北京五輪開幕
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☆雇用システム研究所メールマガジン☆
第72号
2008/08/01
http://www.koyousystem.jp
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厳しい暑さが続きます。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
雇用システム研究所メールマガジン第72号をお送りします。
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□ 目次
■北京五輪開幕――聖火の照らす16日間に見る「人間と重圧」
(以上執筆者 福島敏之)
■「成果主義労務管理」に赤信号!「平成20年版労働経済の分析」が警鐘
■ 働きがいのある職場をいかに創るか
(以上執筆者 津山 勝四郎)
■[編集後記](編集長 白石多賀子)
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北京五輪開幕――聖火の照らす16日間に見る「人間と重圧」
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北京五輪メーン会場である国家体育場(愛称・鳥の巣)の聖火台に聖火が点り、
北京五輪が開幕となりま した。
ギリシャのオリンピアで今年3月24日に採火されて以来、前代未聞の物々しい厳戒警備の下、世界五大陸をリレーされてきた聖火。平和の祭典だからこそ、とチベット開放を求める活動家が、各地で抗議行動を起こしました。
中には飛行機雲で上空に 「FREE TIBET」と描いた“つわもの”も…。ともあれ、これから16日間、 聖火は煌々と「平和の祭典」を照らし続けることとなります。
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五輪憲章は、オリンピック精神(=オリンピズム)について次のように謳っています。
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「オリンピズムは人生哲学であり、肉体と意志と知性の資質を高めて融合させた、
均衡のとれた総体としての人間を目指すものである。オリンピズムが求めるのは、
文化や教育とスポーツを一体にし、努力のうちに見出されるよろこび、よい手本となる教育的価値、普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重などをもとにした生き方の創造である」
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この《均衡のとれた総体としての人間》として各国から選りすぐられた代表選手たちは、己の勝利と母国の威信をかけて戦いに挑みます。その重圧たるや想像を絶するものでしょう。それに気圧されて力を出し切れない者もいれば、逆に力に変えてしまう者もいる。「五輪には魔物がいる」と言われる所以です。
重圧といえば、日米通算3000本安打の金字塔を打ち立てたイチロー(シアトル・マリナーズ)が、次のように語っていました。
「いろんな壁はボクにとって大変な障害なんですけど、こういうものと戦っていけることを喜びとして、この先もやっていきたい」 津波のように押し寄せる重圧を、“喜び”として受け止める。現在進行形のヒーローが期待に応え続けるための、究極の秘訣と言えましょう。
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翻って、ビジネスも、成功するごとにハードルが高くなっていくものです。
持続可能な成長のためには、高まる重圧にどう向き合うかが重要課題の一つ。
そういう目でみれば、4年に一度の「祭典」の中に、何か新たなヒントが見出せるかもしれませんね。
まあ、難しい話はおいといて、聖火の照らす16日間、しばし至高の肉体・意志・知性を持つ人間の切磋琢磨を楽しみましょう!
(福島 敏之)
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■■■ 「成果主義労務管理」に赤信号!
「平成20年版労働経済の分析」が警鐘 ■■■
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7月22日付けの夕刊。朝日新聞は1面トップで、「正社員減り生産性停滞−非正規頼み警鐘」、毎日新聞も1面トップで、
「仕事に満足大幅低下−成果主義改善を」、読売新聞は2面ながら、「労働者 強まる不満−成果主義成功せず」、そして経済界の“赤旗”とまで揶揄される日本経済新聞でさえ、「成果主義の改善を提言−働く人の満足度低下」と、それぞれ大見出しを打ち、同日に発表された経済財政白書(旧経済白書)をサイドに飛ばしたのは、厚生労働省が発表した労働経済白書(旧労働白書)だ。
白書のサブタイトルとして「働く人の意識と雇用管理の動向」が付き、ここまで日本経済全体で邁進してきた成果主義労務管理とか、コンピテンシー導入に中央官庁が発刊する白書が見直しを提言する。
おそらく何年後かに画期的な提言と評価される内容となっている。
白書は冒頭で、2002年初めから入った景気回復局面において、「経済成長の成果が勤労者生活に十分いきわたっておらず、景気の足腰の弱さの一因となっている」
と断定した上で、「経済成長の成果を、雇用の拡大、賃金の上昇、労働時間への短縮へと配分する ことで、労働生産性の向上を追求していかねばならない」と指摘。
この事は、これまでの厚生労働省の労務管理政策の自省とも言える。
白書はまた、中小企業経営と中小企業労働者問題に対する考え方として、輸出関連企業の利益拡大が大企業にのみもたらされ、外国人の株式保有比率の高まりが、大企業の利益重視、短期的な経営判断に傾いていったと分析し、結果として、
長期的は経営取引の中で、地域の中小零細企業とともに成長、発展していくという経済慣習を崩したとまで言及している。
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■■■ 働きがいのある職場をいかに創るか ■■■
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白書は個々の働く人々の課題も取り上げ、各人の職務分野の明確化、合理的な職務体系の編成、職務配置を通じた職業キャリアの高度化への取組みの結果として、業績・成果主義的な賃金制度を導入したが、一方で働く人々の着実な職業能力の向上に企業が力を入れなかったことから、いたずらに賃金格差を拡大させて、
不満を累積することになるとして、公正で納得性の高い賃金・処遇制度の構築に取組み、評価システムの改善が喫緊の課題となっていると分析している。
さらに、働く人々の意識からみた雇用慣行について白書は、我が国が取組んできた正規従業員の絞り込みと、業績・成果主義の導入は、長期雇用などの慣行を改めて評価する意見の増加とともに、今後は、働きがいのある職場をいかに創り上げていくのか、そのための賃金制度を含む雇用管理はどのような形態が望ましいのか、また具体策として、例えば、業績、成果主義の適用範囲の見直し、意欲の向上に役立つ部門やグループに限定した運用の積極化、評価基準の明確化、そして何よりも職業能力自体を高めていくための取組みの強化が大きな課題であると強調している。つまり、労働者の動機付けを賃金の多寡だけでなく、仕事の内容そのものに求めていく時代が来ており、企業経営者は、働く人々が働きがいを感じることができる経営を目指し、労使が働く意味について、率直に話し合える企業風土の構築に注力していくことが使命であると言い切っている。
官庁が発行する白書は、とかく現状分析のみで、将来への提言を行政責任から発しない内容が多いなかで、今回の労働白書は、行政の自省も含めた、出色の出末と言える。
(津山 勝四郎)
編┃集┃後┃記┃
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「叱る上司」「怒る上司」の見出しに惹かれて“AERA(08.7.14発行号)”
を購入しました。
最近、上司に叱られても反応がない、叱られても一向に改善しない社員に対して、
叱ることもせず、黙々と時間外に部下の仕事を修正・訂正している役職者。
また、後輩が1時間も課長に叱られ、叱られた要因は後輩のミスにあるのだが、次の仕事に引きずらないように慰めようと待ちかまえていた先輩に対して、落ち込むどころか舌を出してケロッとしている後輩の様子を見て、ミスの改善はできないと諦めたなど、“叱り”に対しての話をよく聴きます。
「叱り」の行為が今や、上司はちょっと叱ったつもりが、部下は“パワハラ”で精神疾患に罹災したと労災保険の業務災害申請をしてきますから、上司は怖くて叱ることができない。でも、心込めて叱り成長の手助けをしていることを理解させ、“気づき”“気配り”等で早い段階でミスをなくし、生産性の向上に寄与してほしいです。
「叱られているうちが花」を超えると「怒り」になりますが、「怒り」はパワハラ騒動の要因になりやすいので気を付けましょう。
―AERA(08.7.14発行号)―
〈叱る上司の5W1H〉(『絶妙な「叱り方」の技術』の著者:藤崎雄三氏)
○なぜ叱るのかをはっきりと
○相手が改善できることを叱ろう
○叱る相手は常に観察しておく
○叱る場所はケース・バイ・ケースで
○なるべく早いタイミングで
○自分の意思を的確に伝えるために
〈パワハラ上司ここがNG!〉(コーチングの権威:鈴木義幸氏)
◎叱るプロ
○感情的にならない
○叱る目的ははっきりと
○客観的な事実で指摘
○一般化しない
○人格否定はダメ
◎パワハラ上司
×瞬間湯沸かし器
×単なる強制
×声がでかい
×振り返ってネチネチ
×バカやろう!
(白石)
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発行者 雇用システム研究所 代表 白石多賀子
東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル
アドレス:info@koyousystem.jp
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お楽しみいただければ幸いです。今後もさらに内容充実していきたいと思います。
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