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女性社員の活用と戦力化(5)
     〜自らキャリアを切り開いたGE出身の2人の女性人事部長〜

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
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                                2014/05/01

           http://www.koyousystem.jp
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青葉が美しい季節となりました。
今年のゴールデンウィークはどのようにお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第145号をお送りします。

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□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆ 女性社員の活用と戦力化(5)
 〜自らキャリアを切り開いたGE出身の2人の女性人事部長〜

■36歳で取締役人事部門長
■やりたい仕事を実現するために上を目指した
■タフな環境を通して人は育つ
■女性活躍推進の最大の柱はカルチャーの変革

(以上執筆者 溝上 憲文)

■策定された「雇用指針」の運用
■労働関係の裁判例を分析・類型化

(以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)

■[編集後記] (編集長 白石 多賀子)

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◆ 女性社員の活用と戦力化(4)女性の定着と活躍を促すファイザーの取り組み

 安部政権は成長戦略で「出産・子育て等による離職を減少させるとともに、指導的地位に占める女性の割合の増加を図る」ことを掲げ、具体的には2020年に女性管理職比率を30%にするよう求めている。

 もちろん、政府に言われなくても、今後のビジネスの成長を考えたときに、
女性の活躍抜きにはありえないことは明らかだ。
対応策として一気に二段跳び、三段跳びで昇進させる企業も少なくない。
しかしそんな上からの“促成栽培”的な手法で増やしても職場の摩擦を生み、
とうていうまくいくとは思えない。
大事なことは女性自ら好きな仕事を選び、
キャリアを切り開いていけるような環境を整備することだ。

実際に主体的にキャリアを切り開き、
転職を重ねて大きく羽ばたいている女性もいる。


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■■■ 36歳で取締役人事部門長 ■■■
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GE(ゼネラル・エレクトリック)は男女に関係なく、
成長したいという意思を持つ人を徹底してサポートし、活躍と“学び”の場を
提供することで本人の能力を最大限引き出すことに成功している企業の一つだ。

GEに一時期在籍し、今も第一線で活躍する2人の女性を紹介したい。

 1人は英製薬企業グラクソ・スミスクライン(GSK)日本法人の
取締役人財本部長の四方ゆかり氏。

今は約4000人の社員を束ねる人事の総責任者であるが、
最初のキャリアは躓きからスタートした。
大学卒業後の1987年、海外での仕事がしたくて総合商社に入社。
ところが配属先の人事部は女性をメインの戦力と考えていないことを知り、
がっかりした。

「上司に『どうして女性を海外出張させないんですか』 と聞くと
『親御さんから預かった大事な娘さんに何かあったらどうするの』と言うのです。

本気で女性をプロに育てる気がないことがわかり、転職する決意をしました」

 当時は中途採用しかしていないGEジャパンに運よく入社、再スタートを切った。

26歳の時、GEの教育プログラムの日本での導入プロジェクトに自ら手を挙げて
飛び込んだのをきっかけに人事の仕事に興味を覚えた。
29歳でGEの将来の人事リーダーを育てる早期選抜プログラムの試験に挑み、
合格後渡米。2年間の座学と本社での経験を経て、
31歳でGE横河メディカルシステム(現GEヘルスケア)の
最年少マネージャーに昇進。36歳で取締役人事部門長に就任した。
このキャリアは自分から手を挙げて築いたものだ。

「できれば人事のトップを経験したいと思い、
たまたまGEの金融部門が買収した120人の小さな会社の人事責任者の募集に
応募したのです。その後、550人規模の会社を買収し、
私が引き継いで人事・総務部長になりました。
それから古巣のメディカルの新社長から人事部長で迎えたいという話があったのです。

会社は別に社内の人間を登用しなければいけないという義務はなく、
社内、社外を含めてベストの人材を探す。
私の場合も社内転職の形でやりたい仕事に就くために自ら手を挙げて動きました」


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■■■ やりたい仕事を実現するために上を目指した ■■■
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 四方氏は20代の後半のときに人事のトップになりたいと思ったという。

なぜ、そう思ったのかについて聞くと
「今の立場でどんなに一生懸命にがんばっても仕事の範囲や責任が限られてしまう。
自分がやりたいと思うような仕事をするには責任と権限も与えられるポストに就く
しかないと思った」からだという。

もちろん、女性の誰もが上昇志向の人間ばかりではなかった。

「周りにそんな話をしてもあまり共感を得られませんでしたね。
20代の男女にとっては結婚とか違う職種に興味を持つとか出世以外の関心事が
いっぱいあります。それは今でも同じ。バリバリがんばる人もいれば、
出世はしたくない人、子供が小さい時はそっちに注力して、その後にがんばる人、
あるいは病気を余儀なくされたり、親の介護で仕事に集中できない人など様々な
事情や価値観を抱えて生きています。
そういう人たちが組織の中にいることを前提に仕組みを作っていく必要があります」

四方氏はGEを経て、その後、AIU保険の人事担当執行役員、
マイクロソフトの執行役人事本部長と会社を移動しながら人事のキャリアを
積み上げてきた。

 最近少し危惧しているのは、欧米や新興国の人に比べて日本人の女性に限らず
「目立たなくてもいいから“そこそこ”仕事をしたい」という考えを持つ人が多いこと。

その考えには落とし穴があると言う。

「昨日や1昨日と同じでよいと思っても、じつは同じではありません。
なぜなら後輩など下からがんばって追い上げてくる人が常に組織には存在するので、
同じことをしていると相対的に落ちていくのです。
出世はそこそこでよいと思っても、常に切磋琢磨して学び、自分自身に投資して
成長していかなければ、“そこそこ”でいられなくなり、居場所を失ってしまいます」


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■■■ タフな環境を通して人は育つ ■■■
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 もう1人は日本マイクロソフト執行役人事本部長の佐藤千佳氏。

新卒後日本の大手電気メーカーで9年間働き、その後ニューヨークに滞在。
1996年にGEジャパンに入り、人事部門に勤務した後、
2011年にマイクロソフトに移った。
GEでは人事担当として6社の買収案件に関わった。

「買収合意する前から相手の会社や人材を分析し、GEの文化や仕組みを
どのようにして説明していくのかというプランを立て、
ゴーサインが出るとすぐに行動できるようにします。
当然、バックグラウンドが違うので摩擦も起こりますが、良い意味での突然変異
というか人が成長していく過程を見るのは非常に楽しかったですね。
普通ではないタフな環境を通して人は育つことを実感しました」

 合併人事だけではなく、バラバラだったグループ企業の就業規則や
人事制度を統一するプロジェクトにも参画し、グループ企業間を社員が異動する
仕組みを構築した。

「トップ層の異動だけではなく、その人の将来の育成やビジネスの短期、
中長期の目標を達成するために、どういう人をどのタイミングで動かすべきか、
グループの人事と議論しながら決めます。
ビジネス間をまたいだ人の育成の重要さを学びました」

 そして自身も15年勤務したGEからマイクロソフトに移動する。
正直不安もあったというが
「GEで学んだことがどのように活かせるのか、チャレンジしたい気持ちもありました。

移ってもできるというより、できないところに入って自分ががんばることで、
GEで少し慣れてしまっている自分を成長させてくれるかもしれない
という期待がありました」と語る。


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■■■ 女性活躍推進の最大の柱はカルチャーの変革 ■■■
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 安住を求めるのではなく、あえて自分を厳しい環境に置き、
会社の中で変革を起こす、変化の中にいることが好きだと言う。

「つらいこともあるとは思いますが、つらいことは逆にすごく自分が吸収できた
ということでもあり、時間が経つと一番懐かしい思い出に変わっていることが多い」
と語る。

 目下、精力的に取り組んでいるのが女性の活用などダイバーシティの推進だ。
経営方針の1つに掲げ、社内に男女混成の3つのチームをつくり、
女性活用の視点から様々な取り組みを実施している。

「女性の活躍を促すには3つの柱が不可欠です。
一つは在宅勤務などの制度面の改革、
もう一つは時間と場所など多様な人材が多様な働き方ができることを支える
ITを駆使したインフラ、最後がカルチャーです。

いくら制度が充実し、ITが発達しても、なんとなくそれを使うことが許されない
ような職場の雰囲気などカルチャーを変えていくと、
フレキシビリティが高まると思っています」

 女性の活躍を推進するために2人が今、積極的に取り組んでいるのは、
男性の意識を含めた組織文化の変革と女性のキャリア意識の底上げである。
自らの経験を踏まえた彼女たちの取り組みの成果を今後も注目したい。
                              (溝上 憲文)
                            
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■■■ 策定された「雇用指針」の運用 ■■■
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 4月1日に施行された「国家戦略特別区域法」(以下、特区法)では、
新規開業直後の企業及びグローバル企業などが、
日本の現行の雇用ルールを的確に把握・理解し、
労使紛争の予見可能性を高めることによって、
紛争を生じることなく事業展開することが容易となるよう、
「雇用指針」が定められることになり、この「雇用指針」については、
国が定めた国家戦略特別区域ごとに国、地方、民間の三者により組織される
国家戦略特別区域会議の下に設置される「雇用労働相談センター(仮称)」において、
グローバル企業等や労働者からの要請に応じた雇用管理や労働契約事項に関する相談
にあたり活用されることになっている。

 特区法第87条では、個別労働関係紛争の未然防止等のための事業主に対する
援助として、

「国は国家戦略特別区域において、個別労働関係紛争を未然に防止すること等により、
産業の国際競争力の強化又は国際的な経済活動の拠点の形成に資する事業の円滑な
展開を図るため、区域内において新たな事業所を設置して新たな労働者を雇い入れる
外国会社、その他の事業主に対する情報の提供、相談、助言その他の援助を行う」

と規程され、同条の第2項では、

「情報の提供、相談及び助言は、事業主の要請に
応じて雇用指針(個別労働関係紛争を未然に防止するため、労働契約に係る判例を
分析し、分類することにより作成される指針で、特別区域会議の意見を聴いて
作成されるもの)」となっている。

 つまり、策定された「雇用指針」は、現行の個別労働関係紛争法に基づく
総合労働センターが主に労働者に対するセンターとして、
国(都道府県労働局の労働基準監督署)、都道府県社会保険労務士会、
一部を除く道府県労働委員会に設置されているのに対し、
特区法に基づく特別区域に設置され、労働者というより、
事業主向けの労働相談センターと位置づけられている。

センターの運用主体は、厚生労働省が主体となるが、現行の総合労働センター
のように、出先機関が窓口となるのではなく、
同省が自治体や関係団体を通して、事業主からの相談に応じる体制をとる。

 特別区域に指定された(4月25日に閣議決定)福岡市や大阪府・兵庫県・
京都府と神奈川県はほぼ全域が対象地域となるが、
東京都は千代田、中央、港、新宿、文京、江東、品川、大田、渋谷の9区のみが
対象地域となった。東京都の指定地域が限定されたのは、外国企業にしろ、
新規参入企業にしろ、設立地域は限られるだろうとの、
都側の意見が尊重されたことによるが、民間議員は全域指定を主張している。

 特区法の施行に基づく現行の労働契約法の見直しとなる
「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」は既に成立し、
平成27年4月から、契約期間の上限が5年から10年に延長される。


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■■■ 労働関係の裁判例を分析・類型化 ■■■
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「雇用指針」の基本的考え方は、典型的な日本企業に多くみられる内部労働市場型
の人事労務管理と、外資系企業や長期雇用システムを前提としない新規開業直後の
企業に多くみられる外部労働市場の人事労務管理の相違
(概して後者の人事労務管理は日本の労働法制を理解しようとせず、
大胆な人事労務管理を行っている)を考慮することがあると指摘した上で、
日本の解雇をめぐる紛争解決の実情も紹介している。

 また、各論においては、グローバル企業の関心の高い項目、紛争が生じやすい
項目を中心に裁判例を類型化し、関連する法制度、裁判例を紹介するとともに、
労働関係紛争が生じやすい解雇については、外部市場型の企業が管理職や
高度専門職で相応の処遇(年棒を含む)を受けている者を解雇する場合に、
解雇事由、解雇に至った場合の手続き、相応の金銭の支払い、再就職支援等に
ついての労働契約や就業規則の定め・運用について助言を行っている。

 「雇用指針」では総論の結論として、日本においては行政機関への相談件数を
みて、解雇について紛争に至った場合でも訴訟で争われる事案は比較的少ない上、
訴訟に至った場合でも、実際に判決に至る事案は少なく、多くは和解手続による
金銭の支払いと引き替えに労働者が合意解約するなど、柔軟な解決が図られており
(第1審通常訴訟における金銭に関する訴え以外の解雇等の訴えは、
新受件数926件、和解437件(平成23年))、
最終的な判決に至った事案では、認容判決と棄却・却下判決の割合は、
ほぼ同程度であると指摘している。

 各論から主な労働契約の展開をみると、懲戒解雇については、裁判所における
使用者の権利濫用の判断については、普通解雇よりも厳格に判断されるとし、
一般的に、服務規律違反は、制裁としての労働関係からの排除を正当化するほどの
程度に達していることを要するとまで言い切っている。

 また労働契約の終了となる解雇事由については、労働契約法第16条の
「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、
その権利を濫用したものとして、無効とする」を明記し、
「客観的に合理的な理由」を分類し、参考となる裁判例を例示すとともに、
紛争を未然に防止するための助言を行っている。

 さらに、特別な事由による解雇制限等、定年制について退職勧奨、雇止め、
退職願の撤回(合意解約の申込みとしての退職願について、
使用者の承諾の意思表示がなされるまでの間は撤回できるとした)などの事例も
裁判例とともに紹介されている。

 グローバル企業等や新規開業直後の企業の使用者だけでなく、
企業規模や雇用する労働者数に関係なく、いま企業経営を行っている、
特に中小企業や零細企業のワンマン経営者に目を通してもらいたい内容として、
「雇用指針」の内容に、裁判例に加えて実際の運用事例を加えた冊子として
配布していただきたい。

                            (津山 勝四郎)


編┃集┃後┃記┃
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  皆様は、GWをどのようにお過ごしになりますか。
 カレンダーどおりにお仕事でしょうか。年次有給休暇を取得して旅行でしょうか。
 
 日本生産性本部は、「第14回日本的雇用・人事の変容に関する調査」
の結果を発表しました。

見出しが、「仕事と賃金がミスマッチの年齢層、『50歳代』が4割」です。

 この調査は、上場企業の人事労務担当者を対象に実施されましたが、
企業規模にかかわらず「仕事と賃金がミスマッチ」の対応相談は増加しています。

 調査の中で、「業務内容や成果・貢献度に比べて賃金水準が見合っていない
(賃金水準が高い)正社員」は正社員の平均20%でした。

 上場企業のため平均20%と推測しましたが、
仕事柄、中小企業ではもう少し高いと思います。

 人材サービス会社は、企業は業績が回復しても求める人材の質を厳しく
判断する傾向は変わらないとして、転職希望者のスキル向上を支援して、
転職者と求人企業のミスマッチ解消に役立てようとしています。

 社会経済の変化が激しい昨今、「昔取った杵柄」は通用しなくなり、
日々スキルを磨かなければなりません。

 スキルアップとやる意欲を引き出す教育研修の環境整備が求められています。
                            (白石)


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発行者 雇用システム研究所
代表 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp

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今週のメールマガジン第145号はいかがだったでしょうか。
お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。
ご感想は info@koyousystem.jp にお願いします。

「こんな記事が読みたい!」というリクエストも、遠慮なくどうぞ。

次回の配信は6月初旬頃情報を送らせて頂きます。

e-mail: info@koyousystem.jp

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