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最新コア人材育成法(6)
     〜韓国・サムスンの経営幹部候補の育成術(中)〜

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
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                                 2013/07/01

           http://www.koyousystem.jp
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7月になり暑さが日ごとに加わってまいります。
皆さま いかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第135号をお送りします。

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  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥
  
 ◆ 最新コア人材育成法(6)
〜韓国・サムスンの経営幹部候補の育成術(中)〜

  ■徹底した語学教育とリーダー研修
  ■1年間の“武者修行”地域専門家養成プログラム
  ■4700人の営業部隊が現地最適の商品を生み出す           
       
                       (以上執筆者 溝上 憲文)

  ■増加一途の業務上精神障害  
  ■東京労働局の「いじめ・嫌がらせ」相談は12.5%増

            (以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)

  ■[編集後記]               (編集長 白石 多賀子)

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◆最新コア人材育成法(6)
  〜韓国・サムスンの経営幹部候補の育成術(中)〜

 かつては昇格・昇進の年次制限を設けて同期に一律の研修を施し、
じっくりと育て上げる教育法が主流であった。
だが変化の激しいビジネス環境や海外との競争に対応するために、
選抜型の経営人材の育成が加速している。

お隣の韓国でも同様の取り組みが進んでいる。昨年9月にサムスン電子を訪問し、
育成の現場を取材してきた。

前回に引き続き、今回はサムスンのグローバル人材の育成の仕組みを紹介する。


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 ■■■ 徹底した語学教育とリーダー研修 ■■■ 
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 グローバルリーダー人材の養成を目指した教育が
SGP(Samsung Global Expert Program)と呼ばれるものだ。

この中には特定地域の専門家を養成する「地域専門家」コース、
海外法人のマネージャー養成コース、
海外法人の経営幹部養成コースなどの海外リーダー研修のほか、
語学研修コースなどが用意されている。

 グローバルリーダー教育(海外核心人材養成教育)は、マネージャーレベル、
グローバルダイレクター、GMレベルの3つの課程に分かれる。

プログラムはその都度変更し「グループ企業の要請に応じた海外教育を実施し、
全世界の文化やビジネスの特性の違いを踏まえたコンテンツを開発するのが重要な
ポイントだと考えている」(人力開発院担当者)点に特徴がある。

 語学研修にも注力しており、その1つが「外国語生活館」での語学研修だ。

海外派遣者や海外業務の仕事に就いた社員を対象に英語以外に中国語、日本語、
スペイン語の4カ国語を泊まり込みで集中的に学習する。参加者は毎年1000人以上。
土日は帰宅できるが、講師の全員が学習する言語圏の出身者であり、
期間中は語学一色の毎日を送る。
また、研修施設内での韓国語の使用は御法度。
違反すれば参加資格の取り消しもあり得るという厳しさだ。

 さらに「プレミア・コース」と呼ぶグローバルビジネスで活躍を促すリーダーの
養成の研修もある。選抜した幹部人材120人が10週間の泊まり込みで外国語による
海外でのビジネススキルを学習する。異なる文化や習慣を受け入れながら現地の
従業員をいかに管理していくかというマネジメントスキルをはじめ、
実際の商談を想定した交渉術やプレゼンテーション技能を修得する。

 もちろんこれだけではない。
自宅のパソコンで外国語を学習できるe−ラーニング講座も用意され、
年間3万人以上が受講している。サムスンでは語学力は昇進・昇格も左右する。
独自に開発した語学試験制度があり、レベルによって1級から5級までの資格が
付与される。

最上位の1級資格者は昇進に有利に働くほか、
海外駐在員候補として活躍の場が提供される。


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 ■■■ 1年間の“武者修行”地域専門家養成プログラム ■■■ 
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 グローバル人材の育成プログラムの中でも、最も国内外の企業から注目されている
のが国・地域のプロである「地域専門家」養成コース
(Regional Specialist Course)だ。

 グローバル市場でのサムスンの強さの秘密は営業・マーケティング力にあると
言われるが、それを支えているのが地域の声や市場のニーズを吸い上げ、
商品化提案まで行うほどの強固なネットワークの基盤を築いている地域専門家たちだ。


 地域専門家の養成のプログラムの受講者は入社4年目以降から課長クラスまでの社員から選抜。3ヶ月間の外国語研修を受けた後、特定の国・地域に1年間派遣される。

一言で言えば、1年間、特定の国に社員を放り出す“武者修行”である。
派遣先は自らの希望だけではなく、会社の攻略拠点などのニーズによって決定される。


 派遣中は、トレイニーとして現地の業務を学ぶのではなく、
業務は一切行わない。
ひたすら現地の人との交流を通じて文化や習慣を徹底的に学ぶ。
1年間の派遣中に都会に住むのか、田舎に住むのか、
あるいはどこの語学学校に通って勉強するのか、
どのような組織・団体やどういう人たちと交流するのかといった
生活設計はすべて自分で現地と交渉し、決めなくてはならない。

派遣後の給与や生活費は保障される。

 派遣中は基本的に自由行動であるが、
語学学校や現地の人脈の紹介などに関しては
現地法人を頼ってはいけないというルールが敷かれている。
そのためゼロから人脈も築いていかなくてはならない。

 当然、現地の人々とうち溶けて交流するには語学力は必須だ。
ある程度英語ができるといっても赴任先は英語圏ばかりではない。
サムスン電子の経営顧問を務めた ソウル大学国際大学院の金顕哲教授は

「多くの企業では英語圏への派遣は英語ができる人間、中国には中国語ができる
人間を派遣する傾向があるが、それでは本当の人材は育たない。
地域専門家養成コースは、語学力に関係なく、韓国内で優秀な成績を上げ、
なおかつやる気のある人材を現地で生活させることに意味がある。
そこで語学を修得し、現地の生活や文化に溶け込ませることが最大の狙いだ」
と指摘する。


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 ■■■ 4700人の営業部隊が現地最適の商品を生み出す ■■■ 
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 1年間、言語や文化・習慣も異なる見知らぬ土地に単身で暮らすという
“修羅場の経験”を通してビジネスを超えた異文化対応能力を磨くサムスン独自の
人材育成法といえる。この研修制度は1990年にスタートした。

派遣者も年々増加し、2012年まで累計派遣者数は4699人。

派遣先は東南アジア、ラテンアメリカ、東欧、中東、アフリカ、中国、インド、
ロシア、北米、ヨーロッパ、日本と全世界にわたっている。

とくにサムスンが覇権を争う攻略市場に大量に送り込んでいる。

 2010年約160人に過ぎなかったが、2012年は285人と年々増加している。
1年間の研修成果はレポートで会社に提出する。
帰国後は、現地法人の駐在員として再び現地に派遣される可能性が極めて高い。
赴任後は、1年間の経験をベースに地域専門家としてさらに磨きをかける。


 こんなエピソードもある。インドネシアに派遣された社員が現地の大富豪の
ご令嬢と知り合い結婚。
サムスンを退社することなく、研修後に帰国。
再び現地駐在員として赴任。妻の実家の人脈を駆使して、
サムスン製品のシェアを一躍ナンバー1に押し上げたという。

 現地に密着し、地域専門家たちが築き上げた情報インフラは米国の
CIAに匹敵するほど膨大の量に上ると言われる。

 現地で生活している人たちがどんな商品やサービスを欲しているのか、
それを嗅ぎ分ける嗅覚も研ぎ澄まされてくる。
人々が求める商品のヒントやアイデアいち早く探り出し、それを生産部門に
フィードバックし、現地最適の商品を生み出すという戦略的マーケティングの
重要な役割を地域専門家が担っている。

                          (溝上 憲文)

                                 
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 ■■■ 増加一途の業務上精神障害 ■■■ 
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 厚生労働省が6月21日に発表した平成24年度

「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」は、脳・心臓疾患に関する過重な仕事
で発症する過労死の状況とともに、精神障害に関する事案の労災補償状況をまとめ
ている。

 平成24年度の精神障害による労災補償状況は、
請求件数が1,257件で前年度を15件下回っているものの、
平成20年度927件の35%増、
決定件数をみると、1,217件で前年度を43件上回り、
うち業務上と認定(支給決定件数)されたのは475件で前年度を150件上回ったどころか、

平成20年度を76%増となり、全体の決定件数の39%を業務上事案が占めている。

 業務上の精神障害の決定件数を業種別にみると、
製造業206件、卸売業・小売業204件、医療・福祉179件、運輸業・郵便業114件など
の業種で多い。

 さらに職種別の業務上決定件数をみると、
事務従事者304件、
専門的・技術的職業従事者284件、
販売従事者154件、サービス職業従事者141件、
生産工程従事者131件などの職業で多い。

 年齢別の決定件数では、
19歳以下15件(うち自殺4件、以下同じ)、
20〜29歳238件(51件)、
30〜39歳372件(51件)、
40〜49歳379件(53件)、
50〜59歳165件(37件)、
60歳以上48件(7件)となっている。

いわゆる働き盛りと言われる30台、40台の件数が多く、
特に40台の決定件数は前年度を81件、27%増となっている。

同じく年齢別の支給決定件数(業務上認定)は、
19歳以下4件(1件)、
20〜29歳103件(20件)、
30〜39歳149件(23件)、
40〜49歳146件(31件)、
50〜59歳50件(11件)、
60歳以上23件(7件)と、精神障害の全体の決定件数と、
業務上と認定された支給決定件数は同じ傾向となっている。


 調査はさらに精神障害の時間外労働時間数(1か月平均)別支給決定件数も
明らかにしているが、ここでは長時間労働がそのまま精神障害の支給決定の
多寡に結びつかないという結果になっている。

 支給決定件数を時間外労働時間数別に多い件数から記すと、
20時間未満97件(うち自殺3件、以下同じ)、
その他(労働時間と関係なく明らかな業務上認定)84件(7件)、
100時間以上120時間未満66件(17件)、
120時間以上140時間未満46件(15件)、
160時間以上46件(14件)、
80時間以上100時間未満32件(7件)となっており、
この傾向は前年度と同様である。

「20時間未満の支給決定件数と年齢別傾向は直接は把握していないが、
20台の支給決定件数が103件と多いことと関連しているのでは」
(厚生労働省職業病認定対策室)と、
長時間労働は精神障害の増加の一つの原因でしかないと分析している。

 精神障害の出来事別の支給決定件数をみると、
「特別な出来事」(心理的負荷が極度)84件(うち自殺16件、以下同じ)、
「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」59件(19件)、
「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」55件(10件)、
「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」51件(2件)、
「(重度)の病気やケガをした」45件(3件)、
「上司とのトラブルがあった」35件(6件)、
「1か月に80時間以上の時間外労働を行った」32件(8件)、
「セクシュアルハラスメントを受けた」24件(0件)となっており、
業務上による精神障害は「事故や災害の体験」を別として、
「仕事の量・質」や「対人関係」に大きく起因する実態を明らかにしている。



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 ■■■ 東京労働局の「いじめ・嫌がらせ」相談は12.5%増 ■■■ 
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 東京労働局が5月31日に発表した平成24年度個別労働紛争解決制度の施行状況によると、
労働関係法上の違反を伴わない民事上の個別労働紛争に関する相談は
2万5,942件(全国25万4,719件)で、
そのうち「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は5.835件(全国5万1,670件)で、
個別労働紛争相談は「解雇」の20.9%に次ぐ19.5%を占めた。

ちなみに全国集計では「いじめ・嫌がらせ」事案が一番多く17.0%を占めた。

東京労働局の「いじめ・嫌がらせ」事案は前年度12.5%増といった実態である。

 ハラスメント関係では、同じく東京労働局雇用均等室がまとめた
平成24年度男女雇用機会均等法などの施行状況調査によると、
雇用均等室への労働者からの相談2,862件のうち、
セクシュアルハラスメントに関する相談は1,100件(38%)を占めている。
事業主からの相談を含めると、相談件数3,146件のうち1,564件と
半数を占めているが、事業主とて、自分の事業所に事案が発生していなければ
相談に来訪することもないだろうから、雇用均等室での労働相談の半数は
セクシュアルハラスメントに関する相談と言える。

 業務中に負傷した従業員に負傷後も他のラインのスタッフと比較して過酷な
作業を割り振る、店長から業務のことで馬鹿呼ばわりされ何度も頭を叩かれる、
採用されてから長期にわたる職場の上司からの暴言、差別を受けたことから
精神的な限界状態になった―いずれも厚生労働省が発表した事例で、
日常の事業所では起こりうる事例である。

 パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントは何も経営者と労働者という
縦の線だけでなく、むしろ職場内の同僚、中間管理職から逃げ場のない中小企業
で発生することが多い。
その意味で、前出の厚生労働省、東京労働局の調査において、
規模別、性別の調査項目が導入されることが望ましい。
 
                            (津山 勝四郎)


編┃集┃後┃記┃
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先月23日、沖縄戦慰霊の追悼式で、小学校1年生の安里有生くんが
「へいわって すてき」の詩を朗読しました。

 へいわってなにかな。ぼくは、かんがえたよ。
おともだちとなかよし。かぞくが、げんき。
えがおであそぶ。
・・・・・・

 と、普通の日常生活の中に平和があると語っています。

毎日忙しく言動に余裕がありませんが、ちょっと視点を変えると、
心が和み、人にも優しくなれること、そしてその輪が広がっていくことが
平和に繋がることに気づかせてくれました。


平成25年度新入社員の「働くことの意識」調査結果(日本生産性本部)が
発表されました。
就労意識の上位5位までは、

第1位 社会や人から感謝される仕事がしたい        95.7%
第2位 仕事を通じて人間関係を広げていきたい       95.6%
第3位 どこでも通用する専門技術を身につけたい      88.9%
第4位 高い役職につくために、少々の苦労はしても頑張る  86.0%
第5位 終身雇用ではないので、会社に甘える生活はできない 84.9%

この調査結果を見ると、新入社員の積極的な姿勢がうれしく思います。

この意識を持ち続け、難題にぶつかっても諦めないチャレンジする姿勢があれば、
仕事の習得も速く、早い段階でキャリア形成が確立できます。

まずは、日々の仕事を通してコミュニケーションの取り方、
報告・連絡・相談の仕方、大きな声と笑顔で積み上げていただきたいです。

上司・先輩達は、新入社員の一生懸命頑張る姿を見ると応援したくなります。

                                  (白石)



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 発行者  雇用システム研究所 
 代表 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
 アドレス:info@koyousystem.jp

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 今週のメールマガジン第135号はいかがだったでしょうか。  
お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。 
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次回の配信は8月初旬頃情報を送らせて頂きます。

e-mail: info@koyousystem.jp 

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