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高齢者の雇用にどのように向き合うか(4)
〜SCSKの65歳「シニア正社員制度」〜

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第206号
                              2019/06/01

           http://www.koyousystem.jp
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真夏のような暑さから、湿度が高い日々となりました。
まもなく梅雨入りの時期です。
皆様、如何お過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第206号をお送りします。

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□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆高齢者の雇用にどのように向き合うか(4)
   〜SCSKの65歳「シニア正社員制度」〜

■優秀な高齢技術者の確保が事業発展の根幹に関わる
■60歳以降も人事評価によって処遇が変化
■働く意欲を促す「専門性認定制度」とCDP
 (以上執筆者 溝上 憲文)


編集後記(白石多賀子)

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高齢者の雇用にどのように向き合うか(4)
   〜SCSKの65歳「シニア正社員制度」〜

 人生100年時代が叫ばれ、生産年齢人口の減少や社会保障制度の観点から高齢
者雇用が注目されている。
 一方政府も70歳までの継続雇用年齢の拡大を掲げている。
高齢者の活用と戦力化に向けてどのように取り組んでいくのか。
今回はIT業界では珍しい65歳定年制を導入したSCSKの事例を紹介したい。


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■■■ 優秀な高齢技術者の確保が事業発展の根幹に関わる ■■■
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 同社は定年を65歳とする「シニア正社員制度」を2018年7月に導入した。2013
年度から再雇用制度である「実年キャリアプラン」を導入している。しかし、当
時は高年齢者雇用安定法の改正や公的年金支給の空白期間への対応策として、65
歳まで雇わないといけないという福祉的な意味合いが強く、定年後の最低限の収
入基盤の整備やライフプランの形成支援が主な目的だった。

 だが、昨今の労働市場では技術者の獲得競争が激化し、とくに即戦力人材の中
途採用が難しくなってきている。加えてIT業界は60歳を超える人が少なく、同
社も200人程度であるが、今後10年で新たに約1800人に増える見込みだ。これは
全従業員の25%に相当する。
しかも同社には技術者の技術を職種ごとに1〜7のレベルで認定する「専門性認
定制度」があるが、高レベルの5以上の人の約500人が50歳以上であり、認定者
の50%を占めている。従来のように単に雇用を維持するだけではなく、シニア層
を戦力として活用することが事業発展の根幹に関わる状況になっている。

 しかし、再雇用後の報酬水準は現役時代の半分程度であり、優秀な技術者が60
歳定年で辞めてしまう例もあった。現場からこの人がいなくなると困るという相
談があっても、つなぎ止めて置けない。そのためシニア層を戦力化していくため
に実年キャリアプランを大幅に見直すことにしたものだ。

 実年キャリアプランは50代から始まる。50代の前半に60歳以降のキャリアに関
する「実年キャリア教育」を受けてもらい、54歳のタイミングで60歳以降も継続
して働くか、60歳の定年で退職するかの希望を調査する。以前は60歳定年コース
と継続雇用コースがあったが、新たに継続雇用コースが65歳定年の「シニア正社
員制度」に変わった。

 ただし、厳密には60歳定年はなくしていない。希望しない人は60歳定年で退職
するが、継続雇用を希望する人は、以前の1年ごとの契約社員から新たにシニア
正社員という雇用区分に移行し、65歳が定年になる。社内的には第二定年と呼ん
でいる。


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■■■ 60歳以降も人事評価によって処遇が変化 ■■■
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 処遇に関しては、シニア正社員を選択した人は55歳から59歳まで給与の一部を
減額し、60歳以降のシニア雇用全体の人件費を一部充当してもらう形にしてい
る。一方、60歳定年コースを選択した人は減額されず、定年退職時に退職金に加
えてセカンドライフ支援金が受け取ることができる。実際には60歳で退職する人
は少なく、約95%が継続して働いている。

 シニア正社員の報酬は職務ランク別定額給与とグレード別加算給の大きく2つ
に分かれる。職務ランクは定年前の社内の資格等級と新たに担う役割・職務を加
味して1〜?の4つのランクに分類。再雇用のときはランク別給与だけだったが、
これに加えてグレード別加算給を導入。各ランク内にグレード1〜4の4つを設
けている。どのグレードになるかは、60歳前の過去3年間の貢献度評価の平均と
当年度の上司の期待貢献度に基づいて部門判断で決定する。

 グレードが1つ上がると年収ベースで100〜150万円程度上がり、グレード3か
ら4に上がると現役時代の報酬水準に近くなるという。ただし、グレード別加算
給は毎年同じではなく、毎年の人事評価でグレードが見直されるのでグレードが
下がると給与も下がる。能力と実績に応じたメリハリのある仕組みにしている。
もちろん評価しだいで上がらない人も発生し、年収水準は現役時代の5割〜9割
の範囲になるという。

 過去3年間の評価でグレードが決まるということは、50代後半も気を抜けない
ことになる。ややもすれば仕事に対する意欲を失う人もいるが、この時期に良い
評価が取れるかどうかが60歳からのグレードと報酬に影響する。


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■■■ 働く意欲を促す「専門性認定制度」とCDP ■■■
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 このほかに意欲を持って働くことを促す取り組みとして、前述した「専門性認
定制度」がある。新入社員から社内の資格等級ごとに取得してほしい専門性のレ
ベルを設定し、上位のレベルの認定を受けた社員に一時金と専門性認定手当を支
給している。新たにシニア正社員になっても継続して支給する。現役、シニアに
限らず何歳になっても自分の専門性を上げることを諦めないでがんばってほしい
という思いが込められている。

 さらにシニア正社員も含めて人材公募制度とCDP(キャリア・デベロップメ
ントプラン)を導入している。シニアであっても社内求人に応募ができ、自らの
スキルを売り込むFA宣言も可能だ。CDPでは、キャリアに対する思いを書
き、今の仕事でスキルが活かせていなければ上司との面談で異動を申し出ること
も可能だ。

 同社の人事担当者はシニア正社員制度の導入について「制度改定のメッセージ
は一言で言えば、生涯現役で活躍してほしいということ。現役から一歩引いた形
で仕事をこなすのではなく、生涯現役として自分の専門や適性と感じる領域でバ
リバリと活躍し、最大限のパフォーマンスを発揮してもらいたい」と期待する。
 現在は65歳までの雇用だが、今後は70歳までの雇用も想定される。「65歳以降
の人でも、余人を持って代え難い人材については人事主導でトライアル運用とい
う形で働いてもらっている。実際に68歳の人も働いているが、65歳を超えても働
けるような制度設計を今後検討していく」(人事担当者)という。

 定年延長に後ろ向きの企業も多いが、人手不足が強まる中で、経営的視点に
立った高齢者の活用を図る企業が今後増えてくるだろう。  (溝上 憲文)




編┃集┃後┃記┃
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5月、令和新時代のスタート、2020年東京オリンピックのチケット申し込み、
そして30度を超す真夏の暑さでした。

5月29日に、パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が成立しました。
 成立により、企業は職場でのパワーハラスメントを防ぐため、相談窓口の設置
等の防止策を講ずるよう義務づけられることとなります。
施行は、大企業は2020年4月、中小企業は2022年4月から義務づけられる見通し
です。

 最近の話題として、GW10連休終わりにニュースで取り上げられていた
「退職代行会社」から、社員の退職連絡があったり、新入社員が連休明けに退職
届提出と近年にない新たな傾向が現れています。
 企業は、短期間での退職にショックを受けています。      (白石)



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発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp

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お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。
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