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従業員の働きがいと意識改革(4)〜旭化成〜

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┃\/┃    ☆雇用システム研究所メールマガジン☆
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                               2009/08/01
           http://www.koyousystem.jp
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  厳しい暑さが続きます。
  皆様、いかがお過ごしでしょうか。

  雇用システム研究所メールマガジン第88号をお送りします。  

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  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

  ◆従業員の働きがいと意識改革(4)〜旭化成〜

  ■過去の不況下で築かれた労使の「雇用確保」への思い
  ■分社・持株会社制の移行による「遠心力」と「求心力」の発揮
  ■人事交流と人材育成によるグループの活性化
  ■「先輩の言うことに反対せよ」〜挑戦する心と自由闊達な風土の醸成

                    (以上執筆者 溝上 憲文)


  ◆<特別寄稿>

     真夏の「政権選択選挙」---二大政党の力量と有権者の責任---

  ■次なる政権の必要条件
  ■郵政解散以後の自民政治の虚無感
  ■「掴み続ける」こと優先の制度批判?
  ■最終的には「人」だ
                    (以上執筆者 福島敏之)

  ■[編集後記]            (編集長 白石多賀子)

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◆従業員の働きがいと意識改革(4)〜旭化成〜

 大不況下で日本的経営を支えてきた「従業員主権」が揺らいでいる。

従業員主権はいうまでもなく株主主権に対置されるもので、働く人々を企業の競争力の源泉と見なし、その具体的担保として雇用の確保・継続を保障する考え方だ。その真価が問われるのは現在の過剰雇用期でもあるのだが、逆に絶えきれずに一気に外部労働市場に吐き出す企業が増えている。

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 ■■■ 過去の不況下で築かれた労使の「雇用確保」への思い ■■■ 
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 その中にあって過去の不況下でも事業再生を模索しながらも雇用を最大限守り抜いてきた企業もある。総合化学メーカーの旭化成は過去3度の不況を乗り切ってきた。最初は生産量を半分にまで落とした1957年の「化繊5割操短」だ。この時は3700人の社員を順番で一時帰休させる措置をとった。

 もちろん会社を休むと給与が減ることになるが、労働組合も組合員を一人ひとり励ましながら一時帰休に踏み切り、同業他社が希望退職を募集するなかで同社だけは全員を復帰させた。これ以来、雇用を守ることが労使の共通の思いとして定着してきた。今日のワークシェアリングの先駆けともいってよい。

 雇用確保で築かれた労使の信頼関係は、六一年のカシミロン不況や73年のオイルショックの時でも貫かれた。アクリル繊維カシミロンの不振で資金不足に陥った経営を救うために組合員が賞与の2割を社内預金することで資金を拠出し、危機を突破している。オイルショック時の一時休業の際には労使で「福祉共済会」を発足、医療保険や子供の育英資金の貸し付けなど社員の生活を守る仕組みをいち早く設置した。

 会社の窮地は雇用の危機でもある。労使が痛みを分かち合い、一丸となって何度も苦境を乗り越えてきた企業にとって、会社は株主のものではなく、経営陣も含めた働く人々のもの(従業員主権)と考えるのはごく自然の発想だろう。


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 ■■■分社・持株会社制の移行による「遠心力」と「求心力」の発揮■■■ 
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 旭化成は06年に従来の考え方をベースに「人財理念」を再構築した。そこには会社が全社員およびリーダーに求める行動が列挙されているが、冒頭に「会社が約束すること」としてこう明記している。

<旭化成グループの人財が、働きがいを感じ、いきいきと活躍できる場を提供し、グループの成長と発展を目指す>

 「人財が最大の資産」と位置づける同社の姿勢を宣言したものだが、内容については「ここまで言うべきか議論にはなったが、従業員に求める以上、会社も覚悟して宣言しよう」(同社人事担当者)と踏み切ったものだ。

 しかし、雇用確保を基軸に「働きがいを感じ、いきいきと活躍できる場を提供」しつつ、成長を持続していくことは今日の激しいグローバル競争下では容易なことではない。そこで同社が成長を促すインフラとして実施した最大の組織改革が03年の「分社・持株会社制」への移行による中核事業部門を分社化した「自主自立経営」と「スピード経営」の徹底だった。

 同社の事業領域は過去の繊維不況などの産業・経済環境の変化に対応すべく事業の多角化を推進した結果、繊維からケミカル、電子部品、医薬・医療、住宅・建材に至るまで大幅に拡大していた。変化に先んじて新事業を開拓し、企業の存続・発展を図ろうとする同社の進取の気性を示すものだが、反面「自分の所属する事業部門が赤字でも、他の事業の利益で賞与も出るし、あまり痛みも感じないまま事業を続けるというもたれ合いの体質も生まれる」(人事担当者)土壌も存在した。

 こうしたもたれあいの構造をなくすには、事業会社独自でキャッシュフローを重視し、どこに投資するかも含めて権限と責任を与えることで迅速な意思決定によるスピード経営を目指した。たとえば自主自立経営を徹底するために、持株会社の役員が事業会社の社長を兼務せず、事業に集中できるようにした。また、各事業会社の社員もその会社の人間になりきって働いてもらうために持株会社の出向ではなく全員を転籍させた。

 しかし、自主自立はいいが、分社化することで人事ローテーションが困難になるなど会社間にカベが生まれやすい。そのリスクを回避し、事業の成長と発展を図るには、事業経営の独立性を高める「遠心力」とグループとしての一体感を保持する「求心力」とのバランスが重要になる。


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 ■■■ 人事交流と人材育成によるグループの活性化 ■■■ 
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 求心力を担保するには“人事”も重要だ。事業会社の事業部長以上の人事権を持株会社の社長が持ち、部長以下の人事権は事業会社が持つ。事業部長以上の人事については事業会社の社長が起案し、毎年12月から翌年2月にかけて持株会社の社長と話し合いながら決める「人事インタビュー」を実施している。

 同社は人事に関する基本方針として「人財育成、適材適所、雇用の確保に必要な場合は、従業員は事業会社・持株会社の枠を超えて異動する」と謳っている。
会社間をまたがる人事異動は各部門で頻繁に実施されている。また、事業の統廃合などが発生した場合は「別の事業会社に異動することで雇用確保する。すでに小さな事業を廃止し、移動させたケースもある」(人事担当者)という。

 人材育成においても、事業会社経営に必要な人材の育成は事業会社に任せる一方、経営人材や専門職能人材の育成は持株会社が行うなど役割を明確に分けている。もちろんハードな仕組みだけで機能するものではない。そこに魂を吹き込むには社員の意識改革を促すソフトの戦略の不可欠だ。


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 ■■■ 「先輩の言うことに反対せよ」
            〜挑戦する心と自由闊達な風土の醸成 ■■■ 
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 前述の「旭化成グループ人財理念」では全社員に求める行動として
「挑戦し、変化し続ける」
「誠実に責任感を持って行動する」
「多様性を尊重する」――の3つを掲げる。
また、リーダーに対しては
「活力ある組織をつくり、成果を上げる」
「既成の枠組みを超えて発想し、行動する」
「メンバーの成長に責任を持つ」――の3つを求める。

 これらは新たに作りだしたものばかりではなく、同社に受け継がれてきたDNAも含まれている。たとえば不況に遭遇するたびに数々の新分野に挑み続けて成功させた「挑戦する心」や上下にとらわれない自由闊達なコミュニケーションも同社の強みである。その一つが40年以上前から続けている「さんづけ」だ。
「会長にも、〜会長と言ったら、言い直させる。役職名で呼ぶことはないので、たとえばひねた感じの部下と上司がよその会社を訪問すると、相手からはどっちが上司かわからないとよく言われる」(人事担当者)

 その他にも社内での中元歳暮の廃止、役員の子弟の不採用など上下関係にとらわれない風土が伝統となっている。ユニークなのは「先輩の言うことに反対せよ」だ。

「入社した時に課長から『先輩の言うことにまず反対しろ、理由は後から考えればいい』と言われた。実際に会議の場で反対ですと言ったら、『なぜだ』と聞かれて困ったことがある。要するに先輩が言っていることが本当に正しいかどうかはわからない。普段から自分なりに本当に正しいかどうかを考え、持論があるならちゃんと展開しなさいと言うことだ」(人事担当者)

 上下に関係ない自由闊達な雰囲気だけではなく、人を育てる姿勢を示す象徴的な事例だ。ここにも人材を最大の資産と考える同社の原理が貫かれている。

 分社・持株会社制は同じ社員を別会社に転籍させる荒療治である。しかし、そのリスクを防止する独自の経営スタイルの構築と同時に、再構築した同社のDNA(人財理念)の徹底した浸透を図ることでグループの一体性を強化してきた。しかし、他の企業が同社と同じ経営スタイルを模倣してうまくいくとは限らない。長年にわたって築き上げてきた“従業員主権”の土壌の有無が大改革の成否を握っているように思える。               (溝上 憲文)


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◆<特別寄稿> 真夏の「政権選択選挙」---二大政党の力量と有権者の責任---

7月21日、衆議院が解散した。日本列島はいま、政権を賭けた真夏の与野党対決に染まっている。大げさにいえば、今般の総選挙は今世紀のわが国の針路を決する「世紀の対決」だ。本稿では、今日における政権の必要条件は何なのか、

二大政党はその条件をクリアできているのか――を論じてみたい。

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 ■■■ 次なる政権の必要条件 ■■■ 
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 政権交代を容易にするとの名目で導入された現行の小選挙区比例代表並立制になって、今回が初めて、与野党逆転→政権交代が実現するかもしれない総選挙である。政権奪取に向けて鼻息荒い民主党は、「国民の生活が第一」と謳い、政治の刷新を通じた閉塞状況の打破を誓う。一方、なんとしても政権を死守したい自民党は、「今回の選挙は安心実現選挙だ」(麻生首相)とのアピールのもと、民主党の政権担当能力の無さ≠浮かび上がらせようと目論む。

 二大政党が、ともに国民の不安を慮って
《大丈夫。心配ないよ。我々にまかせてくれ》と訴えるわけだが、
はたして、どちらの言が信ずるに足るのか。

 状況は切迫している。

 新興国の急追を受け、世界市場におけるわが国の優位性は切り崩される一方だ。これに対抗して企業の競争力を高めるために実施した規制緩和諸策は、厚みのあった中間層を正規労働者←→非正規労働者に二極化させ、将来展望を持てない若年層を生み出すという副作用を生ぜしめた。職場や地域コミュニティの紐帯は緩み、孤立した「個」が量産される。人口高齢化は世界最速のスピードで進展し、これと並行して世帯規模の縮小も進行している。人と人のつながりによるセーフティネットが弱体化し、社会保障へのニーズは増すばかりである。

 しかし、右肩上がりの安定した経済成長は到底望めず、国及び地方の膨大な債務にかかる金利上昇リスクを抱えるという、重大な制約がある。必要な給付・支援であるとわかっていても、財源がなければ「ない袖は触れない」となる。かといって、安定財源を得るには、無駄遣いに回される構造を一掃したうえで、不人気な増税を国民に説得するという、二重に「狭き門」を通らねばならない。

 その覚悟とパワーがあること。国民合意を得るために辛抱強く耳を傾け、建設的に妥協する誠意を持っていること――が、今日の政権の必要条件ではないだろうか。



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 ■■■ 郵政解散以後の自民政治の虚無感 ■■■ 
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 前回の郵政解散―総選挙で小泉首相(当時)は、争点を郵政民営化のみに単純化した。そのワンイッシューへの賛否を以って、立候補者を改革派vs守旧派で色分けのうえ、造反組に刺客≠送るなどして緊迫感を高めた。ワイドショーは政治家たちをキャラ化≠オ、政治家たちもそれに乗った。観客と化した国民はやんやと喝采を送った。いわゆる「小泉劇場」と称される政治手法だが、これにより小泉自民党は、空前の多数議席を手中に収めた。

 しかしその後、何が起こったか。数の力は政策形成過程を粗雑なものとし、絶大なカリスマの存在は議会やメディアにおける批判精神をねじ伏せた。
その中で、「増税してもいいから必要な施策をやってくれというまで、削る」(小泉首相=当時)という思想が、社会保障を締め上げた。

 社会保障抑制の第一線となったのは、首相在任中の小泉氏に構造改革のエンジン≠ニ称揚された経済財政諮問会議だ。医療や介護の現場で内部崩壊が進んでいるのを尻目に、「医療も介護も、GDPなどマクロ指標をもとに総額を管理すべきだ」とブチ上げ、厚生労働省のスジの通った反論(「制度が持続可能であっても、国民に安心・安定を保障する内容を伴わないなら、存続の意味がない」「過度にサービス等を削減することとなるような見直しは、現実的には為し得ない」等)を、首相の威光でねじ伏せて、最終的に療養病床の六割削減という大規模リストラ案を同省から引き出した。
当時、厚生労働省に出向して計画策定を担当していた元財務官僚の村上正泰氏(評論家/当時=厚生労働省保険局総務課課長補佐)は、当該目標設定の実務がいかに泥縄の辻褄合わせであったかを、その著書『高齢者医療難民〜介護療養病床をなぜ潰すのか〜』(PHP新書)において記している。

 結果として厚生労働省は、苦境に直面するであろう患者・家族の行く末に目をつぶって、「社会的入院排除」のスイッチを押した。だが、この削減計画、もとは38万床を15万床まで削るはずだったのが、昨年8月、22万床までの削減でよい、と緩和≠オた。当初目標の大味≠ヤりを裏付けるものといえる。

 ともあれ、そのようにしてまで社会保障費を抑制して、小泉・安部・福田政権のもとで節約に節約を重ねながら、麻生政権になって「百年に一度の不況」が勃発するや、これに抗する景気対策として巨額の財政出動が行われた。国民全員に〈もっと消費しなさい〉と現金を配る「定額給付金」、マイカー族に休日ドライブの娯楽をプレゼントする「高速道路休日1000円乗り放題」…。
これらに「アニメの殿堂」が計上された平成21年度補正予算を加えれば、今年度末時点での国・地方を合わせた長期債務残高800兆円を超えるとされる。

 「いったい何だったのだ?」――その虚無感が、いま、反自民≠ニいう風となっているのではないか。

 郵政解散―総選挙での圧勝が仇となって、武勲を立てた最高功労者≠フ敷いた路線から外れることのできなかった悲劇、とでもいえばよいか。綻びが見えてからも、党としての総括ができないから、どこに軸足を置き、何を目指しているのか、外からみて正体不明の体(てい)となってしまった。しまいには、人気知事をかついで再度「劇場」を開けば復活できると踏んで泥沼にはまりこんだ。解散秒読み段階での党内抗争は、やはり正体不明との印象を刻印づけるものだった。


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 ■■■ 「掴み続ける」こと優先の制度批判? ■■■ 
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 民主党はどうか。

 たとえば後期高齢者医療制度。同制度は昨年4月に施行される前から評判が悪かったが、民主党はここに勝機を見出して、「年金は記録が漏れたり消えたりしているのに、とる方はぬかりなくとる」「血も涙もない制度だ」「お年寄りをいじめるな」「十分な議論なく強行採決によって作られた制度。即刻廃止だ」と批判のキャンペーンを野党共闘で繰り広げた。

 ちょうどいいことに(?)後期高齢者医療制度は批判の材料に事欠かなかった。たとえば、被保険者宅に保険証が届かなかったり、DMと間違えて保険証の入った封筒を捨ててしまうという「保険証未着問題」。あるいは、発足当日に福田首相(当時)の「名前が悪い」との難色で急遽対応した「制度名称変更」。
そして、年金天引きが始まった4月15日以降に各地で起きた「保険料誤徴収」。

――次々と敵失≠ェ現出し、新聞もテレビも雑誌もこぞって制度の不備と高齢者の「怒り」を伝えた。その追い風を受けて、民主党は党勢拡大に成功。4月末の山口2区補選において、与野党の党幹部が応援に入るガチンコ勝負で自民党を撃破した。6月には、野党多数の参議院で、後期高齢者医療制度廃止法案を可決さ
せている。

 だが、廃止法案の中身は「元の老人保健制度に戻す」ということだけで、伸びゆく老人医療費をどのように負担し合うかの具体論はない。《財源規律を確保しながら必要な医療水準を維持し続けるには、どのような方策がとられるべきか》
――という本質的論議に踏み込んでもいない。高齢者の感情と冷静な議論をここで出会わせていれば、問題解決への一助となったであろうが、そうはせず、いたずらに「姥捨て」「老人いじめ」「差別」というアンチなイメージを普及させてしまった。行政への不信感を煽り、今後の合意形成・理性的な妥協を困難にさせたことの罪は重い。

 手を伸ばせば政権に届くほど伯仲した政治地図でもなかったことを考慮すれば、野党としては現実的な議論を差し挟むより、大衆に同調したアピールを連発してとにかく掴み続ける≠ニいう戦術も、百歩譲って「あり」なのかもしれない。

 だが、その延長線上で、今回の総選挙において民主党が、政策の実現可能性を担保する根拠を示さず、事後に評価不能な類の公約ばかりをマニフェストとして縷々掲げるのなら、それは政権交代というワンイッシューで白紙委任状を国民に求めるのと同義だ。浮薄な期待感で圧倒的多数の白紙委任を得、政権がスタートするならば、それは「いつか来た道」と重なることにならないか?
(同党のマニフェストが原稿執筆の現時点でまだ公開されていないため、留保つきの懸念であるが)

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 ■■■ 最終的には「人」だ ■■■ 
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 寄り合い所帯の二大政党の求心力は、政治理念ではなく、政権そのものにある。「小泉後」の自民党の迷走や、民主党の大衆迎合シフトは、その証左であろう。ゆえに、マニフェストを徹底比較して投じた一票も、選挙後の政界再編でご破算になる可能性のあることも、有権者は肝に銘じなければならない
 では、この極めて大事な選挙にあたって、何をよすがに一票を投じればよいのか?

 …答えになっていないかもしれないが、最終的には「人」ではないだろうか。

 選挙区に立つ候補者たちのパンフレットを読み、ホームページやブログをチェックし、さらに集会に足を運び、会話も交わしてみる。
そうして、
▽聞く耳を持っているか(対話を重ね、見識をもって決断する器量があるか)
▽火中の栗を自ら拾う覚悟があるか(政治生命を賭してでも難問を解決せんとす
る情熱と責任感があるか)――を見定め、
信に足る人物に対して一票を投ずる。
それしかないのではないか。有権者自ら時間やエネルギーをつぎ込み、
「生みの苦しみ」の如くに真剣に人物選定に取り組んでこそ、一票に重みを持た
せられるというものだ。

 これ以上「観客民主主義」などと馬鹿にされるのはシャクである。党利党略に
もメディアにも乗せられない投票で、Changeを根付かせたいものである。
                            (福島 敏之)
              

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編┃集┃後┃記┃
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 先月28日夕刊各紙に、「最低賃金アップ 12都道府県のみ」、
「最低賃金上げ、35県見送り」等の見出しが掲載されました。

 中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会で、今年秋から適用される最低賃金(時給)の改定額の目安が決定されました。

昨年秋以降の急速な景気後退の影響で労使代表者の意見は対立し、中立的立場の委員の見解として引き上げを示したのは、生活保護水準を下回る12都道府県に限り2〜30円引き上げです。

最低賃金法が昨年7月に改正され、生活保護の給付水準を下回る最低賃金の逆転現象を解消することが求められています。
東京は今回、もっとも引き上げ額が大きく20〜30円ですが、現在、生活保護水準との差が60円です。来年も同じ状況が予想されます。

特に小規模事業所では、5月より6月、6月より7月と売上高が落ち込んでいる現状ですが、都道府県ごとの最低賃金審議会でこの景気悪化をどのように論議するのでしょうか。



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 発行者  雇用システム研究所 代表 白石多賀子
     東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル   
     アドレス:info@koyousystem.jp

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