本文へスキップ

人事・労務に関する御相談は東京都新宿区 社会保険労務士法人 雇用システム研究所まで

電話での相談・お問い合わせはTEL.03-5206-5991

〒162-0825 東京都新宿区神楽坂2-13 末よしビル4階

発刊済みメールマガジンMail Magazine

高齢者の雇用にどのように向き合うか(7)
〜シニア専用の育成プログラムで人材定着と生産性向上を実現〜

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏━━┓    
┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第209号
                              2019/09/01

           http://www.koyousystem.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

九州が豪雨に見舞われ、各地で被害が発生しております。
皆様、如何お過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第209号をお送りします。

=============================================

□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆高齢者の雇用にどのように向き合うか(7)
   〜シニア専用の育成プログラムで人材定着と生産性向上を実現〜

■若年層主体のコールセンター業務でシニアを戦力化
■同じ内容を繰り返し学び、理解度を向上
■研修テキストも見やすく、読みやすく表示。現場の責任者研修も実施。
■発信業務ではトップクラスの成績も。定着率も3倍に向上
 (以上執筆者 溝上 憲文)

◆公的年金の「2019年財政検証」結果
■財政検証結果の概要
■財政検証の経済前提
■オプションシナリオと今後の政策課題
 (以上執筆者 北浦 正行)

編集後記(白石多賀子)

-----------------------------------------------------------------------

高齢者の雇用にどのように向き合うか(7)
   〜シニア専用の育成プログラムで人材定着と生産性向上を実現〜

 高齢人材の活用においては、加齢による認知機能の低下など心身の変化に応じ
た能力・スキル開発が重要な課題となっている。
そうした高齢者の特性を考慮した独自の育成・研修プログラムを開発し、
高齢者人材の戦力化に取り組んでいるのがコールセンター業務を手がける
TMJである。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 若年層主体のコールセンター業務でシニアを戦力化 ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 同社は全国13拠点に約7000人のスタッフが従事しているが、コールセンター業
務はもともと若年層が主体だった。しかし、地域によって人手不足が顕在化し、
高齢者人材の活用を決断。2017年1月からエルダーと呼ぶ50歳以上の人材の採用
を札幌地区で本格化した。対象となるのは子育てが一段落した50歳代から70歳代
の主婦層や定年退職後のセカンドキャリアとして仕事をしたいシニア層などだ。

 現在、エルダーのスタッフは約1800人。以前から50歳以上も採用していたが、
2017年の本格採用以降は年間120%増の勢いで増加している。
エルダーの採用と定着を支えているのが同社の育成プログラムだ。
最初に注力しているのが入社後の研修。
コールセンターのオペレーターの仕事は顧客からの問い合わせに対応する受信業
務と営業等の電話をかける発信業務の2つに分かれる。
研修はプレ研修と配属後の業務研修が行われるが、通常のプレ研修は3.5時間で
あるが、エルダーは3日間かけて行う。
また1回の研修参加者は通常は約50人だが、エルダーは約10人と少ない。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 同じ内容を繰り返し学び、理解度を向上 ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 長期間かつ少人数としたのはトライアルのテストケースから生まれた。同社の
担当者は「テストケースでは通常と同じ研修では『やはり無理です。私は覚えき
れません』と言って離脱した方もいた。試行錯誤を重ねながらプログラム化を進
めた」と言う。研修は同じ内容を繰り返し学び、理解度に応じて進めることを基
本にしている。

 「プログラムは他の年代層と同じレベル感で業務研修に参加できることを目標
に設計している。基本的には同じ内容を繰り返し練習するために長めの期間を設
定している。また疲れないように60分ごとに10分の休憩を設け、休憩中に記憶を
活性化させる手を使った体操なども実施している」(担当者)

 3日間のプログラムの初日は会社の理念や概要の説明に続いて目を引くのが
「マインドセット」だ。コールセンターの役割を理解し、業務に対してやりがい
を感じてもらう。エルダーの中にはこれまでの経験・知見が異なる人も多い。
組織の中で働いたことがない主婦の方もいれば、管理職の経験が長い人もいる。
また、指導役の管理者は若い人が多い。
センターでの仕事は年齢や経験を問わずチームとして成果を出していく仕事であ
り、管理者と目標を共有し、チームの一員として協力して仕事をすることの重要
性を理解してもらう。

 メニューの中には高齢者仕様の「脳の活性化トレーニングとタイピング」も含
まれている。いわゆる脳トレとタイピングのトレーニングを組み合わせて記憶力
やパソコンの処理速度の向上を目指している。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 研修テキストも見やすく、読みやすく表示。
                   現場の責任者研修も実施。 ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 電話応対の基本は、顧客との話し方や聞き方などコミュニケーションの方法に
ついてシニアでもわかるようにロールプレイングをまじえながら理解してもら
う。高齢者の中には口の開き方がうまくできずに滑舌が良くない人もいる。声の
出し方や抑揚のつけ方など発声練習を繰り返して行う。
電話応対の基本は業務の根幹であり、2日目も同じ時間を割いて学ぶ。
また、すべてのメニューにおいて振り返りの復習を行うことで業務研修の不安感
を払拭することに主眼が置かれている。

 次の業務研修は受入先のセンターで実施される。発信業務は1〜2日程度、受
信業務は1〜3カ月間の長期に及ぶ。発信は顧客に案内する文章の修得などがメ
インだが、受信はカスタマーサポートなど顧客の質問に対応するために学習する
専門的知識も多い。研修は実践を伴うOJTとOFF−JTを組み合わせて行わ
れる。

 業務研修でも高齢者の特性に応じた様々な工夫がなされている。一つは研修テ
キストの読みやすさの工夫。通常のスタッフよりも字を大きく表示し、さらに図
やイラストをできるだけ多用し、理解しやすくしている。
また、黄色や青・緑など一定の色について識別しにくいという高齢者の特徴を考
慮し、見えづらい色は使わない。

 さらに業務研修や指導を行う現場の責任者に対してエルダースタッフ対応の事
前研修も実施している。エルダースタッフには親子ほど年齢が違う人もいれば、
培ってきたキャリアに対する自負心が強い人もいる。「相手の話をそうですよ
ね、としっかりと受け止めつつ、わからないところは素直に聞いてもらえるよう
な関係性を作り上げること」を重視している。

 また、前述したテキストを読みやすくする以外に「プロバイダー」
「HTML」といった専門用語のカタカナ言葉をわかりやすく言い換えて伝える
ようにしている。

 研修・育成プログラムを実施して以降はエルダースタッフの意欲も高まってい
る。担当者は「プレ研修については『こんなに丁寧に教えてもらった経験がない
ので非常にありがたい』という声もある。
また、学ぶことに前向きな人が多く、研修資料を家に持ち帰って勉強したいとい
う人もいれば、朝早めにきて勉強させてほしいという熱心なひともいる」と語る。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 発信業務ではトップクラスの成績も。定着率も3倍に向上 ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 実際に研修成果も上がっている。
各センターの報告では受信・発信業務ともに1カ月目のスキル修得状況は通常の
人よりも若干落ちるが、2カ月目以降は他の人と遜色のない感じで伸びていくそ
うだ。「とくに発信業務は若い人よりもスキルの上達が早い人が多く、やはり人
生経験が豊富なのでコミュニケーション能力に優れている。
とくに発信業務ではトップレベル成績を出している人も多くいる」(担当者)と
いう。

 若年層のスタッフと変わらないパフォーマンスに加えて定着率も「若年層に比
べて3倍程度高い」(担当者)という効果も生んでいる。
同社としては札幌地区を皮切りにエルダースタッフの採用を全国の拠点で展開し
ていく予定だ。

 同社は成功のポイントは、高齢者の特性を把握し、その対応方法や人材育成の
手法を過去のデータと時間をかけて構築したことだ。高齢者の意欲をベースにし
たスキル開発は若年層主体のコールセンター業務でも成果を出すことを示した。

 高齢者では難しいとされる業務でも方法しだいで生産性向上を伴う働き方が
可能となる好事例といえる。              (溝上 憲文)


-----------------------------------------------------------------------


公的年金の「2019年財政検証」結果

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 財政検証結果の概要 ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 公的年金制度については、社会・経済の変化を踏まえ、年金数理に基づいて長
期的な年金財政の健全性を定期的に検証が行われている。
すなわち、厚生年金保険法及び国民年金法の規定により、少なくとも5年ごと
に、「国民年金及び厚生年金の財政の現況及び見通し」が作成されているが、
これがいわゆる「財政検証」と呼ばれる。

 平成16年の法改正までは、5年ごとに給付水準を固定した上で、保険料の段階
的な引上げ計画を再計算する「財政再計算」が行われ、公的年金の財政バランス
を取るために、負担水準と給付水準のどちらも見直しが行われていた。
しかし、少子高齢化の急速な進展によって、現役世代が少なくなると、財源とな
る保険料収入も減少するため、年金給付の必要額とのアンバランスが拡大し、保
険料の引き上げと給付削減が繰り返されるという事態が繰り返された。

 このため、将来にわたって安心できる年金制度(100年間を展望)とするべ
く、賦課方式による考え方を基本に据えた方向に、平成16年以降、制度改正が進
んだ。すなわち、保険料に上限を設け、そこから得られる保険料収入や国庫負
担、積立金からの収入が固定され、その固定された財源の範囲内で給付水準を自
動的に調整することで、給付と負担の均衡が図られる財政方式に変わっている。

 この結果「財政再計算」に代わって、少なくとも5年ごとに、長期の財政収支
(保険料収入や給付費等の収支)の見通しや、マクロ経済スライドに関する見通
しを作成し、公的年金財政の健全性を検証する「財政検証」が行われている。

 このマクロ経済スライドが年金の「健全性」を担保するものとされている。平
成16年の制度改正において、将来の現役世代の保険料負担が重くなりすぎないよ
うに、保険料水準がどこまで上昇するのか、また、そこに到達するまでの毎年度
の保険料水準を法律で決め、この収入の範囲内で給付を行うこととした。すなわ
ち「社会全体の公的年金制度を支える力(現役世代の人数)の変化」と「平均余
命の伸びに伴う給付費の増加」というマクロでみた給付と負担の変動に応じて、
給付水準を自動的に調整する仕組みであり、賃金や物価による年金額の伸びか
ら、「スライド調整率」を差し引いて、年金額を算定するものである。

 これについては、事実上の給付抑制策であるとして野党の反対論が強く、年金
問題に関する国会での争点の一つになっている。ただ、デフレ時には発動できな
いため、これまでの実績は2回にとどまる。(デフレ解消後に過去の凍結分を実
施するキャリーオーバーの仕組みは導入された。)給付額の増加額を抑制するも
のであり給付削減ではないとしているが、経済情勢によっては現在想定される給
付が変わってくることとなり、将来への不安感を与える要因にもなりかねない点
にも留意する必要があろう。

 具体的な結果としては、今回の財政検証では、後述の経済前提をもとに、大き
く内閣府試算による「成長実現ケース」と「ベースラインケース」とに分けて、
ケース?〜ケース?を示している。
前者については経済成長率0.4%〜0.9%、
後者については▲0.2〜0.2%の範囲を想定しているが、前者については相当の政
策努力が必要と思われる。

年金額(夫婦:基礎+夫:厚生、2019年度22.0万円)の推計を見ると、前者では所
得代替率(2019年度は現役男子の手取り収入35.7万円に対し61.7%)が減少する
ものの長期的に50%以上が維持できるため、給付額は少しずつ増加していく形と
なっている。

 これに対し、後者では所得代替率は減少して将来的には50%を割り込む(2058
年度に現役男子の手取り収入46.7万円に対し44.5%)との試算であり、給付額は
微減から横ばいで推移する。

 次の財政検証時である2024年度には21.7万円(夫婦:基礎12.8万円+夫:厚生
8.9万円)であるが、将来的にもこれと同程度の年金額が想定されている。
したがって、先の「老後資金2000万円不足問題」で議論されたように、公的年金
は老後生活のすべてを支えるものではないという考え方を追認したような形だと
いえよう。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 財政検証の経済前提 ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 財政検証は、国立社会保障・人口問題研究所による「日本の将来推計人口」
(平成29年4月)、内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」(平成31年1
月)、(独)労働政策研究・研修機構「労働力需給の推計」(平成31年3月)に基
づいて行われている。
前回の財政検証と比較では、出生率は向上(2060年1.35→2065年1.44)、
平均寿命は伸長(2060年男84.19女90.93→2065年男84.95→女91.35)、
高齢化率は低下(2065年40.4%→2065年38.4%)、
就業率は増加(2030年58.4%→2040年60.9%)とそれぞれ環境条件は良くなって
いる。これに対し、経済前提であるTFP(全要素生産性)、実質賃金上昇率、実質
運用利回りについては前回に比べ控えめに設定されている。

 この経済前提を見る限りでは、これまでの実勢や足元の状況を考えれば、下位
のケース?あるいはケース?あたりが現実的であろう。したがって内閣府試算の
ベースラインケースで、経済成長と労働参加が一定程度進むケースを基本線とし
て議論していくのが妥当ではないか。しかも、いずれのケースについても、出生
率や労働参加(就業率)の見方が甘すぎる可能性もあり、それ如何によっては下
振れする可能性もないとはいえない。実質賃金についても、マイナスになった局
面もあるなど、実勢から見て少し高めの設定ではないかという批判もある。年金
の運用利回りについても楽観的であるという意見が強い。

 確かに女性や高齢者の就業を促進することに政策の重点が置かれており、女性
の労働力についてはM字型カーブの解消に向かう動き、高齢者については65歳ま
での継続雇用の法制化とその施行の完了などが見られる。

ただ、女性労働力の増加については、そろそろ上限に近づいているのではないか
という議論もある。そもそも、女性の就業促進が出生率の向上に抑制的に働くの
ではないかという論者もいるが、女性のキャリアデザインがどのように変わって
きたかの検証も必要であろう。

 また、労働参加が増えるかどうか以前の問題として、生産年齢人口は確実に減
少していくという前提がどこまで織り込まれているかということがある。生産性
の向上がなければ、人口減少が経済成長の大きなマイナス要素となることは必至
だ。しかもグローバル化の下で、貿易問題の悪化など環境条件の変動も激しく
なっていることも間違いない。こうした中で、100年という超長期に推計を行っ
てもその実現は難しいと言わざるを得ず、所得代替率などいくつかの指標を管理
目標として運用していくことによって、制度の安定と信頼を培う取り組みが現実
的であろう。

 なお、今回の財政検証では、関連資料として「2019年度の所得代替率
(61.7%)確保に必要な受給開始時期の選択」を試算している。成長率が横ばい
となるケース?でみると、次のような結果となっている。これが支給開始年齢の
引き上げを示唆するのではないかという意見もあるところだ。(ただし、一律に
支給開始年齢を引き上げるのではなく、個々の者が繰下げを選択して給付水準を
上昇させることが可能であるというのが政府の見解)

〇モデル年金(40年拠出)でみると、将来の受給世代の所得代替率は低下する 
 が、平均余命の伸びに伴い平均受給期間は延長する見通しとなっている。

○ 現在20歳の世代は68歳9月まで就労し繰下げ受給を選択すれば、
 現在(2019年度)65歳の世代と同じ所得代替率を確保できる見通しとなってい
 る。同様に30歳の世代は68歳4カ月、40歳の世代なら67歳2カ月となり、65歳と
 いう現在の受給開始年齢では不十分となる。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ オプションシナリオと今後の政策課題 ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 いずれのシナリオにおいても、所得代替率が年金制度設計の要となっている。
2004年改正法の附則では、「次期財政検証までの間に所得代替率が50%を下回る
と見込まれる場合には、給付水準調整を終了し、給付と費用負担の在り方につい
て検討を行う」とされている。すなわち所得代替率50%を割り込まないというの
が政策目標になっているのである。2040年代中頃に給付水準調整が終わるという
見通しになっているが、経済成長が一層進展することを前提としない限り、徐々
に50%を割り込むことになる。また、前回の財政検証に比べて、経済成長が続く
場合であっても調整期間が長くなっており、どのシナリオにおいても給付抑制が
それだけ続く形である。

 この所得代替率の定義については疑問の声がある。計算する時の分子である高
齢者が受け取る年金額は「税金や社会保障費を支払う前の額」であるのに、分母
である現役世代の所得は「税金や社会保険料を支払った後の額(可処分所得)」
になっているため、同じ基準(課税前あるいは課税後)にそろえて計算すると、
所得代替率は大幅に低下し、現時点で50%を下回ってしまうという指摘がある。
年金だけの世界で閉じるのでなく、現に負担増が課題となっている医療や介護な
ども入れた総合的な検討も重要であるが、社会保障全体についての議論ではそう
した整合性の観点があまり出てこないのも大きな問題点だろう。

 このように、今後の年金制度運営においては、所得代替率の確保というのが改
革論議の中心となってくる。今回の財政検証では、以下のようなオプションを政
策として実施することによって、給付水準の上昇が可能であるという試算が発表
されている。いずれもこれまでにおいて何回も議論されていたような制度改正案
であるが、これら政策の採否が年金部会だけでなく国会をはじめ多くの場面での
論議の焦点となる。さらに、今のところ年金制度改革とは独立的に検討が進めら
れるとしているが、高齢者雇用政策の方向づけにも大きくかかわってくることも
必至であろう。

〇オプションA ・・・被用者保険の更なる適用拡大

(125万人ベース): 被用者保険の適用対象となる現行の企業規模要件を廃止:
 所定労働時間週20時間以上の短時間労働者の中で、一定以上の収入(月8.8万
 円以上)のある者(125万人)に適用拡大し、その後は、短時間労働者の中で
 適用される者の比率が一定と仮定

(325万人ベース): 被用者保険の適用対象となる現行の賃金要件、企業規模要
 件を廃止:対象外となる者を除いて、所定労働時間週20時間以上の短時間労働
 者全体に適用拡大。学生、雇用契約期間1年未満の者、非適用事業所の雇用者
 については対象外

(1,050万人ベース): 一定の賃金収入(月5.8万円以上)がある全ての被用者
 へ適用拡大:学生、雇用契約期間1年未満の者、非適用事業所の雇用者について
 も適用拡大の対象。(雇用者の中で月5.8万円未満の者のみ対象外)

〇オプションB ・・・保険料拠出期間の延長と受給開始時期の選択

(1)基礎年金の拠出期間延長:基礎年金給付算定時の納付年数の上限を現在の
 40年(20〜60歳)から45年(20〜65歳)に延長し、納付年数が伸びた分に合わ
 せて基礎年金が増額する仕組みとした場合

(2)在職老齢年金の見直し: 65歳以上の在職老齢年金の仕組みを緩和・廃止し
 た場合

(3)厚生年金の加入年齢の上限の引き上げ; 厚生年金の加入年齢の上限を現行
 の70歳から75歳に延長した場合

(4)就労延長と受給開始時期の選択肢の拡大:受給開始可能期間の年齢上限を
 現行の70歳から75歳まで拡大した場合、65歳を超えて70歳、75歳まで就労した
 者が、受給開始時期の繰下げを選択すると給付水準がどれだけ上昇するかを試
 算。

(5)就労延長と受給開始時期の選択肢の拡大(オプションB−(4)に
 (1)〜(3)の制度改正を加味): 上記?〜?の制度改正を仮定した上で、 
受給開始可能期間の年齢上限を現行の70歳から75歳まで拡大した場合、65歳を 
超えて70歳、75歳まで就労した者が、受給開始時期の 繰下げを選択すると給 
付水準がどれだけ上昇するかを試算。          (北浦 正行)



編┃集┃後┃記┃
━┛━┛━┛━┛********************************************************

2021年3月より“マイナンバーカード”が健康保険証として使用できます。
 政府は、2021年3月の制度開始前の一定期間に登録をした被保険者に対して、
買い物等で利用できるポイントを付与し、カードの取得者拡大を目指して
検討しています。
 
 また、会社は、従業員が入社すると社会保険の資格取得を行います。
電子申請した結果の通知書(健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得確認およ
び標準報酬決定通知書等)のレイアウトが10月5日から変更されます。

 現在、1枚に複数名が記載されているものを、被保険者1名ごとの通知書となり
ます。

この通知書等を印刷して、従業員に渡すことにより行政への届出が完了したこと
が分かる仕組みのようです。
 
 行政手続きの簡略化が進んでいます。             (白石)



-------------☆ ☆ ☆ --------------

発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今月のメールマガジン第209号はいかがだったでしょうか。
お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。
ご感想は info@koyousystem.jp にお願いします。

「こんな記事が読みたい!」というリクエストも、遠慮なくどうぞ。

次回の配信は10月初旬頃情報を送らせて頂きます。

e-mail: info@koyousystem.jp

[過去のメルマガ随時更新]⇒ http://www.koyousystem.jp
=============================================
メールマガジンの配信が不要な方は、お手数ですが、
こちらhttp://www.koyousystem.jp/mail_magazine.html から
配信停止を行って下さい。

社会保険労務士法人
雇用システム研究所
雇用システム研究所

〒162-0825
東京都新宿区神楽坂2-13
        末よしビル4階
TEL 03-5206-5991
FAX 03-5206-5990