人事・労務に関する御相談は信頼と実績の雇用システム研究所

社会保険・労働保険の御相談は信頼と実績の雇用システム研究所

雇用システム研究所 トップページ雇用システム研究所 個人情報保護方針雇用システム研究所 メールマガジン雇用システム研究所 お問い合わせ
雇用システム研究所 >> メールマガジン >> 今こそ求められる徹底した“ムダ”の排除と業務の効率化(2)

今こそ求められる徹底した“ムダ”の排除と業務の効率化(1)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏━━┓    
┃\/┃    ☆雇用システム研究所メールマガジン☆
┗━━┛                             第83号
                               2009/03/01
           http://www.koyousystem.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  2月も、もう終わり。春めいたり逆に雪が降り寒さが戻る日もあったりと
  気温の変化の大きい今日この頃です。

  皆様、いかがお過ごしでしょうか。

  雇用システム研究所メールマガジン第83号をお送りします。  

==========================================================================

  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

  ◆今こそ求められる徹底した“ムダ”の排除と業務の効率化(2)◆ 

  ■「幹」を残して枝・葉を削ぎ落とす
  ■「業務の標準化」と「見える化」を推進

                    (以上執筆者 溝上 憲文)

  ■賃金も雇用も(労働者側)、定昇分の確保も難しい(経営側)
   09春闘ヤマ場へ
  ■各産別のベア要求は4,000円〜4,500円
  ■要求水準と現実との乖離

                    (以上執筆者 津山 勝四郎)

  ■[編集後記]           (編集長 白石多賀子)

==========================================================================


◆今こそ求められる徹底した“ムダ”の排除と業務の効率化(2)‥‥‥‥‥


 不況期の今こそ全社一丸となった業務の効率化が求められている。

 無印良品で知られる小売業の良品計画は2000年以降業績が急落し、02年2月期には大幅減益に陥った。だが、その後の大胆な業務の効率化を含む構造改革に着手。06年8月中間期は2期連続で最高益を更新。売上高も7期ぶりの増収を達成するなど見事にV字回復を果たし、今も好業績を維持している。

 その立役者が松井忠三社長(現会長)である。04年下期に改革の母体となる社長直轄のプロジェクトである「30%委員会」を立ち上げる。売上げに占める販管費率を30%に引き下げることを目的に店舗や本社部門の不必要な業務の廃止・縮小を含む効率化を推進した。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 「幹」を残して枝・葉を削ぎ落とす ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 本社部門では以前は17〜18人いた企画室の人員を半分に縮小するなど間接部門の人員を店舗に出すなどして100人減らした。その一方で各部門の業務の効率化を推進。
たとえば店舗の不正を摘発する監査室の役割を業務が正しく遂行されているかを監査する業務監査に変更。その結果、以前は2人1組で大阪に2泊3日の出張に行くと、1日1店舗しか監査できなかったが、1人が1日に2店舗を担当し、3日間で4倍の12店舗を監査できるようになった。

 人事部門でも福利厚生業務など従来の仕事を大胆に見直した。人事部出身の松井さんは、仕事の軽重を「幹・枝・葉」に分類し、枝と葉を削ぎ落とすことが効率化の要諦と指摘する。

「人事の幹となる仕事は社員の給与の計算と管理です。ここはしっかりとやる必要がありますが、枝の仕事も発生する。たとえば勤怠管理の報告が各部門から上がってこないと『報告はまだですか』とサービス精神でもって電話で頻繁にやりとりするようになります。さらに葉の部分では、子供が生まれたらこういうサービスがあります、通信教育はこういうのがありますとか、膨大な福利厚生のメニューまで用意し、飲みたくもない水を飲ませるように仕事をつくるのです。これは余分な仕事であり、そういう枝葉を削ぎ落とす作業を進めたのです」

 枝葉を削ぎ落とす業務の見直しを徹底して断行した結果、本社の人員100人減らしても何の問題も発生しなかったという。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 「業務の標準化」と「見える化」を推進 ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 今も合理化と効率化を徹底するために取り組んでいるのが「業務の標準化」と「見える化」だ。社内に役員で構成する「業務標準化委員会」を組織。人事、経理、企画、販売などの各部門の業務を基準書(マニュアル)に落とし込み、全社員・スタッフが共有する仕組みを構築している。マニュアル化を推進する最大のツールがアルバイトを含む全従業員が参加する「顧客視点シート&改善提案」だ。

 店員が売場で困っていること、オペレーション面で変えてほしいといったことなど身近で発生した質問、あるいは本人が考えた改善案を店長を通じてウェブ上で本部に報告する。それらは該当する各部門に振り分けられ、報告を受けた部署は1週間以内に返事をしなければならない。

 たとえば店のお客にこういう商品はないか聞かれ、誰に聞けばいいかわからない場合、あるいは人事関連では退職金届の書き方をこうすればいいといった提案など細かい質問・提案でもいい。毎週月曜日に一週間分の質問が本部に届き、担当部署は金曜日までに部門長の名前で返事を出すことになっている。

 各店舗の質問・提案内容および担当部署からの回答は、店舗のパソコン上で全従業員が見ることができる。つまり“生きたマニュアル”を通じて徹底した業務の標準化・見える化を推進しようというものだ。取り組み開始当初は膨大な量の質問がきたが、今でも1週間に200通も来ているという。

 改善提案を通じて、今までわからなかったことや困ったことが基準書に蓄積され、それを見ることでスタッフの知識も増え、習熟度も向上する。スタッフのストレスをなくし、余計なことに悩まずに販売に集中できるという効果を生んでいるという。
 松井さんは従業員の創意工夫も大事だが、その前に業務プロセスを標準化する仕組みが重要だという。

「生産性を上げるには標準通りにやれば大きな問題は起こりません。ところが仕事をしているといろんな創意工夫が出てくるわけです。創意工夫自体は悪くはないが、標準化もなしに進めると必ず問題が発生します。たとえば当社には多数の店舗がありますが、店舗が勝手に創意工夫をやり出すと店舗の数だけ“家元”ができる。その結果、皆平気で夜の11時、12時と、終電がなくなるまで会社に残って仕事をすることになるのです」

 同社は業務改善の一環として残業の廃止にも取り組んできた。本部では07年以降、残業は19時、18時30分までと徐々に制限してきたが、08年11月以降は原則定時の18時までとしている。
                               (溝上 憲文)



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 賃金も雇用も(労働者側)、定昇分の確保も難しい(経営側)
                       09春闘ヤマ場へ ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 2009年春季生活闘争(春闘)が、3月18日の連合各共闘会議への統一回答日を前に個別交渉が行われている。かつては労働側の弱腰から、“春討”とまで皮肉られたが、今年はアメリカが発出した世界同時不況と国内独自の円高による輸出産業の低迷で様相を異にしている。

始まりは、1月15日に日本経団連と日本労働組合連合(連合)が出した「雇用安定・創出に向けた労使共同宣言」からだ。

「日本経団連と連合は、認識を共有し、今こそ労使が真摯に向き合い、雇用の安定と新たな雇用創出に向けた政策を展開すべきであることを確認した。《中略》政府は緊急対策として、企業の雇用維持に対する支援や、全ての労働者のための雇用のセーフティネットの整備を早急に行うべきである。」

 要するに雇用安定に向けての総論賛成で、具体的対応を国に投げていることになる。

「内需拡大のためにも、定期昇給とは別に、物価上昇分に見合うベースアップは必要」とする労働側に対し、自動車や電機に代表される経営側は、「ベースアップどころか、定期昇給の確保も難しい状勢。特に今年は後半には物価が下降するとの予測さえある。」

とする経営側の要求段階での乖離は大きい。民間調査機関である産労総合研究所によると、調査対象企業の6割超がベアを含む賃金アップは無理と回答しており、賃金改定を行う予定の企業も、アップ率は1.7%前後としている。

連合の高木会長は要求の3段階方式を主張しており、
1)賃金カーブ維持分(いわゆる定昇)、
2)ベースアップ(物価上昇見合い分)、
3)格差是正分(成果配分や経済成長分)
の3段階方式だが、この主張に対しては、経営側だけでなく、一般マスコミ、そしてこれまで労働側に理解のあった学識経験者からも批判が強く、「賃上げ要求が悪のように言われている」(大手産別会長)との労働側の強い反発を生み出している。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 各産別のベア要求は4,000円〜4,500円 ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ここで大手産別労組の要求内容をみる。
まず、年末からの派遣切りで話題になった自動車総連(組合員69万5千人)は、4,000円以上の賃金改善(ベア)分を設定し、一時金は賃金引上げ後の基準内賃金の5カ月を基準としている。

 同じ世界同時不況と円高を真正面から受けている電機連合(組合員62万人)は、現行賃金制度・体系に基づく制度的な昇給を確保した上で統一要求基準と統一目標基準を定め、引上額を4,500円以上(一時金年間5カ月)としている。

 一方、内需産業型の産別組合をみると、スーパーや飲食、レジャー、医療分野、繊維などで構成されているUIゼンセン同盟(組合員約100万人)は、賃金体系がある組合は定期昇給とは別に2%または5,000円、賃金体系がない組合は9,500円基準の賃上げを要求(一時金年間5カ月)している。

 また、ビール業界や乳業、たばこなどの産業で構成されるフード連合(組合員約10万人)は、組織内に創設以来の営業利益を計上し、内需拡大という国の政策からも、相当幅の賃金上げが予測されるが、要求は賃金制度がある組合は定昇込み1万円またはベア5,000円、賃金制度のない中小組合は8,500円(一時金は最低年間4カ月)となっている。

 その他の大産別労組をみても、化学、医薬などJEC連合(組合員16万8千人)が現行賃金カーブの維持と物価上昇分(一時金は4カ月水準)、一般製造業で構成されるJAM(組合員約38万人)は賃金構造維持分に加え4,500円以上または平均9,000円以上、NTTなどで構成される情報産業労働組合(組合員約22万人)は賃金カーブの維持と実質賃金の確保をあげている。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 要求水準と現実との乖離 ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 スケジュールをみると、3月18日が連合に加入する各共闘会議の回答指定日、中小・地場組合は3月月内決着をめざす。

 従来、春闘相場は自動車、電機が賃上げに大きな影響があり、この2産別の回答はベアゼロどころか、定期昇給にまで食い込む(一時金での調整を含む)ことが予想されるだけに、国内需要による好決算が見込まれるフード、UIゼンセンの回答日を3月18日前に指定する案もあったが、統一回答日方式を崩すことは各産別ごとのバラツキに直結するとして見送られた。

 春闘相場は低回答に標準化されるという特徴を持つ、かつてのストライキ戦術は考えられず、せいぜい時限ストまたは36協定拒否が交渉の主戦術となってきているだけに、今年も経営者側の主導で賃上げが決定する様相である。「要求を出さない限り交渉はなく、最初から経営者側の考えを考慮するのであれば、それは労働組合ではない」(UIゼンセン 落合会長)との意見は、労働運動としての正論である。だが現実に、統一要求から早くも離脱する単組があるのも事実だ。仮に、ベアがゼロ、あるいは1,000円、さらに定期昇給の凍結という結果になった場合、労働組合員や執行部の虚無感と疲労は強い。

 賃金交渉だけでなく、非正規社員の待遇改善、労働時間短縮、時間外割増率、ワーク・ライフ・バランスへの取組み、男女賃金格差、CSRへの取組み、そして正規・非正規の雇用維持など、労働者の雇用環境改善は、労使が共通の課題として問題解決にあたらなければ前に進まない             (津山 勝四郎) 
              

*     *     *     *     *     *     *  



編┃集┃後┃記┃
━┛━┛━┛━┛********************************************************


日本の将来を担う若年者層の雇用が問題になっています。

しかし、この急激な景気の落ち込みで、新卒の就職前線は売り手市場から再度氷河期へ、またバブル崩壊後の就職氷河期に正社員になれなかった若者達は、さらに就職が困難な状況となりました。

 以前、フリーターの就職活動の実録を記した
「若者はなぜ正社員になれないのか」(川崎昌平著:筑摩書房)を読みました。 その中に、「妄想から始まる第一歩」の項目に、就職活動の手始めにイメージを膨らませる作業に着手し、「なんといっても高層ビル→大企業→すごい額のお金たち→銀行」となって、まずは銀行へ、さらにいろいろな業種への就職活動をしていくのです。

 私は、この著者が理解できず、同世代の若者に本を読んでもらったところ、「よくわかります。」と言われ、今の若者の物事の捉え方を理解しないと若者達と上手に接し、また活用できないのではと思う日々です。
 この本を読んで、若者達は「夢」ではなく「妄想」として物事を捉える傾向があることを学びました。

                                  (白石)


 ------------- ☆  ☆  ☆ --------------
 発行者  雇用システム研究所 代表 白石多賀子
     東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル   
     アドレス:info@koyousystem.jp

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   今週のメールマガジン第83号はいかがだったでしょうか?

   お楽しみいただければ幸いです。今後もさらに内容充実していきたいと思います。
   ご感想は info@koyousystem.jp にお願いします。
   「こんな記事が読みたい!」というリクエストも、遠慮なくどうぞ。
   次回の配信は4月初旬頃情報を送らせて頂きます。


                e-mail: info@koyousystem.jp
  [過去のメルマガ随時更新] http://www.koyousystem.jp

 =================================================================
  
   メールマガジンの配信が不要な方は、お手数ですが、
   こちら http://www.koyousystem.jp/mail_magazine.html から
   配信停止を行って下さい。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ・『雇用システム研究所メールマガジン』に掲載された情報を許可なく転載することを禁じます。



雇用システム研究所 事業案内
雇用システム研究所 組織づくり
雇用システム研究所 人事制度
雇用システム研究所 教育・研修
雇用システム研究所 メンタルヘルス
雇用システム研究所 お客様向けサービス
雇用システム研究所 個人情報保護方針
雇用システム研究所 お問い合わせ
雇用システム研究所 事務所所在地




Copyright(c) 1998-2015 KOYOU SYSTEM Co.,Ltd. All rights reserved.