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従業員の働きがいと意識改革(6)〜ロフト・広島電鉄・レンゴー〜

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┃\/┃    ☆雇用システム研究所メールマガジン☆
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                               2009/10/01
           http://www.koyousystem.jp
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  秋色日毎に深まり 稔りの秋となりました。
  皆様、いかがお過ごしでしょうか。

  雇用システム研究所メールマガジン第90号をお送りします。  

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  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

  ◆従業員の働きがいと意識改革(6)〜ロフト・広島電鉄・レンゴー〜

  ■離職率が減少し、就労意欲が向上
  ■契約社員の正社員化と定年延長同時に断行
  ■派遣社員の正社員化で製品ロス率が低減
                   (以上執筆者 溝上 憲文)


  ■今一度、民主党のマニフェストを見る
  ■課題多い派遣法改正と最賃アップ
              (以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)

  ■[編集後記]               (編集長 白石多賀子)

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◆従業員の働きがいと意識改革(6)〜ロフト・広島電鉄・レンゴー〜

 製造業を中心とする派遣、期間従業員(有期雇用)などの非正規社員の中途解約や雇止めが社会的に大きな問題となる中、今年に入り非正規社員の正社員化に取り組んでいる企業もある。

 本来、派遣や契約社員の魅力はコスト圧縮と生産量の多寡に応じて要員を調節できるという雇用の調整弁としてのメリットである。急激な需要の落ち込みで生産量が低下すれば、契約を打ち切るのは当然と考える経営者や人事担当者も多いだろう。

 しかし、その一方で非正規社員を一時的な要員として利用するのではなく、恒常的に使うことによる経営上のデメリットも指摘されている。それは大きく

(1)定着率の悪化による人材確保の困難、
(2)技術・技能習得に対するモチベーションの低下、
(3)正規と非正規の混在によるコミュニケーション不足による生産性の低下----の
  3つである。

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 ■■■ 離職率が減少し、就労意欲が向上 ■■■ 
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 こうしたデメリットを克服し、人材の定着と確保を狙ったのが流通業のロフトである。同社は08年4月に、パートなどの有期契約の社員を期間の定めのない無期契約とし、既存の正社員を含めた社員全員を「ロフト社員」とする新たな制度を導入した。

 パートタイム社員の離職率が高く、その理由も「正社員の転職先が見つかったというのが一番多く、次いで時給が高い就職先が見つかった」(同社人事部)というものだった。募集・採用費用も年間数千万円も要したという。

 正社員化と同時に、労働時間も週20〜40時間の範囲で自ら選択できる「短時間正社員」の仕組みも導入した。制度導入により人件費は約4億円増加したが、募集費用などの抑制により実質約2億円の増加となった。しかし、導入前は年間の入社数と退職者数がほぼ同数であったが、導入後の1年間は退職者数が大きく減ったという。

 また、毎年実施している就労ニーズアンケートでは「5年以上働きたい」という人は導入前の07年度は約28%だったが、08年度約38%、09年度約40%と増えている。さらに「チャレンジしてステップアップしたい」というキャリア志向者も07年度の約25%から09年度は約45%と高くなるなど仕事に対する意欲も向上している。



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 ■■■ 契約社員の正社員化と定年延長同時に断行 ■■■ 
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 一方、契約社員の正社員化を図るだけではなく、有期契約の定年後再雇用制度を廃止し、65歳定年を可能にする新賃金制度を導入したのが私鉄の広島電鉄である。同社は01年にコスト削減を目的に、新規採用者を契約社員とする制度を導入した。

 同社の従業員数は現在約1400人。うち契約社員が約300人、定年後の再雇用社員約300人の計600人の非正規社員が占めていた。契約社員制度を導入後、同じ職場・職種でありながら若年層を契約社員と年輩の正社員、さらには定年後の契約社員という二重構造の中で、職場の一体感も希薄化しつつあった。

 労組の呼びかけで契約社員の正社員化と同時に、65歳定年延長を含む新賃金制度の協議を重ね、今年10月から従来なかった定昇制度を含む職種別賃金制度を導入することになった。会社としても若い社員に報いるとともに、安定的な事業継続に向けて、社員の一体感を醸成したいとの狙いもあった。

 新賃金制度は、車掌、運転士など6職種ごとに本給テーブルを設定。すでに本給テーブルを超える高齢社員については調整給による減額措置をとった。それでも制度導入に伴う人件費は実質3億9000万円の増額となった。



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 ■■■ 派遣社員の正社員化で製品ロス率が低減 ■■■ 
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 正規と非正規の混在による目に見えないカベを排除し、生産性の向上を目的に派遣社員の正社員化を実施したのが段ボールメーカー最大手のレンゴーである。同社は09年4月、同社で働く派遣社員のほぼ全員の1000人を正社員に登用した。

 正社員化に踏み切った直接の契機は2009年年問題である。しかし、それ以上に「作業着も違えば会社のロゴマークも違う。ボーナスなど処遇面の異なる人たちが工場内で一緒に働くことで、これ以上やっても自分は正社員じゃないからという意識もあり、コミュニケーションに欠け、生産性にも影響していたのではないかという懸念があった」(同社関係者)ことも正社員化の引き金になった。正社員化に伴う人件費は年間4〜5億円増加したという。

 しかし、早くも予想以上の効果を生んでいる。正社員化を発表した今年2月以降の3月〜6月のロス率が明らかに改善したという。当然、収益にも大きく影響し、同社の4〜6月の決算(連結)の営業利益は前年同期比81%増の80億円、純利益は2倍の42億円を達成。正社員化による人件費増加分を十分に超える利益を出した。

 非正規社員の扱いは、個々の企業の置かれた事業特性や経営環境によっても異なる。また、非正規社員の正社員化はいうまでもなく人件費増を伴うというリスクを抱える。
ただし、業種は異なるものの正社員化を実現した企業に共通するのは、短期的な視点ではなく、中・長期的視点に立った企業の継続的かつ安定的な成長を図りたいとの経営者の強い思いがある。

 労働人口は確実に減少していく。不況下ではあるが、優秀な人材を確保し、技能向上を促すことで盤石な人的資本を形成することは、ポスト不況を見据えた企業の人材戦略として重要な意味を持っている。
                               (溝上 憲文)


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 ■■■ 今一度、民主党のマニフェストを見る ■■■ 
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 8月1日付けのこのメルマガで、社会保障ジャーナリストの福島敏之氏が、主に厚生行政を分析することで、自由民主党と民主党のどちらを選択するかの論点を展開している。

 結果はご承知の通り。国民も中央官庁も政党も政権交代に馴れていないどころか、史上初の全面交代となり、政策の大幅変更が政権政党となった民主党のマニフェストに基づいて行われ、官庁の現場では「これまで右を向いて走れと言われたのが、突然左を向いてしかも早く走れと言われている」(厚生労働省)路線転向となっている。

 今号では改めて労働政策の主要事項から、民主党のマニフェストを展望してみる。厚生行政ほどの大きな政策変更がないにしても、労働行政においても課題を残す。

 平成21年度予算の第1次補正で創設された「緊急人材育成・就職支援基金」には7000億円の基金が積まれ、今後3年間で、新たに雇用保険を受給できない人に職業訓練と生活保障のための給付が実施されることになり、事務局となった中央職業能力開発協会では既に認定事業者を定め事業を開始している。

 民主党のマニフェストは、雇用保険と生活保護の間に「第2のセーフティネット」を創設し、月額10万円の手当つき職業訓練を行うとともに、失業給付の切れた人や、雇用保険の対象外である非正規労働者、自営業を廃業した人を対象に、職業能力訓練を受けた日数に応じた能力開発手当を支給することにし、事業所要額を5000億円程度としている。基金事業を廃止するとは言っていないが、緊急に必要(子ども手当の実施や生活保護での母子加算の復活など)となる約7兆円を手当するため、似たような業務内容ではあるが、3年度事業分のうち2年度事業分は凍結される可能性が強い。

 雇用保険の見直しについては、実は労働行政にとってここが一番課題となるところだが、全ての労働者、つまり、非正規・正規、労働時間、勤務月数に関係なく被保険者にするとともに、国庫負担を法律本則の4分の1に戻す。民主党の試算では所要額を3000億円程度としているが、前回の法改正により保険料率が下がり、加えて雇用調整助成金の支給額が大幅に伸びていることから、雇用保険財政は悪化したなかで、とても民主党の試算で収まるとは思えない。何よりも全ての労働者に適用となると、保険制度そのものの議論を行わなければならなくなる。つまり、生活保護制度とどこが違うのかということ。



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 ■■■ 課題多い派遣法改正と最賃アップ ■■■ 
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 労働者派遣法について、マニフェストは製造現場への原則禁止(新たな専門職制度を設ける)、専門業務以外の派遣労働者は常用雇用とし、2ヵ月以下の雇用契約は労働者派遣を禁止するとともに、日雇い派遣・スポット派遣も原則禁止、などを見直し内容としている。実際、先の第171回国会に、今回の組閣で厚生労働省の副大臣に就任した民主党の細川律夫議員ほか5人の連名で改正派遣法を衆議院に提出したが、国会解散で廃案となった。改正内容はそのままマニフェストの内容と同じであるが、
すぐそこに解散が予定されている衆議院に提出したということは、選挙対策とみなされても仕方ない。

 新内閣の平野官房長官は産別労組・電機連合(パナソニック)出身、10月9日付けで連合会長に昇格する古賀事務局長も電機連合(パナソニック)出身、経済産業省の直嶋大臣は自動車総連(トヨタ)出身で、この2業種は共に製造業派遣労働者や有期契約労働者抜きでは産業の存在そのものが成り立たない。安易に常用への転換を言うが、常用として雇い切れないから派遣労働者や非正規労働者を採用しているのが実態で、派遣法改正に消極的な電機連合をあげるまでもなく、労働政策審議会での審議の行方に暗雲がただよう。

 最後に最低賃金の引き上げである。マニフェストは全ての労働者に適用される「全国最低賃金」を800円と設定し、景気状況に配慮しつつ、最低賃金の全国平均1000円を目指し、中小企業における円滑な実施を図るための財政上・金融上の措置をとるとしている。

 厚生労働省が9月1日に集計した平成21年度の地域別最低賃金の答申状況をみると、全国加重平均額は前年度より10円引き上げられたものの、713円となっている。現状ではマニフェストとの差額は87円あり、1000円目標は程遠い。

 全国の最低賃金を所掌する厚生労働省労働基準は既に動き出している。というのも、来年の参院選までに、何らかの数値目標を設定し、法律改正を少なくとも来春の次期通常国会でおこなわなけれな間に合わないからである。

 民主党は政権交代による政策変更を、最低賃金の引き上げなど、国民に分かりやすい制度改正をまず行うことで、来年の参院選に備える。改正に対しては、「できないと言うな。要請に応えるには何を行うべきかを考えていかなければならない」(労働基準局幹部)として、最低賃金を引き上げた場合の、特に中小企業への影響、下請取引法との関連、規模別・業種別・地域別の最低賃金の構造多重化が可能かどうか、賃金助成・融資制度の緩和など、行政としての検討を行った上で中央・地方の最低賃金審議会に諮ることになるが、平常でさえ意見の一致が見られないなかで、大幅な制度・賃金額の改正において、労使と学識の意見一致はありえない。

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 労働行政一つ取りあげても以上のような混乱である。厚生労働省はこれに加えて、さらに大きな社会保障制度全般における大改革が控えている。制度改正の問題だけでなく、例えば10月1日付けに予定されていた3人の労働官僚OBの再就職をいったん凍結したが、既に内定し、混乱するとして認可した。

 問題山積するが、国民が民主党政権を選択したのだから、政府は政権を支えなければならない。官僚というのは、極論すればどんな政権が誕生しても支えるのが使命だ。
それができなければ官僚から身を引くしかない。
                              (津山 勝四郎)


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編┃集┃後┃記┃
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 巨人が優勝し、36年ぶりのセリーグ3連覇を成し遂げました。

優勝の要因は、小笠原選手らのベテラン移籍組や外国選手、亀井、坂本選手らの生え抜きの若手選手がかみ合った結果です。

亀井選手は、3月のWBC日本代表に選ばれ、同じライトの守備位置に大リーグ・マリナーズのイチローがおり、「あこがれだった。練習での動き一つから、姿を見ているだけで勉強になった」と語っています。

そのイチローは、9年連続200安打でウィリー・キーラーの記録を108年ぶりに更新しました。

 インタビューの「記録を狙う上で大事なことは」では、「野球が大好きだ、ということがそれに当てはまると思う。僕には相反する考え方が共存している。打撃に関して、これという最後の形はない。これでよしという形は絶対無い。でも今の自分の形が最高だ、という形を常につくっている。この矛盾した考え方が共存していることが、僕の大きな助けになっていると感じている。」と語っています。

私たちの日常の仕事においても、自分を客観的にみて、気力、体力、知力等を冷静に分析し、小さいことを積み重ねることが、一つの形、一つの成果へと結びつくことで
しょう。                              (白石)


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 発行者  雇用システム研究所 代表 白石多賀子
     東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル   
     アドレス:info@koyousystem.jp

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   お楽しみいただければ幸いです。今後もさらに内容充実していきたいと思います。
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