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深刻な社員の介護問題と企業の取り組み(4)
     〜花王〜

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
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                              2014/12/01

           http://www.koyousystem.jp
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師走の慌ただしさを感じはじめました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第152号をお送りします。

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□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆ 深刻な社員の介護問題と企業の取り組み(4)
   〜花王〜

■全国の事業所で介護セミナーを年3〜4回実施
■介護休業は1年。経済的負担の支援制度も用意
■「花王の介護支援方針」を宣言。職場と一緒に支える
(以上執筆者 溝上 憲文)

■急がれる過重労働解消対策
■労働時間管理では依然古典的企業風土

(以上執筆者 日本労働ペンクラブ 津山 勝四郎)

■[編集後記] (編集長 白石 多賀子)

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◆ 深刻な社員の介護問題と企業の取り組み(4)
        〜花王〜

 経営者にとって中高年社員の「介護離職」リスクが現実の問題となりつつある。
総務省の就業構造基本統計調査(2013年)によると、
2011年10月から12年9月に介護・看護により離職した人が初めて10万人を突破した。
厚労省も有識者による研究会を開催。今年12月から家族の介護をしながら継続就労している人や介護離職者の実態調査をすることにしている。
企業は社員の介護対策にどのように対応しているのか、
今回は花王の取り組みを紹介する


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■■■ 全国の事業所で介護セミナーを年3〜4回実施 ■■■
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 同社の介護支援への本格的取り組みは09年の介護実態調査からスタートした。
調査の結果、実際に要介護者と同居している社員が2.4%、別居が10.4%の計
12.8%もいた。
「介護の支援制度を使っている人が少ないことから、08年に実態を知るために
厚労省の統計数値を当社に当てはめて調査したところ10年後に今の2倍の介護を
抱える人が発生するという予測が出た。実際の調査でもそれが裏付けられました。
さらに実際の介護者にヒアリングした結果、介護期間が1年以上の人が85%いる
ことや複数の人を介護している人、育児と介護を夫婦で同時にしている人など
大変なケースもあること、心理的負担も大きいことなどがわかりました」
(人材開発部)

 介護支援策の柱を心理的・時間的・経済的負担の軽減の3つに置いている。
心理的ケアでは各事業場の人事相談窓口のほか、互助会の花王ファミリー会が
契約している外部の相談機関の窓口も用意している。
2010年度からは全国の事業所で介護セミナーを継続的に実施している。
年に3〜4回開催し、すでに全部の事業所を終了し、13年度から2回目に入って
いる。

「参加者は毎年徐々に増えています。介護しているとはなかなか言い出しにくい。
繰り返し実施することで誰にでも起こる身近なものであることを知ってもらい、
隠さないで支え合う職場風土が作り出すことが大事だと考えています」
(人材開発部)

 また、3年前から新任のマネージャー研修では部下が被介護者であることを
想定したグループワークも実施している。

「部下が介護をしている場合、有給消化が増えたとか、ちょっと席を外すことが
目立ち始めたという兆候が出ます。
あるいは同僚に実家の親の具合が悪いと漏らしていることを聞いたとき、
どのように対処するかを皆で議論し、職場で支えていくことを主眼にしていま
す」(人材開発部)


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■■■ 介護休業は1年。経済的負担の支援制度も用意 ■■■
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 時間的負担の軽減は職場の受入体制と制度による支援が不可欠だ。
すでに法定を上回る制度を創設している。短期間の介護が必要な場合、
私傷病特別休暇のうち年間5日を上限に半日または1日単位で取得できる。
連続8暦日以上の休業が必要な場合、年40日(勤続10年未満かつ30歳未満の人は
20日)を上限に取得が可能だ。

 長期にわたる介護が必要な場合は最大1年間の看護休職が取得できる。
ただし、法定の93日を超える場合は原則無給となる。
仕事を継続しながら介護をする人のために、1年間1日2時間の範囲内で勤務時
間の繰り上げ、繰り下げができる時差出勤、1年間1日2時間を上限に勤務時間
の短縮が可能な勤務時間短縮制度も用意している。
そのほか、一定以上の時間外勤務の制限や深夜勤務免除の制度もある。

 経済的負担の軽減策は花王ファミリー会や花王健康保険組合が中心に実施して
いる。
介護保険の要支援・要介護認定を受けた場合、
1人につき3万円の見舞金を給付している。
また、ケガ・病気・高齢による介護の居宅サービスを全額本人負担で利用し、
会員本人がその費用を支払った場合に、各サービス利用料の60%を補助する制度
(上限年間54万円)のほか、ホームヘルパーを利用した場合に利用料金の
60%(上限1日5000円、年60日)を補助する制度もある。


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■■■ 「花王の介護支援方針」を宣言。職場と一緒に支える ■■■
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 2013年10月には独自の「介護ハンドブック」を発行し、社員に配布している。
制度の説明以外に介護と仕事の両立を支援するためのケアプランの作成手続きな
どの細かい内容を盛り込んでいる。その中で「花王の介護支援方針」をこう謳っ
ている。
<介護の状況はさまざまであり、当事者が主体的に対応すること(自助努力)が
基本です。しかし介護の負担は重く、仕事との両立に支障をきたすことがあるた
め、社員が仕事と介護を両立しながら、業務において能力を発揮し続けられるよ
うに、会社は本人の自助努力を支援します。

また、周囲が介護責任を負う社員の事情を理解し、「お互い様意識」を持って
支援することが大切であり、会社はこのような環境整備に努めます。>

 現状では制度の利用者は少ないという。
同社としては誰にも相談できず、一人で介護に悩んでいる人に声を上げてもら
い、本人と職場・会社が一体となって支援していこうとの思いがある。
今後も「介護に対する社員の理解の浸透を図るために継続的に取り組んでいく」
(人材開発部)方針である。               (溝上 憲文)
                            
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■■■ 急がれる過重労働解消対策 ■■■
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 東京都産業労働局が平成26年度上半期の労働相談状況を
まとめて公表している。

 都内6カ所の労働相談情報センターにおける労働相談は上半期で2万6977件、
対前年同期比5.3%増と引き続き高い水準となっており、相談項目(複数回答)
ではさらに10.7%増となっている。

 相談項目別では、労使合意に基づく雇用契約の終了(退職勧奨や退職強要を含
む)となる「退職」が10.9%、
使用者の意思による合法的な雇用契約の終了となる「解雇」が8.7%、
そして増加傾向が依然と強い「職場のいやがらせ」が8.5%と続き、
「労働契約」が7.3%、
「賃金不払」が6.7%となり、
「職場のいやがらせ」については、前年同期比23.9%増の大幅増。
その結果として、
メンタルヘルス不調者に係る労働相談も前年同期比14.6%増となっている。
メンタルヘルス不調者については、「休職・復職」に関する労働相談が
全体の15.9%を占め、対前年同期比50.1%の大幅増となっている。

関連する労働福祉分野で「健保・年金」の労働相談が全体の8.6%、
対前年度比55.3%増となっていることについて、
調査報告は「心の健康を損なうことに起因する通院・服薬及び就業困難等が一
因」と分析している。

 ほぼ同時期に厚生労働省が実施(11月1日)した
「過重労働解消相談ダイヤル」と9月1日から実施していた
「労働条件相談ほっとライン」の相談結果が公表された。

電話相談280件、ほっとライン3142件の集計で、ここでの集計では、
賃金不払残業17.1%、長時間労働・過重労働が12.9%となっている。


 公表された相談事例から具体例をあげると、「長時間・過重労働」では、
1ヵ月100時間を超える残業をしているが、36協定の上限を超えた時間は翌月に
計上される、労働時間の管理がされていない、1ヵ月100時間を超える残業をして
いるが、
医師の面接指導が行われておらず、ストレスが原因でうつ病と診断された、
会社が依頼先からの仕事を断れないため長時間労働の連続となっており、
1ヵ月平均160時間程度の残業をしている、人事部門のチェックにより
上司が注意されたが、一向に改善されない、等の情報が寄せられ、
「賃金不払残業」では、残業時間の途中でのタイムカードの強制打刻といった
古典的な労働時間改ざんから、固定残業代が実際の残業時間に応じた手当に
達していない、出勤日の改ざん、そもそも残業手当を払う賃金体系になっていな
い、残業をしているが上司への申請が認められ

ず残業手当が支払われない、
夜10時以降の労働時間のシステム入力ができない、労働条件通知書に残業手当は
一切支払わないと明記されている、等の相談が寄せられている。

 労働者からの一方的で恐らく匿名の情報が相当数占めるのだろうから、
寄せられた情報が全面的に事実と立証されることにはならないにしろ、
経営者の一部に労働者の権利を無視・軽視した雇用条件で過酷な労働を強要して
いる実態を垣間見ることはできる。



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■■■ 労働時間管理では依然古典的企業風土 ■■■
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 民間企業における就労条件を明らかにする政府の公式調査となっている「平成
26年就労条件総合調査」が11月13日に厚生労働省から公表された
(常用労働者30人以上、6140企業抽出、4271企業有効回答)。

 調査によると、1日の所定労働時間は、1企業平均7時間43分、
労働者1人平均7時間44分、週所定労働時間は同じく39時間29分、
39時間05分となっている。
完全週休2日制を採用している企業は46.9%だが、
産業別では宿泊業・飲食サービス業では31.9%、
生活関連サービス業、娯楽業では36.8%と低い数値となっている。

 年次有給休暇の取得状況をみると、平成25年1年間に企業が付与した繰越日数
を除く年次有給休暇日数は、労働者1人平均18.5日となっているが、
労働者が取得した日数は9.0日で取得率は48.8%と低い。
取得率が企業規模が小さくなるほど低くなる傾向は相変わらずで、
周囲、上司、使用者への配慮による労働者自身の気づかい、そして黙視・暗示す
る使用者側の風圧といった企業風土は今も何ら変わっていない。

 冒頭にもふれた時間外労働の割増賃金支給実態をみると、
時間外労働の割増賃金率を法定の25%とする企業は93.5%、
25%以上とする企業は6.5%で、企業規模が大きくなるほど高いのは
大企業の経営状況と経営者の意識によるものだろう。
ただ、調査は時間外労働の割増賃金率を定めていない企業が全体で10.3%、
30〜99人規模で12.2%も存在することが明らかになっており、これらの企業が就
業規則でどのような賃金体系となっているのかが危惧される。

 調査はさらに時間外労働の割増賃金率を定めている企業のうち、
1ヵ月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を集計しているが、
全体では25〜49%とする企業割合は45.7%、
50%以上とする企業割合は54.0%となっており、
企業規模別では50%以上としているところが、
1000人以上で88.3%、
300〜999人で78.9%、
100〜299人58.7%、
30〜99人40.5%の調査結果となっているが、現行の労働基準法の遵守についての
意識は、統計情報部の調査だけに目的外の項目には言及していない。

 年次有給休暇の取得率の向上では、政府の経済財政諮問会議の
「休み方改革ワーキンググループ」(座長・高橋進日本総合研究所理事長)が
11月18日に報告書をまとめ、企業の取組みとして、3連休以上の連休が集中する
秋を中心とした3日(2日)プラス1以上の連休の実施、地域ごとの「ふるさと休
日」の実施などを提言し、特に企業の労働時間短縮施策として、経営者トップの
意識改革、業務の見直しと代替の効く人員体制、社員の意識改革、
特に時間に対する意識を高めること、など掲げるとともに、休むことがなぜ大事
か、などの原則論も展開している。

 つい最近話題になった大手の服飾や飲食業の幹部社員のように
「自分たちは会社をここまでするのに寝食を問わず働いてきたのだから」という
論理を、後進の社員に押しつける企業は依然と多い。

一方で、零細企業のように経営者の労働法制への無知や、
業績の悪化に伴う賃金不足からくる賃金不払も後を絶たない。


 政府が企業風土の改善を提言するのは提言しないよりは良い。
ただ、経済産業省にしろ厚生労働省にしろ、求められるのは現場からの視線と
思考回路である。
霞ヶ関から働く経営者・労働者の現場に出ることであろう。
                           (津山 勝四郎)


編┃集┃後┃記┃
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 11月22日(土)午後10時過ぎに長野北部を震源とする震度6弱の地震が発生
し、白馬村では約30棟が全壊しました。
怪我人はでましたが幸運なことに住民の命は助かりました。

 地震発生が夜間であったにもかかわらず2時間以内に住民全員の安否確認が
できた連絡網と、住民同士が自発的に近隣の家を訪ねて無事を確認し、
また倒壊家屋に取り残された人には、住民らの協力による救出がありました。

 「いざという時のために昔から顔の見える付き合いを大事にしている」
モットーが威力を発揮したのは小さな地域だったためでしょうか。

 この協力体制は会社内の体制の構築でも学ぶことが多くあると思います。

 最近の傾向として、社員同士の業務連絡をメールで行い社員同士が向き合って
会話をすることが少なく、コミュニケーションが欠如しています。

 “思いやり”“気配り”“目配り”等を大切にした体制を構築し、
「いざという時」に備えたいものです。

その第一歩は、会社内での“明るい”“大きな声”での挨拶です。
皆様の周りでは、“明るい”“大きな声”で挨拶ができていますか。

 暖冬の予報が出ていますが、
インフルエンザ・風邪の時季、呉々もお気をつけください。
                              (白石)


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発行者 雇用システム研究所
代表 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp

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今週のメールマガジン第152号はいかがだったでしょうか。
お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。
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次回の配信は新年1月初旬頃情報を送らせて頂きます。

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