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雇用調整で問われる経営者の力量

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┃\/┃    ☆雇用システム研究所メールマガジン☆
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                               2009/04/01
           http://www.koyousystem.jp
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  4月になりました。
  寒さの中にも春らしさを感じるこのごろ
  皆様、いかがお過ごしでしょうか。

  雇用システム研究所メールマガジン第84号をお送りします。  

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  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

  ◆雇用調整で問われる経営者の力量

  ■重要なのは危機感の共有化と経営トップのリーダーシップ
  ■平成不況期の雇用調整の功罪
  ■社員との対話を重視し、ビジョンを共有
  ■社員の精神革命と経営革命は不即不離

                    (以上執筆者 溝上 憲文)

  ◆善戦したUIゼンセン、フード

  ■名ばかり「政労使合意」

                    (以上執筆者 津山 勝四郎)

  ■[編集後記]           (編集長 白石多賀子)

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◆ 雇用調整で問われる経営者の力量 ◆

 正社員の雇用調整が加速している。
昨年の9月以降の半年間で希望退職の募集に踏み切った上場企業は117社、募集人員は約2万人(日本経済新聞調査)。
 また、今年1月から3月5日までに希望・早期退職を募集した上場企業は81社、募集人数を公表している70社の合計は6,665人に達している(東京商工リサーチ発表)。

 半年間で2万人というのはITバブル崩壊時の02年の1年間の募集者2万8,000人を上回る高水準である。実際に取材で大手アウトプレースメント(再就職支援)会社を訪れたところ、フロア内は各企業が送り込んだ退職者でごった返し、椅子はほぼ満席に近い状態であった。ちなみに再就職支援会社とは、リストラ社員1人つき60〜80万円で企業と契約し、職務経歴書作成の指導など再就職決定までをサポートする会社である。

 同社の役員は「昨年後半以降は前年度比30%増、年末から今年にかけて50%増の勢いで利用者が増えている」と語る。昨年後半以降は1社平均100〜300人単位で送り込まれてきたが、今は300〜500人と人数も増加しているという。年齢も40〜50代に限らない。フロアを見渡すと20代や30代の男女も少なくない。同社では45歳以上の利用者は昨年前半までは全体の7割を占めていたが「今では44歳以下の層が4割を占めるなど、30代が確実に増えている」(役員)。改めてリストラの現実をまざまざと見せつけられた思いがした。

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 ■■■ 重要なのは危機感の共有化と経営トップのリーダーシップ ■■■ 
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 もちろん雇用調整に踏み切るのは個々の企業にとってはやむをえない事情もあるだろう。
問題はリストラを含めて改革の痛みについていかに全社員の納得と理解を得るかである。
前回の平成不況の際にも多くの企業は経営戦略の抜本的見直しを迫られ、さまざまな改革を断行した。改革に先だって重要なのは危機感の共有化と経営トップのリーダーシップである。会社の置かれた状況を末端の社員に至るまで認識を共有化し、目指すべき事業ビジョンに明確に示し、実現に向けて社員を鼓舞し、奮い立たせるのは経営トップの重要な役割だった。

 その後V字回復を果たした企業の多くの経営者は自ら徹底して現場を回り、膝詰めで社員と議論し、時には涙を浮かべながら痛みを伴う改革の実施を切々と訴え、理解と信頼を得る活動を積極的に展開した。

 つまり、業績不振で不安に陥った社員を「改革を実行すれば、再び会社は成長するのだ」と確信させることができるのかが問われる。


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 ■■■ 平成不況期の雇用調整の功罪 ■■■ 
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 平成不況期には部門の統廃合などの事業構造改革と並行して

(1)人員削減・賃金カット
(2)採用抑制
(3)年功的賃金制度の見直し
(4)昇進・昇格制度の見直し(若手の抜擢)

  ――といった人事改革も実施された。
 だが、やり方によって大きく明暗が分かれた。
たとえば人員削減は社員に極度の不安感を与えるため迅速な実施が望ましい。
 ところが、経営計画の見通しの甘さから希望退職募集を2次、3次と複数回にわたって実施した企業もあった。そうした企業の社員の間には

「次は自分の番かもしれない」

という疑心暗鬼も芽生える一方、優秀社員の流出などにより生産性も低下する。
たとえばある大手流通業は複数回の人員削減策により社員の心身を疲弊させた結果、仕入れまで滞る事態になり、ついに客足まで遠のき、倒産に追い込まれている。

 もう一つは退職する社員に対するフォローも大事だ。大手石油会社は希望退職に当たり、手厚い退職加算金に加えて会社が総力を挙げて再就職先の確保に奔走するなど退職後も徹底してフォローした。それが残った社員にも安心感や信頼感を与え、経営再建にもプラスに作用した。逆に削減数のノルマ達成に躍起になり、退職後は関知せず、再就職支援会社任せにしたある金融機関はその後、転職会社による優秀社員の“草刈り場”と化し、最後は金融再編の渦に飲み込まれている。



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 ■■■ 社員との対話を重視し、ビジョンを共有 ■■■ 
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 いずれにしても現在の危機に対し、社員を経営再建に駆り立てることができるかどうかは経営トップの力量である。たとえば90年代後半に約4000億円の不良債権と連続赤字による苦境のどん底から見事に経営再建を果たした伊藤忠商事の丹羽宇一郎社長(現会長)が良い例だろう。

 丹羽社長は経営再建の過程で自らの給料を返上し、電車で通勤するなど派手なパフーマンスも話題を呼んだが、後に印象に残ることをすることで改革の真剣味を社員に感じてもらうことが狙いだったと語っている。

 就任と同時に現場の社員との対話を重視し、日曜日ごとに全国の社員を集めて車座の集会を開いて討論する一方、部長とは1人ずつ、課長クラスは10人単位での面談を毎年実施した。若い社員に対しても本社の地下の施設で夜は酒を一緒に飲みながら、自分の信念を伝え、夢やビジョンを共有しあえる関係を築くことに全精力を傾注した。


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 ■■■ 社員の精神革命と経営革命は不即不離 ■■■ 
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 今回の不況は平成不況のように日本の経済構造に起因する不況と違い、米国の金融破綻に端を発した急激な信用収縮と需要減によって引き起こされた。生き残っていくためには一時的な人員削減は避けられないだろうが、削減に当たっては、退職する社員に対する厚いフォローだけではなく、経営トップ自ら前面に出て理解を得る努力を惜しまないことである。それは経営再建の原動力となる残された社員の不安を回避することにもつながる。

 もちろん人員削減だけで乗り切れる不況ではない。新たな経営ビジョンを社員に示し、共感を得るための地道な活動も欠かせない。
 社員と常に向き合い、徹底した議論を行うことの意義について丹羽社長は当時こう述べていた。

 <構造改革には始めがあって終わりはない。
 日々、改革の連続だと思っています。
 会社は組織をいじり、形を変えたくらいで収益が出るほど簡単なものではない。
 それぞれの社員が仕事に取り組む精神、心の問題をいかに変革するか、
 また、それを時代に合ったものにどのように変えていくかが一番大事なことです。
 社員の精神革命と経営革命は不即不離の関係にありますから、
 終わりのない戦いといってもいい>
                   (『プレジデント』2002年3月18日号)

 今回の不況がいつ終息に向かうのか誰にもわからない。
 そんな時である今こそ経営者はこの言葉を噛みしめるべきではないだろうか。
                               (溝上 憲文)


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◆ 善戦したUIゼンセン、フード ◆ 

 3月18日の日刊各紙夕刊は「軒並みベアゼロへ」の見出しが踊った。3月号のこの欄で2009年春闘のことをふれたので、事後報告だけはしなければならない。18日の統一回答日の後に記者会見した連合の高木会長は、「世界不況に対応する経営側に対抗する体制が整っていなかった」との事実上の敗北宣言を行った。

 回答結果をみる。

 自動車総連はいずれも賃金制度維持分(定昇)として、トヨタ(7100円)、日産(原資確保)、本田(4000円)、三菱自工(要求ゼロ、回答ゼロ)、マツダ(賃金改善行わず)

いすゞ、ヤマハ(ゼロ)などとなった。一方、電機連合は、ほぼ全社が賃金体系維
持分を確保したが、パイオニアと沖電気工業は要求を行わなかった。

賃金改善分(ベア)は自動車総連、電機連合は共に全社ゼロ回答。

これに対し、国内需要部分を受持つUIゼンセン同盟とフード連合は、賃金改善分(ベア)を確保したのが、3月26日現在で、UIゼンセンのアシックス(847円)、丸大食品(1000円)、全プリマハム(1513円)、定昇とベア込みの要求方式をした繊維関係各労組も少額ではあるがベアを確保した。また、フード連合でも、明治乳業(300円)、キッコーマン(400円)、敷島製パン(623円)、サントリー(1000円)
などを賃金改善分(ベア)として確保し、定昇とベア込みの要求方式でも、全森永、ニチレイ、ロッテなどがベアを確保した。

しかし、一時金となると、自動車総連では、トヨタ(マイナス65万円)、日産(マイナス67万円)、本田(マイナス61万円)、マツダ(マイナス56万円)など、昨年実績を大幅に下回り、電機連合でも全社が、業績連動方式となっており、有額回答となった労組では、日立グループ連合(マイナス21万円)、三菱電機(マイナス19万円)、シャープ(マイナス38万円)という結果で、いずれも前年度を下回り、定昇分とベア分で2%前後の賃金アップがあっても、一時金の減額で軒並み年俸が下がった。もっとも、中小・零細からみれば、例えばトヨタの一時金減額分の65万円が年間一時金となる企業が多く、UIゼンセン同盟傘下の大企業の賃金は中小・零細には垂涎の的と言える。

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 ■■■ 名ばかり「政労使合意」 ■■■ 
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 一体に、春闘における労働組合の要求額とは何なのか?そして妥結額との大きな乖離は労働運動としてどう位置づけていけばよいのか?

 こんな疑問がさめない3月23日、「雇用安定・創出の実現に向けた政労使合意」なるものが出され、内閣総理大臣、日本経団連、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、そして連合のトップが握手している写真が各紙に連載された。

 内容は雇用安定・創出の実現に向けた5つの取組みとして、

(1)雇用維持の一層の推進=日本型ワークシェアリングの導入、

(2)職業訓練、職業紹介等の雇用のセーフティネットの拡充・強化=職業訓練や研修の拡大と期間の拡充強化、ハローワークの組織・体制の拡充・強化(これにより地方労働局とハローワークの再編・縮小という地方分権推進委員会の異論はあえなく抹殺された)、

(3)就職困難者の訓練期間中の生活の安定確保、長期失業者等の就職の実現=失業給付を受給できない人への住居や生活の支援(事実上の生活保護で、青天井に給付するもので、雇用保険制度の戦後処理はどう終結するのか)、

(4)雇用創出の実現=第2次補正での「ふるさと雇用再生特別交付金」
  と「緊急雇用創出事業」による新事業と事業転換への支援(4月上旬にも経済成
  長戦略が発表され、具体的な雇用増が計画として盛り込まれる)、

(5)政労使合意の周知徹底等、の5項目となっている。

 春闘で経営側、労働側として、時にはお互いに批判し合っていた当事者が、その熱も冷めない数日後に共同宣言を発する奇妙さは、全国紙の1紙が社説で「名ばかり政労使合意」として、合意内容に疑問を呈していただけでなく、日本版ワークシェアリングの導入には各紙の論調、そして労使当事者のコメントも実現に否定的だった。

 そして、政府の無制限ともいえる一般、特別両方の予算出動である。もちろん政府は時の与党を支持するのが当然であり、現与党の策定する施策を推進していかねばならない。だが、前述のごとく、保険制度というより、無償の生活保護とまでいえる雇用保険財政の 出動は、一方で改正雇用保険法により保険料率を下げ、納付水準を緩和していること、雇用調整助成金の支給も青天井で拡充していること、などを含め、遅くとも9月まで行われる総選挙の結果で自民党、民主党のどちらが与党になるにせよ、どう膨張した制度を縮小していくのだろう。        (津山 勝四郎)


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編┃集┃後┃記┃
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 4月、高校・大学を卒業した若者達が、社会人として新たなスタートをします。
2008年度のノーベル化学賞を受賞された下村脩氏は、日本の若者に対して「今の若い人は努力が足りない。日本の若い研究者には面白い研究があっても難しいからやめておこうという人が多い。安全のためにリスクをとりたがらない。」
と安全志向に警鐘を鳴らしていました。

最近、若者達の業務遂行能力不足に対する相談や友人からの愚痴を聞くことが増えてきました。
例えば、何度も説明したにもかかわらず、いつも初めて説明を受ける様子でメモを取る。メモを取ったにもかかわらず活用できない。
質問すべき業務を独断で進めてしまう。・・・etc

 先日、NHKの深夜番組
「入社直前!会社生活きほんの“き”めざせ!会社の星『これがホウレンソウの新常識』」で、すでに仕事に就いている若者がゲストになり日頃の仕事ぶりが紹介されました。
その中の一人が、「自分は仕事ができるはず」と思って、お客様からの教材内容の修正を上司に報告せず、独断で修正作業に取りかかるが収拾がつかなくなり、納期直前に上司へ報告。そのため同僚達が深夜におよぶ作業で間に合わせましたが、先輩はお冠状態。インタビューでなぜ報告・相談しないのか尋ねたところ、「仕事ができないと思われたくない」とのことです。

仕事の上達は、初めての仕事のときは「自分は仕事ができない」と自覚し、謙虚な気持ちで先輩・上司に事前に指示を仰ぎ、指示事項内容を復唱等で確認する。
また、業務遂行中に不安・疑問が生じたときは速やかに再確認することです。

ある大手企業では、新入社員の研修を「忘れるのが早い」等の理由で、2週間を2カ月間に延長したとのことです。
若者達を活用するには、教育・指導が更に重要になってきました。
                                  (白石)


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 発行者  雇用システム研究所 代表 白石多賀子
     東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル   
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