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経営の“落とし穴”(2) 〜有期雇用の規制強化の論議が始まる〜

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┃\/┃    ☆雇用システム研究所メールマガジン☆
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                                 2010/09/01
           http://www.koyousystem.jp
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   夏も終わりの頃ですが、残暑厳しい日々が続いています。
   皆様、いかがお過ごしでしょうか。

   雇用システム研究所メールマガジン第101号をお送りします。 

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  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

  ◆ 経営の“落とし穴”(2) 〜有期雇用の規制強化の論議が始まる〜

  ■焦点は締結事由(入口)規制と出口規制
  ■経営側は入口規制に反対
  ■上限規制の韓国では3割が正社員に転換
                       (以上執筆者 溝上 憲文)

  ■最賃大幅アップで望まれる国の対応
  ■厚労省は組織改編で対応
                     (以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)


  ■[編集後記]               (編集長 白石 多賀子)

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◆  経営の“落とし穴”(2) 〜有期雇用の規制強化の論議が始まる〜

 パートや契約社員を期間満了により安易に雇止めできないようにする有期契約労働者の雇用規制を強化する動きが政府内で進んでいる。厚労省の「有期労働契約研究会」
(以下、研究会)は近く最終報告書を出す予定であり、それを踏まえ、
秋以降に労使で構成する労働政策審議会で法改正を含めた議論が行われる見通しだ。

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 ■■■ 焦点は締結事由(入口)規制と出口規制 ■■■ 
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 有期契約労働者に関しては、労基法では期間の定めのある契約(有期雇用契約)は1回の契約期間の上限が3年(例外は5年)と規定している。ただし、何回更新してもよく、実際に反復更新を続けて長期に雇っている企業も多い。
リーマン・ショック以降の雇止めの増加で浮き彫りになった不安定な身分を守るために


雇用の安定と公正な待遇を確保する方策を検討するのが研究会の目的である。
すでに、研究会は今年3月17日には「中間とりまとめ」(以下、報告書)を公表している。
その中で雇用安定策として以下の3つの選択肢を提示している。

(1)締結事由の規制(入口規制)
(2)更新回数・利用可能期間に係わるルール(出口規制)
(3)解雇権濫用法理の類推適用

 締結事由の規制とは、安易な雇止めを防止するために入口の契約段階で縛りをかける


方法だ。具体的には、有期労働の範囲を季節的・一時的業務の場合などに限定するやり方である。たとえばフランスでは締結事由を一時的な事業活動の増加や季節的・一時的な業務の場合に限定して有期雇用契約の締結を認めている。

 2番目の選択肢は更新回数や利用可能期間の上限を設定する出口規制である。
現行法では何回でも更新が可能だが、たとえば更新回数を3回に制限するというもの。


仮に1年契約であれば4年までの就労が可能となり、それを超えた場合は無期雇用と見なす案である。
 ただし、更新回数の制限だけでは、1回の契約期間をできる限り長くしたいという意向が企業側に働く可能性もある。逆に利用可能期間の上限だけを設定すると、利用可能期間内に短期の契約を何度も更新することも発生しかねない。
そのため、たとえば利用可能期間の上限を5年とし、
更新は3回までといった2つの組み合わせも提示している。


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 ■■■ 経営側は入口規制に反対 ■■■ 
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 選択肢としては、
(1)入口規制と出口規制をセットで実施、
(2)入口規制のみ、
(3)出口規制のみ(更新と利用期間セット) という3つが想定されるが、
実施の是非と実質的効果をめぐっては労使の意見が分かれている。

 入口規制案については、連合や日本労働弁護団が早くから提起している。
日本弁護士連合会も基本政策集(09年12月11日作成、10年6月16日改定)で
「正規雇用が原則であり、有期雇用を含む非正規雇用は合理的理由がある例外的場合に限定されるべきであるとの観点に立って、労働法制と労働政策を抜本的に見直すべき」と主張している。

 ただし、研究会報告書では日本に導入する場合、2つの観点から議論が必要だと指摘している。1つはフランスでは、労働法典において、労働契約は無期雇用を原則とし、有期雇用を例外的扱いとしているのに対し、日本では無期雇用原則の法的規定はない。


入口規制を行うには
「法制の根底にある原則的な考え方の転換の是非についての議論が必要」(報告書)としている。

 研究会のもう1つの指摘は雇用抑制への懸念である。
仮に無期雇用を原則とする入口規制を行うことにより新規雇用の抑制や企業の海外移転が加速するなどの影響を指摘している。日本経団連も研究会のヒアリングにおいて入口規制を「過剰な規制」と批判している。
 これに対して出口規制案については研究会も一定の意義を認めている。
更新回数や利用可能期間を規制すれば、いつ雇止めにされるかもしれないという労働者の不安を解消することにつながるとしている。
日本経団連も利用可能期間の上限を超えた場合の「無期雇用」への転化は行き過ぎとしながらも
「実態を見て、適切なレンジで利用可能期間を設定していただくことが必要」(ヒアリング)と一定の理解を示している。


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 ■■■ 上限規制の韓国では3割が正社員に転換 ■■■ 
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 労働界にも、上限を超えた場合は無期雇用のみなし規定を入れるのであれば出口規制を評価できるという意見も少なくない。
上限を超えた場合は「無期労働契約とみなす」仕組みは諸外国にもあり、イギリスは4年、
韓国は2年の利用期間を設定している。

 ちなみに韓国は、法施行の07年7月から2年経過した09年7月の契約期間満了者のうち、正規職転換は36.8%、契約終了は37.0%、その他26.1%となっている
(韓国労働部発表、09年9月4日)。その他は脱法的行為で契約期間を延長していると


見られるが、3割以上が正規職に転換しており、それなりの効果があると見ることもできる。

 仮に入口、出口規制案が成立しなくても、3番目の解雇権濫用法理の類推適用を法律に盛り込む可能性が残されている。
周知のように有期契約労働者であっても、契約更新を繰り返し、5年、10年と長期に就労し、実質的に無期雇用と変わらない状態にある場合、判例では、客観的・合理的理由がなければ雇止めできないという「解雇権濫用法理」が類推適用されている。
これを法律に明記し、企業の注意を喚起しようとうものだ。

 どういう形で決着するかは秋以降の労働政策審議会の議論にかかっている。
また、この問題は継続審議の改正労働者派遣法とも微妙に関係する。
法案では製造業派遣および登録型派遣は常用雇用に移行することになる。
実態としてはほとんどが正社員ではなく有期雇用契約になると見られているが、
規制強化は派遣業界にとっても足枷となる。               (溝上 憲文)


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 ■■■ 最賃大幅アップで望まれる国の対応 ■■■ 
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 中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関、会長・今野浩一郎学習院大学教授)は8月6日、平成22年度地域別最低賃金額改定の目安を答申した。

 今年度の引上げ額の目安は全国加重平均は15円の大幅引上げで、中小・零細企業経営者にとって、最低賃金対象者の労務費用の全面見直しが必要となった。

 最低賃金の引上げは、例年は7月中に目安が答申されるのだが、今年度は労使の意見調整が長引き、8月に2回も審議会を開催するという異例の事態となり、結論として、今年6月の雇用戦略対話、同じく新成長戦略に盛り込まれた


「全国最低800円、全国平均1000円」が配慮され、全都道府県一律10円の引上げに加え、生活保護水準との乖離額の2年内の解消のための引上げ額を加算(大幅な引上げになる都道府県は3年以内)することになった。

 最低賃金の決定は、
(1)労働者の生計費、
(2)労働者の賃金、
(3)通常の事業の賃金支払能力、の3要素を考慮して決定されるが、
(1)の考慮にあたっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護水準との整合性に配慮することになっている。
特に、昨今は非正規労働者との格差問題が大きくとりあげられ、生活保護水準との乖離のみが注目され、「今の賃金なら生活保護を受けた方がよい」との、いわば一種の暴論が大手を振って歩いているのが現状である。
逆に「これ以上賃金が上がるのなら、生産拠点を外国に移す」という、経営側からの指摘もある。

 もとより、最低賃金の決定は、労使の意見一致は不可能とも言え、今回も、「できるだけ早期に全国最低800円、2020年までに平均1000円の達成に向けた道筋を示したとは言い難い」(連合)、「引上げ額の目標は、2020年度までの平均で、名目3%、実質2%を上回る成長が前提であり、最低賃金のみが大幅に引上げられれば経営に影響し、雇用の喪失につながる」(日本商工会議所)として、労使の接点は弱い。

 周知のごとく、地域別最低賃金は各都道府県最賃審への諮問・答申に基づき、都道府県労働局長が決定する。8月中旬までに決定した都道府県の引上げ額をみると、


生活保護水準との乖離額が大きいとされる東京都が30円(乖離額は平成21年度で40円)、大阪府が17円(同17円で今年度で解消)、神奈川県が29円(同47円)、北海道13円(同39円)、埼玉県15円(同15円で今年度で解消)などの改定がなされ、10月中に発効される。

 東京都の引上げ額30円については、仮に2年で生活保護水準との乖離額40円を単純に解消するのであれば、20円の引上げ額でも来年度の改定で解消できる見通しだったが、


労働側からの強い要請で30円になった。

 ところで今年度の改定の目安答申において、中央最低審議会は
「最低賃金引上げにより最も影響を受ける中小企業に対する支援等の取組みを政府において検討が行われることを要望する。また、行政機関が民間企業に業務委託を行っている場合に、業務委託先における最低賃金の履行確保に支障が生じることがないよう、発注時における特段の配慮を要望する」との意見を付記している。既に一部自治体では、低賃金による労務費を計上する入札企業は認めない例も出てきている。

 ただ、東京都に例をみると、時間単位引上げは年間1800時間とすると、年間の引上げ額は
5万4000円となり、これに対象従業員数を乗ずると中小・零細企業にとっては大きな負担増となる。

要は人件費増に見合う売上げ増が、現在の経済状況の下で可能かどうかであろう。

 特に輸出産業の第3次、第4次下請企業にとって、また、家内作業的な産業
(サービス業、小規模食品業)などにとっては経営上の労務費のあり方を全面的に
見直す必要があるだろう。


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 ■■■ 厚労省は組織改編で対応 ■■■ 
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 厚生労働省では従来、最低賃金に関する所掌は労働基準局勤労者生活部勤労者生活課で行ってきたが、8月5日付けで組織改編を行い、勤労者生活部を廃止(職業安定局に派遣・有期労働対策部を創設)し、勤労者生活課を財形制度、中小企業退職金共済制度、労働金庫、労働者の福利厚生に関する所掌課として、最低賃金と労働時間制度に関する所掌事務は労働基準局長の直轄部門として賃金時間室を設置し、室長を参事官として課長級に格上げした。

 最低賃金に関する施策拡充は予算措置を含め、今後は賃金時間室の対応となる。
当面は、平成23年度厚労省予算概算要求に、最低賃金引上げに関する中小・零細企業への対応がどのように盛り込まれていくのかを注視したい。

 これまでのところ、厚生労働省は具体的な支援策として、中小企業応援センターと、


地域の中小企業団体にワンストップの相談窓口を設置し、最低賃金引上げに伴う労働条件面で相談を行うほか、業種別中小企業団体が賃金底上げを図るための取組みを行う場合に助成を行うとともに、個別中小企業に対する支援として、最低賃金の引上げに先行して、賃金を計画的に800円以上に引上げる場合に奨励金を支給する。また、そのための計画に併せて省力化設備・器具の導入や、研修などを行う場合に、その経費の一部を助成を行うため、
平成23年度予算要求に盛り込む予定だ。             (津山 勝四郎)



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編┃集┃後┃記┃
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 100歳超え高齢者の所在不明が広がりを見せています。

所在不明者の多くに祝金や年金が支給されていました。
世界一の長寿国(平均寿命82歳)日本で、データ管理方法等の新たな問題が発生しました。

少し前の平日、長野県内のスーパー前のベンチに腰掛けて人の行き来を見ていると、80歳以上と思われる老人が買物をしてタクシーに乗るのを多くみかけました。
ある老人の買物袋の中は、食パン・コッペパンが一杯入っており、二人暮らしなら1週間分くらいありそうでした。
腰が曲がった体で買物は大変と思ってしまいますが、買物に出かけられることは幸せなことと思います。
長野県は男女ともに長寿。

 “健やかに老い、健やかに天寿を全うするピン・ピン・コロリ(PPK)”で、住民・行政・医療の意識改革で老人医療費も低いです。

前号の福島氏執筆の「高齢者医療制度」を読むと老後が不安です。
あるテレビで老後に3000万円の預貯金が必要と言っており、
お財布の紐はゆるみません。

 国は、一日も速く充実した社会保障制度を確立して欲しいです。 (白石)


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 発行者  雇用システム研究所 代表 白石多賀子
     東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル   
     アドレス:info@koyousystem.jp

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