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女性社員の活用と戦力化(3)
     〜女性の定着と活躍を促すリコーの取り組み〜

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
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                                2014/03/01

           http://www.koyousystem.jp
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寒かったり暖かかったり、春の気配を感じつつも気温の差が激しいこの頃です。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第143号をお送りします。

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  □ 目次 INDEX‥‥‥‥‥
  
 ◆ 女性社員の活用と戦力化(3)〜女性の定着と活躍を促すリコーの取り組み〜
  

  ■管理職の意識改革を積極的に推進
  ■育児休業利用率100%、復職率も100%
  ■昇進・昇格のカベを廃した「キャリアリカバリー」           
       
                       (以上執筆者 溝上 憲文)

  ■賃金引き下げに終止符を打てる?
  ■不可解な労働契約法の改正  

            (以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)

  ■[編集後記]               (編集長 白石 多賀子)

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◆ 女性社員の活用と戦力化(3)女性の定着と活躍を促すリコーの取り組み

 女性の定着と活躍を促すには、子育てと仕事の両立支援策の充実は欠かせない。
しかし制度の充実を図るのはいいが、社員の仕事に向き合う姿勢や職場の意識改革をセットで推進することなしにはワークライフバランスは実現しないし、子育てしている女性に対する理解と共感を得ることは難しい。

今回はリコーの取り組みを紹介したい。


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 ■■■ 管理職の意識改革を積極的に推進 ■■■ 
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 リコーは02年以降、性別にかかわらず、
個人の能力や成果に応じて一人ひとりが活躍できる風土を醸成するべく
「意識改革・風土醸成」を根底に据え、
「両立支援」と「女性活躍推進」の3つを掲げて取り組みを実施している。

08年からはグローバル規模の成長を目標とする中期経営計画に基づく
ダイバーシティ推進の観点から社員の意識改革を促すために意識調査の実施と
研修の徹底を徹底している。

 毎年実施する社員意識調査にジェンダーフリーの項目を導入する一方、
管理職対象の360度評価にも「性別に関係なく活躍できる場を与えているか」
といった質問を盛り込むなど“気づき”を促す活動を継続している。

たとえば全社員に向けたジェンダーフリーに関する情報発信や新任管理職研修で
の意識啓発活動をはじめ、マネージャーに向けた「女性の活躍支援ハンドブック」
の配布もそうである。もちろん部門トップの男性も例外ではない。

 事業部長クラスに対しては、個別に会って具体的な取り組みの説明を行うとともに、
女性の部下の育成で困っている点などについてヒアリングする
活動もこれまで実施してきた。


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 ■■■ 育児休業利用率100%、復職率も100% ■■■ 
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 意識の変革は当然ながら制度の浸透にも直結する。じつは同社は90年代から
「働きやすい環境づくり」に取り組んできているが、
両立支援に関しても育児介護休業法施行以前の90年に育児休業制度と
短時間勤務制度を導入している。育児休業は子どもが満2歳になるまで利用できる。

 短時間勤務制度は小学校3年生を終えるまで利用可能であり、
勤務時間は3パターンから選択できる。
また、フレックスタイム制度を導入しており、1時間の勤務短縮と組み合わせて
利用できるので十分に両立は可能だ。 
単に働く時間を短くするのではなく、できるだけ職場に復帰して働いてほしいと
いうキャリア継続の期待と両立達成の両方の観点から設計している。

 その他の施策としては社内イントラネット上で「両立支援のしおり」と題する
サイトを開設。制度の利用の仕方や利用者の体験談など幅広い情報を掲載している。

また、休職中も会社の情報サイトにアクセスできる仕組みを構築するなど復職後の
不安感解消に役立つツールにもなっている。

 また、復職後のスムーズな職場復帰を支援するために、上司向けの
「コミュニケーションガイドライン」、
利用者向けの「コミュニケーションガイドブック」を配布。
上司・利用者が復帰後の制度利用やキャリアに関して職場で話し合うツールとして
活用されている。

 同社の育児休業・短時間勤務制度の利用率は導入当初こそ50%を下回っていたが、
04年度以降は100%の利用率を達成しており、
休業後の復職率も100%を現在も維持している。
その原因は制度の充実もあるが
「ジェンダーフリーに取り組み始めた頃から利用率が向上しており、
社員の意識改革の取り組みが効果を生んでいる」(人事担当者)という。


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 ■■■ 昇進・昇格のカベを廃した「キャリアリカバリー」 ■■■ 
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 こうした取り組みの効果は男性の育児休業利用率にもつながっている。
04年度までは年間平均1人の利用にとどまっていたが、05年度以降は徐々に増え、
2012年度の利用者は対象者の13.1%に達し、育児休職の平均利用期間も
1ヶ月を超える人も珍しくない。

 その背景には2010年4月に3ヶ月以内の育児休業取得は最初の5日間を
有給にしたことも大きい。
2011年にはさらに有給期間を10日に拡大している。
2013年3月までの短時間勤務を含む男性の育児支援制度利用者は延べ116人。
2012年度は過去最高の40人が利用している。

 03年には育児による昇格遅れや育児休業取得への社員の不安感を取り除くことを
狙いとした「キャリアリカバリー」施策も導入している。

 通常、昇格の要件は過去数期の人事評価が一定の評価ランクをクリアすることが
前提となる。しかし、育児休職期間中は人事評価がつかないために、
復職後ゼロから再スタートせざるをえないという問題を抱えていた。

そのため休職期間を除外し、休職前と復職後の人事評価をつないで昇格を
決定しようというものだ。

 これによりたとえば過去2年間4期の評価で昇格候補者を決める場合、
休職前1年間と復職後の1年間をつないで評価することになり、
場合によっては復職後間もなくして昇格する人も出てくる可能性もある。

 この施策は評価を下すマネージャーの意識改革を促す意味でも有効でもある。
導入当初は各人事評価者に育児休職取得者のリストを作成・配布し、
休職期間にマークを付けて明示し、
それを見たうえで昇格推薦者を出してもらうように働きかけたという。

その結果、相当数の昇格者が発生し、男女に限らず育児休職による
キャリア継続の不安を解消する効果を生んでいる。
                               (溝上 憲文)

                            
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 ■■■ 賃金引き下げに終止符を打てる? ■■■ 
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 今年の賃上げ交渉について、連合は基本的考え方として、

@景気・物価動向と整合した国民所得向上によるデフレ脱却、
A人への投資、
B月例賃金の底上げ・格差是正にこだわる取り組み、
C非正規労働者の処遇改善、企業規模間、男女間格差の是正、
D企業規模間の賃金格差是正に向けた公正取引の推進(公契約条例の地域拡大)、
Eくらしの底上げ・格差是正につながる政策・制度の実現、の6項目を掲げている。

 連合の古賀会長は、日本労働ペンクラブとの定例会見(2月17日、連合会館)において、
「労使の役割と責任を明確にし、働く者の生活や労働条件の底上げ、
経営におけるビジネスモデルそのものを問う社会的賃金メカニズムの形成のため、
将来設計を可能にする生計費を捻出できるようにする。

そのためには、一時金の増額のみの回答では妥結できず、
各労組には回答日の早期妥結にこだわることなく、腰を据えた交渉をやっていって欲しい」
と述べた。

 3月12日の大手単組、産別労組の集中回答日から、
中小共闘の回答日となる3月24〜27日まで、
非正規、中小、地場、グループ企業など重層的で総がかりの体制を組み、
「職場からはじめよう運動」を展開していき、
特に中小企業における定昇4500円プラス賃金底上げ(ベア)5000円を目安にするという。

つまり、アベノミクスに代表される政府、財界、マスコミ先導による賃上げ容認論には
付和雷同せず、非正規労働者や中小企業労働者の格差是正に重点を置いた賃金交渉を
腰を据えて行おうというもの。

 古賀会長によると、
「円安、かけこみ需要、建設業を中心とした公共投資による今の景況を維持し続ける
ことはできるのか」ということで、
「人が人たるに値する」生活確保のための賃金獲得のため、
地道な取り組みを展開していくという。

過去10年余続いた実質賃金の引き下げに終止符を打ちたいという意気込みは、
一方で、連合会長として初めて3選を果たした責任の重さでもある。

 連合を中心とした労働組合の動向とは別に、厚生労働省が2月18日に公表した
毎月勤労統計調査平成25年分結果確報によると、現金給与総額は一般労働者で
対前年比で0.7%増、パート労働者で0.6%減であったが、
所定内給与の前年比は0.6%減と8年連続の減少となり、
所定内給与と所定外給与を合わせた定期給与も前年比0.5%減で3年連続の減少となり、
結果として現金給与総額の実質賃金指数は消費者物価指数が前年比0.5%
上昇したこともあり、0.5%減となった。

 これらの賃金指数が、3月からの賃金交渉による、
恩恵を受ける主として大企業従業員の賃金改善分が、
全体の数値にどのように寄与して上げていくのか今から注目される。

4月からの消費税アップが決定しているだけに、賃金上昇が仮に実現したとしても、
上昇分が消費に回らなければ、いわゆる「善の循環」が実現しないことになる。


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 ■■■ 不可解な労働契約法の改正 ■■■ 
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 目線を国会に移す。平成26年度予算案は2月末の衆院通過が確実視され(2月24日現在)、
年度内成立によって、3月からは衆院各委員会で各省から提出されている
個別改正法案の審議が開始される。

厚生労働省所掌の法案でも、前号でもふれたように、
次世代育成支援法、
パート労働法、
労働安全衛生法、
雇用保険法、
労働者派遣法、
そして労働契約法の改正法案
が労働関係法案として秋の臨時国会までの審議日程を考慮したうえで提出・審議される。


 そもそも、ここ4〜5年間に改正された労働法制の改正は、
自民党政権時代も民主党政権時代も、国会の両院ねじれによって、
労使の意見を不必要なまでに反映させなければ、国会での成立が見込まれなかっただけに、
今号で取りあげる労働契約法にしろ、改正を急ぐ理由が不透明な労働者派遣法にしろ、
歪(いびつ)な内容になっており、その結果として、政権交代による今国会での意図の
不明確な改正法案の提出となっている。

 労働契約法にいたっては法律創設当時から、
「一体この法律は具体的に何を労使に求めているのか。
内容、考え方が理解できないのは、考え方そのものが議論されてこなかったから」
という指摘が厚生労働省内部にもあった。昨年4月に施行された改正労働契約法では、
有期労働契約者が同一の使用者に5年以上の労働契約の継続があれば、
労働者本人からの期間の定めのない労働契約に移行することを拒むことができず、
その際、直前の労働契約による労働条件引き下げは一定の条件を除いて認められないとし、
一方で使用者が6カ月のクーリングを行うことで、
事実上は何年も有期労働契約を継続できるという曖昧な内容になっている。

改正労働契約法の適用者はまだいないうえでの今回の改正である。

 改正内容は、先の臨時国会で成立した国家戦略特別区域法の規定を踏まえたもので、
有期の業務に就く高度専門的知識を有する有期雇用労働者について、
現行の労働契約法第18条「同一の労働者との間で有期労働契約が繰り返し更新されて
通算5年を超えた場合は、労働者の申込により、無期労働契約に転換できる」ことに
特例を設け、特例の対象者には、

@「5年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務」に就く
高度専門的知識等を有する有期雇用労働者については、
一定の期間内に完了することが予定されている業務に就く期間(上限10年)、

A定年後に有期契約で継続雇用される高齢者については、定年後引き続き雇用され
ている期間、が適用される。特例の適用にあたり、事業主に対しては、
@については労働者が自らの能力の維持向上を図る機会の付与、
Aについては労働者に対する配置、職務及び職場環境に関する配慮、
などの雇用管理を実施するよう計画の作成を義務づけている。
 施行は平成27年4月1日を予定し、無期転換申込権発生までの期間と特例の対象
となる高度専門労働者は労働基準法施行規則で対応することになる。

つまり、高度専門労働者の知識等を必要とするプロジェクト業務の完了の日(上限10年)
まで、また、定年後引き続いて雇用されていない期間中は、
それぞれ無期転換申込権は発生しないことになる。


 特例の対象となる労働者の具体的要件は、現行の1回の労働契約期間の特例の
要件としての大臣告示、高年齢者雇用安定法における高年齢者雇用確保措置の
運用に基づいて定められ、事業主には計画策定が義務づけられる。

 平成25年4月から施行された無期転換ルールについては
無期転換申込権が発生する直前の雇止めついての労使の個別労働紛争が
予想される状況下での、今回の改正である。

施行までに行政機関による改正内容の、労使双方に対する徹底した周知が必要となる。


                             (津山 勝四郎)


編┃集┃後┃記┃
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 2月は想定外の大雪に見舞われ、電車・道路・空の交通網がマヒし、
孤立した地域もありました。

 皆様は大丈夫でしたか。

 昨年末に発生したマルハニチログループの冷凍食品への農薬混入事件から
2ヶ月が過ぎました。
この事件からいくつかの問題がみえます。

 1.消費者からの苦情に対し迅速な対応をしていない
 2.危機管理体制が機能していない
 3.非正規労働者の処遇 等

 ハインリッヒの法則では、1つの労働事故・災害の裏には、
29件の軽微な事故・災害があり、さらにその背景にはヒヤリ・ハットが
300件あるとされています。

 会社内の潜在的な危険性等をヒヤリ・ハットの段階で取り除くために
リスクアセスメントの実施が必要です。

 また、この事件の容疑者である契約社員の動機は、
「賃金が下がったことを含め、会社の待遇に不満があった」とのこと。

景気回復にともない企業の求人が増えました。
しかし、前年比では正社員が減少し非正規労働者が増加です。

今や、非正規労働者が企業の一部を支える重要な役割を担っています。
事件・事故を防止するためにも働きやすい環境整備を構築してみては如何でしょう。
“求める働き方”を明確にするために、評価制度や賃金制度の導入をお勧めします。

                             (白石)


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 発行者  雇用システム研究所 
 代表 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
 アドレス:info@koyousystem.jp

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 今週のメールマガジン第143号はいかがだったでしょうか。  
お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。 
ご感想は info@koyousystem.jp にお願いします。

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次回の配信は4月初旬頃情報を送らせて頂きます。

e-mail: info@koyousystem.jp 

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