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従業員の働きがいと意識改革(11)〜ヤナセ〜

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┃\/┃    ☆雇用システム研究所メールマガジン☆
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                               2010/05/01
           http://www.koyousystem.jp
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  ようやく暖かくなり、五月晴れの連休になりました。
  皆様、いかがお過ごしでしょうか。

  雇用システム研究所メールマガジン第97号をお送りします。  

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  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

  ◆従業員の働きがいと意識改革(11)〜ヤナセ〜

  ■先輩による徹底した新人の育成
  ■“やる気よりも、やれる気にさせる”マネジメント
  ■商品を売るのではなく“自分という個性を売る”
                       (以上執筆者 溝上 憲文)

  ■誰のための事業仕分け 
  ■残したい産業保健事業
            (以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)


  ■[編集後記]               (編集長 白石多賀子)

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◆従業員の働きがいと意識改革(11)〜ヤナセ〜


 4月入社の新人が研修を終え、いよいよ配属先のOJTを受ける時期である。
入社直後は報酬よりもむしろ、やりがいのあるおもしろい仕事がしたいという思いを持つ人が大半であろう。仕事の基礎を学び、失敗や経験を重ねることで、自分にとっての価値や意味のある仕事を見出す。それは働きがいを感じることでもある。
 ところが、最近関係した調査では、働きがいを感じている20代は25%に満たな
いという結果が出た。なぜかくも若者は働きがいを失ってしまったのか。もちろん、雇用調整が常態化し、事業規模縮小によるポストの減少と賃金の低下というマクロ的状況はある。しかし、それだけではないだろう。雑誌でインタビューした一橋大学の守島基博教授は、今の日本企業はモチベーションを重視した仕事とキャリアの与え方に乏しいと指摘。仕事を注意深く選んで与えること、達成過程でのアドバイスなどの支援、しっかりとしたフィードバックすることの3つが重要と語っていたが、同感である。

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 ■■■ 先輩による徹底した新人の育成 ■■■ 
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 創業以来「飛び込み型訪問営業」を堅持し、数千万円の高級車を売り続けるヤナセは、モチベーションをかきたて、達成感を後押しする企業の一つである。

 新人をプロのディーラーに鍛え上げるために、入社2〜3ヶ月は配属先の先輩社員が指導役となり、挨拶の仕方、名刺の出し方など基本的マナーを教え込むと同時に商品知識を学ぶ。その後、先輩と帯同して実際にお客を訪問する。先輩がお客とどう接しているのか、先輩の姿を見てコツを覚えさせる。次は、逆の立場になって新人が先にお客を訪問し、先輩がフォロー役となって付き添うという教育を2〜3ヶ月行う。

 入社半年後の10月になると、営業見習いから正式に営業職となる。半期の目標値を設定し、基本的に一人で動くことになる。もちろん会社も一人前と見なしているわけではなく「時にはライオンが我が子を千尋の谷に突き落とすぐらいのことをしなければ甘えも出る。先輩がフォローしながら実践を重ねることで自分なりのノウハウを作り上げていく」(人事担当者)ことに目的がある。

 それでも大学卒業後の半年足らずで見知らぬ家を突然訪問し、高級車を売るのは至難の技。事実、最初は車を売るどころの状態ではないという。まず、インターホンを押すのに躊躇し、飛び込みさえできない。押してしまったら出なければいけないが、どう声をかけていいのか迷い、車の話までできずに挨拶で終わったという失敗談は数多くある。とくにマンションの場合は、車の話をするどころか中に入れないのでカタログ一つも渡せない。


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 ■■■ “やる気よりも、やれる気にさせる”マネジメント ■■■ 
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 同社は「お月さん(3)作戦」、つまり一人が月に3台売ることを営業目標に掲げているが、結果的に「お月さん」どころか月に1台も売れないという新人も多い。売れなければ本人も辛いし、精神的に追いつめられて退職を考える新人もいるだろう。だが、実際に入社1年以内の離職者はほとんどいないという。その
理由の一つが職場の手厚いフォローである。

 同社では3年で1人前という考えがあり、それまでは辞めないように動機づけを行うことが現場のマネージャーの責任となっている。たとえ車の話ができずに挨拶だけに終わったとしても「それは失敗ではなく、次につながるチャンスになると言い続ける。あるいは契約できそうなお客様を新人に紹介し、契約成立することの喜び、お客様からも感謝される喜びを与えてやる人もいる」(人事担当者)という。叱咤激励するだけではなく、時には褒めてやるなど様々なやり方でフォローしている。

 マネージャーにとって重要なのは「やる気よりも、やれる気にさせる」ことだと指摘する。

「やる気を出させるために叱咤激励をするのでは、一生懸命にやっている人にとっては逆に抵抗がある。懸命にやっても実績に結びつかないなら、どうして結びつかないかを自分で考えてやれるようにしてやる。
つまり自発的に“やれる気”にさせるかが大事である」(人事担当者) 

 1人前の営業マンといっても誰にも共通の「売れる営業のスタイル」があるわけではない。一応、売り方など基本的スキルを記したマニュアルはあるが、その通りにやれば売れるというものではなく、また、先輩のやり方を真似しても売れない。大事なのは「人とは違う自分という個性を生かし、自分を売る技量を見つけ出すこと」なのだという。最初の1〜2年は周りのサポートを受けながら自分なりの売り方のノウハウを築いていくプロセスでもある。


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 ■■■ 商品を売るのではなく“自分という個性を売る” ■■■ 
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 同社は創業以来「車を売るのではなく、車とともにある生き方を提案すること」を謳う。つまり、逆説的に言えば、扱っているブランドがいかにすばらしいものであるか、その魅力を力説しても売れない。その車がそばにあることでお客がステータスを感じる、満足を感じるような形に持っていくことが重要と指摘する。

「お客様のライフスタイルの中に、この車をどう置けばお客様が映えるのか。車を売るのではなく、ある意味でその人の生活の中の飾りとして何がふさわしいかという形で車を提案することが大事である」(人事担当者)
 昔と違い外国車は珍しくないし、性能や価格差もそれほど変わらないなかで車の魅力を訴求しても売れない。プロのディーラーはどんな車であろうと、お客に買いたいという気持ちにさせる付加価値を提供できるかどうかが問われるということだ。しかも、そのノウハウは他人が真似することのできない個性と同一化している。

 ヤナセにはスタープレイヤーは多い。月に6台以上売る人も珍しくない。たとえば同社のトップセールスマンは、多忙でなかなか会えないお客に率先して接触することを心懸け、やっと会うことができても車を買ってくださいとは一言も言わない。自分という人間と名前をとにかく売り続け、そのうち相手からまた来てくれと言われるような信頼関係を築くことに心を砕き、お客だけではなく、お客の知人・友人関係までセールスの輪を拡大したという。

 自動車販売という営業スタイルは異なるが、新人を1人前に育成していくうえでのノウハウには学ぶべき点が多い。            (溝上 憲文)


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 ■■■ 誰のための事業仕分け ■■■ 
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 昨年に続く2回目の事業仕分けが開始され、労働行政関係では、独立行政法人労働政策研究・研修機構の労働行政担当職員を研修する労働大学校と、旧雇用職業総合研究所から続いているキャリアガイダンス部門が、主として全国の労災病院の運営主体である労働者健康福祉機構の産業保健推進センター業務の3業務が仕分けの対象となった

 まず、労働行政職員研修事業であるが、事業の目的は、労働大学校において、全国321の労働基準監督署と422のハローワークの労働行政職員を対象に研修を実施するもので、採用1年目に行う基礎研修、採用5年目に行う上級研修、管理監督者研修(課長級、署・所長級)、労働基準監督官や職業指導官を対象とした専門研修で構成され、平成21年度は3219人が受講し、受講生による有意義度調査では、有意義度97.0%となっている。ただ、この有意義度調査は、身内の教官(多くが厚生労働省の現役出向教授が講義する)による調査だけに、そのまま受け取れない。

 同機構では、一昨年の組織管理合理化計画のときに存続が認められる条件として、基礎研修科目の一部を民間委託として企画コンペを行い、平成21年度から実施している。
また、政府の市場化テスト導入の一環として、労働大学校の施設管理・運営業務も対象としている。職員の定員は20人で、事業費は平成22年度予算で3億2200万円、そのうち運営交付金として2億6200万円が国から交付されている。

 仕分けによる評価者のコメントは、重要研修は厚労省直轄で実施、最適な研修方法の組み合わせによるアウトソーシングの実施、地方で実施する研修と民間で実施する研修を明確にする。施設利用が自己目的化している、インターネットやDVDの利用で宿泊研修ありきという考え方を捨てる。厚労省職員の研修なのだから厚労省が自己負担すべき、等など厳しくも正確な指摘がなされた上で、評価結果として、不要資産を売却し、事業規模を縮減し国が実施(不要資産を国庫返納)という結論が出た。

 同機構のもう一つの事業である職業情報・キャリアガイダンスツールの研究開発(平成22年度運営交付金8600万円)は、労働者、企業の人事担当者、学校の進路指導担当者、職業紹介事業者などを対象にキャリアガイダンスツールを管理・提供する事業だが、インターネットによるキャリアマトリックスのサイト訪問数が平成21年度に204万件あったとはいえ、評価者は、民間の方が優れている、厚労省の指示で研究しているのでは発展性がない、大学やシンクタンクで対応できる、国が補完すべきであると判断すれば国自身が行うべき、などの意見が出され、評価結果は事業の廃止と結論づけられ、労働大学校は規模を縮小した研修事業のみで存在することになった。

 もっとも、厚生労働省はこの結果を予測していたようで、3月に神奈川労働局長が不祥事を起こし解任された後任に、労働大学校の校長代理を後任として送り込んだが、校長代理のポストは空席としたままで、事実上の理事ポストの返上となった。ただ、今回の仕分けのとりまとめコメントの中に、「中立性が求められる一方で、現役出向の方が独法の中枢(注:筆者・総務部長、大学校長代理など)におり、今回公募ではあるが理事について元局長(同・前職業能力開発局長)がいる。独立性というのがどこにあるのか疑義もある」とのコメントについては、独立行政法人の事業内容の精査と、厚労省の現役・OBの出向・天下りを同義にとらえていることになり、出向・天下りがいる独立行政法人は全て廃止・縮小という大前提から出発している現在の仕分けのやり方にも“疑義”が残る。
もともと労働行政分野における調査研究や能力開発分野への進出は、民間シンクタンクは採算面から進出してこない。
労働大学校の大幅な縮小には異論はないものの、事業仕分けと天下りの問題を同一に扱うことは今後の公務員制度改革への方向を曖昧にすることにならないだろうか。


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 ■■■ 残したい産業保健事業 ■■■ 
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 労働者健康福祉機構も理事長は元労働事務次官であり、理事の公募でも厚労省OBは除籍(1人は適任者不在で次回公募まで就任)され、総務部長は厚労省現役出向である。

 同機構の産業保健推進センター業務は、労働者の健康問題が多様化、深刻化する状況で、特に職場におけるメンタルヘルス、過重労働による健康障害防止対策を推進していく上で、内部資源を保たない中小・零細企業の人事労務担当者などに対する相談対応、情報提供を行う事業で、50人未満の産業医、衛生管理者の選任義務のない事業主や労働者に健康相談、産業保健指導などの産業医サービスを提供しており、都道府県医師会、市区町村医師会が実施主体となっている。

 平成22年度の運営交付金は27億8700万円で、事業実施状況は平成21年度実績で相談業務2万410件、研修業務3561回となっているが、この事業はかねてからPR不足によって国民に周知されておらず、労働基準行政のなかでも、実績が伴わない“金食い虫”事業と批判されていたことは事実である。だが、同種の事業は他の主体(国、自治体、民間など)がやっておらず、今後、行われるという話もない。つまり、中小・零細企業にとってはいざというときの駆け込み寺であって、この事業の仕分け動向は、国民の大半を占める中小・零細企業に勤める労働者とその家族にとって大きな運命となるが、マスコミは一切取り上げない。この事業展開に関係する全ての関係者(政治家、役所、マスコミ、医師会などの関係団体)が大組織に所属する人たちだけに、現状を把握できていないのが実態である。

 厚労省は省内仕分けで都道府県産業保健センターを現在の47カ所から3分の2程度に集約するとし、評価者のコメントでも、「地域産業保健センターの機能補完を地域の開業医制度も充実しているので、国の産業保健センターは全廃も視野に入れて行う」との乱暴なコメントまである。地域の開業医が本来の医療行為に加えて産業医活動が十分に行えないからこそ出てきた産業保健活動なのである。

 評価結果は、さすがに廃止とならず、「当該法人が実施し、事業規模は縮減」となったが、関連する支援促進助成金事業と、深夜業に従事する労働者に自発的に健康診断を受診することを支援する助成金事業は「廃止」となった。
 国民が選択した政権政党が国の業務を仕分けし、内部にメスを入れることは当然である。

 ただ、その時の視点がなににあるのか、独立行政法人が廃止した事業は本当に国民には必要ないのか、もし必要であれば事後処理をどうするのか、さらに、国本体が行う事業の仕分けが行われているのだろうか、特にサンクチュアリと言われる行政分野にメスを入れる必要がないのだろうか・・・、仕分け事業を続けていくなかで明確にしていって欲しい。          (津山 勝四郎)


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編┃集┃後┃記┃
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今年の新年会で角館の桜が話題となり、トントン拍子に満開の桜を期待して先週末に行ってきました。
しかし残念なことに東京の真冬並の寒さで、期待の桜はつぼみの状態でした。
でも田沢湖刺巻湿原のミズバショウは見応えのある群生地でした。

  今年の桜前線は、観測記録が残る1953年以降で一番遅い北上とのことで、このGWは武家屋敷のしだれ桜、桧木内川堤のソメイヨシノが満開で美しいと思います。
  
 3月より、東洋経済HRオンラインの“プロに聞く!人事労務Q&A”で、回答を5週に1回掲載しています。毎週月曜日に更新されますので、よろしければご覧ください。                  (白石)

東洋経済HRオンライン
http://www.toyokeizai.net/business/bitem/detail/AC/c121a79fc55692ec75e84922bc87469a/#rensai1


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