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最新コア人材育成法(4)
     〜帝人の選抜型経営幹部候補の育成術〜

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
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                                 2013/06/01

           http://www.koyousystem.jp
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皆さま いかがお過ごしでしょうか。
例年より早い梅雨入りとなりました。
これから湿度も高くなります。くれぐれも熱中症等にお気をつけください。

雇用システム研究所メールマガジン第134号をお送りします。

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  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥
  
 ◆ 最新コア人材育成法(5)
〜韓国・サムスンの経営幹部候補の育成術(上)〜

  ■年間60億円の教育費を注ぎ込む「人力開発院」
  ■受講者は人事評価の上位5〜10%の社員
  ■常務クラスは年間8週間の合宿研修           
       
                       (以上執筆者 溝上 憲文)

  ■人生100年時代を見据えて  
  ■高齢者専属のプラットフォームの創設

            (以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)

  ■[編集後記]               (編集長 白石 多賀子)

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◆最新コア人材育成法(5)
  〜韓国・サムスンの経営幹部候補の育成術(上)〜

 かつては昇格・昇進の年次制限を設けて同期に一律の研修を施し、
じっくりと育て上げる教育法が主流であった。
だが変化の激しいビジネス環境や海外との競争に対応するために、選抜型の経営人材の育成が加速している。

お隣の韓国でも同様の取り組みが進んでいる。
サムスン電子の今年1〜3月期の売上高は4兆7600億円、営業利益は約7900億円。
日本のどの大手電機メーカーが1年かけても達成できない営業利益を
わずか四半期で稼ぎ出している。
昨年9月にサムスン電子を訪問し、育成の現場を取材してきた。

今回はサムスングループの育成の仕組みを2回に分けて紹介する。



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 ■■■ 年間60億円の教育費を注ぎ込む「人力開発院」 ■■■ 
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 サムスングループは創業以来

「合理追求、人材第一、事業報国」を経営理念に掲げる。

とくに1990年代以降、2代目オーナーのイ・ゴンヒ会長は
「企業が人材育成をしないのは一種の罪悪である」と述べ、
人材育成の一層の強化を図ってきた。

グループの中核企業であるサムスン電子は電機業界では後発企業に属する。
韓国内ではLG電子の後塵を拝し、日本のソニー、パナソニック、日立、東芝といった
技術力に優れたライバル企業を持ち前の営業力で果敢に挑戦し、
躍進を遂げた最大の理由は「人材力」にあるとの自負がある。

 ではサムスンはどういう人材を育てようとしているのか。

90年代の半ばに新たに打ち出した人材像は

1 創造人、
2 世界人、
3 学習人、
4 社会人――の4つだ。

創造人とは、創造的思考力を備えたイノベーションを生み出す人材であり、
世界人はいうまでもなくグローバルに活躍できる人材のことだ。

社会人とは道徳性や礼儀礼節を知る人間性豊かな人材であり、
学習人とは変化するビジネス環境に即応していくために絶えず知識と
情報を吸収し、学習意欲を失わないプロフェッショナル人材を意味する。

 人材育成の中心的役割を担うのが「人力開発院」だ。

ソウル近郊にあるグループ教育の中心である研修施設「創造館」の運営をはじめ、
世界13カ所に研修施設を持ち、教育プログラムを実践している。
人力開発院のミッションは会社が追求する経営価値をビジネスの現場に移植し、
双方の一致を図ることであり、具体的には教育を施すだけではなく、役員・経営者が
蓄積したノウハウを伝達し、経営価値を高めることを狙っている。

 創造館では新入社員をはじめ中堅幹部や役員・社長に至るまでのあらゆる階層の
教育を実施し、目指す人材に育て上げるための重層的かつ多様な教育メニューを
用意している。
年間予算約60億円を費やし、延べ約4万人の社員が学習する。
教育プログラムは講義と自由な討論による参加型学習を基軸に行われ、
参加者相互のコミュニケーションとネットワーキングの舞台としての役割も期待されている。


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 ■■■ 受講者は人事評価の上位5〜10%の社員 ■■■ 
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 サムスンの人材育成体系は大きく3つの体系で構成されている。

一つはサムスンの経営哲学価値観を修得するSVP(Samsung Shared Value Program)
と呼ぶ教育プログラムだ。

新入社員研修だけではなく、上位のマネージャー、GM(ゼネラルマネージャー)、
役員のエグゼクティブクラスを対象にしたプログラムも用意されている。

2番目が次世代リーダーの育成を目指したSLP(Samsung Business Leader
Program)だ。

階層別に選抜された人材を対象にサムスン流のMBA教育を実施する。
目的はサムスングループの経営理念や価値を階層別に浸透させること、

もう一つはリーダーシップとマネジメント力の向上だ。

プログラムには、例えば、課長クラスは役員養成プログラム、GMクラスは専務・
副社長の高位経営者プログラム、役員は経営者養成プログラムが用意されている。

 SLPの受講者はサムスングループの26社から選抜された人事評価の上位5〜10%の
社員が対象になる。
それらを「核心人材」と呼ぶが、選抜と養成だけではなく、その後の検証・抜擢といった
配置とも連動している。

 人力開発院の担当者は「SLPでは3つの点を重視している。
1番目はグループ企業の階層別の核心人材を集めて、グループの価値観を共有すること。

2番目はグループの経営戦略を共有し、それに必要なリーダーシップを身につけること。

3番目はグループ企業間のネットワーキングの機会を与えることだ」と語る。


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 ■■■ 常務クラスは年間8週間の合宿研修 ■■■ 
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 階層別研修では、例えば核心部長のGMを対象にした養成コースは2〜3年目の
GMから選抜された250人を対象に16週間にわたって実施される。

期間中にリーダーシップやグローバルビジネスマネジメント能力、
事業部門ごとの問題解決能力を徹底的に鍛え上げる。

 さらに上級役員(常務クラス)研修では就任3〜5年目の人から年間55人を選抜。
4週間の合宿研修を年に2回実施している。ここではより実践的なグローバル経営
課題の解決に向けたアクションラーニングによる訓練が実施。

研修を通じて戦略的思考能力を持つグローバルリーダーを養成することを狙っている。

また、CEOを目指す専務・副社長研修では15人を選抜。
合宿形式の研修を年間3回実施している。

 こうした研修はほんの一例だ。他にも新任管理者研修や新任役員研修など様々な
プログラムがある。
また、日頃の次世代リーダーの育成は役員や部長の上級幹部の責務になっている。
部下が決められた教育研修プログラムを受けているのか、それによって実際にどれだけ
能力を達成したのかが厳しく査定され、幹部の報酬や昇進にも直結する仕組みにも
なっている。

 その他に内部研修だけではなく、95年から国内外の有名大学院での2年間MBA
留学制度を実施している。
例えばサムスン電子では毎年60人前後を選抜し、海外に派遣している。
家族がいる社員は家族も帯同し、学費や滞在費は会社が負担する。

 サムスン電子の本社では広報や人事担当者をはじめ、若手の社員と交流したが、
ほぼ全員がアメリカの有名大学院のMBA卒だったのには驚いた。
                             (溝上 憲文)

                                 
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 ■■■ 人生100年時代を見据えて ■■■ 
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 つい最近まで人生80年時代と言っていたのが、今や人生100年時代を見据えた、
高齢者の健康づくりや生きがいづくりを通した、生涯現役社会への環境整備が政府
の喫緊の課題となってきた。

 余談ながら、盛岡大学の長谷川修一准教授の著書によると、旧約聖書の創世記には、
ユダヤ人最初の族長アブラハムは175歳、その子イサクは180歳、そのまた子のヤコブ
は147歳まで生きたとされ、日本の例でも、古事記によると、
初代神武天皇は127歳、第6代考安天皇が123歳、第10代の崇神天皇は168歳まで生きた
とする記述を紹介している。
長谷川氏はもちろん、
「初期の天皇がこれほど長寿だったとは今日では考えられておらず、
聖書が記録する族長たちの寿命も史実とみなすことは難しい」と付記しているが、
日本でもわずか500年前の織田信長時代は有名な「人生50年」であり、
その当時に同じ民族が平均寿命が80年を超え、
100歳以上長寿者が多数に及ぶことは誰も予想しなかっただろう。
何やらロマンのある話しである。

 余談は先おき、厚生労働省職業安定局長の私的研究会
「生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会
(座長・大橋勇雄中央大学大学院戦略経営研究会教授)はこのほど、
生涯現役社会実現のためには、高齢期にさしかかる時期に定年などを理由に現役から
引退した後も、勤労などを通じて地域社会でどのような「居場所」と「出番」を得られ、
そのためには高齢者自身がどのような知識・経験を生かしていき、
退職後の就労を希望ニーズと地域側のニーズをいかに結びつけていくべきか、
との研究会報告をまとめた。

 周知のごとく、65歳までの就労条件を整備した改正高年齢者雇用安定法は4月1日から
施行されており、種々の経過措置が設けられているとはいえ、企業は希望する労働者に
ついては65歳まで雇用継続しなければならないことが努力義務化され、
厚生労働省はこの他にも政策展開として、70歳までの就労現役社会の実現に向けて
企業や労働者への支援事業を行っている。

 研究会報告は今後の生涯現役社会における就業・社会参加のあり方についての
提言として、企業と地域に分けて助言している。

 企業における高齢者の活用のあり方としては、企業が定年退職予定者や第2の
就業人生を再構築しようとする人に対する、本人の心構えとキャリアの再構築の
後押しへの支援、経済的な理由で年金受給開始年齢に到達後も働き続ける必要がある人や、
引き続き企業における就労を望む人に対するハローワークによる
安定した就職支援、特に中小企業における人事管理の個別政策上の情報提供、
を提言している。企業に対する提言には目新しい意見はなく、研究会報告の主眼でも
ない。

定年退職後、つまり65歳以上の引退予備軍をどう地域社会に結びつけた就労環境を
実現していくかである。それでなくても昨年から、
65歳を迎えた団塊の世代が労働市場からの本格的な引退過程に入り、
仕事中心の生活しかできなかった層の多くが地域に戻りつつある。



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 ■■■ 高齢者専属のプラットフォームの創設 ■■■ 
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 研究会報告は高齢者が地域人として地域の支え手として働くための仕組みのあり
方として、地域に存立するシルバー人材センター、社会福祉協議会、
地域包括支援センター、NPO等、官民問わない関係機関の連携を強化するための
情報を共有するプラットフォームの創設によって地域のニーズを発掘、
創造するとともに、コーディネーターの常設を提言。

 常設されるコーディネーターの役割は、社会参加活動をしていない高齢者に
参加を促すこと、企業退職前の人が地域に戻る際の橋渡し、
退職後の仕事に対する意義付けや動機付けの支援、などを考えており、
企業、NPO、ボランティア団体などに対する支援としては、地域ニーズの発掘・
地域資源の把握・開発と事業化、企業などに外からの仕事の切り出し方を提言
している。

また、管理職、専門職であった人などには、その高度な知識・技術・経験などが
活かせるよう、ハローワークだけでない別途の職業紹介システムの必要性も
強調している。

 内閣府が2008年に60歳以上の男女を対象に行った意識調査では
「いつまで働きたいか」という問いに、
60歳くらいまで(9.7%)、
65歳くらいまで(19.2%)、
70歳くらいまで(23.0%)、
75歳くらいまで(8.9%)、
働けるうちはいつまでも(36.8%)、との結果が出ており、
この調査結果は5年経た現在では更に高年齢部門の率が高くなっているだろう。

 厚生労働省は平成25年度予算において、年齢にかかわりなく意欲と能力に応じて
働くことができる生涯現役社会の実現に向けた高齢者の就労促進策として101億円計上し、
社会的な機運の醸成と、企業の普及に向けた支援を新規事業として展開していく。
具体的には生涯現役社会に向けた取組みを行う企業に対する相談、
援助などの支援を行うほか、民間団体を活用して高年齢者への高齢期を見据えた
職業生活設計などの相談援助を実施する。

また、(独)高齢・障害・求職者支援機構との連携により、高年齢者雇用アドバイザーの
活用や事業主に対する助成金制度の活用拡充を図る。

 当面は65歳までの高齢者雇用が企業の課題であるが、
“安い労働力”として高齢者を活用するならば、
若年者の就業が減退することにつながる。

特に大都市のハローワークが大卒新卒の職業紹介が重点事業になってきているのは、
この数年間では考えられなかった。

「生涯現役」は結構だが、その責を企業に押しつけると
「65歳までで精一杯。その上までは」と考えるのが企業の本音。
国にとっても被用者保険の受給者から加入者に、というのが長期的観点であろう。
地方自治体も財政、定員ともに限界にきている。

地域への吸収を提言する報告は実現への道は遠い。


                            (津山 勝四郎)


編┃集┃後┃記┃
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 冒険家の三浦雄一郎氏が80歳の高齢で世界最高峰エベレスト(8848メートル)
の登頂に成功しました。

山は天候や自分の体力等の判断を誤ると死に至る危険な場所です。
その危険度が高いエベレストに70歳、75歳、80歳と3度の登頂です。

家族の支援で成功されましたが、家族の話では
「長い年月を掛けた過酷な訓練も楽しむ姿が伝わった。」とのことです。

三浦氏の信条は、
「目標を持って生きれば、わくわくできる。」とのことです。

今の若者達には
「目標を持って生きれば、わくわくできる」精神が希薄と言われています。

目標に向かって葛藤しながらがむしゃらに働くことで、新たな世界が見え、
また出会いがあります。そのときに初めて充実感を味わい自分の成長を実感する
と思います。

この成長がキャリア形成につながり、社会人初期の成長経験が健全なほど、
生涯キャリアにつながります。

成長したいと思わない若者達を、成長できる楽しみを味わえる環境づくりが
求められています。
葛藤も成長のためと楽しめる人材育成で、雇用の質を上げましょう。
                               (白石)



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 発行者  雇用システム研究所 
 代表 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
 アドレス:info@koyousystem.jp

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お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。 
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次回の配信は7月初旬頃情報を送らせて頂きます。

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