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最新コア人材育成法(7)
     〜韓国・サムスン電子の人事処遇制度(下)〜

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
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                                   2013/08/01

           http://www.koyousystem.jp
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早くも8月。
突然の集中豪雨など気象の変化など心配なこの頃。
湿度が高く寝苦しい日々が続いています。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第136号をお送りします。

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  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥
  
 ◆ 最新コア人材育成法(7)
〜韓国・サムスン電子の人事処遇制度(下)〜

  ■最高1億5000万円のインセンティブ
  ■年俸差2〜3倍に拡大
  ■一億円の昇給幹部と500万円の一般社員           
       
                       (以上執筆者 溝上 憲文)

  ■第12次労災防止計画を展開  
  ■労働安全衛生法の改正への環境整う
  ■秋の臨時国会での成立目指す

            (以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)

  ■[編集後記]               (編集長 白石 多賀子)

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◆最新コア人材育成法(7)
  〜韓国・サムスン電子の人事処遇制度(下)〜

 かつては昇格・昇進の年次制限を設けて同期に一律の研修を施し、
じっくりと育て上げる教育法が主流であった。
だが変化の激しいビジネス環境や海外との競争に対応するために、
選抜型の経営人材の育成が加速している。

お隣の韓国でも同様の取り組みが進んでいる。昨年9月にサムスン電子を訪問し、
育成の現場を取材してきた。

前回に引き続き、今回はサムスン電子のコア人材を生み出す
人事処遇制度の仕組みを紹介する。


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 ■■■ 最高1億5000万円のインセンティブ ■■■ 
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 サムスン電子の人事処遇体系は、日本企業と同じような「職能資格等級」を基軸
としていた。

だが、そうした従業員家族主義的経営も1997年の通貨危機以降に変化し、
給与体系も年俸制に転換した。98年には課長以上に年俸制を導入し、
99年には大卒入社の社員まで拡大された。年俸制により、
能力給の号俸テーブルを廃止したことで定期昇給制度がなくなり、
人事考課による業績昇給部分が拡大された。

 2000年には部門ごとの利益配分制度を導入すると同時に、
「コア人材インセンティブ制度」も導入され、
固定給割合が減少し、変動部分が大幅に増えた。

具体的には、基本給60%、能力給40%の固定年俸(契約年俸)がベースとなり、
賞与を含めた個人、組織インセンティブが加わる仕組みだ。
その格差はとんでもなく大きい。

 賞与は基本給の最大200%が支給され、能力加給がマイナス15%から130%まで幅がある。さらにS級と呼ばれる外部の優秀な人材を招くための手段として用いられている「コア人材インセンティブ制度」もある。

こちらは500〜1億5000万円までの間で支給される。

また、組織業績によって支給されるインセンティブとして基本給の0〜300%、
固定年俸の0〜50%の範囲で支給する制度も設けている。


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 ■■■ 年俸差2〜3倍に拡大 ■■■ 
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 こうした仕組みの導入で優秀な社員とそうでない社員の年俸差は2〜3倍まで
広がる状況になっているという。

加えて、コア人材インセンティブも考慮すると、サムスン電子の金銭的報酬水準を
持ってすれば、採用できないコア人材はいないとまで言われているほどだ。

 では実際にどのくらいの給与をもらっているのだろうか。

最近会ったサムスングループ企業の元幹部は給与制度の仕組みについてこう語ってくれた。

「社員は主任までの平社員と次長・部長などの幹部職、それと事業部門の専門経営者と
呼ばれる社長・副社長・専務などの3つに分かれます。
給与は固定給と個人や部門の業績給の変動給に分かれますが、
上にいくほど固定給の割合が小さく変動給が大きくなっていく仕組みです。
専務以上の上級役員の固定給は5000万円ぐらいですが、
営業利益は着実に伸びているので変動給が同じ額の5000万円。
年収1億円は確実にもらっていると思います」


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 ■■■ 一億円の昇給幹部と500万円の一般社員 ■■■ 
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 では次長、部長クラスの幹部職はどうだろうか。元幹部によると、
固定給はそれほど高くなく500〜600万円という。

しかも業績が悪いとその額しかもらえないという厳しいものだ。

「しかし、部門業績が好調なので2倍の1000〜1200万円程度はもらっていると思います。
ただし、好調なスマートフォン部門を除けば、1000万円を切る幹部も多いでしょう。
一般の社員は個人差も大きいが平均でもせいぜい年収500〜600万円だと思います」

 この金額は日本の大手企業の平均と比べても低い水準だ。サムスンでは高い
年収をもらうには成果を上げて誰よりも早く昇進し、上の役職に就くことだという。
だが、競争に勝ち抜くのは至難の技であるのも事実だ。

「サムスンに入社して幹部になるのは5000分の1の確率と言われます。
社員から課長代理になるまでに3年間、代理から3〜6年で課長になるといった
ルールがあり、そこから外れると昇進が遅くなります。

40代半ばに部長、50歳で役員にならなければ、一生、若い幹部の下で働くことになります。

しかも新卒の同期だけではなく、外部の優秀な人材を幹部候補として招くので、
その人たちとの競争にも勝たないと昇進できません」

 業績は絶好調でも全員が恩恵を受けるわけではない。
社内の競争を勝ち抜いた人だけが高額の報酬を得られるというのがサムスンの仕組みである。

 ちなみにサムスンには職級別滞留年限が決まっており、
この年限を超えると昇進が難しくなる仕組みになっている。

一般的にサムスンには“45歳定年説”があるとされる。

45歳までに部長以上の幹部になれなければ、昇進が難しくなることから、
潔く退社していく人が多いのだという。

                              (溝上 憲文)

                                 
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 ■■■ 第12次労災防止計画を展開 ■■■ 
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 旧聞に属するが、厚生労働省は今年3月8日付けで第12次労働災害防止計画を
策定し公示した。

 この計画は平成25年度から29年度までの5年間において労働災害を減少させるために
国が重点的に取り組む事項を定めた中期計画で、
既に各専門紙誌が取りあげているので詳細は省略するが、

(1)重点対策ごとに数値目標を設定
(例えば小売業20%減、メンタルヘルス取組率80%以上など)、

(2)第3次産業に焦点をあて、特に小売業、社会福祉施設、
飲食店に対する集中的取組みを実施する、

(3)死亡災害に対し重点を絞った取組みを実施する、

など3項目を重点対策として、

計画の全体目標として、平成29年度までに、
労働災害による死亡者数を15%以上減少(平成24年比)させることと、同じく死傷者数(休業4日以上)を15%以上減少(同)させること、の二つの目標を設定した。

 さらに重点施策として、

(1)労働災害、業務上疾病発生状況に合わせた対策の重点化、

(2)社会、企業、労働者の安全・健康に対する意識改革の促進、

(3)発注者、製造者、施設等の管理者による取組強化、

など6項目の施策を掲げ、第3次産業対策として、
小売業の実態に即した安全衛生管理体制の構築や、
大規模店舗・多店舗展開企業を重点とした労働災害防止意識の向上を
めざすこと、
健康確保・職業性疾病対策としては
メンタルヘルス対策、
健康診断の実施と事後措置などの健康管理の徹底、
化学物質の有害性情報の収集、蓄積、共有する仕組みの構築、
受動喫煙防止対策など、現行の労働安全衛生法の改正を
視野に置く対策を盛り込んでいる。

 また、社会、企業、労働者の安全・健康に対する意識変革の促進策としては、
経営トップに対する意識付け、労働者の安全や健康に影響する項目を
総合的・客観的に評価する指標を開発し、
専門家による評価の結果で良い評価を得た企業を積極的公表する一方、
重大な労働災害を繰り返して発生させ、改善が見られない企業について、
企業名等を公表するなど、ここでも現行の労働安全衛生法の改正を視野に
置いている。

 厚生労働省の平成25年度予算をみると、
労働者が安全で健康に働くことができる職場づくり対策として77億円計上され、内訳として前出の第3次産業を主とし
た業種別対策として4億円、
化学物質対策として数10億円、
メンタルヘルス対策として31億円、
職場での受動喫煙防止対策として9億円などの予算措置がとられている。

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 ■■■ 労働安全衛生法の改正への環境整う ■■■ 
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 厚生労働省は平成22年12月に労働政策審議会からの
「今後の職場における安全衛生対策について」の建議を受け、
平成23年12月に「労働安全衛生法の一部を改正する法律案」を臨時国会に提出した。

 改正法案の概要は、メンタルヘルス対策の充実・強化
(検査の義務付けと、事後の面接指導の義務付け)、
粉じん濃度が高い作業に従事する労働者への保護用具の追加、
受動喫煙防止対策、が骨格となっていた。

 改正法案は臨時国会の会期末により継続審議となり、この間、
平成24年の通常国会期間中に成立への条件整備となっていた受動喫煙防止対策部分が
与野党間で修正の動きとして事実上の削除で合意され、平成24年の通常国会
(9月まで延長)で提案理由説明まで行われたが9月の会期末により継続審議。
そしてその年の臨時国会でも“あと1日あれば”というところまでで、
例の野田総理の解散発言による11月解散により廃案となり、先の通常国会には、
改正法案の見直しを行うため未提出となっていた。

 修正部分となっていた受動喫煙防止対策については、
平成25年度の予算措置として喫煙防止対策のための助成金制度が拡充され、
対象事業主をすべての業種の中小事業主に拡大するとともに補助率を費用の
4分の1から2分の1に引き上げる(上限200万円)ことで、5月16日から既に
施行されており、12次労災防止計画に盛り込まれた
「平成29年度までに受動喫煙を受けている労働者の割合を15%以下とする」
目標の達成を図る。


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 ■■■ 秋の臨時国会での成立目指す ■■■ 
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 労働政策審議会安全衛生分科会は4月から精力的に昨年廃案となった
改正法案に変わるべく改正労働安全衛生法の成案作りに着手しており、
その基準構想として3月に公示された12次労災防止計画を取り出し、
特に改正の目玉と位置づけられる安全・健康に対する意識変革を促進するための
取組みとしての、労働環境水準の高い企業の公表と優遇措置の内容、
法令違反により重大な労働災害を繰り返して発生させた企業に対して
企業名公表を含む改善方策のあり方、労働環境水準の指標化、
などが改正法案に盛り込まれる。また、現行法では、法令で義務づけられる
企業における安全衛生管理体制が業種により差があることと、
事業場単位とされていることについて、企業の実態に応じてどう改正していく
べきかが議論されている。

 厚生労働省の資料によれば、平成21年から平成23年の3年間で、
同じ企業で同じような死亡災害が複数発生した事例は10社以上、
過重労働による健康障害を複数件発生した事例は約20社、
同じく精神障害が複数発生した事例は約30社となっている。

つまり、個別の事業場、事案ごとの対応だけでは、
災害の発生を未然に防止するのに不十分だということ。
 安全衛生分科会は検討項目として、胆管がん問題の発生を踏まえた
化学物質管理のあり方、機械の回収・改善の対象範囲と違法な機械の公表、
第3者に施設等を使用させる際の施設等管理者の安全衛生管理責任のあり方、
規制・届出について実態に合った見直し、なども改正法案に盛り込むべく
審議を重ね、秋の臨時国会に労働安全衛生法の改正法案を
国会に提出する予定にしている。


 6月28日まとまった「産業保健を支援する事業のあり方に関する検討会報告書」
では、職場の産業保健活動を支援するため、かつて費用対効果、利用者数などから

“金食い虫”

とまで言われた産業保健推進センター事業の、
事業の一元化による新たな産業保健事業を構築すべく、
平成26年度予算の概算要求に事業予算を計上するとともに、
今後の課題として、産業医や衛生管理者の選任基準の見直しも提言している。


 労働行政全般のここ1年の政策課題をみると、職業安定行政では労働者派遣法と
雇用保険法の見直し、雇用均等行政では、
パート労働法と男女雇用機会均等法の見直し、労働基準行政では安全衛生体制の
見直しと限定正社員制度の設計、職業能力行政では非正規労働者と若年労働者の
能力開発の再構築など課題が山積しており、安定国会となる秋からの国会審議から、
どの施策を優先して実行していくかである。

 厚生労働省は7月2日の幹部異動で職業能力開発局長と安全衛生部長に
それぞれ行政に精通している二人を配置し、課題を抱える職業安定局長と
労働基準局長、派遣・有期労働対策部長を留任させた。

大臣官房と雇用均等部局の弱さがやや気になるが、
新体制で秋の臨時国会、来春の通常国会を乗り越えていくことになる。

                              (津山 勝四郎)


編┃集┃後┃記┃
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 7月最後の土曜日夜、東京の各地で夏祭りが開催されましたが、
突然の雷雨に見舞われ隅田川花火大会等が中止となりました。

この地・神楽坂のお祭りの阿波踊りも開催途中で中止となり、
数ヶ月前から練習を重ねてきた努力と観客にお披露目の楽しみが
残念な結果となりました。

今夏は、東北は大雨が続き、各地で大雨による水害が発生しています。

一方、関東では利根川水系のダム貯水量の減少により取水制限が発表され、
水不足が心配の日々です。
天候の異変は世界各地から伝えら地球環境の悪化のようです。
ただ、ただ、大雨等による被害発生がないことを祈るのばかりです。

今週、中国の労働保障監察行政官(日本の労働基準監督官に相当する者)達が、
日本の労働行政を視察しに来ました。
その中の会話から2つ、

1.若年者の雇用促進に力を入れている。
2.監察官調査対象は、90%が労働者からの告発である。
  なお、日本での調査対象は、2/3は事前予防指導で残り1/3が告発とのことです。


猛暑の夏本番はこれからです。
皆様、くれぐれも熱中症、体調不良等にはお気をつけください。

                               (白石)


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 発行者  雇用システム研究所 
 代表 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
 アドレス:info@koyousystem.jp

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 今週のメールマガジン第136号はいかがだったでしょうか。  
お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。 
ご感想は info@koyousystem.jp にお願いします。

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次回の配信は9月初旬頃情報を送らせて頂きます。

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