるせない溜め息を誘います…。
(福島 敏之)
編┃集┃後┃記┃
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“AERA”に「『トップスターのビジネス力―働く女をしびれさせる―』 として、タカラヅカの厳しい序列社会で身を律するスターたち、とりわけ舞台 中央で美しく輝くトップスターに、働く女はわが身を重ねている。」と載って い
ました。
(08.7.7発行号)
その中に、渋井真帆氏は「ヅカから学ぶ『働く女の5カ条』」として、
1.役割に徹する。
2.コンディションを整える。
3.チームプレーを忘れない。
4.常に精一杯取り組む。
5.相手の期待に最大限応える。
をあげ、次のように述べています。この5つはどれも「他者視点」が必要で、女性がもっとも苦手とするもの。ビジネスの極意は「私が何をしたいか」ではなく、
「相手が何を求めているか」
だが、たいていの女性はそこがわからない。
タカラヅカのスターたちは、5カ条とともに他者視点の重要性を徹底的に教えてくれると。
「相手が何を求めているか」がわからないのは女性というより、性別に関係なく増加しているのではないでしょうか。そのため指示した仕事が正確かつ迅速に処理できない、自分の思い通りにならないと他の人に責任転嫁をする等の状況をよく見かけます。
結構、「私が何をしたいか」、「相手が何を求めているか」の捉え方の違いが労使間トラブルの発生要因の一つでもあります。
皆様も「働く女の5カ条」を活用され、生産性を高める組織づくりをされたらいかがでしょうか。 (白石)
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発行者 雇用システム研究所 代表 白石多賀子
東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル
アドレス:info@koyousystem.jp
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お楽しみいただければ幸いです。今後もさらに内容充実していきたいと思います。
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