人事・労務に関する御相談は信頼と実績の雇用システム研究所

社会保険・労働保険の御相談は信頼と実績の雇用システム研究所

雇用システム研究所 トップページ雇用システム研究所 個人情報保護方針雇用システム研究所 メールマガジン雇用システム研究所 お問い合わせ
雇用システム研究所 >> メールマガジン >>  経営の“落とし穴”(10)〜退職年金制度の放置が経営を圧迫する〜

経営の“落とし穴”(10)〜退職年金制度の放置が経営を圧迫する〜


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏━━┓    
┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                             第109号
                                 2011/05/01


           http://www.koyousystem.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 余震・原発事故とまだまだ安心できる状況ではありません。
被災地の方々の、今後の安全と一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

 雇用システム研究所メールマガジン第109号をお送りします。 

==========================================================================

  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥
  
 ◆ 経営の“落とし穴”(10)〜退職年金制度の放置が経営を圧迫する〜

  ■厚生年金基金の4割が積立不足  
  ■適格年金廃止まで1年を切る 
  ■適年解約企業が3割強
  ■DCの“元本割れ”加入者が37%                    
                      (以上執筆者 溝上 憲文)

  ■災後処理に向け第1次補正予算
  ■年金財源と労働特会で編成       
           (以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)


  ■[編集後記]               (編集長 白石 多賀子)

==========================================================================

◆  経営の“落とし穴”(10)〜退職年金制度の放置が経営を圧迫する〜

 景気の後退と株価の低迷により退職年金制度が揺らいでいる。
積立不足や運用難から確定給付型の年金を敬遠する傾向にあり、
確定拠出年金(DC)、中小企業退職金共済制度(中退共)に移行する企業も増えている。

低金利の時代に給付利率を4.5〜5.5%に据え置いたままの企業もあり、
このまま放置すれば経営を圧迫する事態に陥りかねない。

==========================================================================

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 厚生年金基金の4割が積立不足 ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 厚生年金基金(年金基金)の加入者数は、1997年度に1225基金、
1870万人の加入者が存在したが、09年度には608基金、460万人にまで減少している。
最大の理由は景気が低迷により資産運用がうまくいかず、厚生年金の代行給付が
困難になったからである。

 しかも608基金の内訳を見ると、同一業界や地域に属する多数の企業で設立する
「総合型」が8割を占める。代行返上するには給付に必要な財源(最低責任準備金)を国に返還することが必要になるが「積立不足のために払えない基金も少なくない」
(厚労省企業年金国民年金基金課)という事情もある。

 10年3月末時点で企業年金部分の積立金が不足している年金基金は608基金のうち363基金。
その上、厚生年金の積立金も不足している年金基金が242基金と全体の4割にのぼる。

しかも51基金は厚生年金の支給に必要な積立額の9割を3年連続で下回っている。
積立不足を解消できなければ、企業年金の支給はおろか厚生年金も減額されることになる。

 深刻な積立不足を抱える基金は中小零細企業が多い。 
これまで代行部分を返上できずに破綻した事例はないが、仮にそういう事態に陥ると、
厚生年金加入者全体の保険料から支給することになる。

 厚労省は「基金以外の厚生年金加入者の不利益になってしまい、
認めることは世論の合意が得られないだろう。無理ですと言われて、
はい、わかりましたということにはならない。
構成している業界で穴埋めしてもらう以外にない」(企業年金国民年金基金課)としている。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 適格年金廃止まで1年を切る ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 もう一つの問題は2012年3月末で廃止される適格退職年金制度(適年)の見直しをしていない
企業が、昨年12月末時点で1万376件、加入者数で157万4000人も残っていることである。

 適年は年金の社外積立を受託する信託銀行や生命保険会社などの受託機関と
年金契約を締結し、企業が拠出する掛け金の全額が控除になり、給付額についても
税制上の優遇措置を受けられる制度。だが、02年の確定給付型年金法の施行に伴い、
2012年3月末に廃止することが決まった。

 もし見直しを行なわずに期限を過ぎると、税制優遇措置が受けられない通常の信託契約や
保険契約になってしまう。掛け金に税金かかると同時に受け取る年金額から税金を
差し引かれるなど企業と従業員双方が不利益を被る。
また、適年には積立義務がないために
「従業員に約束した年金額を支払えないという年金資産の積立不足が隠されたままに
なっており、適年を続けると破綻してしまう可能性もある」
  (企業年金国民年金基金課)。

 適年から確定給付型年金移行するには、労使合意によって年金規約を作成し、
地方厚生局に申請し、認可を得る必要がある。その前に受託機関による移行に伴う
給付設計などの計算上の手続きも必要になる。移行作業には早くても3ヶ月、
通常は6ヶ月程度かかるとされる。もはや時間的余裕はない。
厚労省も「残っているところは中小企業が多い。一刻も早く契約している受託機関と相談し、
退職給付のあり方を検討し、手続きを開始してほしいと」
 (企業年金国民年金基金課)と呼びかけている。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 適年解約企業が3割強 ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 これまでの移行先で最も多いのは中退共であり、全体の3割を占める。

続いて確定給付型年金が2割、DCが1割であるが、解約も3割強を占めている。
解約の中には残った金額を加入期間や保険料割合で従業員に分配し、
退職金制度そのものを廃止、あるいは社内退職一時金制度に移行した企業もあれば、
民間の保険商品を購入し、それを退職金に充てるケースもある。

養老保険などの商品を買い、解約返戻金や満期金の受取先を会社とするものであるが、
従業員の受給権は担保されない。

 社内退職一時金制度も自社内に引当金として留保する仕組みであるが、外部積立と違い、
受給権の保護に不安が残る。「解約し、従業員の了解を得て会社の内規で退職金の積立を
行うことになる。しかし、いったんプールされた後、
経営者が『会社の運転資金が足りないので君たちの退職金を貸してくれないか』と言われ、
使われてしまいかねない」(労組関係者)という指摘もある


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ DCの“元本割れ”加入者が37% ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ところでDCや中退共は事業主にとって運用責任を問われないというメリットがある。

とくにDCは運用責任を従業員自身が負うというリスクを伴う。

 09年度末の加入件数は3301件、加入者数は340万人(企業型)にのぼる。
運用管理機関上位3社(全体の3分の1)の加入者のうち、バブル後最安値をつけた
09年3月末時点で掛金合計を下回る“元本割れ”の加入者は63%も存在した(『日経年金情報』)。
10年3月末調査では、元本割れ加入者は37%に減少したが、
運用利回りが0〜1.0%未満の加入者が48%、2%を超える加入者は10.7%というのが
実態である。制度導入時は“夢の年金”と喧伝されたが、
確定給付型より給付利率が下回るどころか、元本も確保できない状況にある。

 退職年金制度の積立不足や運用難は企業経営の足を引っ張るだけに見直しは急務な
課題である。
一方、退職年金は厚生年金と並んで従業員の老後の生活を支える柱の一つである。
従業員の合意を得つつ、将来を見据えた制度のあり方を検討すべきであろう。
                                             (溝上 憲文)
 

==========================================================================


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 災後処理に向け第1次補正予算 ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 東日本大震災に対処する政府への批判、
特に菅総理に対する有識者、野党(与党からも一部)、
マスコミからの批難は異例とも言えるが、地震、津波、原発の未曾有のトリプル災害に
対応するには、背広でネクタイ、被災地から遠い生活に何の支障もないところから、
批判だけを行う人たちは少し黙って、
自分ならどんな協力ができるかをもう少し考えたらどうだろうか。

 政府も屋上屋となるような多くの推進会議をつくり、正直のところ、この人に何が出来る
のだろうかという委員を何人も選任するような体制を一新し、
ここは政治主導というなら指示系統を一本化して、官僚をもっと働かせるべきだろう。

 さて、政府の被災者就労支援・雇用創出推進会議
(座長・小宮山厚生労働副大臣)は数ある推進会議のなかでは目に見える活動を
行っているが、同会議が4月18日までの被災者や企業への相談対応によると、
ハローワークでは、
被災者からの相談が11万2,671件、
被災企業からの相談2万6,168件に及び、
被災した人たちの雇用の維持・確保では、雇用保険の相談4万1,800件、
雇用調整助成金の相談1万2,226件となっている。

この件数は岩手、宮城、福島の3県の数値で、他の都道府県の数値は計上されていない。

 政府は今回の甚大な被害に対応するため、特に被災した人たちの就労機会の確保のため、
4月22日に第1次補正予算の編成を閣議決定し、5月2日に国会承認を受けるとともに、
特別の財政援助と助成に関する法律案を成立させる。法律については、
阪神・淡路大震災に対処するための法律に規定のない新規立法が厚生労働省だけで
施設関係で2本、医療保険関係の特例が3本、介護・障害者自立支援関係で2本、
労働保険関係で2本(雇用保険の基本手当に係る個別延長給付の特例、労働保険料の免除)、
年金保険関係で6本(子ども手当の拠出金免除を含む)、
災害弔慰金関係で1本盛り込まれ、震災対策関連一括法案改正として、
5月2日に成立させる予定だ。ここでもマスコミは異例の休暇中審議だと国会を持ちあげているが、
当り前のことである。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ■■■ 年金財源と労働特会で編成 ■■■ 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 第1次補正予算のうち、雇用・労働関係の総額は1兆1,130億円で、
このうち労働保険特別会計からの充当が1兆616億円。
ちなみに政府全体の補正予算額4兆円超のうち、2兆5千億円は、平成23年度予算に
計上した基礎年金国庫負担2分の1を維持するための臨時財源と、
子ども手当の上積み財源を補正減額することで新規国債発行を行わず、
年金財源については税制抜本改革により確保される財源を活用して年金財政に
繰り入れるということ。つまり“隠れ借金”の再現である。

 雇用・労働関係の内訳は、雇用調整金の拡充(生産要件の確認を3ヵ月から1ヵ月に、
特例対象期間中に開始した休業については最大300日間助成金の対象、
被保険者期間6ヵ月未満の人を対象とする暫定措置の延長)に7,269億円、
雇用保険の延長給付の拡充(法律改正、個別延長給付を60日分に加え、
さらに60日分延長)に2,941億円計上される。

 その他では、都道府県に設けられている重点分野雇用創造事業基金の500億円の
積み増しに500億円、
特定求職者雇用開発助成金の特例措置に63億円、
被災者の就労支援のためにハローワークの窓口強化と相談員の増員、
庁舎やシステムの復旧工事に71億円、
職業能力開発施設への国庫補助率の引き上げに44億円、
震災に伴う企業倒産に対応した未払賃金立替払いに149億円、
被災労働者やその遺族への労災保険給付に44億円、
などが第1次補正に盛り込まれた主な施策である。

 雇用・労働関係以外でも、災害援護貸付、医療保険・介護保険の保険料減免、
障害福祉サービスの利用者負担減免、各種施設の復旧、医療関係事業者への融資、
そして仮設住宅など災害救助法による被災者への支援も厚生労働省の所管となっている。

 冒頭にも指摘したが、これら諸施策を短時間で構成するのは官僚の能力があってこそで、
国会議員がたかが何日かの休日に国会審議を行うことは、非常時はごく当り前のことと言える。

むしろ、今年度は通年国会の年度とすべきだろう。
 
                                       (津山 勝四郎)


編┃集┃後┃記┃
━┛━┛━┛━┛***********************************************************

米タイム誌の今年の「世界で最も影響力のある100人」に、
東日本大震災による福島原発事故の警戒区域が一部含まれている
福島県南相馬市桜井勝延市長と、
宮城県南三陸町・志津川病院菅野武医師が選ばれました。

南相馬市桜井市長が選ばれたのは、
「優れた効率性で知られる日本が、弱い立場の市民に応じられなかったことを
世界中に考えさせた」と評価されてです。

同日の新聞には、福島県田村市の避難所を視察した菅直人首相が、
記者団に「被災者の立場に立ってすべてのことを考えなければ
ならないと私にも痛感されられた」と掲載されました。

このコメントを読んでがっかりしたのは私だけでしょうか。

「被災者(国民)の立場に立って・・・」は、地震・原発事故発生時から念頭において
対応処理の指示・命令を出さなければならないのではないでしょうか。

もしかしたら、地域住民などのことを考えずに対応処理をしたため、
今、批判されている要因のひとつになっているのかもしれません。
でも、感動したニュースもありました。

被災地の小学生・中学生・高校生・大学生などの子どもや若者達が、
被災者でありながら被災された人々へのボランティアとして、手書き新聞の発行、
食事の配膳などを自主的に行っているのです。

日本の将来を担う子ども・若者達に頼もしさを感じました。

私も、できる範囲で被災地域・被災者の方を支えたいと思います。

                                              (白石)

 ------------- ☆  ☆  ☆ --------------
 発行者  雇用システム研究所 代表 白石多賀子
     東京都新宿区新小川町9番5号畑戸ビル   
     アドレス:info@koyousystem.jp

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   今週のメールマガジン第109号はいかがだったでしょうか。

   お楽しみいただければ幸いです。今後もさらに内容充実していきたいと
   思います。
   ご感想は info@koyousystem.jp にお願いします。
   「こんな記事が読みたい!」というリクエストも、遠慮なくどうぞ。
   次回の配信は6月初旬頃情報を送らせて頂きます。


                e-mail: info@koyousystem.jp
  [過去のメルマガ随時更新] http://www.koyousystem.jp

 =================================================================
  
   メールマガジンの配信が不要な方は、お手数ですが、
   こちら http://www.koyousystem.jp/mail_magazine.html から
   配信停止を行って下さい。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ・『雇用システム研究所メールマガジン』に掲載された情報を許可なく転載す
  ることを禁じます。


雇用システム研究所 事業案内
雇用システム研究所 組織づくり
雇用システム研究所 人事制度
雇用システム研究所 教育・研修
雇用システム研究所 メンタルヘルス
雇用システム研究所 お客様向けサービス
雇用システム研究所 個人情報保護方針
雇用システム研究所 お問い合わせ
雇用システム研究所 事務所所在地




Copyright(c) 1998-2015 KOYOU SYSTEM Co.,Ltd. All rights reserved.